環境・エコロジー教育とコスモロジー教育

2007年07月21日 | 持続可能な社会

 最近、環境のこと、持続可能な社会のことについて発言すると、「どうしたら、みんなが環境のことを考えるようになるんでしょう。いい環境教育の方法はないでしょうか?」という質問を受けることがよくあります。

 私が「地球環境も宇宙の一部ですから、コスモロジー-宇宙カレンダーを伝えることによって、エコロジー意識を育むことが可能だと思います」と答えると、なんだか具体性のない遠い話をしていると感じているような(と私には見える)表情をされる方がいます。

 しかし、学生たちの実際の反応を見ていると、コスモロジーを学ぶことでただ生きることの宇宙的な意味に気づくだけでなく、エコロジー意識に目覚めることも非常にしばしばです。

 典型的な実例として、以下、経済学部3年生の男子学生の「宇宙カレンダーについて」のレポートの感想を引用しておきます(数値の誤解が若干ありますが、全体としては大切なポイントをつかまえていると思います。改行等、少し手を加えてあります)。


 宇宙カレンダーを勉強して第一に感じた事は、地球への感謝の気持ちです。豊かな自然と生命を育む地球という存在の尊さを感じました。私たち人間は、地球の様々な恩恵を受けながら生きています。水、酸素、植物やその他、身の周りの多くのものが、人間の命を支えます。また、人間という存在自体が「進化論」においても、「食物連鎖」においても、地球という母体をもとに成り立っています。

 ただこれが地球上で構築されるにいたっては、途方もなく長い年月をついやしている事が、宇宙カレンダーの勉強によってわかりました。宇宙の歴史において、そもそも地球自体が誕生するまでが長い。1年におきかえると、8月末にようやく地球ができた事に驚きました。宇宙ができて60億年もかかったのです。そして、地球ができてから生命が生まれるまでに1年において1ヶ月(20億年)かかり、そして人が生まれるまでに4ヶ月(46億年)もかかりました。

 私たちが存在するまでに、壮大なストーリーが存在し、私たちの歴史なんかは、ほんのささいなものである事がわかりました。このように考えると、私たちが存在している事は、宇宙と地球の奇跡であるといえるので、今、私たちがこのように生活している事に感謝しなくてはいけないと思いました。

 いずれにしても、とてつもない時間があったという事であり、その事に感謝の念をはらうべきであるが、宇宙カレンダーからすると、ほんの1秒にもみたない期間の現代人が我が物顔で地球を支配し、無駄な戦争を起こし、地球環境を破壊しているのは、事実、130億年つみあげてきたものを、人間は一瞬で無にしてしまうという事です。人間の持つ宇宙レベルの影響力はすごいが、その力をもって地球をこわし、自分たちの存在をこわしてしまうのは、悲しすぎると思いました。

 私たちは、人間である事におごりが強い事を感じました。地球から恩恵を受けているにもかかわらず、人間は、地球を支配するものだと考えています。このように考えるのは、人間は、もの事をばらばらに考えているからだと思います。しかし、この宇宙カレンダーを勉強すると、すべてのものはつながっているのだという事が理解できました。

 そこで、人間は切っても切れない存在である地球をもっと大切にすべきだと強く感じました。私自身も、もの事の「つながり」という事を自覚して、おごりをすて、助け合いを大切にし、謙虚に生きていかなくてはいけないと思いました。


 コメントしておくと、まず1つ、最後のほうで、「この宇宙カレンダーを勉強すると、すべてのものはつながっているのだという事が理解できました。/そこで、人間は切っても切れない存在である地球をもっと大切にすべきだと強く感じました」と書いているところが重要だと思います。

 宇宙のすべてとのつながりの理解は、より身近な存在としての地球とのつながりの理解、さらに理解だけではなく、「私自身も、もの事の「つながり」という事を自覚して、おごりをすて、助け合いを大切にし、謙虚に生きていかなくてはいけないと思いました」と書かれているように、自分自身の生き方への決意をももたらしているようです。

 授業を受け、テキストを読んだ時点での理解、感動、決意がどのくらい持続するか、効果の持続性についてはフォローアップの調査はあまりできていませんが、少なくともスタートとしての気づきをもたらしていることはまちがいないと思われます。

 環境・エコロジー教育に関心のある方に、ぜひ、コスモロジー教育にも目を向けていただきたいと願っています。



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