<磐境神明神社 いわさかしんめいじんじゃ>
その姿をひと目見た瞬間、
心の中で 「これは…」と唸ってしまったほど、
目の前に現れたそれらの人工物は、
これまで私が見た光景の中でも、
ひときわ異彩を放っていました。
あまりのインパクトの強さに、
近づくことすらできないまま、
しばし境内の隅で立ち尽くすこと十数秒。
恐る恐る建造物のそばに近寄ってみると、
最初に抱いた感覚よりもさらに生々しい、
「生き物の気配」が漂ってきたのです。
ちなみに、磐境神明神社の「磐境」は、
神域の周りに張り巡らされた石垣や、
石垣の中に設置された祭壇を指す言葉で、
古い時代の祭祀形態の名残と言われています。
熊野の山中でもたくさんの磐境を見ましたが、
一見似たような造りであるにも関わらず、
両者の印象にはかなりの差がありました。
恐らく、この磐境神明神社の磐境は、
今なお「しかるべき人たち」により、
祭祀が続けられているのでしょう。