<矢野熊・矢倉神社 やのくまやぐらじんじゃ>
矢野熊・矢倉神社を訪れてまず驚いたのは、
初めて目にする不思議な「神社」の様相です。
社殿はもちろん、灯篭や祭壇、しめ縄や御幣など、
お参りの目印になるようなものは一切なく、
さらにはご神体とおぼしき自然物も見当たりません。
唯一目に入ったのが、
境内奥の地面に作られていた、
石囲いの祭壇らしき人工物でした。
それは、手のひらより少し大きいくらいの石が、
四角形を象るように地中に埋め込まれたもので、
囲いの中にはさらに大きめの石、
そして囲いの前には、「奉納」と刻まれた石の賽銭箱と、
榊が入った容器や横倒しになった白い徳利が、
無造作に置かれています。
つまりこれこそが、この神社のご神体である
「井戸(の跡)」だったのですね。