広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

地井さんと青森

2012-07-08 20:55:10 | 津軽のいろいろ
俳優の地井武男さんが6月29日に亡くなった。
映画やテレビドラマ「太陽にほえろ」「北の国から」「時間ですよ」などで名脇役として活躍。1990年代以降はバラエティ番組に出演して人気を集め、さらに2006年からテレビ朝日で放送された「ちい散歩」で、世代を問わず多くの人に知られるようになった。
「ちい散歩」では、訪れる町の小さな神社に手を合わせ、ブランコと豆腐屋さんを見つけると喜び、商品をタダでくれようとする店の人や行列の順番を譲ろうとした人には特別扱いはしなくていいと代金を払ったり列に並んだりと、庶民的で謙虚な姿が好ましかった。
【12日追記】「ちい散歩」は本来は関東地区(テレビ朝日のみ)のローカル番組なので、他のテレビ朝日系列局では放送されなかったところもある。秋田朝日放送や青森朝日放送では、いちおう放送していた。(かなり遅れたり、おかしな放送時間だったり、「不定期放送」に近い状態だった時期もある)また、テレビ朝日のBS(BS朝日)やCS(テレ朝チャンネル)チャンネルでも放送されていた。

僕は世代とドラマをあまり見ないため、俳優としての地井さんはほとんど知らない。地井武男という人物をしっかりと認識したのは、青森にいた大学生の時だった。
実は、青森県と地井さんには、ちょっとした関係があった。


青森の皆さんはご記憶のかたも多いと思うが、地井さんは青森の地方銀行「みちのく銀行」のイメージキャラクターを務めていたことがあった。(ただ、ネット上にはその情報がほとんどない)
ちなみに、通帳のキャラクターは永年「トムとジェリー」。

僕が青森にいた1990年代後半頃には、テレビCMがよく放送されていた。
地井さんが「笑っていいとも!」の「テレフォンショッキング」コーナーに出演した際は、みち銀から花が届けられ、それを見たタモリさんに尋ねられて「青森の銀行のCMに出演させてもらっている」と説明したこともあった。
※「「森田一義アワー 笑っていいとも」資料室」という個人のホームページによれば、1995年4月26日(水)か1998年5月20日(水)のどちらか。

2000年前後には、地井さんがキュウリを振って「キューフリ(給振)」という給与振込のポスターを見た気もするが、僕がもっとも印象深いのは、1990年代後半のテレビCM。
ATMサービスを紹介するものであり、歌付きの音楽がとてもインパクトがあった。
実は、ネット上のとある場所で、当時のCMを見ることができる(そこでは1998年頃放送とあるが、もう少し早くから放送されていた気がする)。

それはこんなCM。
みちのく銀行の支店の玄関ロビーにあると思われる、ATMコーナー。

夕日(?)が差し込む中、1990年代らしい格好のスーツ姿の男性が、ATMを操作している。
セットは「みちのく銀行」の名入り足拭きマットがあるなど芸が細かいかれど、自動ドアの「みちのく銀行」の文字が店舗内から読めるようになっていて、本来と逆。

明るい音楽に乗った「♪便利なみちのくミニバンク(ヘイ!)」という歌とともに、4人が勢い良く店内へ乱入。

4人は地井武男とその妻、娘2人のようだ。揃いのトレーナーを着ていて、それぞれ「朝」「7」「夜」「9」と書かれている。

歌(歌っているのは地井さんではないと思われる)は「♪あっさっ しっちっじっから よるは くじまで(朝7時から夜は9時まで)」と続き、曲に合わせて激しく踊る。
夫婦の位置が入れ替わる
「朝」「7」「夜」「9」をイメージした振り付けのようだ。
左から「朝(起床のイメージ?)」「7(数字)」「夜(おやすみのポーズ)」「9(数字)」か?
ATMを使っていた男は、呆然としてそれを見る。

最後には、その男は洗脳されたかのように「夜は9時までぇ~」とフラフラ踊っている。その様子をドアの外から見守る地井一家。
といったもの。

再掲)みちのく銀行秋田支店が入る「協働大町ビル」(旧称・協働社大町ビル)
僕はCMの歌はよく記憶していた(みちのく銀行秋田支店の前を通ると歌いたくなる)が、そんなにダイナミックでかつ意味のある振り付けの踊りだったとは知らなかった。
曲は同じで踊りがダイジェスト的なバージョンもあったようだ。
みちのく銀行秋田支店のATMコーナー入口。ここは狭くて地井さん一家が乱入できなさそう
【2014年12月3日追記】ドア上の看板には「現金自動支払コーナー」とあり、「預入」はできないようにも解釈できる。後述のようにATMでなくCDだった頃から残る表示なのかもしれない。ドアのガラスなど他の表記では「自動サービスコーナー」「キャッシュサービスコーナー」となっている。

現在の秋田支店も「朝7時から夜は9時まで」
また、続編として同じ曲で「オッケー オッケー 振り込みオッケー」という、ATMで振込ができることのCMもあった。巻き込まれるATM利用者は、ざあます言葉を使いそうないでたちの奥様。記憶にないが、おそらく衣装や踊りは異なったのだろう。
上の秋田支店ATMコーナー前の掲示を見ると「振込OK!」という文言が今も使われている。


当時のみちのく銀行では、ATMとCDコーナーに「みちのくミニバンク」という愛称を付けていたらしい。(上の現在の掲示にはその言葉は出ていない)
※今は見かけなくなったが、当時は「CD(キャッシュディスペンサー。現金自動支払い機)」という、引出ししかできない機械も一部に残っていた。

コンビニATMが24時間稼働し、ネット銀行もある今から思えば、わざわざCMにするほどの内容ではないが、当時は先進のサービスだった。
今なお秋田県の秋田銀行や北都銀行のATMの平日の稼働時間は、8時台から19時までが標準(時間延長する箇所も多いが、あくまでもそれは例外扱い)なのに対し、みちのく銀行は20世紀末の時点で7時から21時をほとんどのATMの標準稼働としていたことは、特筆できるだろう。(青森のもう1つの青森銀行も、追随したのか現在は7時から21時)

僕はこのCMのおかげで、ATMが使える時間や振り込みまでできるということを知ったし、地井さんの存在を知ることができた。


ちなみに、みちのく銀行と秋田銀行のATMは、同型の沖電気(OKI)製のはず。
みちのく銀行では、キャッシュカードを作った口座なら、キャッシュカードを挿入しなくても通帳と暗証番号でATMから引き出しできるのが特徴。ゆうちょ銀行と同じ扱いだが、普通の銀行では珍しいかもしれない。
あと、通帳に記帳すると、扱った支店やATMコーナー名がカタカナで記載されるのも珍しい。(普通は記号と数字)
※以上は昔の話。今はどうか知りません。
※1990年代後半のみち銀ATM事情と通帳印字については、この記事後半参照

みちのく銀行秋田支店の窓に青森ねぶた祭のポスターが張られている。トムとジェリーのポスターも(閉店時はシャッターで見えない)

当時のみちのく銀行は海外進出するなど順調な経営状態のはずだったとはいえ、地方銀行の宣伝に全国区の有名人を起用するのは珍しいと思うし、キャラクター起用より前に地井さんと青森に特に縁があったわけでもなさそう。
みち銀はどうして地井さんを起用したのだろう。
※現在、秋田銀行の一部CMにウチヤマリナさんが出演しているが、それは秋銀単独ではなく、提携している「モビット」のキャラクターとして。七十七銀行など全国11の銀行で起用されている。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-05-20 22:20:32
秋田支店ATMは、日立の時代もありました。

末期はOKIに戻されましたが。
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日立かOKIか (taic02)
2020-05-21 00:28:33
25年前の弘前周辺では、どこもOKI製だった気がします。
返信する

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