広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

金農パンケーキ

2012-05-28 23:21:39 | ランチパック
現在、秋田県内のローソン各店舗で、「金農パンケーキ」が発売されている。
「金農(かなのう)」とは、秋田市北端の金足(かなあし)地区にある、県立金足農業高等学校の略称。
歴史が古い学校であり、農業県秋田といえども農業系高校・学科の統廃合が進む中、大規模な農業高校として名を馳せている。高校野球をはじめとする部活動も有名。


ローソンの公式リリースや報道によれば、このパンケーキは、ローソンと高校の食品流通科と生活科学科の2、3年生が共同開発したもの。ローソン曰く「地域の活性化を願う生徒さんたちと、地元に密着して地産地消をすすめるローソンの想いから、今回の共同開発が実現しました。」とのこと。
最近は金農のほかにも、ローソンと各地の農業系・家政系の高校生とのコラボ商品が発売されている。ここ数か月では、和歌山、鹿児島、福岡、愛知各県の高校との間で行われている。

金農パンケーキの原料には、いずれも秋田県産のあきたこまちの米粉、リンゴのふじのジャム、鳥海山のジャージー牛乳のミルクなどを使用。
130円で5月18日から約4週間発売され、売上の一部を東日本大震災被災者の奨学金に充てる。

発売初日には、生徒がローソン店舗前の特設テントに立って販売を行った模様が報道された。
その場所は、学校から遠く離れた新国道の「ローソン秋田八橋大畑店」。保戸野原の町店、男鹿(船川と船越)の2店舗とともに、秋田でいちばん最初に開店したローソンの1つ。
店舗の2階には「ローソン秋田地区事務所」が入っているから、その都合上、ここで行ったのだろう。


県民の関心は高いようで、発売開始当初は、売り切れていたという話をちらほら聞いた。
この週末行ったローソンでは、パン売り場の一角に20~30個ほど並び、レジの横にも置いてあった。増産態勢になったのだろうか。
そんなわけで、購入しました。

製造者はおなじみたけや製パン。バーコード(JANコード)もたけやのもの。
ローソンオリジナルのパンや生菓子は、その製造を山崎製パンに委託しているものが多い。当ブログで何度も触れているヤマザキとたけや(と青森の工藤パン)の関係があるため、秋田県内のローソン販売分はたけやが製造しているものが多いから、その一環だろう。

内容量は「2個」となっているが、間にクリームなどを挟んだパンケーキが2組入っている。だからパンケーキの枚数としては4枚。
1包装当たり318kcal。消費期限はおそらく製造日を含めて3日間かな。
中身
思ったよりやや薄い。どことなくどら焼きのようにも見える。
ヤマザキやたけやブランドで、同様の形態でマーガリンにハチミツやメープルシロップなどが挟まった商品(ホットケーキやパンケーキといった商品名)があるが、それとよく似ている。※こちらの記事後半参照

金農パンケーキでは、金農の校章の焼印が押されている。
名称欄は「和生菓子」。ルール上、こうなってしまうのだろうが、名前は「パンケーキ」なのに和菓子なのがおかしい。

挟んであるものは、[ふじりんご入りジャムとホイップクリーム][ジャージー牛乳入りミルククリームとホイップクリーム]の組み合わせが1包装に1組ずつ。
左がりんごジャム、右がミルククリーム(中央の茶色っぽいもの)
予想外だったのがミルククリームの流動性。上の写真ではホイップクリームが土手状になって“流出”を防いでいるが、食べ始めてからは下手をするとたらーっとこぼれてしまう。食べたり切り分けたりする時は要注意。
味は、ミルクの味が濃厚。例えるならミルキーのキャンディーを溶かしたような味っぽい。甘いけど嫌な甘さではない。

りんごジャムのほうは、リンゴの果肉が入っていてシャキシャキした歯ざわりを楽しめる。りんごの入ったパンケーキは、ありそうでなかったはずだから、ユニークでおいしい。

パンケーキ生地には米粉と秋田県産卵を使用している。通常のヤマザキ・たけやのホットケーキと同じ系統ではあるが、若干もちもち感が強かったかもしれない。

値段が手頃だし、おいしいかった。
大量生産・流通品だから限界があるのだろうが、学校周辺に畑が多い梨やブドウ、農業高校らしくマニアックな秋田の農産物(例えばブルーベリー、マルメロ、食用ホオズキとか)を使うとかすると、よりおもしろくなるかもしれない。


最後に、1つだけ残念に思ったのが、パッケージ。
大きく「金農パンケーキ」と表示されているが、それを「かなのう」と読むことはパッケージのどこを見ても分からない。(レシートには「カナノウパンケーキ2コイリ」と表示)
「金足農業高校開発商品」ともあるが、その「金足」の読みについても同じ。

秋田県民には「金足」も「金農」もなじみがあるが、全国的には難読な地名であり、一瞬では理解できない校名の略称である。
秋田県内限定発売とはいえ、引っ越してきたばかりの人や旅行客が店頭で見かけて買うかもしれないし、県外の人へのお土産にするかもしれない。金農の名を広めるチャンスなのだから、正しい読み方もいっしょに知ってもらえればいいのに。
やはり、「誰にでも分かる」ことが商品パッケージの第一条件ではないだろうか。

それに「金足農業高校」とはあっても、「秋田県立」とはどこにも書かれていない。
知らない人なら、私立高校だと思ってしまうかもしれない。(私立の農業高校は三重県に1校しかないそうだけど)
「秋田県立」と表示があれば明瞭だし、秋田県の宣伝にもなるだろうし、秋田県民としてもうれしい。

ローソンのリリースによれば、商品名とパッケージデザインは2、3年生の女子が考案したという。
ただ、担当教諭が指導したであろうし、最終決定の前には管理職の教員も見たはず。
さらにはローソン側でも、ノウハウの提供やアドバイス、社内での検討が行われた上で、パッケージの印刷に至ったと考えるのが普通。業界第2位の大手コンビニの本部が関わっていながら、基本的な点に配慮されていないパッケージでは、コラボした意味がない。
せっかく高校生が一生懸命考えたものなのだから、大人がそれをもっとしっかりサポートしてやるべきだ。そうしてこそ、コラボした意味(高校生が商品開発について理解する)がある。

パッケージ右下には、麦わら帽子をかぶって着物(?)を着て、何かを背負った白い鳥がいる。くちばしの下が赤いのでニワトリ? これは金農のイメージキャラクター? などと疑問に思っていたが、パッケージには解説がない。
学校のホームページには、別のキャラクター(男女の生徒)が学校のイメージキャラクターとして登場しているので、イメージキャラでもない。

ローソンのリリースに「「ニワトリが稲を背負っている」イラストは、校内で収穫される「米」と「卵」をイメージしています。」とあったので、納得。(その米や卵がパンケーキの材料に使われているってわけではないんだよね?)

それから、中身の違うものが1つずつ入っていることについての説明文も、ちょっと分かりにくくて誤解しそうなのが気になる。(「2種類ずつサンドしています」というのが引っかかる)
単なる委託販売などではなくコラボ商品なのだから、そういう点に配慮するのが販売するローソンさんの務めではないでしょうか。


【2013年5月17日追記】2013年5月17日から1か月間、再度発売されることになった。(昨年と同じく、秋田県内170店舗限定で130円)
16日付秋田魁新報秋田市地域面によれば、
「(2012年の販売では)目標4万個の1.5倍となる約6万個を売り上げた。」
「販売終了後、学校や会社に「再販してほしい」という声が寄せられ、製造者のたけや製パン(秋田市)と競技した結果、「復活」が決定。」
「前回はパンケーキに挟んだミルククリームがこぼれやすいとの声があり、今回は女子生徒8人が試食を重ねてカスタードクリームに変更した。」
「(東北ローソン支社東北商品部担当者の話では)10万個の売り上げを目指す」
とのこと。詳細はこちらの記事

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新屋山王祭と迂回 | トップ | 市民市場の栃の木 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (名無しの秋田市民)
2012-05-29 22:34:51
テレビで報道しているのを見ましたー。
たしかに八橋大畑店でしたね。
二階のはローソンの事務所だったんですね:D
知らなかったのでなるほど納得です。
おいしそうです。今度買ってみようと思います。

金農はこの頃いろいろやってるように思いますね。
新聞ではヒル対策のグッズを作ったというのを見た記憶があります。
秋田のイメージアップに繋がるとうれしいです。
返信する
発売初日には (taic02)
2012-05-30 00:09:12
テレビを見る限りでは、けっこうお客さんが足を止めて買っていましたね。
その時はわざわざ高校生に八橋まで来てもらったのでしょう。学校近くのローソンでやればよかった気もしますが…
甘いものが苦手でなければ、楽しめる商品だと思います。ぜひお試しを。

そうでした。ヒルの研究もやっているようですね。
農業高校といえば、何をやっているのか未知の世界だったり、ある種の偏見を持たれたりしてしまっていることも少なくないと思います。
農業県秋田の農業高校として、どんどん情報発信して、多くの人に知ってほしいものです。
返信する
Unknown (金農ヤングOB)
2012-06-22 11:33:34
卒業生として興味があったんで食べてみましたが、まぁ可も無く不可も無くといったところでしょうか。それぞれのタネの味が強すぎてホイップクリームが空気気味だったのと、上側が林檎だったのが残念でしたねぇ。たいていの人は上側から食べるでしょうから、ミルククリーム独特の甘ったるさが口に残るのがどうにも…。逆なら後味はさっぱりするでしょうから。
返信する
さすが (taic02)
2012-06-23 19:21:11
さすがOBの方。素人には気づかないご指摘です。そういう細かな点の違いでも、消費者の感想・印象は違ってしまうでしょうね。
製造するたけや側の都合もあったのでしょうけれど。
ローソンや金農側では、アンケートして分析したりはしないのでしょうか。そこまでやってこそ、コラボ授業の意味があると思います。
返信する

コメントを投稿