たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

2022年マイベスト『建築家とアッシリア皇帝』『李禹煥』『マーベリック』

2022年12月31日 | 日記
     2022年マイベスト『建築家とアッシリア皇帝』『李禹煥』『マーベリック』

  大晦日。今年もマイベストを書いてみる。
  昨年に引き続きコロナ禍で、演劇は4回、映画館には3回足を運んだだけだった。演劇はせっかくチケットを取ったり、誘ってもらってもコロナで中止になったりで、残念が。
  少ない中での演劇のマイベストは『建築家とアッシリア皇帝』。好きな段田さんの『セールスマンの死』も良かったが、『建築家とアッシリア皇帝』の演者の身体能力も含め、スピード感と迫力。

  映画は3本しか見ていないけれど、『マーベリック』がこれぞ映画、これぞエンターティンメント、これ一本で満足という映画。映画はWOWOWで録画したのも見るが、やっぱり映画館で見る方が集中できるし、迫力も違う。来年はもう少し映画館に足を運びたい。

  観劇と映画は少ないが、その代わり、美術展には35回出かけている。大規模展は混雑の不安もあったが、いずれも思ったほどの混雑でなく楽しむことができた。
  また今年は、今まで行ったことのない美術館に足を運ぼうと、フレイル対策も兼ねて、あれこれ出かけてみた。郷さくら美術館、泉屋博古館、松岡美術館、佐藤美術館、パナソニック汐留美術館、茨城県近代美術館に出かけ、それぞれ独自の展示が興味深かった。
  大倉考古館から泉屋博古館に散歩道は良かったし、松岡美術館も良かった。元々のそれぞれの美術館のコンセプトもあろうが、今年はサントリー美術館や根津美術館、五島美術館などでも、古今の日本画、書などを取り上げたものが多かった気がする。書道を習い始めて5年余になるが、やっと書の歴史や内容に関心がもてるようになったのかもしれない。

  美術展のマイベストとしては、メトロポリタン美術館展は名品揃いですごかったし、リヒター展、バルセロ展も迫力があり、ランス美術館展のコローも良かったが、李禹煥の静かな禅的な佇まいがマイベストかもしれない。展示の仕方も魅力的で、李禹煥美術館で見た時より印象に残った。

  ブログを始めたのが2010年の3月、11年9か月になる。訪問者のごく少ないブログだけれど、今までに23.9万人ぐらいの方が来てくださっている。来年はもう少し観劇に出かけたい。
  昨年大晦日、今日の東京都のコロナ感染1300人と書いているが、今年は昨日が15000人越え、その前は2万人台。とはいえ、コロナとの共存社会になって、後戻りできないのだろう。感染予防に努めながら、少しでも生活を楽しんで行けますように。
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『兵馬俑と古代中国―秦漢文明の遺産―』上野の森美術館

2022年12月30日 | 日記
     『兵馬俑と古代中国―秦漢文明の遺産―』上野の森美術館 2022.12.20
       2022.11/22(火)➤2023.2/5(日)

  歯科クリニックに行った帰りに、上野に出て何か美術展をと寄ってみる。兵馬俑は先日テレビで中井貴一さんが中国の兵馬俑の発掘現場の紹介などをされていて、一度実物を見たいと思っていた。予約なしでも入場でき、中もそれほど混雑していなかったので、ゆっくり見ることができた。解説が丁寧で、興味深く読んでいると、結構長時間の鑑賞になった。

  第1章は統一前夜の秦―西域から中華へ 第2章は統一王朝の誕生―始皇帝の時代、第3章は漢王朝の繁栄―劉邦から武帝まで
  時代によって埋葬される兵俑、馬俑のサイズの違い、秦の兵馬俑がどうして大きくなり、漢の時代になると小さくなるのかの解説がされている。馬の実物大の馬俑に合わせて兵俑も大きくなったとか、漢の文化圏の影響でサイズが小さくなったとか―ちょっとうら覚えですが。

  Wikipediaによると、―春秋戦国時代には殉葬の習慣が廃れて、人馬や家屋や生活用具をかたどった俑が埋納されるようになった。兵馬俑は戦国期の陶俑から発展したが、秦代の始皇帝陵兵馬俑においてその造形と規模は極点に達する。……

  殉葬の代わりだとしたら、始皇帝の兵俑は一人一人違うみたいだから、自分モデルのが完成したときは、これが身代わりとホッとしたりしたのかしら。それにしても馬も人も実物大というか、本当に大きい。馬車の展示があるが1/2サイズでこの大きさと驚く。兵士も背が高い。

  地図を見ると、秦の国は函谷関のさらに西。辺境から中原に出ていって、天下を取ったのだが、武器の解説と展示が多く、武器が改良されていたんだと。いつの時代も戦争は最新の武器とスピードある力強い戦車・馬といった機動力。
  戦闘に際しては、敵味方を区別するために着衣は派手な色だったというのも、なるほどと思う一方で、映画とかのイメージと違うというか。兵俑がプロジェクションマッピングで、着色される展示があったが、確かに結構派手だった。
  兵 士の階級で、供与される鎧や武器も違ったみたいだけれど、この時代、兵士として駆り出されて生き残ることはなかなか大変だったろうなと。

  そして何より解説で印象的だったのが、秦の始皇帝が、始皇帝になる前29歳で陵墓を作り始めたという。なんという気宇。
  陵墓の建設、一大プロジェクトで使役される方は大変だったろうが、天体観測、計測、兵俑を作ったりする技術や文化的な貢献もあったかもしれない。

  兵馬俑の発掘は進んでいるようだが、始皇帝の棺まではたどり着いていないらしい。たどり着いたというニュースは一体いつになるのだろう。
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『すずめの戸締り』109シネマズ川崎 

2022年12月18日 | 日記
     『すずめの戸締り』109シネマズ川崎 2022.12,15

    監督・脚本・原作:新海誠 音楽:RADWINPS 陣内一真
    キャスト:原菜乃華 松村北斗 深津絵里 染谷将太 神木隆之介 松本白鷗他

  ストーリー:九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会う。草太の後を追って山中の廃虚にたどり着いた鈴芽は、そこにあった古い扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で扉が開き始めるが、それらの扉は向こう側から災いをもたらすのだという。鈴芽は、災いの元となる扉を閉めるために旅立つ。

  我が家の教養番組、関ジャムで新海誠さんとRADWINPSの野田さんが出演し、映画音楽について語られた。
新海さんの映画は、個人的には『君の名』はハッピーエンド感があり結構好きだったけれど、『天気の子』は不完全燃焼と言ったところで、もういいかと、今回の映画もおよそ関心がなかった。関ジャムでの新海さんのこだわりのすごさ、それに応えようという野田さんのアーティストとしての熱。マニアック好きとしては、映画を見て確認したくなった。
とはいえ、映画の内容については題名からも今一つよくわからないまま見に行ったら、何とも名状しがたい映画だった。

  新海さんはどういうつもりでこの映画を作ったのだろう。警告、あるいは鎮魂。すぐ3.11につながる話だというのが分かる。自然の脅威はいつも潜んでいるのに、次の瞬間はわからない命なのに、日常をただ続くものとして生きている人への警鐘、今をその日常をいとおしんで生きるというメッセージ?神道的な自然への敬意?

  3.11をストレートに持ってきていること。3.11を風化させない?確かに震災直後、美術の展覧会等でも、3.11はストレートに取り上げられていたが、最近はあまり出会わない。

  トラウマへのいやし?映画を見て、トラウマの悪化を逆に恐れない?
  大震災のあの一日のことは11年たった今でもとても良く覚えている。まだ仕事をしていて、3月末に退職される方の送別会が新宿で開催される予定だった。車の免許とパスポートの更新を一度に済ませようと朝から休みをとり都庁に出かけ、震災の少し前の時間にデパート上階のイタリアンレストランにたどり着いた。先に紅茶が出てきて、飲む間もなくすごい揺れ、テーブルがぐらぐら、荷物籠は飛び跳ね、飾ってあるワインは落ち、椅子に座っていられない。パスタが出てくる前に店から追い出された。
  それでも揺れが収まると、一息つき、電車が止まっているというので、買い物を続けることに。仕方ないので地下の食料品売り場でパンを買って、休憩スペースの椅子に座って食べ、翌日のパンも購入(結果夕食になった。)
  途中で何度か大きく揺れ、余震もすごかったが、今の様にスマホを使っていたわけでないので、地震の仔細や映像を見ることなく、よくわからないまま。いつまでたっても動かない電車、デパートの中で11時近くまでいて、やっと電車が動いたというので、自宅にたどり着いたのは1時を回っていた。
  平積みしていた本がなだれ落ちていたが、大きな被害はなかく、テレビをつけると、黒い海と燃える火。その中で起こっていることを思ったとたんの苦しさを今でもありありと覚えている。
  直接被害に遭ったものでなくてもそうなのに、この映画が何らかの癒しになるのだろうか? 
  震災の記憶のない若い人にとって、この映画は何なのだろう?

  音楽は幾分鎮魂的。映像は空の青、草木の緑が美しく、悪者は誰も出てこない、猫だって悪者でなかったし、主人公二人は生きて無事に家にたどり着いて、天気の子よりハッピーエンドだったけど。
  それでもやはり、新海さんにこの映画を作った意図、3.11をストレートに取り上げた意図を聞いてみたい。
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