つむじ風

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山小屋の灯

2022年02月04日 14時31分02秒 | Review

小林百合子/ヤマケイ文庫

 2021年2月5日初版。何かの紹介でいつか読みたいと思っていた一冊。早い話が、山のガイド本といったところ。著者は結構飲兵衛で、あちこちの山小屋の主人達と忌憚のない付き合いをしているらしい。薄暗い山小屋の灯の下で、それで「山小屋の灯」なのだ。いつも、カメラマンの野川かさねさんとコンビらしい。この本には文章に負けないくらい野川さんの写真が載っている。よく見掛ける絵葉書風の写真ではなく、山小屋とその生活のリアルなヤツだ。それが文章とよくマッチしていて実に良い。山の写真も多くは雲の中に霞んでいる。これが現実だ。

 訪れたことのない山もあったが、以外にも馴染みのある山も多かった。秩父、尾瀬、大菩薩峠、中央アルプス、富士山等。ただし、50年も昔の話だ。「雲ノ平」の存在がチラホラ聞こえ始めた時代だったように思う。何分写真が多いので、昔を思い出しながらもスイスイと軽快に読み進む。

 深田久弥の「日本百名山」と比較するのはおかしいが、これはこれで現代の「山小屋」にスポットを当てた一冊であることに間違いはない。「山小屋」の現状と経営者の方針を大切にしながら、自然との関わり、山の見方、楽しみ方を教えてくれる。それは50年前も、今も変わらないように思う。普段は「厚かましくてやかましい編集者」なのかもしれないが、その山小屋への思いは確実に伝わってくる。何だかまた行きたくなってしまうのは私だけだろうか。





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