スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大阪・関西万博協賛競輪&表現と内在

2024-04-02 19:14:18 | 競輪
 3月31日に武雄競輪場で行われた大阪・関西万博協賛競輪in武雄の決勝。並びは菅原‐仁藤の南関東,浅井に朝倉,町田‐小倉の中四国,山田‐山口の佐賀で菅田は単騎。
 山田と浅井がスタートを取りにいき,山田が誘導の後ろに入って前受け。3番手に菅田,4番手に浅井,6番手に町田,8番手に菅原で周回。残り3周のバックから上昇した菅原は6番手の町田の横で併走。町田が引き,6番手と8番手が入れ替わりました。ホームの出口から位置を上げていた菅原が再び上昇。バックの入口で山田を叩きました。すると後方になっていた町田が発進。打鐘で菅原を叩いて先行。3番手に菅原,5番手に山田,7番手に菅田,8番手に浅井の一列棒状になってホームを通過。バックから山田が発進。山田が菅原と競る形になってマークしきれなくなり,単騎になりましたが,直線の入口までに町田を捲り切り,そのまま後ろを離して優勝。捲られた町田の番手から発進した小倉が1車身半差で2着。町田が2車身差の3着で,後方に置かれた浅井が1車輪差で3着。菅原と山田の競りは直線まで続き,菅原が落車。菅原の内に進路を取った仁藤も巻き込まれました。
 優勝した佐賀の山田庸平選手は前回出走の松阪のFⅠから連続優勝。グレードレースは昨年12月の広島記念以来の優勝でGⅢ4勝目。このレースは山田,浅井,町田の3人が脚力で上位。菅原が脚を使ってよい位置を取りにいくレースをしたため,町田は楽な先行にならず,浅井は後方に置かれました。位置が最もよくなったのが3人の中では山田でしたから,展開が味方したといえるでしょう。単騎の菅田が結果的にこのラインを追走するレースになったことも,山田には有利に働いたと思います。菅田がなぜそういうレースをしたのかは分かりませんが,町田の先行が有力でしたから,そちらの後ろでレースを進めた方がよかったのではないでしょうか。

 スピノザは『エチカ』の中で,表現するexprimereといういい方を多用します。このことに着目したのがドゥルーズGille Deleuzeで,ドゥルーズの最初のスピノザ論は『スピノザと表現の問題Spinoza et le problème de l'expression』であったのです。ただ,スピノザがそのようないい方をすることで,神Deusが内在的原因causa immanensであるということを意味させようとしていたのかは正直なところ分かりません。ひとつだけいえるのは,『エチカ』では確かにそのようになっているので,もしかしたらスピノザもそのように考えていたかもしれないということです。少なくとも現に『エチカ』では表現する・表現されるexprimunturという関係が,内在の哲学と関連しているといえるのであって,たとえスピノザがそう意識していなかったのだとしても,國分が指摘している通り,内在的原因においては,原因が結果effectusを産出するのだけれど,それは原因の力potentiaが結果によって表現されるという意味であるということは成立しています。
                                        
 國分が着目した第一部定理三六の証明の冒頭は,第一部定理二五系を援用することによって,存在するすべてのものが神の本性essentiaを一定の仕方で表現するといっています。第一部定理二五系は第一部定理二五の帰結事項であると考えることができます。この定理Propositioでいわれているのは,個物res singularisの存在existentiaの起成原因causa efficiensも個物の本性の起成原因も神であるということです。したがってこの定理と系Corollariumとを合わせれば,その存在に関してもその本性に関しても神を起成原因とする個物は,起成原因である神の力を一定の仕方で表現する様態modiであるということになります。つまりここでは,結果であるものが原因であるものの力を表現するという関係が示されているといえます。
 第一部定理二五系には,系の本文の中にごく簡潔な論証Demonstratioが含まれています。それは第一部定理一五第一部定義五から明らかだというものです。このふたつは共に内在という関係を示しているといえます。第一部定理一五では,存在するものはすべて神のうちにあるといわれ,第一部定義五では,様態はほかのもののうちにあるといわれていますが,これは存在するすべてのものは神に内在するといわれ,様態はほかのものすなわち実体substantiaに内在するといわれているのにほかならないからです。
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