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グリンウィンド・ララバイ

2010年05月17日 23時59分00秒 | 連載カード考察企画
カード考察第47回はグリンウィンド・ララバイです。
リクエスト内容はGレギュ最強の複合スペル、
という事なんですがそれならばという事で
グリンウィンド・ララバイを推挙しました。
今回のテーマは正しくは複合スペルですから
複合スペル自体についても触れておいていいでしょう。

1枚で2枠以上のスペル枠を消費する複合スペルは
モンスターコレクションでは
魔道士の黙示録にて初登場したカード群です。
モンスターコレクション初期は
毎回新しいセットが追加される度に
それまでには存在しない性質のカードが追加されます。
一つ前の古代帝国の遺産ではタイプ弓、
魔道士の黙示録では複合スペルという訳です。
今のGレギュでもステージが変わるたびに新ルールが追加されますが
昔は半年おきに新要素が追加され、しかも基本ルールの修正はなしに
カード表記のみでそれを行なっていたのですから
本当に大変な製作をやっていたということですね。
モンスターコレクション登場から2に移行するまでに
3年も要さなかったのですから
このときのカードの移り変わりは濃密でした。
そのわりに環境に君臨する強豪の顔ぶれは
ほとんど変化なかったのですから
新要素の弱さは歴史的に続く
モンコレの大きな問題の1つだったといえるでしょう。

そう、登場した当初の複合スペルは本当に弱かったのです。
効果としては1枠スペルよりも数字が大きいという事は分かるんですが
具体的にどういうユニットがどういう状況で使うために
どういうデックに入れるカードなのか
どうにも分からないスペルばかりでした。
その後、黄金樹の守護者で他の属性の1枠スペルの効果を
専門外の他の属性で再現する2枠スペルなども登場しますが
大きな転機が訪れるのは太陽王の覚醒まで待つことになります。
つまりモンコレ2に収録されるセットから
複合スペルはそのコストに見合った威力になるんですね。

次に任意の数のスペル枠を支払う事が出来る
擬似的な複合スペルが灼熱の百年戦争で登場し、
六王国の戦火で2通りの枠の支払い方のある複合スペルが
登場することで複合スペルは大きな転機を迎えます。
六王国の戦火は全体にカードの性能が向上した時期でもありますので
それに伴って戦闘スペルの威力も強力になり
リミット8当たりのスペル枠の数も多くなったことで
複合スペルは圧倒的に使いやすいカードになります。
重スペルデックだと複合スペルが全く入っていないデックのほうが
少なくなったのもこの頃ではないでしょうか。
複合スペルの威力はドラコイリュージョン、ドラコジェノサイドが
登場した頃に最高潮を迎えます。

Gレギュレーションではスペル主体をコンセプトにしたデックで
複合スペルを1枚も使わないというものはかなり珍しいでしょう。
複合スペルのデメリットは
スペル枠を1度に2つ以上消費する事と
使用出来るユニットの選択肢が限定される事です。
ただしスペル枠はパーティの中に4枠以上あると
安定して使い切る事が難しくなりますから
複合スペルが負担ではなくなります。
むしろ適度に混ぜないと気持ちよく使い切れないですね。

さて、そろそろ今回のテーマである
グリンウィンドララバイについても触れてみようと思います。
グリンウィンドララバイは
Gレギュレーション最初のセットである神霊獣の咆哮の直後、
樹界霊の歌姫で登場した戦闘スペルです。
Gレギュレーション最初の2枚の複合スペルのうちの1枚であり
構築セット限定のカードであった事、
土風という珍しい組み合わせ、
アニバーサリーのバランス、
などの強くなりやすい要素に2重3重に集まったことで
ただでさえ強い複合スペルの中でも
さらに抜きん出たカードに仕上がっています。

グリンウィンドララバイの強いところ。
その1
対象ユニットの性質を問わないパーティ対象の効果。
その2
Gレギュレーションのスペルの中で
相手パーティがどのようなユニットの組み合わせでも
確実に攻撃を完封できるのはこのカードだけ。
その3
攻撃、行動完了能力。両方を完封できる。
その4
1体のユニットの行動完了能力に対抗すると
同時に他のユニットも攻撃や完了能力が行なえなくなる。
その5
行動完了させる効果は、スペルそのもののキャンセルか
行動完了したユニットを回復させる効果でしか
無力化できない。
その6
攻撃や行動完了能力無しで相手パーティの
全滅を狙える破壊力を持つカードは
いくつかの宣言能力やダイヤモンドブラストなど
ほとんど限られる。
それらでも全滅に届くかどうかは微妙。
しかも採用率も低い。

なにからなにまで強い要素ですね。
1体に対する完了能力でも対象ユニットを問わなかったら
それだけで複合スペルシンコーピですよ。
スペルそのもののキャンセルか使用者の死亡以外では
ほとんど返しようがなく、
グリンウィンドララバイを返せないという事は
ほとんどのデックの場合攻撃力を失うという事であり
場合によっては対抗で使用出来る能力も失います。
先攻を取ったのにユニットを全く死亡させる事が
出来ないで反撃を食うのは
先攻を取られて攻撃されるより被害が大きくなるものです。

複合スペルは2枠を1枚で消費してしまう代わりに
カードの性能が全体に良い事がメリットです。
戦闘スペルの性能は、大きく分けて
対抗範囲の広さ、効果を発揮したときの影響、対抗の返され辛さ、
の3つの要素に大別する事が出来ます。

対抗範囲の広さは詳しく説明するまでもないと思いますが、
複合スペルの効果として最も重視される部分です。
クロスファイア、ティンダーストライク、ペトリフィケーションなどの
威力の高いダメージ効果の複合スペルは
ダメージが届くか条件に適合するユニットが使用したものであれば
それがなんであったとしても潰せると言う点で優れている訳ですからね。
グリーンエンブレイスも端的に効果の拡大を目的としたデザインの
複合スペルだと言えます。
単純にプロテクションとサンドカーテンの両方の効果の守備範囲を
1枚でフォローするカードだと言えるわけですから。
ただしはじめからプロテクションは即死効果以外に対しては
サンドカーテンの互換的に使える戦闘スペルなので
単純に1枠スペルの2倍の守備範囲と数える事は出来ず、
なにか損した気分になります。
ここが弱いところかもしれません。

効果を発揮したときの影響の大きさ、というのは
たとえば防御力を+6する複合スペルは
防御力を+3する1枠の戦闘スペルと比較して、
より高い攻撃力に対しても対抗が有効化すること、
(対抗範囲の広さ)
相手が対抗で攻撃力を上げようにも多少のアップでは届かないこと、
(対抗のされ辛さ)
に加えて
+3なら最後列のユニットのみしか生き残れないところが
敵の攻撃を無被害でやり過ごす事が出来る点
(つまり発揮したときの影響の大きさ)
においても優れている、という意味ですね。
内容としては対抗範囲の広さや対抗のされ辛さとも大いに被ります。
この部分を売りにする複合スペルは
対抗で相手のアクションを打ち消すために使うよりも
イニシアチブタイミングで圧倒的な攻撃力を得るゴッドウィンドや
1発で全滅させるダイヤモンドブラストのような普通タイミングの
複合スペルに集中するのではないかと思います。
このタイプのスペルは相手に対抗されても
スペルそのものを打ち消す対抗でない場合は
効果の軽減くらいにしかならない事が多いですね。

最後の対抗の返され辛さは、実は複合スペルほど
返されやすい効果になる事が多いです。
アイテム消耗品を破壊する用途で使う分には
ティンダーストライクよりフラッシュデトネイターのほうが
返され辛いでしょう。
複合のスペルには威力の大きいダメージ系の効果が集中しており
効果の直接の打消しや行動完了のような
要所要所で使われると止め辛く作戦を狂わせられるスペルは
1枠の戦闘スペルに集中している特徴があります。
ブライアーピットとペトリフィケーション、
ジャスティスとクロスファイア、
エンデュランスとメルトのような
上位的な効果であれば返され辛いと言えますが、
効果がダメージ系に集中している点や
そもそも1枚のディスペルマジック、魔力のスクロールで
2枠を潰せると言う時点で
相手からすれば対処しやすいものです。

グリンウィンドララバイは以上のような細かい事を考えなくても
明らかに強いカードである事は見れば分かる事だと思いますが、
グリンウィンドララバイ以外の複合スペルが
なぜグリンウィンドララバイに届かないのかは
上記の3点で比較してみるとより分かりやすくなると思います。
どの複合スペルにも弱点があるのに
グリンウィンドララバイだけが3つの要素全て
非常に高い水準で成立している事が分かるでしょう。

構築レベルで見た場合の複合スペルを入れる目的は
枚数の圧縮という点が大きなウェイトを占めます。
デックに入れる戦闘スペルは20枚でも十分に多すぎる枚数です。
20枚のラインを超えると
ユニット数と地形の数を削る必要が出てきて
事故率が上がりユニットの選択肢が狭まり継戦時間が短くなり
地形ロックなどの不利デックへの対策も疎かになってきます。
しかし20枚あっても
攻撃、スペル、アイテム、特殊能力、同時攻撃、
全てに対して満足な対策を施すには到底足りません。
だからこそ1枚でより広い範囲を
カバーできる複合スペルが重宝します。
ゴッドウィンドが強いのは
先攻を取られての攻撃、同時攻撃、防御力の高いパーティ、
1枚で3つに対応できるからですね。
攻撃対抗を積まなくて良くなるというのが
嬉しいじゃないですか。

この観点でもグリンウィンドララバイは群を抜いています。
同時攻撃さえ起こらなければ攻撃と完了能力を完封できます。
攻撃対抗をいれなくていいという事です。
攻撃を主体としたデックが減ってきた最近では
対攻撃限定以外の効果で攻撃対策もフォローしてくれる
カードが構築的には一番有り難い。
攻撃主体の戦法と完了能力主体の戦法は
ひとつのデックに混在しませんから、
1種類で二役をやるので3枚では枚数が足りなくなる
という事も起こり辛いカードです。

スペルであるからには使用出来るユニットにも
触れておく必要があるでしょう。
言うまでもなく、土風属性は専用セットがあるくらいですから
使用者の選択肢でも秀でた色組み合わせです。
火風、風水、水土、土火に比べれば
土風のスペル枠を持つユニットは少ないですが、
2つの属性のスペルだけでデックが1つ成立するのは
土風の組み合わせだけではないでしょうか。
本来は対立する要素であるだけに、
両方が一つのデックに入れば対応できない隙は
非常に狭くなります。
個々のユニットの性能もいい。
逆に弱いのは火水枠の組み合わせでしょうね。
有効属性でもない組み合わせが機能することは
特にフォローされない限りはありませんから。

グリンウィンドララバイは他の複合スペルと比べて
跳び抜けて強いので、
わたしはもしかしたら再録はされないのではないかと
危惧していたカードになります。
シンコーピに入れ替えられる可能性も
あるように思っていたんですが。
1枚でどんなユニットの攻撃も無力化できるカードの存在は
攻撃の価値が軽くなったと言う意味で
対抗重視の環境を助長させた要因のカードでもあるでしょうね。
攻撃宣言の前に普通タイミングの効果で
撹乱する戦法も崩壊します。
それでも使い捨ての戦闘スペルですから
制限カードになることはないでしょう。
歌姫と一緒にこれが再録され続けるとしたら
土風は安泰ですが、
攻撃主体のデックはもうひとつ何かパワーアップしないと
いけないかもしれませんね。

カード考察第47回は以上になります。
当ブログでは取り上げるカードのリクエストを
随時募集しています。
リクエスト対象カードは
神霊獣の咆哮から復活の破壊神までの全てのカード。
金冠の悪魔ゴモリーと星剣姫の烙印のカードは含まれず
星剣姫で再収録された破壊神以前のカードは含まれます。
この記事のコメント欄でもふるってご応募ください。

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