『夜への長い旅路』シアターコクーン 2021.6.25
2021年6月7日(月)―7月4日(日)
作:ユージン・オニール 翻訳・台本:木内宏昌 演出:フィリップ・ブリーン 美術・衣装 マックス・ジョーンズ
キャスト:大竹しのぶ 大倉忠義 杉野遥亮 池田成志
タイトルに当日券情報と入れたので、当日券について少し書いてみました。
早い時期に完売だったので、当日券について、ジュンク堂に行ったついでにチケットセンターに寄って聞いたら、緊急事態宣言中なので、20日以降にならないと返事できないと。20日が過ぎたので、電話で再度問い合わせると、当日券予約センターの電話番号と、前日の3時から5時が電話受付時間と教えてくださった。
昼の回が希望なので、まずは23日に電話してみたら、10分ほど通話中で全くつながらない。諦めて、24日に再チャレンジ。やはり10分ほど頑張ったが全くつながらない。一旦諦めたが、20分過ぎに、ふと電話してみようかと思い立ち再チャレンジ。なんとつながりました。一瞬間違い電話にかけたのかと不安になったけれど、大丈夫で当日券予約番号、10番代後半が取れました。ダメな時がありますと言われたけれど、期待して11時半に間に合うように出かけました。当日券番号は25番まであったようで、全員入場できました。かなり良い席で、本当にラッキーでした。公演は4日までで、後半は当日券が厳しいかもしれないけれど、もしよかったら一度電話されたらと思い、珍しく当日券情報を書いてみました。
さて演劇の方。アメリカ近代演劇の父と称されるオニール自身の青春時代における凄惨な家族の姿を描いた自伝劇と言われる作品。死後4度目のピュリッツアー賞受賞作。
お話は、1912年、夏のある日。俳優ジェイムズ・タイロン(池田さん)の別荘。家族の団欒、会話の中から、家族の実像、家族を覆う暗い影が徐々に明らかになってくる。
父ジェイムズはアイルランド系移民で、貧困の経験から吝嗇家で、公演先では安ホテルを利用し、妻メアリー(大竹さん)を放置、自分は酔って帰るといった家族を顧みない生活。その中で妻は疲弊し、孤独を深めていく。夫は俳優として成功しても、土地を買うことにこだわり、家族にお金を使わず、妻の病気に際しても、お金のかからない医者にかけ、ために妻は処方薬(モルヒネ)依存になってしまった。次男エドマンド(杉野さん)は結核にかかっているが、やはり救貧の療養所に送ろうとしている。長男ジェイミー(大倉さん)は父の吝嗇を非難し、母や次男を守ろうとはしているが、酒と女にだらしない放蕩息子で、それぞれに問題を抱えている。
タイロンへの憧れから結婚したが、家族を顧みない夫との生活の中で、幼い息子ユージンを失くし、罪の意識に苛まされ、その後にエドモンドを出産したが、産後の病気をきっかけにモルヒネ中毒に。エドモンドが結核にかかっていることも認めることができない(ペニシリンが出る1928年以前は結核は死に至る病だった)。
チラシに書いてあるので、メアリーがモルヒネ中毒なのは観客は知っているが、演劇の前半では直接的な表現はされていない。薬物依存の療養から戻り、止めていることになっているが、家族は信じることはできず、監視せずにいられない。妻は監視に反発はしているが、二階に行って薬物を摂取したい。
ぐるぐると外を回る気遣いの会話から、家族の秘密が徐々に明らかになるといった、脚本の劇の妙。
妻の一度やめていたので、薬物の量が分からなくなったという独白あたりから、最後の幻覚場面に。幻覚に駆られた母親がウエディングドレス姿で登場、美しい恋、憧れが始まりだったことを告げて終わります。
家族全員の、妻と夫の、父親と次男、次男と長男の会話に描かれた愛憎のなんと重くストレートなこと。
大竹さんは前半、とりつくろい、かろうじて保っている依存症者の危うさ、口先ぽい早口のせりふがくっきり、さすがと言ったところ。後半、池田さんと杉野さんの会話場面が長く、杉野さんは初舞台ということだが、素晴らしい熱演。父親と次男の会話が長く、大倉さんの出番はあまりないのかなと思ったら、後半の最後の方に次男との会話に登場し、頑張っておられました。
圧倒的な会話劇、演劇らしい演劇を見たという。
2021年6月7日(月)―7月4日(日)
作:ユージン・オニール 翻訳・台本:木内宏昌 演出:フィリップ・ブリーン 美術・衣装 マックス・ジョーンズ
キャスト:大竹しのぶ 大倉忠義 杉野遥亮 池田成志
タイトルに当日券情報と入れたので、当日券について少し書いてみました。
早い時期に完売だったので、当日券について、ジュンク堂に行ったついでにチケットセンターに寄って聞いたら、緊急事態宣言中なので、20日以降にならないと返事できないと。20日が過ぎたので、電話で再度問い合わせると、当日券予約センターの電話番号と、前日の3時から5時が電話受付時間と教えてくださった。
昼の回が希望なので、まずは23日に電話してみたら、10分ほど通話中で全くつながらない。諦めて、24日に再チャレンジ。やはり10分ほど頑張ったが全くつながらない。一旦諦めたが、20分過ぎに、ふと電話してみようかと思い立ち再チャレンジ。なんとつながりました。一瞬間違い電話にかけたのかと不安になったけれど、大丈夫で当日券予約番号、10番代後半が取れました。ダメな時がありますと言われたけれど、期待して11時半に間に合うように出かけました。当日券番号は25番まであったようで、全員入場できました。かなり良い席で、本当にラッキーでした。公演は4日までで、後半は当日券が厳しいかもしれないけれど、もしよかったら一度電話されたらと思い、珍しく当日券情報を書いてみました。
さて演劇の方。アメリカ近代演劇の父と称されるオニール自身の青春時代における凄惨な家族の姿を描いた自伝劇と言われる作品。死後4度目のピュリッツアー賞受賞作。
お話は、1912年、夏のある日。俳優ジェイムズ・タイロン(池田さん)の別荘。家族の団欒、会話の中から、家族の実像、家族を覆う暗い影が徐々に明らかになってくる。
父ジェイムズはアイルランド系移民で、貧困の経験から吝嗇家で、公演先では安ホテルを利用し、妻メアリー(大竹さん)を放置、自分は酔って帰るといった家族を顧みない生活。その中で妻は疲弊し、孤独を深めていく。夫は俳優として成功しても、土地を買うことにこだわり、家族にお金を使わず、妻の病気に際しても、お金のかからない医者にかけ、ために妻は処方薬(モルヒネ)依存になってしまった。次男エドマンド(杉野さん)は結核にかかっているが、やはり救貧の療養所に送ろうとしている。長男ジェイミー(大倉さん)は父の吝嗇を非難し、母や次男を守ろうとはしているが、酒と女にだらしない放蕩息子で、それぞれに問題を抱えている。
タイロンへの憧れから結婚したが、家族を顧みない夫との生活の中で、幼い息子ユージンを失くし、罪の意識に苛まされ、その後にエドモンドを出産したが、産後の病気をきっかけにモルヒネ中毒に。エドモンドが結核にかかっていることも認めることができない(ペニシリンが出る1928年以前は結核は死に至る病だった)。
チラシに書いてあるので、メアリーがモルヒネ中毒なのは観客は知っているが、演劇の前半では直接的な表現はされていない。薬物依存の療養から戻り、止めていることになっているが、家族は信じることはできず、監視せずにいられない。妻は監視に反発はしているが、二階に行って薬物を摂取したい。
ぐるぐると外を回る気遣いの会話から、家族の秘密が徐々に明らかになるといった、脚本の劇の妙。
妻の一度やめていたので、薬物の量が分からなくなったという独白あたりから、最後の幻覚場面に。幻覚に駆られた母親がウエディングドレス姿で登場、美しい恋、憧れが始まりだったことを告げて終わります。
家族全員の、妻と夫の、父親と次男、次男と長男の会話に描かれた愛憎のなんと重くストレートなこと。
大竹さんは前半、とりつくろい、かろうじて保っている依存症者の危うさ、口先ぽい早口のせりふがくっきり、さすがと言ったところ。後半、池田さんと杉野さんの会話場面が長く、杉野さんは初舞台ということだが、素晴らしい熱演。父親と次男の会話が長く、大倉さんの出番はあまりないのかなと思ったら、後半の最後の方に次男との会話に登場し、頑張っておられました。
圧倒的な会話劇、演劇らしい演劇を見たという。