『ゴドーを待ちながら:令和バージョン』KAAT神奈川芸術劇場 2019.6.17
2019.6.12[水]―23[日]
作:サミュエル・ベケット 翻訳:岡室美奈子 演出:多田淳之介
出演:茂山千之丞 渡部豪太 永井秀樹 猪股俊明 木村風太
横浜での所用が早い時間に終わるので、出かけたついでに映画か演劇でもと調べていると、KAATで月曜日なのに演劇の公演があることを発見。
学生の頃『ゴドー』が不条理演劇の代表作として、授業で取り上げられたことがあり、かねてから一度は見たいと思っていた。
今回は昭和・平成バージョンと令和バージョンがあり、月曜日のは令和バージョンだった。
スタジオの真ん中に円形の舞台があり、周囲にいろんなごみ?が撒かれている。令和と書かれたTシャツも散らかっていました。
舞台は低く、周囲はぐるっと客席で、演者との距離がとても近い。
スケートボードに乗ったエストラゴン(渡部さん)が登場。そしてウラジミールの茂山さんが登場され、狂言風の口上と所作。
この戯曲の上演にあたって生前のベケットはテキストを改変せず忠実であることを要請、現在でも厳しく守られているとのことで、翻訳はいろいろ違いがあるだろうけれど、内容は変わっていないはず。
とは言え、随分印象の違う舞台だった。人生の不条理というものがあまり感じられない。
役者さんたちは熱演で。渡辺さんと茂山さんの掛け合い、永井さんと猪股さんの存在感もあるのに、なぜか現代アートの展覧会に行って、作品よりその横に書かれた解説ばかりが強調されているような展示の印象だった。
後でなぜだったのだろうと考え、ブログを書くために、チラシの中の解説<わかる『ゴドー』を目指して―新訳について:岡室美奈子>を読んで、自分なりに理解。
―現代では、老人と若者の言葉にさほど大きな差はないし、若者の方が将来の希望がもちにくいと言われる現在、持たざる者たちのかすかな希望の劇はより普遍的だと思うからだ―とされている。
年を重ね人生の不条理を味わい、なお不条理な中にもゴドーを待つという(ある年齢の主人公設定)と、たとえ持たざる若者、希望の持ちにくい若者だとしても、若者には、体験としての不条理は年を重ねたものとは違うだろうし、そして人生の時間があるということが、決定的に違う。
よく通る茂山さんの口上、所作、渡部さんの若さや二人のエネルギーに、ついゴドーを待つより行動したらと思ってしまったのだろう。
役の年齢設定って、やはり大きな意味があるのではと思った。
別バージョンのゴドーも見てみたいと思ったが、公演は23日まで。
2019.6.12[水]―23[日]
作:サミュエル・ベケット 翻訳:岡室美奈子 演出:多田淳之介
出演:茂山千之丞 渡部豪太 永井秀樹 猪股俊明 木村風太
横浜での所用が早い時間に終わるので、出かけたついでに映画か演劇でもと調べていると、KAATで月曜日なのに演劇の公演があることを発見。
学生の頃『ゴドー』が不条理演劇の代表作として、授業で取り上げられたことがあり、かねてから一度は見たいと思っていた。
今回は昭和・平成バージョンと令和バージョンがあり、月曜日のは令和バージョンだった。
スタジオの真ん中に円形の舞台があり、周囲にいろんなごみ?が撒かれている。令和と書かれたTシャツも散らかっていました。
舞台は低く、周囲はぐるっと客席で、演者との距離がとても近い。
スケートボードに乗ったエストラゴン(渡部さん)が登場。そしてウラジミールの茂山さんが登場され、狂言風の口上と所作。
この戯曲の上演にあたって生前のベケットはテキストを改変せず忠実であることを要請、現在でも厳しく守られているとのことで、翻訳はいろいろ違いがあるだろうけれど、内容は変わっていないはず。
とは言え、随分印象の違う舞台だった。人生の不条理というものがあまり感じられない。
役者さんたちは熱演で。渡辺さんと茂山さんの掛け合い、永井さんと猪股さんの存在感もあるのに、なぜか現代アートの展覧会に行って、作品よりその横に書かれた解説ばかりが強調されているような展示の印象だった。
後でなぜだったのだろうと考え、ブログを書くために、チラシの中の解説<わかる『ゴドー』を目指して―新訳について:岡室美奈子>を読んで、自分なりに理解。
―現代では、老人と若者の言葉にさほど大きな差はないし、若者の方が将来の希望がもちにくいと言われる現在、持たざる者たちのかすかな希望の劇はより普遍的だと思うからだ―とされている。
年を重ね人生の不条理を味わい、なお不条理な中にもゴドーを待つという(ある年齢の主人公設定)と、たとえ持たざる若者、希望の持ちにくい若者だとしても、若者には、体験としての不条理は年を重ねたものとは違うだろうし、そして人生の時間があるということが、決定的に違う。
よく通る茂山さんの口上、所作、渡部さんの若さや二人のエネルギーに、ついゴドーを待つより行動したらと思ってしまったのだろう。
役の年齢設定って、やはり大きな意味があるのではと思った。
別バージョンのゴドーも見てみたいと思ったが、公演は23日まで。