広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

古川添

2009-01-24 11:52:57 | 秋田の地理
「柳原新田」周辺の記事を続けます。
通称有楽町から秋田サティの前の県道を通り、太平川の太平大橋を渡ると、(僕にとって鬼門である)国道13線との交差点。
信号機の地点名(交差点名)表示には「古川添」とある。

「古川添」は、地名と思われるが、僕はこの交差点名以外では聞いたことがない。(前回触れたように)ここの地名は「卸町」で、平成2年までは「柳原新田」だったと認識していた。
そこで今回も秋田市の「地名小事典」で調べると、「柳原新田」時代のこの辺り(現在の卸町一~三丁目)の小字が「古川添」、つまり「柳原新田字古川添」だった。前回の「柳原」同様、現在の地名と一致していない。

ちなみにもう少し南、猿田川を渡って羽越本線辺りまでは「字古川端」だったようだ。「古川」といえば、少し離れた御野場・仁井田地区を流れて牛島で猿田川に合流する用水路のような小さな川だから、ここはむしろ「猿田川添」「猿田川端」の方がしっくりくるが、それは現代の話。江戸時代から戦前にかけて、この辺りは自然・人工的な流れの変遷が激しく、かつては今とは別の「古川」と呼ばれる流れがここにあったようだ。


信号機の地点名表示は、前回の道路番号表示の地名表示の「柳原」とは異なる性格の表示だと思われ、ランドマーク的な施設や企業名(八橋一里塚、北都銀行本店前など)が使われることもあり、その方が分かりやすい場合も多く、現地名と一致していなくても間違いとは言えない。でも「古川添」は交差点名にするほどの知名度がない。
この信号機は秋田県内でも早い時期にLED式に替えられたが、まだ10年は経っていない。交差点名の表示もフォントや取り付け方(電柱に直接)からして、その時に新しく付けた雰囲気だが、すでに消滅した知名度の低い小字名をあえて使う理由があるのだろうか。更新を機会に「卸町」とか実状に即した内容にしなかったのはなぜだろう。

ここで気付いたことが。
秋田市の地名小事典では町名のよみがなも表記してくれている。
画面のコピー
赤線を引いたように「ふるかわぞ」だそうだ。

一方、信号機の表示。ローマ字に注目。
「Furukawazoe」つまり「ふるかわぞ」。

「い」と「え」で一致していない!! →修正してくれるとの回答がありました
今はともかく、かつては正式な地名だったものに、複数の読み方があるわけない。
どっちが正しいんだろう?

気になったので、地名小事典の担当課、秋田市地域振興課へ伺ってしまった。秋田市にとっては住居表示実施で過去帳入りの地名。それを蒸し返すようで面食らってしまった質問だっただろうが、ご回答頂けた。
「以前、地元への聞き取り調査で『い』であることを確認」「住居表示実施時にも『い』を採用(つまりこれが地名小事典の内容)」しているので、秋田市としては『い』を採用という趣旨だったが、「イとエは発音があいまいだから・・・」とどちらが正しいかの判断はできかねるという見解だった。

確かに秋田人の発音ではイとエが分かりにくいが、秋田市の地名を管轄するセクションの判断で、かつ地元民に聞き取りしたということで、筋が通っており、「い」が正式だと個人的には思う。


では「え」を採用した信号機の表示はどこの担当なのだろう?
信号機自体は警察(公安委員会)管轄だが、国交省出先機関のサイトなどを見ると、道路管理者と警察が協力して地点名表示を設置している所があった。確かに地名表示は案内標識の一種と考えれば管理者の管轄だろう。「古川添」は2桁番号の国道と県道の交差点なので、国交省と秋田県だ。
現場の信号機を見て気付く。上の2つの写真の「古川添」表示付きの信号機は、県道側のもの。国道側の信号機は下の写真。

同じ型だが、国道側には「古川添」の表示がない。
したがって県道側の「古川添」は県道の管理者の秋田県が設置したと考えるのが良さそう。
また秋田県か・・・(僕の憶測です。県には問い合わせをしていなので、「え」が正しいという言い分があるかもしれないので、不公平かもしれませんが)
※実際には国交省の管轄のようでした。この記事はこのままにしておきますので、こちらを参照してください


「古川添」以前の問題として、県道にあるのに国道に地点名表示がないのもおかしな話。
国道を遠くから来た人が「秋田市中心部に入るには『古川添』を曲がって・・・」という情報を持っていても、これでは見落としてしまう。むしろ国道にこそ表示が必要。
横の連携が取れていない縦割り行政の典型。
【8月30日追記】国道側は別の場所に表示がありました

※以下は秋田県への批判です。
県道に地名表示を設置してくれるのは親切だけど、その前にちょっと地図を開いて現地名を確認するか、市役所に問い合わせれば、こんな間違いはないし、国交省に「一緒に設置しない?」と声を掛けてやる(断られたのかもしれないけど)ことぐらいしたらどうなんだろう。
以前記事にした、除雪体制分かりにくい車線表示なくなった地名をさらに省略した表示、そして今回。どれも秋田県が大きく関与する道路だ。不親切で、道路利用者の立場になっているとは思えない。
700億円の地下自動車道に比べれば、何千万分の1の手間と費用で済むのですが。

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