たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

『特別展 ポンペイ』東京国立博物館[平成館]

2022年02月25日 | 日記
  『特別展 ポンペイ』東京国立博物館[平成館] 2022.2.24
     2022.1.14(金)―4.3(日)

  フェルメール展が朝一9時半の予約だったので、『ゴースト、迷宮、そして多元宇宙』 展をゆっくり見て、東京都美術館のレストランで食事をしてもまだ12時過ぎだった。万歩計の歩数も伸びていないので、もう1か所ハシゴすることに。という訳で、平成館にやってきました。こちらは予約なしだったのですが、無事入れました。
  
  チラシによりますと、―紀元後79年、ヴェスヴィオ火山の噴火により、厚い火山灰の下に埋もれたローマ帝国の都市ポンペイ。約1万人が暮らした都市の賑わいを封じ込めたタイムカプセルともいえる遺跡は、1748年の再発見以来多くの人を魅了している。本展はポンペイから出土した多くの優品を所蔵するナポリ国立考古博物館の全面的な協力の下、日本初公開を含む約150点の名品を紹介。―

  入ると早速、火山噴火の映像。すごい噴煙、あっという間にすごい量の溶岩が流れています。大噴火前のヴェスヴィオ山が描かれた『バックス(ディオニュソス)とヴェスヴィオ山』では、山の頂は鋭角の三角。山頂が飛んでしまった。富士山や阿蘇山、火山の多いわが国では他人事でない映像。

  噴火で家屋の屋根が落ち、蓋になって溶岩で埋まった後もいろんなものが残ったらしい。いろんな発掘された日常品が展示されています。香油壺、肌かき器(ストリギリス)、水指、ランプ、ガラス杯、筆記具、目玉焼き器、アクセサリー等々。当時の生活がうかがえる出土品の数々。

  屋敷の装飾のフレスコ画、モザイク画、そしていろんな彫像。ギリシャ文化への憧憬があり、知識人の教養だったとか。
  いろんな彫像はもちろん美しいが、なんといってもモザイク画がすごい。3ミリ平方ぐらいの石を美しく並べ、作品を作っている。絵は立体的で、迫力もあり、すごいです。こんな小さな、少しずつ色の違う石片をどう作ったのか、モザイク床、大変の労作。

  奴隷の拘束具があって、一方奴婢から一般民になる道もあって、さらに成功した人もいる。女性の活躍もあったとか。

  『ファウヌスの家』の模型、『竪琴奏者の家』『悲劇詩人の家』の邸宅の間取り、モザイク画や彫像等の出土場所を示した図も。これらの邸宅名は、重要な出土品からそう呼ばれているとのことで、竪琴奏者が立派な邸宅に住んでいたわけではありません。

  発掘は今も続き、遺跡は広く、発掘が始まってから時間が経ったせいもあってか、地中海の陽光の下、木も大きくなって、美しい光景。
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『ゴースト、迷宮、そして多元宇宙』 東京都美術館1階、第2・第3展示室

2022年02月25日 | 日記
     『ゴースト、迷宮、そして多元宇宙』 東京都美術館1階、第2・第3展示室  2022.2.24
         2022.2.24THU―26SAT

  現代アート風展覧会の表題―凝った表題の展覧会だけど、どうなのかしらとちょっと覗いてみることに。
  現代アートの展覧会でいつも気になるのは作家たちの、自分の感性をこのような作品にして表現したという多分に観念的な解説。現代アートって本来自由なものだろうに、見る人に作家の感性を分かれと、あるいは分かってほしいと押し付けるような―言葉というものは曖昧なものを切り分け、曖昧にとどめてくれないのに、言葉に頼るというか。

  入ってみると、空間ごとに趣の違う作品が展示されている。音の出る作品に最初遭遇、にせ猫さんが、音がはっきりしないので気になって作品のスピーカー部分を覗いていると、座っていた係の人が解説。ということで、この展覧会は京都芸術大学の学生選抜の作品展で、座っているのはその作品の制作者であることが判明。後でチラシを見たところ、芸術学部と院の全学生を対象に、100名を超える応募者の中から、15組18名の作家が選出されたとのこと。

  作品はアイデア、工夫、努力が随所に見られるものが多い一方で、現代アートとしては既視感のあるものも。
  にせ猫さんのお気に入りは高尾岳央さんの作品。にせ猫さんが作者に、気に入った作品と伝えたところ、作者の方がとても喜んでくださり、にせ猫さんも作者もうれしかったみたい。
  現代アートとしては、難しい絵画作品。違った色やデザインの大きなパネルが横つなぎになっているが、作品がのびやかで、見る者と作者の意図の間に遊びの余地がある感じ。これからどのような作品を作っていかれるのか、このジャンルは難しいけれど、頑張ってほしいなあと。
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『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』東京都美術館

2022年02月25日 | 日記
     『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』東京都美術館  2022.2.24
         2022.1.22(土)~4.3(日)
  
  にせ猫さんが9時半、朝一の予約を取ってくれて、出かけました。9時半少し前に着くと、長蛇の列。予約制なのに、こんなに入れるのと思ったのですが、入場はスムーズで、中も広いせいかそんなに混雑感はなかったです。1回に200人入れているそうです。絵の前に人盛りはできるのですが、5人から多くても10人くらい?まで、絵と絵の間に人は立っているけれど、数珠つなぎということはなく、見やすいです。

  2018年に上野の森美術館で開催された『フェルメール展』に行った時のブログに今まで23点/35作品中、見たと書いています。先日、メトロポリタン美術館展で『信仰の寓意』を、今回『窓辺で手紙を読む女』を見たので、25点になりました。東京は美術展が多いので、日本に居ながらたくさんのフェルメールを見ることができて、本当にありがたいです。

  さて今回の『窓辺で手紙を読む女』はX線で以前から加筆修正されていることが分かっていたが、さらにフェルメール本人でなく、後世の人が修正したことが分かり、完全修復されたという作品。修復工程も映像になっていて、見ることができます。物凄く緻密な修復作業作業。
  この修復作業により、人物の背後にキューピットが描かれた絵が出現。人物や室内の色も蘇り、女性の衣服、手前のラグが色鮮やかに、果物も光を反射しています。
  ただ、修正後の作品が好みかと言われると、キューピットの絵が結構大きくて、前傾の女性と視線が二つに分かれる感じがして、個人的な好みとしては修正前の方が落ち着いて見ることができます。にせ猫さんいわく、修正した人の気持ちがわかると。
  フェルメールは一点だけですが、フェルメールの原画に基づく他作家の模写作品も展示されています。

  17世紀のオランダ絵画いろいろ。肖像画がたくさん展示されています。どれも服装など精緻に描かれています。それにしてもレンブラントの≪金≫どうして金色の絵の具を使っているわけでもないでしょうに、金色に見えるのか。ずいぶん前に見た、レンブラントの黄金の兜の光具合を思い出しました。
  今回とても興味深かったのは、アルバート・ヘンリー・ペインの複製版画。スチィール・エルグレ―ヴィン技法で製作されたもの。この技法は19世紀初頭に登場、銅よりも頑丈な鋼鉄を用いることで、大量印刷が可能になり、写真が一般化するまで盛んに使われたとのこと。いろんな作家の作品が模倣され、とても緻密で、エッチングでここまでの、もやや濃淡、すごいです。今でいうカタログ、模写グッズで、当時は画家たちも印刷物を見て、他の作家の作品を研究し、原作者の人気にもつながったと、他の展覧会で解説があったような。

  レイデンの作家のコーナーでは、いろんな職業や家庭内の人物画が描かれた作品。
  なぜか歯医者、歯を抜くだけ?で痛そう。猫が描かれている絵には、家庭内の猫は良い意味でないと。犬もよく描かれていますが、犬は忠実だからいのかな。ライスダールの風景が結構好きなのですが、実際の風景ではなく他の作家の風景画から着想を得て描いているとの解説、ちょっと驚きでした。

  絵葉書は、フェルメールの『窓辺で手紙を読む女』の修正前と後の2枚、にせ猫さんが気に入ったワルラン・ヴァイヤンの『手紙、ペンナイフ、羽ペンを止めた赤いリボンの状差し』を購入。後者は当時人気のだまし絵の作品ということですが、結構現代アート風です。
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『印象派 画家たちの友情物語』 アーティゾン美術館

2022年02月21日 | 日記
     『印象派 画家たちの友情物語』 アーティゾン美術館 2022.1.4
        2021.10.2 Sat.―2022.1.10 Mom.

   こちらも一緒に見たので、書いておきます。
   ―石橋財団コレクションの印象派を中心とした名品を展示。印象派の画家たちの友情物語を手掛かりに、印象派の名品をお楽しみいただきます。―

   画家たちの交流図が画家の肖像イラストと共に描かれたチラシがいただけます。イラストがなかなかおもしろい。
友人だったり、夫婦だったり、モデルと師弟関係だったり。新しい潮流を一緒に作っていく、インスパイアされることも多かっのでしょう。マネ×モリゾ×ゴンザレス ドガ×カサット ピサロ×セザンヌ等に分けて展示されています。アーティゾンは印象派の良い作品が多いので、やはり何度見ても良いなあと。

   芸術家の肖像写真コレクション展示もありました。

  4階の展示。ルソー、カンディンスキーも1枚ずつありました。田中敦子の作品が印象的、白髪一雄、堂本印象、関根正二、岡鹿之助と日本の作家の作品もいろいろ取り混ぜて展示され、充実しています。
 
  特設コーナー展示では「挿絵本に見る20世紀フランスとワイン」 ユトリロ、キスリング、ヴラマンクのリトグラフなど。

  森村泰昌だけでなく、財団コレクションをテーマを作って魅力的に見せており、お得感のある展覧会でした。
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『M式「海の幸」森村泰昌 ワタシガタリの神話』アーティゾン美術館

2022年02月21日 | 日記
     『M式「海の幸」森村泰昌 ワタシガタリの神話』アーティゾン美術館 2022.1.4
       2021年10月2日[土]―2022年1月10日[月・祝]
  1月の初めに行って、とっくに終わった展覧会。書く気がせずに放置していたが、忘備録なので一応書いてみる。

  日書展の帰りに、東京駅で降りて、アーティゾン美術館に寄ってみた。予約していないので、入れなかったら東京駅で買い物でもしようと計画。すんなり入れました。

  森村泰昌は一時面白く感じて展覧会に行ったことがあった。以前のブログを探すと、2010年5月の記事。

  今回のチラシによると―森村泰昌は1985年、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を制作して以降、今日に至るまで、古今東西の絵画や写真に表された人物に変装し、独自の解釈を加えて再現する「自我像的作品」をテーマに制作し続けてる。このたび、改めて≪海の幸:青木繁の作品≫と本格的に向き合い、当作品が制作された明治期以降の日本の文化、政治、思想などの変遷史を‟森村式“、略して‟M式”「海の幸」として形象化し、青木への熱い思いを新たな作品シリーズとして昇華させた。―
  青木繁≪海の幸≫へのオマージュ、森村式のパロディ。横長の≪海の幸≫の構図を使い、鹿鳴館、戦争、東京オリンピックなどなど、いろんなコスチュームに身を包んだすべて森村泰昌氏。大変な労作。構図の検討、ジオラマ、習作や作ったコスチュームなども展示されている。
  本当にこういうの扮装が好きなんだなあ、独特の美意識と強迫的な努力に頭が下がるけれど、パロディって元が知られていないと、意味不明になってしまう。青木繫の絵が掲げられ、青木の生き方への森村氏の語りビデオもあるが、愛あるコメントなのだろうが、鋭敏さや深さはあまり感じず、少し残念だった。

  結局好みなのだろうけれど、森村泰昌氏のすごいエネルギー、表現願望は感じたけれど、青木繁の≪海の幸≫のインパクト、すごみを改めて感じたのかもしれない。
 
  以前のブログを再掲するので、良かったら読んでください。

     『森村泰昌 なにものかへのレクエイム―戦場の頂上の芸術』東京都写真美術館 
        2010年3月11日(木)~5月9日(日)
  『六本木クロッシング2010展』で、森村泰昌氏の「なにものかへのレクエイム(独裁者を笑え スキゾフレニック)」を面白く感じ、にせ猫さんの提案で、東京都写真美術館(恵比寿)まで足をのばしました。
  「独裁者を笑え、スキゾフレニック」はヒットラーのパロディである、チャップリンの映画のパロディの様相を呈した作品。横長の大きなスクリーンが二分され、片方は落ち着いた口調で、<20世紀の独裁者は他者を犠牲にして、便利で、快適な生活をしている人である。いわゆる普通の生活をしている人たちへの警告>をのべ、一転、もう片方はヒットラー張りに演説するのですが、その内容は「あかんたれ、×××たれ、…」と関西的なナンセンスギャグになっています。六本木の会場が広かったせいか、音の聞こえが良くなかったのか、にせ猫さん、ナンセンスギャグを聞き逃し、単に演説のパロディと思って、内容をスルーしていました。内容を教えてあげると、聞き逃したことを悔しがり、もう一度、二人で見て、結構笑いました。長椅子のある広い会場でしたが、客は少なく、足早にスルーする人と、他に、音声ガイドを聞きながら見ておられる方が一組。

  これが面白かったのに味をしめ、東京都写真美術館に行ったわけですが、こちらは若い観客で、結構混んでいました。写真学校の学生さんなのでしょうか、熱心にメモを取っている方も多かったです。

  パンフレットによりますと、“80年代から一貫して、名画の登場人物や映画女優などに自らが「なる」変身型セルフポートレイトの写真作品を手掛けてきた美術家・森村泰昌が、「20世紀の男たち」に扮する最新シリーズ<なにものかへのレクエイム>を完全版で紹介”、新作15点を含む全43点(写真作品35点・映像作品8点)の展示です。
  
  森村氏の作品は以前の女優シリーズを見た時、意図はともかく、良い印象はなかったのですが、今回は「男たち」に扮しているので、違和感少なく、楽しめた気がします。

  三島由紀夫、レーニンの演説場面、六本木で見た独裁者もありました。こちらの方が閉鎖的な空間のせいか、せりふが良く聞き取れます。とはいえ、皆さんまじめに見ておられます。
  にせ猫さんが、職場で見に行ったという人に、「誰も笑わないんだよね」と言ったところ、「関西人のべたな笑いに、関東人はクスッと笑うんですよ」と言われたとのこと。
  浅沼事件、三島由紀夫の写真や演説…作者にとっては、若いころの印象的な出来事、その写真を見るたびに、再現できるであろう、その時の空気、自分の揺さぶられた感情。

  近い過去なのに、会場を埋めた若い人たちにとって、まだ生まれていない時代。パロディやオマージュというのは、それを知るポピュラリティがあってこそ成り立つものだけれど、彼らにどう伝わっていくのか、だからこそのレクエイムなのでしょうか。海の幸・戦場の頂上の旗は、最近映画化もされ、分かりやすい作品になっていたかもしれません。

  若い彼女が、彼氏に「この写真だれ?」と聞いています。<この写真だり(ダリ)と一人受けしている私は、やはり関西人なのでしょうか。
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