<石巻・善海田稲荷神社 ぜんかいたいなりじんじゃ>
東日本大震災の津波被害を避けるため、
多くの住民が避難をした場所のひとつが、
鹿島御児神社のある石巻市の日和山です。
山の南側に広がる海岸沿いの一帯には、
市内でも特に甚大な被害を出した、
門脇・南浜地区という町がありました。
山の上にいるときはさほど感じなかったのですが、
山を下り門脇地区のほうへと車を進めていると、
日和山という山は、市街地にありながらも
かなり標高が高いということに気づきます。
震災当日は、山頂の神社へと続くいくつかの参道を登り、
何百人という住民が着の身着のままで避難してきたそうです。
門脇・南浜地区に降り立ち、まず目に飛び込んできたのが、
どこまでも続く広大な草地でした。海沿いの工場らしき建物と、
震災後に作られたであろういくつかの店舗やモニュメント以外に、
「人々の呼吸」を感じさせるものは何ひとつありません。
雑草が高く生い茂った「町」の一角には、
かつての住民たちの営みを伝えるかのように、
二本の老松と小さなお稲荷さんの祠が残されています。