桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

あえて、もう一言

2014-03-26 | Weblog
俺の慰安婦認識に否を唱えて、実に誠実に事実を書き込んでくれた柳田氏は、「軍の強制連行があったか、なかったかだけが問題」と言われる。
だろうか?
俺の認識は違う。
どのような経過と事情であれ、日本軍の管理下で、「意に反して自由のない性奴隷」を強制された事実こそ、問題なのだと思っている。ことを強制連行の有無だけに絞ることは、慰安婦問題の本質とは思えない。
世界が日本の過去として問うところも、「日本軍の管理下にあった強制的な性奴隷問題」にあって、ことの発端が強制かどうかを問題にはしていない。
橋下のように「世界で、どこにもあった、必要悪だ」などと言うのは、認識違いも甚だしいだろう。
国軍として下した規則の中に、慰安婦の存在を規程した軍隊は、日本以外にあったろうか。週刊誌などは、口汚く「ベトナム戦争で韓国軍が犯したウンヌン」と、あれこれを書くようだが、それとこれは違う。俺もやったが、お前もやった!などという非難は、全く意味をなすまい。
柳田氏は、俺の立場からのことも、更に案じてくれるが、俺も、実は冤罪の存在を信じなかった。自分が体験させられるまでは、警察や検察は正しいことだけをするし、裁判官は神のごとき存在で間違うはずはないと確信していた。でも、現実は違った。
警察官は冤罪を作り出す職業だ。職業的に何事も疑う性格となって真実を見抜く目を失ない、自白を強いるだけの捜査手法しか持たないことから強引な自白強要になり、必ず冤罪を作ってしまうのが警察なのだ。
常に人を疑い、嘘つきが多い犯罪者と出会い続ける警察官は、人を信じない。信じられなくなる。何を聞いても、自分が「犯人だ」と思い込んだ事実以外は嘘だと思う習性が出来てしまう。だから、一度、「犯人と疑って逮捕」したらば、行うことは「やったと認めろ」の自白強要一点張りだ。アリバイを言っても、まともには捜査しない。警察に話せば真面目に捜査してくれると思う人が圧倒的な社会だが、それが間違いだ。朝から晩まで、「犯人だ、証拠がある、認めろ」と責められたらば、意思に反して心が折れてしまうのが、人間の弱さだ。嘘の自白をする人が出る、俺のように。でも、犯人ではないから証拠はない。すると、警察官は証拠を捏造する。「目の前の奴は犯人だ。こいつを有罪にしないと社会の安全が保てない。こいつを有罪にすることこそ、正義にかなう。証拠がなくて無罪になっては正義が曲がる。正義のためだから、こいつを有罪にする証拠を作っても許される」という勝手な理論と自己弁護で、警察官は証拠を捏造するのだ。
まさか…と、社会の人は思うが、今まで再審で無罪になった事件で、警察官による証拠の捏造がなかった事件があったろうか。
一度「自白」をさせたならば、警察は、どんなことでも行う。
加えて検察庁だ。司法試験に合格して、自分の頭脳に自信を持つ検察官の行うことは、実に狡猾だ。検察は、警察が証拠捏造をしても、それは見抜かないばかりでなく、無実を示すような事実や証拠は法廷に出さない。隠してしまうのだ。無実の証拠を隠しても許される異常は、村木厚子さんを有罪にするためにフロッピーを工作した前田検事のような証拠捏造も行う検察官を生み出す。無実の証拠を隠すのと有罪の証拠をでっち上げるのは、無実の人を犯人に仕立てる意味では同じなのだから、前田検事の存在は必然だし、証拠と証人の工作を行うことは、検察官にとっては異常でも何でもない。ごく日常的なことなのだ。
検察官が無実を示す証拠を隠しても「当事者主義」と言って許されるのが、今の法律だ。
起訴したならば、たとえ再審で無罪になっても「布川事件の二人が犯人であることには変わりない」と、俺たちを誹謗し続けて許され、何も責められない職業、それが検察官だ。
仕上げは裁判官だ。学問的な頭脳は優秀だが、社会常識は育たない常識外れが多い。警察のでっち上げも検察の工作も、常識外れの頭脳でスルーして有罪にする。もちろん、事実認定を間違ったところで、誰が責めようか。裁判官は神様だ!!神聖だ!!
これが司法の現実だ。しかし、圧倒的多数の国民は、この現実を知らない。知らないからこそ、警察や検察、裁判所を見逃しているし、許している。もし、俺や柳田氏のように知ったらば、その犯罪行為と無責任を許すだろうか?
俺の言葉や行動は、今は少数かも知れない。しかし、社会に実態を理解して貰えれば、必ず多数になる真理を持っている。
「実現出来ない夢を語る左翼」と非難されたとて、そのような無知な非難など、恐れる必要があるだろうか。夢想家の左翼と誹謗する無知がいたならば、この現実を教えてやるだけだ。理解しない者は無知なままで生きればいい。それもお幸せ!だろう。
ついでに書けば、この世に産まれて、夢を描かずに生きるのは、もったいなさ過ぎる。自分の生きる喜びと幸せ、そして自分に連なる仲間たちの喜びと幸せ、一人でも多くの人たちの喜びと幸せに連なる夢を描かずに、何で人生だろうか?
政治こそ、この世に生きる人間の、人間社会の明日への夢を描くべきなのだ、夢を語るべきなのだ。しかし、拝金主義社会は、「モノ」に過ぎない金を求める社会の現実しか語れない。
俺は、冤罪を体験して、より多数の喜びと幸せに繋がる夢を描けるようになった。実に幸せだった。だからこそ、この幸せに相応しく語り、行動したいと思っている。
何事も恐れないし、何があっても、そこから始まることを喜んで受け入れて闘う、と考える俺の想いにあるモノは、柳田氏に判って貰えるだろうか。

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1 コメント

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Unknown (柳田 豊)
2014-03-27 01:52:46
 桜井さんの熱き思いに接し、感銘を受けております。
 警察は狡猾な犯罪者を相手にする職業なので、犯罪者以上にずるがしこくなければ勤まらない職業なのかもしれません。私の知人もその魔の手にかかって人格をゆがめられてしまいましたから。

 慰安婦問題に関しては、はっきり言えるのは、銅像を建てるような市民団体は信用してはならないということです。それこそ、桜井さんが言う警察や検察や裁判官みたいなものです。自分たちの言うことが正しく、日本は悪だ、に尽きますから。だから、20万人も強制連行された、などと平気で捏造するわけです。桜井さんを取り調べた刑事や検察たちのように。
 日本軍の管理下、というのも実像とは異なるようです。軍医が間に入って性病対策などをしていたりはあったようですが。
 兵士たちのガス抜きのための売春宿を大目に見てはいたけれど、軍が運営していたというのとも違うでしょう。それだと売春業者の儲けがなくなりますし。
 国家総動員法や治安維持法の時代の日本ゆえに売春婦まで軍に強制労働させられた、という見方が広まっているようです。工場勤務に行った「女子挺身隊」を「従軍慰安婦」と韓国人たちが勘違いしたのが慰安婦問題の発端でもありますし。
 そもそもソウル大学の安秉植歴史学教授が慰安婦たちに聞き取り調査をしたところ、日本軍兵士に悪感情を抱いた人はいなかったそうです。聞き取りを始めた時点では。
 それが、市民団体が日本政府に謝罪と補償を求める段階になって証言を捏造させるようになり、日本軍に対する印象をゆがめて「性奴隷」と言う言葉が使われるようになったわけです。そして、安教授はそういう暴走を続ける市民団体とは絶縁しました。
 安教授の弟子の歴史学者が「強制連行の証拠はない」と言ったら、過激な人たちに暴行を受け、無理やり慰安婦たちに謝罪させられたそうです。
  韓国人たちはよく「正しい歴史認識を持て」我々日本人に言いますけれど、そんな彼らが正しい歴史認識を持っているとは到底思えません。
 桜井さんの言う「意に反して自由のない性奴隷」というのも、連中が広めたものですから、どこまで信用できるかあやしいものです。
 ちなみに、米軍が日本軍を追いかけていた慰安婦たちを捕虜にして尋問した記録があり、「高い給料を受け取り、蓄音機なども持っていた」などと記載されたものもあります。ごく一部の待遇のいいところだけの話、と市民団体は言いますが。
 慰安婦の中には給料が振り込まれた通帳を証拠としている人もいますが、それには陸軍大将より高い給料が記載されていました。羽振りのいい奴隷があったものです。
 男ばかりの世界で女が圧倒的に少ないのですから、売り手市場だったのでしょう。性奴隷、と簡単に言いますけど、数少ない女性を乱暴に扱って、損をするのは結局は当の男たちですし、実態はどうだったのでしょうか。日本政府に謝罪と補償を求める人たちが認めそうにはありませんが。

 無論、慰安婦と言う立場は誇りに思えるようなものではないかもしれないし、私達には計り知れない悲惨な思いもあったかもしれません。儲けた人がいた一方、戦争末期には軍票の価値が暴落するので「儲かると思ったのに騙された」と感じた人もいたかもしれません。

 いろいろな見方があるはずですが、韓国の市民団体の訴えには不自然さが多すぎるし、日本に対して喧嘩を売り、貶めることしか考えてないようにしか見えません。
 当然、日本軍が悪魔として語られることになります。それこそ桜井さんの言う「人を信用しない警察官」みたいなものです。

 それゆえ、慰安婦問題を語るなら、当時の資料を綿密に調べて、軍人や、できれば市民団体の息のかかってない慰安婦経験者たちに話を聞いて証言を集めるくらいしなければ実情はわからないというのが私の見解です。なにしろ、70年も前のことですから。
 漢字をろくに読めない、つまり当時の記録を原文で読めない人たちの言う歴史認識を、桜井さんはどこまで信用できますか?
 
 

 あと、ベトナムのことを引き合いにして「俺もやったがお前もやった」というのは不正確ですね。
 「韓国もベトナムでやってた」こと自体より、「韓国はベトナムに対して謝罪してない」ことが問題なのです。実は、金大中大統領が形式的にベトナムに謝罪したことがあるのですが、それを非難したのが当時野党の党首だった朴槿恵氏です。韓国軍兵士たちに対する侮辱だ、と。ついでながら、昨年の朴大統領のベトナム訪問でも、謝罪の言葉は一切ありませんでした。
 それゆえ、「韓国もやってるから」というよりは「韓国のご都合主義」が問題なのです。
 日本には謝罪を要求して、韓国がベトナムに対してやったことはなかったことにしていて、「正しい歴史認識を持て」などと言ってくるのですから、波長が合うわけがありません。
 早い話、韓国のご都合主義には付き合いきれない、と言うことです。
 まして、今まで述べたように日本に対する文句の付け方にもかなり無理があるわけですし。ご都合主義者のなせる業、とも言えますが。
 本当に、どうやったらまともな話し合いができるのでしょうか?
 大体、「反省しろ」と言われても今の日本は70年近く戦争してないし、慰安婦を集めたりもしていません。
 その間、韓国は朝鮮戦争やベトナム戦争をやっていたし、慰安婦も利用し続けていたわけですから、これこそご都合主義の極みでしょう。実際、韓国人の間でもそういう声が出始めているようです。

 私だって、慰安婦や冤罪のない世の中であってほしいと願っています。
 しかし、思い込みの強い人たちの思念がそれを阻んでいるように思えてなりません。

 検事や裁判官や警察官たちの傲慢な思い込みを粉砕するには、研修期間中に三カ月の留置所生活を義務付けるしかなさそうです。
 前田検事など、実際にそれをやる羽目になったわけですが、彼一人では不足です。
 もっとも、叩けばいくらでもホコリが出そうですから否応なく「留置所研修」する人が今後は増えるかもしれません。
 その時は、桜井さんのコメントを求める人が増えるのではないでしょうか。
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