スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&コミュニティー

2011-07-08 23:50:27 | 将棋
 第24期竜王戦の本戦トーナメントは一昨日の開幕局で展望では本命に推した羽生二冠が破れるという波乱の幕開け。今日は注目カードが2局。2局の観戦は僕の能力から無理ですので,左の山の若手同士の対戦の方を選択しました。公式戦初対局。
 振駒で永瀬拓矢四段の先手で角道オープン中飛車美濃囲い。稲葉陽五段は5筋の位を許さず持久戦の構え。7筋に位を張った先手が中央から仕掛ける形で小競り合い。後手が捌きにいくのを先手が抑え込むような展開に。断続的に進行をみていましたが,下図から本格的に観戦。
                         
 ここは▲7四飛と切る一手に思えます。逆にいえばそうやってこいという意味の△6七馬だったということでしょう。以下△同歩に▲4三歩成△同金▲5二銀を考えていましたが,歩は成らずに▲4三銀。△4六歩は筋といえる攻め。▲5七金は検討の範囲ですが△4七歩成▲同金の進行には驚きました。これでは失敗しましたといっているようなものだからです。反省の一手は△7七馬(第2図)。
                         
 攻め駒の状況と玉の危険度から勘案してここは先手がよくなっていると思いました。▲3ニ銀成△同銀は検討手順。そこで歩を守りつつ▲4三金。取らせろと△4ニ歩。▲同金△4四馬▲5一金まで検討手順。そこで△2五桂は少しも考えていませんでした。狙いは1筋ですがそこで▲3九角と引いて受けたのも僕には驚愕の一手。一時的にであれ玉の退路を塞ぎますから僕なら絶対に指せません。1回は飛車を打っておく手を考えていましたが△4八歩。▲同金引は当然。△1四歩も悠長な感じはありますがこちら側から攻めたくなるのは分かりますし,玉の逃げ道にもなっています。先手はさらに▲2六金(第3図)と受けました。永瀬四段は受け将棋ですが,このあたりは棋風通りといったところ。
                         
 ここで△5三馬と歩を払いましたが▲2五金と要の桂馬を取られ,△5六桂に▲3四金と進出。△4五銀は考えていませんでしたが部分的には金の行き場がなくなっています。▲5四歩△同馬▲5ニ飛△4八桂成▲同角△5三金(第4図)までは検討の範囲内。
                         
 ここはまた大変になっているかもしれないと思えました。▲4二飛成とすれば△3四銀は当然。▲4六桂に△4三馬もほかは考えにくそう。▲3四桂△同馬▲3一銀△2一王▲5三龍の詰めろまで,検討する間もなく進みました。△3一王はこの一手。▲4二金と王手し,△2二王に▲3ニ金と取り,△同王に▲4四歩の垂らし。これには△4ニ歩(第5図)。先手は選択肢がありますが,後手はこれしかないという手が続いている印象でした。
                         
 ここで▲4一金の詰めろ。うまい受けが浮かびませんでしたが△3三銀。▲5一龍△2二銀打▲4三歩成まであっという間に進行。△同王で取って▲5五桂に△3ニ王と戻りました。▲4三歩は当然。△2四歩と通気口を開け▲4ニ歩成△2三王までは一本道。▲4三桂成は予想の一手でついに△4六桂の反撃。▲4七銀△2五歩▲4六銀△2六歩。先手が1分将棋に突入していることもあり,このあたりは検討している時間がありませんでした。▲同歩はこうやると思っていた手で△2七歩。▲同玉(第6図)は当然。
                         
 △2五歩は検討の本線。▲3五銀打はあるいはこれかと思っていた手。△4七金は考えていませんでした。詰むかどうかじっくりと検討したいところですが時間がありません。▲3三成桂△同銀▲3四銀△同銀▲5三龍△4三歩まで瞬く間に進展。そこで▲3五銀打(第7図)という攻防手が指されました。
                         
 △2六歩▲3六玉△4六金▲同銀まで検討通り。△4四桂と打つ手を調べていて,どうも先手が勝ちそうかなと思っていたら△2五金でした。▲4七玉の一手に△7七飛と打ち,▲5六玉と脱出。それは許さんと△4四銀と縛りました。先手は▲3二角△2四王の交換を入れてから▲4四龍と銀を取り,△同歩に▲3五銀打。△同金▲同銀△同王▲3六金△2四王▲2五歩△3三王▲2四金△2二王▲3四金(第8図)まで,変化の余地はあっても検討の範囲内。
                         
 これはとても受からないので先手玉が詰むかどうかの勝負かと思いました。ところが△4七銀▲5五玉△5七飛打▲4四玉△5三銀▲4三玉△5四飛成▲5二玉△6三銀▲6一玉という逃げ方を選択したので△3四龍(第9図)と金を抜かれる波乱が起きました。
                         
 すぐには詰まなくなったとはいえここで▲3五桂。△3一桂を▲同金と取り△4二銀▲2一角成△3三王▲1一馬。これに△2二金と合駒をせざるを得ないのでは後手に勝ち目はなくなったように思えました。以下も続きましたが先手の勝ちになっています。
 何か独特の世界があるような感じの指し回しで永瀬四段が2回戦進出。次も突破して佐藤康光九段と対戦することになれば,その一戦は採り上げます。今日のもう1局はまた明日。

 このとき,妹は前日の6月1日から1泊の宿泊だったのですが,これに関してはこの共生記の中でこれまでに触れていなかった事柄が多く含まれますので,ここで詳しく説明しておきます。
 妹は作業所に勤務しているのですが,この作業所というのがある福祉法人の施設のひとつであるということは以前に説明した通りです。妹も福祉法人自体の方に出掛けるということもあり,その場合には位置の関係で,作業所よりは家から遠くなります。そしてこの法人の建物に,宿泊施設というのが併設しているのです。
 障害者,とくに知的障害者の場合,面倒を見きれないという理由で,ことばはあまりよろしくありませんが家族や親戚から見放されてしまうというケースが現実的にあります。この宿泊施設というのはそうした人たちのためのもの。したがって,実際にはそこで寝泊まりしている人がいるわけで,生活実態がそこにはあるわけですから,宿泊施設というよりは居住空間,あるいは一種のコミュニティーがあるといった方が正確だろうと思います。極端な場合ですと,そこで居住者が死んでしまったというようなときに,遺体を引き取るということを拒絶され,無縁仏としてではありますが,法人の手で葬られるというようなこともありますから,単なる居住空間としての意味以上のものをもっているということは確かだと思います。
 そこでこの福祉法人に勤務している人はだれでも,このコミュニティーの中で暮らすようになるということが,可能性としては考えられるわけです。したがって僕の妹のように,現在はそれを利用する必要性がないという人も,少なくとも1年に1度は一種の訓練としてここに1泊することになっているのです。それが今年の場合,これはこちらから求めたというわけではなく偶然ではあったのですが,6月1日と2日ということになっていました。6月2日の朝に妹が家に不在であったのは,こうした理由からです。
 は,ゆくゆくは妹がそこで暮らすようになるケースも想定はしているようです。妹の場合,現在でも頼めばすぐに入所できる筈です。たとえば入所させて,週末だけは家に帰るというような使い方も可能ですが,現時点で必要か不要かでいえば不要ですから,利用はしていません。

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