桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

獄友

2011-02-09 | Weblog
長い塀の中での月日には、様々なことかあったし、沢山の人と過ごした思い出がある。実に、色々な人がいた。
基本的に犯罪者は自己中心。自分のしたことを心から反省してる人は少なかった。大部分の人が犯罪を言い訳したり、酷い人は「もう一度、あいつを殺したい」などと言っていた。
でも、信じられる人もいた。真面目に仕事をし、陰日向なくやる人。罪に苦しみ、反省が言動に感じる人。俺は、そういう人は罪はともかく信じられる人だと思って、塀の中でも付き合って来た。
今日、その獄友の一人と連絡が付いた。松戸でやる映画の宣伝広告を見て、連絡をくれたのだ。
あれから何年になるのだろう。秋田出身の気の良い男で、久しぶりに聞いた声は、あの当時と同じに訛っていた。真面目に働いていることも嬉しかった。
何十年、ときを重ねても信じられない人もいるが、声を聞いただけで昔を思い出し、会いたいと思う人もいる。そんなことを思った日だった。

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