<板谷・矢倉神社 いたややぐらじんじゃ>
熊野市紀和町にある板倉・矢倉神社に着くと、
赤く色づいた紅葉と、黄金色に輝く銀杏の木が、
社殿を取り囲む社叢を絵画のように染め上げ、
遠方からの来訪者を出迎えてくれました。
風が吹くたびに色とりどりの木の葉が、
境内の中を自由自在に舞い踊り、
木々の間からは、神域への入り口を
指し示す朱の鳥居がのぞいています。
そののどかで牧歌的な雰囲気は、
地域を守る鎮守様そのものですが、
何層にも重なった城壁のような石垣、
石段を登った先にある平坦な土地、
左右に灯篭を配した石の祭壇などは、
「無社殿神社」によく見られる特徴です。
石という鉱物には「貯める」性質があり、
古代は神籬の役目も果たしていたのでしょう。