広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

運休前のリゾしら

2014-08-09 23:54:03 | 旅行記
8月6日の大雨により、五能線の秋田・青森県境の岩館-大間越間で線路の盛土が流出、線路が宙吊りの状態となった。このため、岩館-深浦が運休となり、復旧までに1か月程度かかる見込み。
「リゾートしらかみ」は1往復が運休、2往復は当該区間でバス代行→その先は後続列車に振り替えとなり、通しで乗ることはできない状態(秋田側、青森側それぞれではリゾートしらかみの所定時刻で運行されるので、時間がかかるバス代行では乗り継げない)。
夏の観光シーズンだけに、影響が心配されている。
※この後、8月30日に運転が再開された。


先月下旬に弘前に行った帰り、図らずも、五能線の快速「リゾートしらかみ」に乗ることができた。夕方の上り。夕日には少し早かった。
五能線を通しで乗るのは4回目(うち1回は夜。他にも区間乗車は数回)なので、海が見える区間では「ここでこの風景」というのがなんとなく頭に入っていて、予測できるようになっていた。
県境付近(十二湖-岩館のどこか)

今は楽しめない車窓ということになる

今回はブナ(正しくは木偏に「無」)編成。2度目か3度目の乗車。
ハイブリッドにはかなわないが、あのキハ40系気動車にしては、ずいぶんと快適に改造されているなという感想を持った。
窓が大きいこともあり、西日が入って少々暑かったけれど。
おかげで車内販売のスジャータのアイスクリームがおいしかった。バニラとリンゴを扱っていたが、どちらも増税で価格は10円上がって270円になっていた。
販売員のハンディ端末が新しくなっていて、Suicaをタッチする位置が機器上面から画面そのものに変わり、レシートの書体も角ゴシックから丸ゴシックに変わった。

ハイブリッドの青池編成では、窓ガラスが緑色に着色されており、景色が少々おかしな色に見えたものだが、こちらは黒く着色されているので、違和感は少なかった。

「リゾートしらかみ」には、特急列車のような2人掛けリクライニングシートの席と、ボックスシートがある。
ボックスシートは、今は稀少となった客車式B寝台の昼間の状態に似ている。リゾートしらかみでは、大きなテーブルがあり、座面をフラットな状態にして靴を脱いで足を伸ばすことができる。
そんなボックスシートに魅力を覚える方も多いようだが、僕はどうも好きになれない。昔のB寝台の印象に引きづられていることもあるが、きゅうくつだし、背もたれの角度を調節できないし。

弘前出発時には海側の席はほぼ埋まっていたが、ほとんどのお客はウェスパ椿山辺りまでに降りた。
すると車掌さんが来て「ボックス席が空いております。よろしければお移りください」と勧めてくれたけれど、そんなわけでお断りさせてもらう。
実は後でちょっとだけ座ってみたのだけど、B寝台よりは柔らかくて座り心地は良かった。でも、閉塞感とか窓が1つしか見えないこととか好きになれず、やっぱり開放的な普通の席ほうがいい。閉所恐怖症ではないつもりですが…

ハイブリッドの青池編成の普通の席は、座面スライド機構がなかったが、ブナ編成ではあった。操作ボタンは四角いものをスライドさせるタイプ。(くまげら編成も同じようだ。いずれもリクライニング用はよく見かける丸いボタン。他にデッキへの通路ドアがレンガ風なのも同じ)


歴代のリゾートしらかみ用の編成の中で、2番目にできたブナ編成であるが、ブナ編成だけの相違点がある。
まず、現行3編成のうちでは唯一、通常の席とボックス席の車両が2両ずつついていること(他は通常席3両+ボックス1両)。これは他編成と車両のやり繰りをしたことが原因。

もう1つは、通常の席の車両に装備された「ファンタジーライト」なるもの(ボックス席の車両にはない)。話には聞いていたが、今回初めて経験できた。
深浦駅停車中、「これからファンタジーライトを点灯します。車内が暗くなりますので、足元にご注意ください」という放送があり、通路中央の蛍光灯が消灯。(荷棚そばの電球色ダウンライトは点灯したまま)
深浦を発車すると、やや長いトンネルが5つ(かな?)続く。すると、
これがファンタジーライトだ!
蛍光灯が灯っていた部分に、星空が浮かび上がるのだ。
星空というより、宇宙空間の光景かな? 人工衛星みたいなのがいたし。

蛍光灯のカバーに蛍光塗料で絵を描き、カバーの中にブラックライトの蛍光灯が入っているということだろう。
運転台には「ファンタジーライト」と書かれたメインスイッチやブラックライト用らしき子スイッチがあった。
※伊豆急行や北越急行で似たような車両があるが、それらはプロジェクターで投影をするもので、ブナ編成とは異なるやり方。
トンネルの外でも、わずかに見える

ブラックライトが消えて通常の蛍光灯が点灯した状態。ゴミか汚れが付着したように見えるのが、蛍光塗料で描かれた星
5分もしないうちに、「トンネルが終わりましたので、照明を点灯します」とファンタジーライトは終了。
ファンタジーライトは、深浦から南側のわずかなトンネル内だけで使うことになっているようなので、他のトンネルでは体験できない。
でも、なかなかムーディーな雰囲気で、かつ極端に暗いわけでもないので、他の区間の夜の列車でやってもおもしろいかもしれない。


深浦の次の停車駅がウェスパ椿山。その次の十二湖付近では、線路はやや高い位置を走る。湾状の海と浜辺の集落を見下ろし、その先に白神山地が横に伸びる光景が楽しめる。
(再掲)以前の光景
この辺りで少々気になった光景が2つあった。
1つは、2か所で見かけた自衛隊の姿。
ウェスパ椿山近くの木が生い茂った所で、自衛隊のトラックが停まり、パラボラアンテナを海の方へ向けるなどしていた。訓練か業務なのか分からないが、場違いな光景に見えてしまった。(意味があっての活動であり、頭ごなしに否定するわけにはいかないのでしょうけれど)

もう1つも場違いな光景。
海の中に…
2隻の大きな船が浜近くにいるように見えた。

よく見ると、1隻の船が真っ二つになって、本体である船尾側が傾いているのだった。座礁船だ。そう言えば報道で耳にしたことがあった。
2013年3月1日、秋田から室蘭へ向かっていたカンボジア船籍の貨物船「アンファン号」(1996トン)が、深浦町の笹内川河口(陸奥岩崎駅)付近で座礁。そのまま放置され、2013年11月26日の強風と高波で船体が2つに断裂し、さらに放置されて現在に至るもの。
船の所有者である中国人のうち一部と連絡がつかず、さらに法律上の縛り(海岸でなく海中に当たる場所で座礁している等)があって、撤去できないでいたそうだ。
法改正が行われることになり、解決の糸口が見えてきたようではある。
【追記】その後、2015年6月16日から解体作業が始まった。海中からの撤去は8月までかかり、以後、陸上で解体や売却をする手順。


2011年秋に乗った時は、各座席前の網袋に時刻表や沿線ガイドの小冊子(パンフレット)が差し込まれていたが、現在は車両隅のラックだけに置かれていた。その代わり、
黄色いファイルが入っていた
「五能線ガイドブック」という名称で、持ち帰りはできない。
「東能代運輸区 サービス品質推進委員会」という所が作ったらしい。今年4月の作成のようだった。以前もここが作った1枚ものの案内は入っていたか。
車窓のビューポイントから、青池編成のハイブリッドシステムの紹介までいろいろ書かれていた。その中にいたのが、
「ひのちゃん」
「ひがしのしろ」で「ひの」ちゃんということか。
鉄道内部では「電報略号(電略)」といって駅名などをカタカナ2文字で略して表記することがある。「秋田」は「アキ」、「土崎」は「ツサ」などと決まっていて、必ずしも頭から2文字ではない。「東能代」は「ヒノ」が電略だから、それが由来かも。
そういえば、昨秋のこころ旅で火野正平さんがブナ編成に十二湖から森岳まで乗車した。
なお、東能代運輸区には実際に女性車掌がいて、リゾートしらかみに乗車している。

東能代駅ホーム(2番線を1番線側から)
積雪地のホームではおなじみの、ホーム頭上に掲げられた乗車位置を示すプレート。
東能代駅では、そのすべての裏面に「しらかみ3兄弟」がいた。※しらかみ兄弟この記事中ほど参照。

彼らの敵は「エッパー」と「キョウフーン」だが、現在は「オオアメーン(?)」にやられてしまっている。
今回も長いとは感じたが、のんびりと車窓や乗車を楽しめた五能線の旅だった。安全に、できれば早めに、全線で運行再開されることを願う。
※その後、8月30日に運転が再開された。



最後に奥羽本線の話題を少々。
弘前から雨の奥羽本線を上る(乗客が立ち入りできる、ワンマン電車後部運転台から)

碇ケ関に到着
秋田県境に近い、青森の碇ケ関駅
地名(旧村名、現在の平川市の町名)としては「碇ヶ関」、駅名は「碇ケ関」と表記するのが正当らしい。
違いは「ヶ」と「ケ」。
地名としては小さい「ヶ」(「箇」または「个」の略字らしい)、駅名としてはカタカナの「ケ」を使う。

同様に、鰺ヶ沢、保土ヶ谷、茅ヶ崎などがあるが、保土ヶ谷は地名も駅名も大きい「ケ」、鰺ヶ沢と茅ヶ崎は地名は「ヶ」、駅名が「ケ」だそう。
つまり駅名は一律にカタカナを使うようだ。
駅名は明治時代に定められたこともあって、現地の呼称や表記と一致していないケースがあるが、これもその1つか、あるいは昔の印刷や電信など技術的な制約があったのか。

現在、JR東日本ホームページの駅紹介や、きっぷ券面の表記は正しく「ケ」で表示されている。
弘前駅の発車標や701系電車側面の行き先表示は、
 
もちろん正しく「碇ケ関」。さすがJR。
と思ったけど、701系の正面の表示は、
「碇ヶ関」? ※スペースが限られているので、やむなくこうしているのかもしれない
また、特急「つがる」のE751系電車の車内の文字情報装置では「碇ヶ関」と表示されてしまう。

JRが関与しない時刻表検索サイトなどでは「ヶ」を使っているところが多い。
どっちでも読めるし、バランスとしては「ヶ」のほうがきれいに見えるからかもしれないが、(文書内・ブラウザの表示されたページ内などで)検索した場合は別々の文字として扱われるので、情報を見つけられないおそれもある。

駅舎の表示については、この記事末尾。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-08-10 12:31:08
「ファンタジーライト」ですが、秋の6号に乗ったとき、「漁火が見えるよ」といってトンネルではないところでも使われていました。その時は車掌さんが直接案内しにきていました。

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漁火用 (taic02)
2014-08-11 00:08:53
羽越本線を走る「あけぼの」の個室から漁火を眺めたことがあります。
暗い車内からでないと見られない光景ですが、そのためにもファンタジーライトを使うことがあったのですね。
不特定多数が乗る列車では、安全上むやみやたらに使うわけにはいかないのでしょうが、臨機応変な対応です。
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