桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

岡山刑務所

2017-05-11 | Weblog
す今日は岡山刑務所に行った。
神戸質店事件と呼ばれる冤罪がある。神戸市の質店店主が殺害された事件で緒方秀彦さんが犯人にされた冤罪だ。
緒方さんは電気設備工事業をしていたが、たまたま質店店主に声を掛けられて質店に防犯カメラを取り付ける相談をされた。それで店内に入り、防犯カメラを付けるにはどうするか、などの行動をした。でも、店主が酔っていたことから商売にはならないと判断して店を去った。
その後、店主が殺害されて捜査をすれば、当然、店内から緒方さんの指紋が発見されるが、緒方さんは質店とは無縁だから、すぐには逮捕されない。
1年10カ月後、緒方さんはスピード違反をして指紋を採られた。それで指紋が一致!となって逮捕される。
質店店主は頭を棒状の鈍器で強打されての撲殺だから、店内は血が飛び散り、凄惨な状況だったが、緒方さんと一致する遺された足跡も無ければ発見された返り血などの証拠もない。だから、緒方さんの「店主に声を掛けられて防犯カメラ設定の相談に入った」との主張が認められて、神戸地裁は無罪判決だった。
そこで不運にも有罪病裁判官の小倉正三に会ってしまう。大阪高裁は指紋の一致を根拠に逆転有罪にした。それが最高裁でも見逃されて確定して6年。岡山刑務所で無期懲役刑を務める受刑者だ。
真面目に社会人として生きていた緒方秀彦さんには犯罪者の集う刑務所は耐えられない。仲間たちの犯罪的な言動は、いちいち気になり、反発を感じるそうだ。
犯罪者は人の想いに敏感だ。犯罪者ゆえに、常に対する人の想いを見抜いて出し抜いたり、裏をかいたりする。だから、自分を蔑視したりする人の視線などは、すぐに見破る。
同じ受刑者から受ける蔑視など、絶対に許さない。
緒方さんの刑務所生活は、だから悲惨だ。緒方さんの気持ちは判るが、何とか修行のつもりで頑張って欲しいと激励して来た。
楽しかったと思うこともある俺の千葉刑務所での月日、やはり異質だったのかなぁ。

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2 コメント

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岡山刑務所 (高馬士郎)
2017-05-15 10:01:45
緒方氏への面会有難うございました。犯罪者でない人間の獄中生活がいかに苦しいのか、桜井さんの記事で一部が見えてきました。
なるほど (Beach island)
2017-05-26 19:33:21
ぼくも桜井さんのブログ見てなるほどそうかと思いましたよ

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