広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

トメさん

2014-06-23 23:58:50 | 秋田のいろいろ
22日、五城目町での「五城目のトメさん」のライブが、無事終わった。
その模様が、23日付秋田魁新報社会面と朝日新聞秋田版で報道された。ステージ上に座ってギターを抱えて話す小玉さんの写真が掲載されている。

魁では、若い頃に小玉さんのスナックに通っていた、千葉県柏市から来た66歳の女性のインタビューが載っていた。特に目新しい情報なし。
朝日では、「考えた小話は2千近い」となっていて、7月には角館でライブがあるとのこと。今回の漫談の内容も詳しく載っていた。(魁では簡単に掲載)

朝日に載っていたネタを要約すると、
・五城目町役場の建物は立派だけど、中に客は誰もいない。五城目第一中学校があるのに、第二も第三もない。
・秋田市に来たトメさん、ミスタードーナツで「(商品の)名前を言ってください」と言われて、「わたしは五城目のトメでーす」
・エレベーターに乗って、エレベーターの女の人に「お客さん何階ですか?」と聞かれて、「生まれて初めてだ」(何階と何回を誤解)
・大森山動物園行きのバスに前のドアから乗ってしまい、「後ろから乗ってください」と言われて、後ろ向きにお尻から乗車
・バスの整理券が「1」番だったので、いちばん前の席に走って行って「そこ、あたしの席だから」

最後の整理券以外は、僕は以前から知っていた。どれもトメさんの超定番ネタと言えるだろう。最初の五城目の役場と中学校は、枕というかツカミというか導入部で、「そんな五城目で有名なのが、」と続く。


以下、フィクションの物語にツッコミをしては元も子もないのは重々承知ですが、これに対していろいろと。
※トメさんのお話を否定・批判するつもりは毛頭ないことをお断りしておきます。
※ライブを聞いたわけではなく、朝日新聞の記事だけを元にしています。
※以下、五城目のトメさんがブームとなった1980年代中盤頃を「昔」と表記します。

・いつの話?
先日の新聞記事によれば、トメさんの年齢設定は統一されておらず、2014年の設定では「74歳」ということだった。

そこで気になったのが、舞台となる時代設定はどうかということ。アニメ「ちびまる子ちゃん」のようにある時期で固定されて不変なのか、それとも「サザエさん」や「ドラえもん」のように、いちおう現代を舞台(登場人物の年齢は固定されている)としているのか。
朝日新聞に、その答えがあった。
エレベーターの話で舞台が「フォンテAKITAのエレベーター。」とあった。
昔の話では「イトーヨーカドー(秋田店)」だったのが、ヨーカドーの撤退・ビルの愛称命名を経た現代に、そのままスライドさせていることになる。
しかし、後述の通り一部の設定(エレベーターガールがいることなど)は昔のままで実態とは合っておらず、ある種の矛盾が生じている。

・ミスド
ミスタードーナツは、昔の話では、現在のホテルアルファーワンの位置にあった、「鎌田会館」1階の「ミスタードーナツ秋田ショップ」が舞台(国内23番目の店舗)。
前項からして現在が舞台だとすれば、秋田ショップは閉店済み。
朝日新聞ではどこの店かは書かれていない(別に書く必要もない)が、今の秋田駅周辺では、駅ビル内の「秋田トピコショップ」しかなく、そこに舞台が変わったと考えられる。

・シースルーエレベーター
今回は話されなかったのかもしれないが、エレベーターではもう1つのネタを聞いたことがある。
イトーヨーカドー(フォンテ)のエレベーターは、ガラス張りで外から動く様子が見える「シースルーエレベーター」だが、それを見たトメさんが「これが噂の『ロケット』だな」と誤解する話。

秋田駅前では、秋田フォーラス(昔はジャスコ秋田店→パレドゥ)もシースルーエレベーター。
位置やデザイン上、フォーラスのほうが「ロケット」っぽく見える気がする。(フォンテはエレベーターがある壁面はハーフミラー張りなので、エレベーターが目立たないと思う)
(再掲)ロフトの看板の下がエレベーター
ジャスコ時代はともかく、ファッションビルであるパレドゥやフォーラスにトメさんが迷いこんだら、さらなる珍騒動になりそう。

それと、エレベーターの女の人、いわゆるエレベーターガールのこと。もちろん現在のフォンテにはいないが、昔のイトーヨーカドー秋田店では、実際にいたのだろうか? 記憶にない。
ダイエー秋田店があった秋田ニューシティーでは、開店から数年間はエレベーターガールが乗っていた(インフォメーションカウンターと兼務)から、ヨーカドーでもそうだったのかもしれない。たしか外のドア上の現在位置表示の所に「自動運転中」であることを示す表示があったはずだし。【28日追記】オープン時は「B・1・2・…」と横に並んだ階数ランプが順に点灯していくタイプで、その隅に「自動」があったはず。2013年頃に、その部分がオレンジ色のLED式に更新された。新しいエレベーターで見られるのと同じ、「↑1」などと現在いる階数が表示されるタイプだが、横に「自動」という表示がある。エレベーター本体は以前のままで手動運転もできるため、表示が新しくなっても残っているのだろう。

・バスの乗り方
大森山へ行くバスは、昔なら秋田市営バス、今は移管されて中央交通。中ドアから整理券を取って乗って、支払って前ドアから降りる乗車方法は、どちらも同じ。
一方、五城目町内のバスは昔から中央交通。(中央交通の創業地が五城目である)

トメさんが五城目から秋田までどうやって出てきたかは不明だが、公共交通機関で来たとすれば、五城目からバス1本で来たか、五城目から八郎潟駅までバスで来て、奥羽本線に乗り換えたことになる。どちらにしても、その段階でバスに乗っていることになるが…
昔なら、五城目はワンマン化が遅くてまだ車掌が乗っていたとか、ワンマン化されていたものの前ドアだけを使っていたとかで、トメさんが中ドアのあるバスの乗車方法や整理券を知らなかった可能性はある。
【24日補足】中央交通のワンマン化状況は知らない。中央交通が1990年代初め頃(?)に購入したバスでは、ワンマン機器とともに、中ドア直後に車掌が乗務するスペースや連絡用のブザーが設置されている。
参考までに秋田市営バスでは1964年からワンマン化が段階的に始まり、1981年の添川線を最後に完全ワンマン化されている。

・整理券1番
大森山行きの始発停留所である秋田駅前からバスに乗って整理券が「1」番というのは、市営バスでは(操作ミスを除いて)あり得なかった話。今の中央交通ならば正しい話。

バスの整理券の番号の進み方はバス会社によって異なり、「1」から始まるもの、「0」から始まるもの、「整理券なし」→1→2と進むものなどがある。市営バスは「0」、中央交通は「1」から始まるため。
市営バス最後の車両138号車の感熱紙式整理券。昔のトメさん当時は青と赤のインクだった

・トメさんの一人称
朝日新聞によれば、トメさんは自分のことを「わたし」「あたし」と呼んでいるようだ。
秋田弁では女性でも「オレ」を使う人が多い(現在では高齢者しかいないけれど)が、トメさんはそうじゃないのだろうか。
秋田の街に出てきたから、よそ行きの言葉を使ったのかな。


・現代ならば…
トメさんほどではなくても、実際に昭和末期に田舎から秋田市に出てきた人なら、そのにぎやかさに驚いたかもしれない。しかし、現代なら…
秋田市街地は衰退して、歩く人もまばら。五城目の朝市やイオンスーパーセンター(旧・ジャスコ五城目店。2001年開店)のほうが、にぎやかになってしまったんじゃないだろうか。

【2015年5月13日追記】この後も、五城目のトメさんの再ブームがじわじわと続いた。2015年春には30年ぶりのライブ収録という「『五城目のトメさん』CDブック」が発売された。

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