広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

TRAIN SUITE 四季島 雑感

2017-05-02 00:31:06 | 秋田のいろいろ
JR東日本の豪華ツアー寝台列車「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」が、5月1日に運行開始。※以下「四季島」と表記します。
JR九州やJR西日本でも同じ趣旨の列車を運行または運行予定で、それらとともにマスコミでよく取り上げられる。
個人的雑感。

ごく限られた者だけをターゲットにした大名旅行に感じられ、気ままな旅とか、かつての寝台列車とは別物、格差を見せつけられているようで、どうも好きになれない。
四季島の車体も、写真や映像で見る限り、リーゼントかのような上部が前にせり出した(=中央部が凹んだ?)先頭形状、不整形の窓が不規則に並ぶ(または正方形の小窓が独特な配置で並ぶ)車体側面のデザインなど、あまりにも奇抜。好きになれなさそうだけど、実物を見れば、また違う感想を持ちそうですが…
ただ、車内の畳敷きの部屋とか、檜風呂には、どこか惹かれる。自分が乗ることはないでしょうけどね。

JR東日本の列車だけに、秋田県内を走ったり、目的地の1つとするツアーも計画されており、既に試運転で秋田にも来ている。
また、秋田市大町一丁目(通町の通りと竿燈大通りの間、旧・下米町一丁目)にある「日本料理たかむら」が、車内での夕食(後述)を提供するコースもある。

●青函トンネル
最初のツアーがそうであるように、JR東日本エリア内のみならず、北海道へ行くコースも設定。
津軽海峡をどうやって渡るのかといえば、四季島が青函トンネルを自走する。

北海道新幹線開業により、青函トンネルを走る在来線(狭軌)旅客列車はなくなったものの、貨物列車のために新幹線の標準軌と狭軌が共存している。それを使う。
車両側の対応装備は必要になるとはいえ、だったら、庶民向けの寝台列車も走らせてくれたらいいのに…


●秋田で見るには?
季節ごとに複数のコースが設定されるが、5月1日発の最初のツアーは東北北海道3泊4日。
ネットや一部マスコミによるコース図を見れば、秋田県日本海側も通る。沿線で見てみたいと思われるかもしれない。
また、JR東日本の四季島公式サイトでは、「この旅をぜひ皆さまと盛りあげていきましょう」として「駅や沿線で列車に向かって旗や横断幕を振っていただ」くことを勧めていて、ご丁寧に旗や横断幕がダウンロードできるようになっている。
そこまでしてくれるなら、各地の通過時刻も教えてくれるかと期待。「運行情報」というコーナーがあるのだけど、「詳細は5月上旬にご案内いたします。」。【追記】その後、5月10日までに「現在準備中です。」に書き換えられた。5月17日頃までにはPDFファイルがアップされたが、旅行日程とさほど変わらない内容で、秋田県内の時刻はなし。

そこでコース概要から推測。
現在の3泊4日は、行きは太平洋側を通って北海道へ。その帰りが日本海側経由。
3日目の22時20分頃に弘前発、翌4日目の5時20分頃に鶴岡着となっている。

やけに時間がかかっているので、どこかで長く停まりそうだけど、いずれにしても秋田駅通過は日付が変わった後、まだ暗い時間だろう。
だから今回は秋田で旗を振っても見てもらえなさそうだけど、別シーズン・別コースでは、明るい時間帯に通ることもあるはず。


●リゾートしらかみへの影響
いったん四季島から離れます。今春の臨時列車の設定を見て、少し気になったことがあった。
五能線の快速「リゾートしらかみ」は、所定の車両が定期点検で運行できない日がある。その時は、かつてリゾートしらかみ・青池編成(初代)だった「クルージングトレイン」という車両を使って、同じダイヤで「五能線クルージングトレイン」が運行されることがある。
五能線クルージングトレインでは、個室風ボックス席がなく、車内イベントは実施しないが、普通の座席から車窓を見る分には遜色ない。

この春の臨時列車では、これまでよりもクルージングトレインが代走する回数が増えていた。
特に、弘前折り返しの3号(秋田10時38分発)→6号(弘前16時08分発)の代走回数がやけに多い。6月は9回もあるし、ゴールデンウィーク真っ最中の5月4日もそう。
しかも、5月3日は、秋田発の3号はリゾートしらかみが運行され、折り返し6号だけ運休・代走なしという、不可解な設定。
これまでは、オンシーズンは毎日必ず3往復運行されていた(クルージングトレイン代走を含めて)のに、今回は5月3日のように運休する日が点在している。


四季島のコースを踏まえると、なんとなく分かった。
途中の下車観光先が複数から選べる部分があり、今回のコース3日目の青森もその1つ。
2コースあって、1つは三内丸山遺跡と青森県立美術館内での夕食の「縄文コース」。
もう1つが「五能線コース」。
北海道から新幹線で青函トンネルを抜けて新青森へ。バスで五所川原の立佞武多の館を見学し、五所川原から「リゾートしらかみ」に乗って、その車内で夕食を食べながら(それが秋田の「たかむら」のメニュー)弘前へ。弘前から四季島に再度乗車する。

公表されている行程では、そのリゾートしらかみは五所川原16時50分頃発、弘前21時50分頃着となっている。
「貸切運行」だそうで、通常のダイヤではその時間に五所川原から川部・弘前へ向かうリゾートしらかみはない。
それ以前に、時間がかかりすぎるし、五所川原→川部→弘前では海がまったく見えないので、わざわ五能線に乗る意味がない。
深浦辺りの走行写真が「イメージ」として掲載されているのも誇大広告になりかねないから、それはないだろう。

通常のリゾートしらかみ6号では、弘前とは逆方向ながら五所川原発は16時47分と設定とほぼ同時刻。
そのまま東能代まで行って(19時51分着)、奥羽本線の秋田と逆の下り大館・弘前(青森)方向へ向かっても、時間的には充分間に合う。そのコースだろう。【3日補足】リゾートしらかみのハイブリッド車両は、東能代-弘前の定期運行はないものの、導入直後の試運転(?)では奥羽本線経由で秋田-弘前を走破し、臨時列車として大館まで営業運転した実績がある。
奥羽本線・東能代-弘前を行って戻ることになるけれど、食事時間と睡眠時間の確保ということか。

5月1日発のコースでは、5月3日がその日。
上記の通り、5月3日は6号だけ運休になっているが、そこが四季島用貸切になるわけだ。
翌日の4日がクルージングトレイン代走なのは、リゾートしらかみの整備日なのか、5日以降のために秋田まで回送するのか。
【14日追記】考えてみたら、東能代から青森方向に進んだ場合、本来とは編成が逆向きになってしまう。運行翌日に、これを元に戻す作業(おそらく線路が三角形に配置されている青森駅周辺を走ることで)を行うのだろう。
【2日追記】したがって、「リゾートしらかみ3号は走るのに、6号だけが運休となる日からその翌日早朝にかけて、四季島が弘前→秋田県内→鶴岡と運行されている」可能性が高いことになる。


四季島の定員は、全部でたった34人。その中で、五能線コースを選ぶのは、何人なんだろうか。
34人全員だとしても、4両編成のリゾートしらかみに対してあまりに少ない。通常運行を取りやめて貸切にする、言い換えれば通常運行を犠牲にするってのは、なんだか納得できない。
6号は、リゾートしらかみの中では比較的乗車率は低いようではあるとはいえ、連休中までそうするなんて。

それに、リゾートしらかみの座席はゆったりして座り心地がいいけれど、豪華寝台列車に乗っている人にしてみれば、大したことないだろう。
夕食は弁当形式らしいが、あのあまり大きくはない座席前のテーブルに載せるのだろうか。豪華寝台列車の客からしてみれば、庶民的すぎるというか貧乏臭く思われたりしてしまわないかな。

JR東日本にとっては、510【3日訂正】520円の指定席券で乗る客よりも、何十万も払ってくれるツアー客のほうが大切ということなんだろうか。【3日補足】今回のルートでは、1人75万~95万円。
このような設定では、途中の各駅で降りて観光や物を買うこともできないだろうから、地域経済にとってのメリットも薄い。ツアー客が再び五能線沿線を目的とする旅行に来てくれる可能性も高くはないと思う。

四季島自体が五能線に乗り入れればいいとも思ってしまうが、線路と車両重量の関係でできないらしい。
リゾートしらかみとは別ダイヤにして、クルージングトレインなど別車両で運行して、リゾートしらかみは通常通り運行したほうがいいのではないでしょうか。
やっぱり、TRAIN SUITE 四季島はどうも好きになれない。庶民のひがみでしょうか…(でも実物をひと目、見てはみたい)

【8日追記】
ゴールデンウィーク明け、5月8日のNHK秋田放送局のローカルニュースでは、「大型連休 県内の動き」として連休中の祭りやイベントをダイジェストで紹介した。
その最後で、四季島が秋田に来たことが取り上げられた。
秋田駅に入って出ていくところを、駅の外である自由通路Weロード上とその北西の階段下(1番線のすぐ外)で、見物に来ていた人(3人ほど映っていた)の姿とともに紹介。4番線あたりに入ったようだ。
ナレーションでは、次に四季島が秋田に来るのは「今年の夏(羽後町の西馬音内盆踊りのツアーで)」と言っていたが、それは誤り。上記の通り、今回と同じコースが今後も複数回設定されているから。5月と6月に3回ずつ(5月1日発を含めて)あるようだ。

※四季島の下車観光用のバスについて。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋田サティ22周年 | トップ | 春の下新城 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
僻みですが本当のお金持ちは・・・ (あんなか)
2017-05-03 06:02:22
よくぞ言って下さいました。
私もあんな成金トレイン嫌いです。
本当のお金持ちはカリブ海や南極航路などの豪華客船クルーズに行くと思います。
鉄道ファンにとってシベリア鉄道に乗るのがステータスですよね。
特に第二シベリア鉄道と言われたバム鉄道は旧ソ連時代は鉄路そのものが機密で秘密のベールに包まれ鉄道を撮っただけでも連行された伝説さえありましたが今は外人観光客にも開放され乗ってみたいです。
特にウスチ・クート(イルクーツク州)では海のようなレナ川をヤクーツク方面から遡った大型船が運んできた木材や石炭、鉱物資源を河川港からバム鉄道に大型クレーンで積み換えるのですがその光景を一度見てみたいです。
シベリア鉄道でウラジオストクからモスクワ、そこからパリを経てロンドンに鉄路だけで行くユーラシア横断こそ鉄道ファン特に乗り鉄にとって至高の旅では無いかと思います。
返信する
Unknown (いおりパパ)
2017-05-03 09:15:47
なるほど、なるほど。シキシマについて、スケジュールが見えてきました。リゾートに関しては、同意見です。
返信する
Unknown (虎好会)
2017-05-03 15:11:05
庶民の僻み…でしょうね(笑)。私はJR東日本さんにはアレで儲けていただいて、その代わり奥羽線や五能線をちゃんと維持してもらう。下手したらJR北海道の尻拭いもしなきゃいけないんですから。
返信する
コメントありがとうございます (taic02)
2017-05-04 00:26:06
>あんなかさん
旅のしかたは人それぞれでしょうけれど、本当の旅とはなにか違うような気がしてしまいます。

海外の鉄道にはそれほど興味はないのですが、「世界の車窓から」などを見ていると、日本では味わえない、かつ鉄道だからこそ遭遇できる風景があって、旅情を誘われます。
シベリア鉄道といえば大瀧詠一の「さらばシベリア鉄道」、お菓子のシベリアも一説では雪原の中のシベリア鉄道の線路を見立てたのが由来だとか。
最近知ったのですが、シベリア鉄道は2002年までに全線電化されたとのこと。旧ソ連のイメージで、前時代的な列車がほそぼそと走っているようなものだと決めつけてしまっていました。しっかりと時代に合わせて変化しているようです。

>いおりパパさん
五能線の景色をそれなりに見てから四季島に戻るとすれば、この行程かなと思いますが、実際のところはどうでしょうか…

>虎好会さん
JR東日本が潤ってもらえれば、それは結構な話です。
連休中の庶民の小旅行と、書き入れ時の五能線沿線観光業界のために、少々配慮願いたかったとも思います。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-05-19 14:46:16
鉄道ダイヤ情報6月号(今週発売)の臨時列車運転予定表に、”リゾートしらかみ四季島号”と思われる予定時刻が詳細に掲載されていました。
深浦~東能代間で通常の6号と時刻が違って、弘前まで走った後深夜に秋田に戻る行程になっていました。
青森には行かないことになっていました。

返信する
ややこしい (taic02)
2017-05-21 20:30:40
片道のみ延長運転の臨時列車などでも、その日のうちに本来の場所まで回送で戻ってくるのが一般的ですからね。
編成の向きとかいろいろ、考えただけでややこしそうです。
返信する

コメントを投稿