たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

『フェルディナント・ホドラー展』 国立西洋美術館

2014年11月23日 | 日記
   『フェルディナント・ホドラー展』国立西洋美術館   2014.11.9
      2014年10月7日(火)―1月12日(月・祝)

  『チューリヒ美術館展』国立新美術館でホドラーを見て、こちらの展覧会も行ってみたくなった。午前中駒込まで出かけたので、帰途、上野に寄ってみた。
   チューリヒ美術館展』も『ホドラー展』も日本・スイス国交樹立150周年記念の企画展。ホドラーの作品を意識して拝見したのは初めて。
  ホドラーは19世紀末から20世紀初頭のスイスを代表する画家で、大規模な室内装飾を多く手掛け、身近なアルプスの風景を描き続け、今なお「国民画家」として愛されているとのこと。

  踊る人々の姿、そこに身体化される感情、それらが連鎖することで生まれるリズム…「リズム」の絵画を体験…ということなのだが、人物のポーズが連続する絵画がやはり印象的。人の体の動きが緊張感を伴いながらとても美しい。風景の絵も美しかったけれど、やはり人体描写が印象的。

  壁画もいろいろ描いておられる。壁画は現地に行かないと見ることができないけれど、壁画を描くって、とてもすごいことなんだなあと。下絵もたくさん。衆目を集める場に、ずっといつもそこにあるわけで、いろんな意見も出る。

  今年最初に行った展覧会『シャヴァンヌ展』Bunkamuraザ・ミュージアム2014.1.2(木)―3.9(日)。壁画作家の方の作品は見る機会がなく、シャヴァンヌ展の時もそうだが持ち運び可能な縮小版や映像展示になってしまう。シャヴァンヌ展の時、実物大のレプリカが展示されていて、縮尺版と印象がすごく違っていた。実物を見たら、もっと圧倒されるのだろうと。
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『皆既食』 Bunkamuraシアターコクーン

2014年11月22日 | 日記
     『皆既食』Bunkamuraシアターコクーン    2014.11.20
         2014年11月7日金~29日土
  
  作:クリストファー・ハンプトン  翻訳:小田島恒志 演出:蜷川幸雄
  出演:岡田将生 生瀬勝久 中越典子 立石凉子 土井睦月子 加茂さくら 辻萬長他

  ポール・ヴェルレーヌとアルチュール・ランボーの物語。天才詩人同士の奇跡的な出会いと破滅的な愛と彷徨、2年の同性愛生活後、別離。1971年に2人は出会い、その時ランボーは16歳、ヴェルレーヌは27歳。。ランボーは20代前半に詩作を放棄し、37歳で亡くなり、ヴェルレーヌは窮乏して51歳で亡くなっている。

  ヴェルレーヌは、わが国では上田敏訳の海潮音に収められている、『秋の日のヴィオロンのため息の身にしみてひたぶるにうら悲し…』で、良く知られているのではないかしら。高校生の頃に覚えた記憶が…
  国立新美術館で今年9月から10月にかけて開催されていた『オルセー展』で、アンリ・ファンタン=ラトゥールの『テーブルの片隅』という絵が展示されていたが、その絵の左端二人がヴェルレーヌとランボー。
  『皆既食』は映画になっているそうだが見ていない。

  劇場に足を運ぶ前日、日経の夕刊劇評で取り上げられており、「天才詩人の青春 魅力的に」と銘打って、初舞台の岡田将生さんを褒めている。期待大。席も10列以内で、舞台から近い。

  話はランボーがヴェルレーヌのパリの住まいにやってくることから始まる。彼の詩に魅せられて、パリに呼び寄せたのだが、思っていたよりとても若い。破天荒な行動。妻の両親の家に住まわせてもらい、身重の妻がいるにもかかわらず、ランボーとイギリス、ベルギーと放浪の旅に出で、2年後に旅は別れを切りだされ、ヴェルレーヌのランボーへの発砲で終わる。

  それこそ天才詩人たちの当時としてはより禁断的な同性愛の破滅的な愛の物語なのだけれど、そういう前提で見ていないと、前提で見て入るのだけれど、あまり天才ぶりは入ってこない。そうするとヴェルレーヌは酒乱のDVで、ランボーが巻き込まれているだけに見えてしまう。そこには時代背景や、天才同士の触発し合うもの、豊饒な詩的インスピレーションがあったはずだけれど、それよりも関係性の葛藤だけに焦点が当たっている。

  これは脚本と、演出の問題だろうけれど、特に気になったのがヴェルレーヌの老け作り。ヴェルレーヌは確かに若はげだったけれど、彼らが出会った時はまだ27歳。中年と青年の設定では、青春の彷徨に見えない。席が良すぎたのか、彼が中年にしか見えない。生瀬さんは感情の起伏の表現では素晴らしかったと思うけれど、無理に若はげの鬘でなく、若々しく見せることもできたのでないか。
  岡田さんはせりふの通りも良く、軽やかに演じていて、役が合っている感じだった。指が細くて美しい。岡田さんのファンにはうれしい初舞台。

  前半はかなり眠かったけれど、休憩時間に眠かったーと言っている人がちらほら、後半、黒い森あたりからは一気に。
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『チューリヒ美術館展』 国立新美術館

2014年11月16日 | 日記
   『チューリヒ美術館展』国立新美術館   2014.11.8
        2014.9.25(木)-12.15(月)
  お茶の水の病院に検査に行った帰りに、国立新美術館に寄る。目下、一応検査フォロー中。検査だけで気楽ではあるが、楽しいものではない。というわけで、帰りに気分転換を兼ねて、美術館に寄る。午前中の比較的早い時間のせいか、それほど混んでいなかった。展示もシンプルで見やすい。

  印象派からシュルレアリスムまでということで、モネ、シャガール、、ピカソ等々、有名どころの名を連ねたポスター。なんとなく既視感があって、カタログ的だしと思っていたら、時々お邪魔するブログで『意外におもしろいチューリヒ美術館展』と題して触れらていて、行ってみたくなった。

  パンフレットによると、「誰もが一目でその作家の手によるものだと分かる作品ばかり。…スイスの人々の美への慧眼に触れる本展…」ということだが、一人の作家の絵が多くて6点、1点という展示もあるが、コンパクトだけれど、素敵な作品揃いだった。

  セガンティーニの『虚栄』がまず印象的。好きな作家のアンリ・ルソーは『X氏の肖像』一枚だけだけれど、見ることができてうれしい。猫が何とも言えない表情。
  ホドラーの作品は6点。風景画もよいが、『真実、第二バージョン』が不思議で、力強い。ムンクの『ヴィルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像画』。ココシュカの『ブットーとウサギのいる静物画』。クレーの絵はどれも好きなテイスト。大好きなカンディンスキーは1点だけで残念。シャガールらしい作品が6点。
  マックス・エルンストの『都市の全景』、印象的で、とても美しい。最後の部屋がジャコメッティの彫像、『森』。

  スイス人の慧眼に触れよということだが、確かに。

  いつものように絵葉書を購入。今回は好きな作品が悉くと言ってよいほど絵葉書になっていて、最近になく複数枚購入。10枚買うとクリップがもらえるということだが、選べないのが残念。
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『紫式部ダイアリー』 パルコ劇場

2014年11月03日 | 日記
   『紫式部ダイアリー』パルコ劇場 2014.11.2
       2014.11.1(土)~11.30(日)
   作:演出 三谷幸喜  出演:長澤まさみ 斉藤由貴

  昨年は三谷さん演出作をほぼすべて見ることができたが、今年はパルコでの2作を、夏の旅行などで慌ただしく、見逃してしまった。ということもあり、本作は是非見たかったし、新作ということで期待大。

  斉藤由貴さんが清少納言、長澤まさみさんが紫式部、時は現代。文学賞の前日、文学賞の審査員になっている二人がホテルのバーで待ち合わせて、飲みます。『枕草子』が大ベストセラーとなりエッセイストとして地位を築いた清少納言、『源氏物語』で一躍注目を集め、その美貌もあり、時の寵児になっている若手作家、紫式部。登場しない若手の新人類作家和泉式部が今年の賞の対象となりそうという伏線がひかれた上で、二人の本音トークが始まり、作家の苦悩や不安、ライバル心が顕わになります。

  バーテンダーさんが出たり入ったりするけれど、実質二人芝居。ホームページにも、チラシにもバーテンダーさんの名前が載っていないけど、誰?

  二人芝居は緊張感があって好きな舞台。三谷さんも女性の二人芝居は初めてとのこと。
  期待大の舞台だったけれど、良かったかといわれれば、微妙。それこそ作家の苦悩の質も浅いし、演技の質も浅い。史実を下書きにしているので、先が読めているし、女性心理のとらえ方も表面的に思えてしまう。
  斉藤さんは色を出そうとしておられたけれど、長澤さんはせりふの通り良く、随分頑張っておられるのだろうけれど、コメディ要素のハードルは高かったかな。

  プレビュー公演を拝見したので、これからもっと面白くなることを期待。

  二人の衣装が素敵。特に、斉藤さんの若草色の衣装、エナメルの靴が印象的。

  斉藤さん、長澤さんともに男性ファンが多いのか、客席は幅広い年齢層の男性客がいつもより多く、もちろん満席。当日券が何枚出たのか不明、キャンセル待ちに10人並んでおられました(当日電話で当日券、さらにキャンセル番号を得ることが必要)。
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『ザ・タイガース 世界は僕らを待っていた』 磯前順一著 集英社新書

2014年11月03日 | 日記
  『ザ・タイガース 世界は僕らを待っていた』 磯前順一著 
       集英社新書 2013年11月20日第1刷発行

  夏にロシア旅行をして、エルミタージュ美術館やロシアの歴史に関心が高まり、『名画で読み解く ロマノフ家12の物語』中野京子著 光文社新書を購読、楽しんだ。中野氏の別の新書も購入しようといつもの書店の書棚を見ていたら、この本を発見。パラパラ読みだすと、とかく懐かしいのでこちらを購入してしまった。

  タイガースは随分長く人気があったと思っていたが、高校生の頃に人気で、大学生の時には解散していることが分かった。記憶って結構あいまい。

  確か中学生頃から、「マーガレット」や「フレンド」といった少女漫画が週刊発売になり、高校生頃に、「セブンティーン」や「ティーンルック」といった雑誌が発刊され、「明星」などの芸能音楽雑誌は購入したことがなかったけれど、「セブンティーン」や「ティーンルック」は「女学生の友」などより、新しい感じがして、買うのが楽しみだった。この新書に「ティーンルック」という雑誌名が何度も出てくるが、「セブンティーン」より薄くって、割高感があるけれど、イラストがサイケデリックで、内容もいくらか尖っている感があって、より新しいという印象だった。
  
  グループサウンドに対しては、どちらかというと傍観者だったけれど、雑誌等ではいつも取り上げられていたし、テレビでもジュリーが「君だけに愛を」でファンを指さすと、すごい歓声。今もタイガースの曲はいくつか歌える。友達のお見舞いに行った時に、普段グループサウンドの話をしたことのない人の部屋の天井にタイガースの大きなポスターが貼られていて驚いたことがあった。
  当時、グループサウンドは不良ということで、コンサートに行くのは禁止、コンサートに行くと高校退学という処分も特段疑問にも思われずに行われていた。
  本の背帯の写真、今見ると長髪といっても全然長くないのに、NHKにタイガースは出演できなかった。

  京都の中学の同級生、顔見知りでグループを組んで、東京に出てきて、プロのマネージメントを受け、社会現象になるほど人気が出たけれど、アイドルとしての生活に疲れ、音楽の方向性、グループ活動への疑問などから解散。新書では、磯前さんの丁寧な取材で、解散の経緯が書かれている。

高校の後半からはフォークブームがあり、大学受験や大学生生活に関心が移っていたせいもあって、タイガースの解散の経緯など、新書を読むまで知らなかった。アイドル、音楽活動、芸術性、マネージメントなどのテーマが今よりずっと整理されていない形で生々しくあった印象を受けた。

  内部分裂が顕わになって解散、応援していたファンの青春の思い出も損なわれたまま。そして長い月日ののち、40年ぶりに再結成して2013年にコンサートが行われたということで、この本にも繋がる。NHKのBGで再結成コンサートを録画放映したということだが、それは見なかった。どんなライブだったのだろう。
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