広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

本田橋

2009-05-19 20:20:39 | 
1月に撮った古い写真で恐縮ですが、秋田市内の橋の話題です。

雄物川の支流、岩見川は秋田市四ツ小屋地区と雄和地区(旧雄和町)の境。下流から芝野橋(昨年秋の記事)、空港道路(県道9号線)の秋雄大橋、本田橋の順に3つの橋が四ツ小屋と雄和を結んでいる。
空港道路は別にして、古くからある生活道路の芝野橋・本田橋はいずれも雄和側の集落名(雄和芝野新田、雄和田草川字本田)から名付けられているのがおもしろい。
そのうちの本田橋が、点検の結果、横桁の鋼材に激しい腐食が見つかり、2008年1月25日から通行止めになっている。「市道本田妙法線」という秋田市道で、架け替えすることが決まったようだが、完成は5年後とか。本年度は調査などが行われるようだ。

僕はまったく土地勘がなく、「ほんだ橋」だと思っていたが、「ゆうわたくさがわ あざほんでん」という地名で「ほんでん橋」と読むことすら知らなかった。
芝野橋など近くの橋は単純な「桁橋」なのに、写真で見ると本田橋は、水色に塗られた金属製の構造物が上に付いている。橋好きとして、見に行ってみた。
略地図です。無関係の道は省略
JR奥羽本線四ツ小屋駅前の線路と並行する道路には、
通行止めの看板
岩見川の堤防(サイクリングロード)に上ると、遠くに水色の構造物が見えてきた。
対岸は本田の集落
(以下、橋の構造に関することは自信がないので、そのつもりでお読みください)
金属の構造物がある橋といえば、旧秋田大橋、旧由利橋、雄物新橋、秋田運河の新川橋などが思い浮かぶ。それらの橋は「トラス橋」といって、三角形に組んだ金属構造物からなり、三角のそれぞれで重さを支えている(のだと思っている)。
ところがこの本田橋は、三角の部分がなく、側面の金属がまっすぐ下につながっている。全体として丸っこい。これは「アーチ橋」といって、太いアーチ(弧)全体で橋を支えているらしく、ぱっと見はトラス橋に似ているが仕組みはまったく違うようだ。新川橋隣りの水道管の橋はアーチ橋かな。
なめらかなカーブ
調べてみるとアーチ橋にはいくつか方式があり、本田橋は「ランガー橋」というタイプ。路面と平行な補剛桁という、横方向の部材が主に重さを支え、アーチは補助的なものらしい。
路面の外にある太い部材が補剛桁?
本田橋で腐食が見つかった「横桁」とは、この補剛桁のことだろうか? だとすれば、メインの構造物だから危ないのは当然だ。
長さ150.8m、幅6m。アーチは中央に1つだけ

トラス橋よりも柔らかく繊細な印象を受ける
秋田大橋や由利橋よりも部材が細いが、これは構造の違いでなく、時代のせいだろう。同じトラス橋でも戦後に作られた雄物新橋などは本田橋と同じくらいの太さだから。
リベット(鋲)も最小限で雄物新橋と似ている
橋を渡る道路は、
厳重に封鎖されている


「昭和39年12月竣功」とあり、43年使われたことになる。風雪や海からの強風がある秋田県沿岸部とはいえ、秋田大橋や由利橋のように70年前後活躍した橋もあるし、本田橋と1年違いの昭和38年に架けられ、河口近くの雄物新橋は今も現役。
本田橋は秋田市と雄和町の合併前はどちらの管轄だったか知らないが、道路管理者の管理やメンテナンスが充分とは言えなかったのかも知れない。橋のたもとの銘板の石もボロボロだし。
橋を背に線路の方を見る
左前は田んぼで、右側は「四ツ小屋末戸松本」地区の集落。道路はカーブして、その先に信号機のある(最初の看板があった道との)交差点と奥羽本線をくぐる地下道があり、向こうに御所野ニュータウンのイオンが見える。
ここからだと、四ツ小屋駅もイオンも2キロ以内。意外に近く、例えば、本田など雄和地区の高校生や奥様・お年寄りが徒歩や自転車で本田橋を利用していたのではないだろうか。
迂回路とされている下流側の空港道路の秋雄大橋までは1キロ(四ツ小屋駅へはあまり遠回りではない)、上流側河辺地区の豊成橋までは2キロもある。車ならともかく、徒歩や自転車では大変だ。

僕はこの地区の生活事情を全く知らないし、秋田市の財政状況も厳しいのだろうが、早く架け替えを進めるべきではないだろうか。
これがもし県道だったら、「700億円もかけて地下トンネルなんか掘るより…」って言えるけど。

新しい橋は、近隣の橋の構造、財政状況、建築技術から判断すると、「桁橋」になってしまうのだろう。農村の風景の中に青いアーチがアクセントを添えるのもあとわずかだろう。
でも、冬の寒空に寒色の青に塗られた、か細いアーチ。もう誰も渡ることなく、何年か放置されて解体されるのを待つ本田橋の姿は切ない。


交差点(地図の「×」印)にもバリケードが設置され、橋までの道路は全面通行止め(と書いてあったけど人は通れる)で除雪されていなかった。秋田駅と牛島または日赤病院・御所野経由で雄和市民センターとを結ぶ路線バスが本田橋を渡っていたが、空港道路を迂回している。
「末戸口」バス停

右矢印に従うと四ツ小屋駅付近を経由し空港道路へ
線路の地下道から振り返ると、小さくアーチが見えた。
つまり「こまち」の車窓からも一瞬見えるはず

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