<矢野熊・矢倉神社 やのくまやぐらじんじゃ>
JR串本駅近くの住宅街の
細く入り組んだ道路を進んで行くと、
家と家の間の狭い敷地の向こうに、
石の鳥居と緑の社叢が見えてまいります。
鳥居がなければ、
そこが神社であることすらわからないほど、
奥まった場所にある空き地の一角が、
その神様をお祀りする境内でした。
矢野熊・矢倉神社という名の神社は、
目の前には家々の外壁が迫り、
境内のすぐ脇を電車が走るような、
「人の匂い」にあふれた街中にあります。
社殿はおろか神域へと続く参道もなく、
車のフロントガラス越しに、
全体を俯瞰できてしまえるほど、
「聖地」とはかけ離れた雰囲気の場所です。
ただし、ひとたび境内に足を踏み入れますと、
これまで見てきた神社とは一線を画す、
何とも不思議な異空間が広がっていました。