『君たちはどう生きるか』 109シネマズ川崎 2023.7.28
ブログを書こうと、Yahoo!映画で検索したら、監督や原作、キャストなどが書かれていなくて、―「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などの宮崎駿が、「風立ちぬ」以来10年ぶりに監督を務めた作品。タイトルは吉野源三郎の同名の著作に由来し、宮崎監督が原作と脚本を手掛ける。―という短い解説だけがあった。キャスト名なども出ていなかった。Yahoo!映画のユーザー評価は1と5に分かれていて、平均は2.9になっていた。1と5に分かれている映画は大体が見どころのある映画と思っている。
金曜日の朝一の回、IMAXで見たが観客は少なく、アニメ好きの人はIMAXでない方で、複数回ご覧になるのだろうか。
Yahoo!のユーザーレビューでは意味不明と書かれているのも見たが、ある意味わかりやすい映画だったように思う。
少年の成長物語。受け入れがたい現状、戦争や母親の死、父親の再婚、疎開先での馴染めなさから自らを傷つけ引きこもる、変化へいざなおうとするものへの抵抗と攻撃。そこにしかうっ憤の向け先がない状況の中、父の再婚相手、母とうり二つの母の妹が森に入り失踪したことで、少年の異界への旅が始まる。
異界で数々の冒険をし、死んだ母の火の乙女としての少女にも出会い、助けられ、少年は異界の王である曽祖父の願う、異界の安定を維持する役割を継承することなく、それを壊し、継母を母と認め、現実に戻ってくる。
少年は母にも父にも、母の妹である継母にも愛されて、素直に育った少年。違和感を抱き、成長のために冒険に出て、数々の試練を体験したとしても、自分に攻撃を向けてくる対象を殺したりしない。ジブリっぽいし、ある意味結末が予定調和的で、数々の冒険は見ていてそれなりにはらはらしていても、安心していられる。今風の攻撃性を前面に出したアニメが人気を得やすい状況で、ハラハラ度が低いと物足りなさを感じる人が低評価をつけているのかしら?
宮崎駿監督は戦時中疎開の経験もあったということから、この少年が自身を投影しているとしたら、彼が成長の過程で、アニメという異界に飛び込み、数々の試練を体験し、安定を継承することなく壊しながら、現実へと戻るというプロセスを経て、この齢になった、私はこう生きたという映画かもしれない。そして観客に、君はどう生きると問うている映画かもしれない。
にせ猫さんはちょっと説教臭いと感想を述べていたが、一度は書いておきたい人生の振り返り。振り返りを書いてみて、一段落されるか、さあもう一度となるか、興味深いところ。
このアニメは声優さんでなく、俳優さんの声が入っていた。海外映画などの声優さんの高めで、声を張った吹き替えがすごく苦手なので、聞きやすくてよかった。
映像は本当にきれい。