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寮管理人の呟き

阿久 悠 / 歌謡曲の時代(新潮文庫)


よく口ずさむ曲はやはり歌詞がいい。阿久さんは私の好きな作詞家だった。「時の過ぎゆくままに」「青春時代」は特に思い入れがあり、カラオケでもたまに歌っている。

「林檎殺人事件」というエッセーに彼はこう書いている。

…社会に元気がなくなると、自分を慰める歌はあっても、人を喜ばせる歌はなくなる。今がきっとそうなのだろう。そんなことを思いつつ、ふとその元気の陰で悲劇があったことを考えると、黙ってしまった…

悲劇ばかりがクローズアップされる現在。テレビをつけるたびにため息が出る。世界は自分中心に回っている、そんな勘違いが世の中を暗くしている。

調子外れのリズムに無理やり言葉を押し込んだ曲がもてはやされ、賞味期限の切れたファースト・フードのようにすぐに捨てられる。

歌い継がれる曲は本当に少なくなったと思う。現代人は、情報の渦に飲み込まれて歌詞を反芻する時間さえも奪われているのかもしれない。

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