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鳴門の渦潮

2010-03-24 20:27:03 | 旅行記
【四国旅行記5】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
四国2日目。天気はいい。
さっそくフリーきっぷを使って、JRであちこち移動したいところだが、徳島に来たからには「鳴門の渦潮」を見ておきたい。昨日、高速バスで大鳴門橋を渡った時に、渦潮らしき流れが見えたから期待できそう。

鳴門市は徳島市の北隣。渦潮見物をする「鳴門公園」は、橋を渡った大毛島という島にある。淡路島へ渡る大鳴門橋のたもとでもある。
公共交通で徳島市から鳴門公園に行くには、次の2つの方法がある。
 1.JR高徳線~鳴門線で鳴門駅まで(毎時1本程度。350円)→鳴門駅前から鳴門市営バスまたは徳島バスの路線バス(それぞれ毎時1本程度。300円)
 2.徳島駅から徳島バスの路線バス(毎時1本。690円) ※このバスは、途中鳴門駅前を経由するので、1の徳島バスと同じもの
僕としては、JRのフリーきっぷがあるのだから、安く付く1の手段を使いたい。
だが、これははっきり言って使い物にならない。まず、徳島-鳴門間のJRは距離にして20キロ弱だから、30分程度で着くのに、途中駅で長時間止まって1時間近くかかってしまう列車がある。
さらに鳴門駅でのJRとバスの接続が悪く、時間つぶしが難しい鳴門駅で30分以上も待たされる場合がある。バスは2社がそれぞれ毎時1本(つまり1時間に2本)運行しているが、時刻が近接していて、実質的には1時間1本の時間帯もある。

JR四国は、高速道無料化などによって利用者が減り、経営が厳しいと言っている。
その言い分はとてもよく分かるし、鉄道が好きな者として応援したいのはやまやまだが、鳴門線に限っては、せっかく鳴門観光の需要があるのに、利用者を無視したダイヤで自らみすみす客を逃がしていると言わざるを得ない状況だ。
バスの方も、(徳島から直通である徳島バスは別として)鳴門市の市営バスなんだから、地元の観光振興のため、もうちょっと考えてほしい。

そんなわけで不本意ながら徳島駅前から路線バス1本で行くことにした。
“徳バス”こと徳島バス
「鳴門本線」という路線名だから同社の主要路線なのだろうか。「小鳴門橋」行きなど途中止まりの便は毎時数本あるが、先の鳴門公園まで行くのは1時間に1本。
秋田市でいうところの新国道経由のような路線だ。セリオンや飯島発着の便は多いが、男鹿や五城目まで行く便は少ない。

渋滞気味の徳島市街地を抜けて吉野川橋を渡り、旧国道と国道28号線を走り、松茂町に入って徳島空港のそばを通って鳴門市に入るが、ずっと住宅地が続く。沿線に大学やショッピングセンター、競艇場があるため、若者やお年寄りがたくさん乗っていて乗り降りが多いが、皆さん比較的長距離乗っている。
僕は途中まで立った。渦潮を見に行く、フランス語らしきものを話す若者グループも乗っていて、彼らも立っていたが、熱心に席を譲っていた。
車両は新しめのノンステップバスだったが、降車合図の「とまります」ボタンを押すと、チャイムやブザーでなく、「チン」と控えめにベルが鳴るのがおもしろかった。

徳島駅から40分ほどで鳴門駅前に着く。JRとは経路が違って、バスの方が近道とはいえ、所要時間では互角だ。終点まではさらに20分ほど。つまり徳島駅からちょうど1時間かかる。
海沿いに出ると、
浜でワカメの水揚げをしていた
軽トラに風呂釜みたいなのを乗せ、そこで茹でて(湯通し)いるようだ。鳴門は三陸に次ぐワカメ産地で、今が収穫期。

さて、渦潮観光は、陸上から見る方法と船上(観潮船)から見る方法がある。観潮船はやや値が張るので、僕は陸から見ることにした。
陸から見る場合は、バスの終点で降りればいいが、観潮船乗り場は手前の「観光港」停留所。運転士がしっかり案内してくれた。フランス人グループなど数人が船乗り場で下車。残り数人が終点で降りた。

終点のバス停からは上り階段があり、その先の丘の上が渦潮見物エリア。
事前に地図で見ても、実際に現地を見ても、高低差が激しく、広大に感じられたが歩いてみるとそれほどではなかった。足腰の弱い方でなければ大丈夫だろう。
周辺には美術館や大鳴門橋の記念館などもあるが、今回は渦潮見物に集中する。
まずは、大鳴門橋に向かって右側、少し距離と高さがある「お茶園展望台」へ。
 
白っぽいのが渦潮かな? 四国放送のリモコンカメラがここに設置されていた。

戻って大鳴門橋の下をくぐり、
橋を挟んで反対側には土産物屋が集まる
ここが「千畳敷」という、もう1つの展望スポット
千畳敷からの眺め
この2か所が、陸からの渦潮見物のメインスポット。パンフレットなどの写真もここから撮ることが多いそうだ。とはいえ、橋の姿は美しく見えるが、肝心の渦潮はあまりよく見えなかった。
でも大丈夫。
大鳴門橋の真下へ

大鳴門橋遊歩道・徳島県立「渦の道」に入場
料金は500円(オリンパスのカメラユーザーの特典「クラブオフ」会員は400円になるのだが、印刷するのを忘れていて残念!)。なお他の施設との共通入場券を買っても割安になる。
2000年にオープンしたこの施設は、大鳴門橋の車道の下にある遊歩道。大鳴門橋は瀬戸大橋と同様、道路の下に鉄道が通る空間が用意されているのだが、鉄道運行計画が当分ないため、そこを観光用歩道に転用したもの。施設内での飲食は禁止。
大鳴門橋は長さ1626メートルで、うち徳島側450メートルが「渦の道」になっている。海面からの高さは45メートル。
始めはこんな通路。途中にベンチがあった
壁がガラス張りもしくはガラスのない網なので、海の様子や橋の構造が分かり、風を感じられる。さらに進むと、
おおっ! 下に渦潮が!!
そして、
床に窓があり、その真下に渦潮が!!
窓の上はジャンプ禁止だったが、上に立つのは大丈夫。
遊歩道の末端は広くなっていて、展望室になっており、きれいなトイレもある。
展望室。下を観潮船が通った
観潮船はいくつかの会社がやっているようで、大きい船も小さい船もいた。

ところで、ダイナミックな渦潮を見るには条件がある。
まずは、潮汐。満月と新月の前後1週間の「大潮」の日がいい。特に春と秋、とりわけ3月下旬から4月下旬が最もダイナミックとのこと。
次に時間。満潮と干潮(どちらでもいい)時刻のそれぞれ前後1時間半から2時間の間がベスト。
潮汐や干満の時刻は、渦の道や鳴門市観光協会のサイトなどに掲載されている。
もっとも、天候や風の影響もあるだろうから、運もありそうだけど。

訪れた時は、ちょうど干潮の時刻。
満潮と干潮では、渦潮が出る位置が異なり、干潮の時は徳島側から見て大鳴門橋の下から右側辺りだそうだ。たしかに、反対側は穏やかな海だ。ところが、
橋の真下、橋脚付近
上の写真は、徳島側に向かって撮っているのだが、右から左に向かって、川のように海水がざーざー(音も聞こえた)流れていた。この水の動きが渦潮を作るのだろう。
大潮の時間を知ってか知らずか、入場者が増えてきた。渦潮が出ている側の窓が人だかりができていて、あまりじっくり見られないが、隙を見て撮影。
 
立派な渦になっている!
事前のイメージでは、洗濯機みたいな大きな渦が独立してぐるぐるとずっと回っているような気がしていたが、(少なくともこの日は)いくつも渦が連なって出たり消えたりしていた。
海の中に“潮の流れの筋”があって、その筋の中で散発的に渦が発生しているといった感じだろうか。
撮影するにしても、きれいな渦が出ている場所とタイミングを狙うのが難しいし、露出補正も必要。レンズは広角がいい。ケータイで撮影している方も多かったが、きれいに撮れるのかな。

船から見るともっと迫力がありそうだが、橋の上の「渦の道」から見るのでも大満足。高所恐怖症の人は怖いだろうが、揺れも感じなかったし、日程と時刻さえ合えば、とても楽しめると思う。
船は果敢に渦に入っていく
昔、北海道で流氷を見た。流氷は仮に人類がいなくても、同じ姿で存在していたはずなので、完全な自然の力による現象なわけだ。自然の偉大さに感動したものだった。
この渦潮も(大鳴門橋など人工の構造物はできているが)同様に自然の力によるもので、同じように感動を覚えた。


30分ほど渦潮に見入った後、荷物を預けてある徳島駅へ帰ることにした。鳴門市営バスに乗ってみたいのと節約するため、帰りこそは鳴門駅から列車に乗りたいが…
鳴門公園のバス乗り場には、バスが2台待機してた
右は行きに乗った徳島バス、左は鳴門市営バス。
市営バス正面の鳴門市の市章。渦潮だ
鳴門市営バスは鳴門市企業局運輸事業課が運営している。徳島県内には徳島市、小松島市、鳴門市と3つの公営交通事業者がある。
鳴門市営バスはあまり規模は大きくなく、徳島市には乗り入れていない。だが、鳴門駅周辺で市街地循環バスを運行しているほか、県境を越えて香川県まで行く路線(高速バスなどではなく一般路線)もある。さらに2002年までは兵庫県の淡路島へ行く路線もあり、3県にまたがって運行する公営バスだったそうだ。

上記の通り、鳴門市営バスは1時間に1本だが、この13時台だけは2本ある。徳島バス発車のわずか6分前に鳴門市営バスが発車するダイヤになっている。
時期によっては混雑するのかもしれないが、この時は明らかに供給過剰。せめて、2社の運転間隔を15分くらいに開ければいいのに。
そして鳴門駅でのJRへの接続が最悪。先発の市営バスで行った場合、50分も待ち時間がある。

ということで帰りも徳島バス1本で徳島駅へ戻ることにした。6分前に市営バスが行ったので、お客は少ないが、行きのバスで乗り合わせた人たちがちらほら。僕と同じ考えで徳島まで戻るようだ。
鳴門駅以降は、再び生活路線になり、立ち客がいる状態で徳島駅に着いた。
次回は、やっと列車での旅を始めます

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