たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

天鳥船命

2017-08-25 10:25:40 | 白山信仰・楠と白石

<藤白神社 ふじしろじんじゃ>

 

イザナギ・イザナミの神生みの際に生まれた

天鳥船命(あめのとりふねのみこと)は、

別名、鳥之石楠船神・天磐櫲樟船・天鳥磐櫲樟船とも言い、

日本書紀では双神が最初に生んだ蛭子(ひるこ)の大神を

海に流す際に登場する船の神様として知られています。

ちなみに「櫲樟(よしょう)」とは楠のことを指し、

「鳥磐櫲樟船(とりのいわくすぶね)」は、

鳥のように速く走り、岩のように堅固な楠で作った船、

という意味なのだとか。饒速日尊が天下る際に乗っていた、

天磐船(あめのいわふね)とも同一視される存在です。

 

天鳥船命の化身であるクスノキ(楠・樟・櫲)は、

古代から信仰の対象として、神聖視されていたのでしょう。

楠信仰が盛んだった紀伊半島の南部一帯では、

和歌山市付近を拠点にしていた名草戸畔(なぐさとべ)、

新宮市付近を拠点にしていた丹敷戸畔(にしきとべ)、

ともに楠を一族のトーテムとして崇拝していた痕跡があります。

また、その名に「楠」を抱く和歌山出身の天才・南方熊楠も、

両親が海南市の藤白神社にある、巨大な大楠のご神木に

願掛けをした結果、この世に誕生したそうです。