福田和代/集英社文庫
2013年5月25日初版、2014年6月7日第5刷。先に読んだ「やがて、警官は微睡る」もそうだったが、ここの所警察モノを書く女性作家によく当たる。最近の流行りなのだろうか。それも、初めて読む著者の作品ばかり。日本の文芸作品の層の厚さは相当なものだと思う。
作品は、「そんな馬鹿な!」の連続だった。
「死の臭いを嗅ぐ老刑事」は、行方不明者を追い続けて、生ごみ処理施設にたどり着く。そこは臨界水を使って、遺伝子まで分解するという施設だった。何と言っても死体は人が死んだという決定的な証拠なのだが、その死体が無ければ殺人事件さえ立証することができない。定年間近の香西刑事は一人、「死体無き事件」を追求するのだが、逆に「肉体を完全に分解する」真崎に取り込まれてしまった。グロな作品はたくさんあるが、本気で「気色の悪さ」を書かせれば、いざとなれば女性作家の方が上を行くような気がする。本性が出てくるのだ。いや恐ろしや!
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