つむじ風

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犯罪のオモテと裏

2015年08月15日 10時47分34秒 | Review

 牧 義行/テレビ朝日

 1995年12月18日初版。ヤメ検を地でゆく弁護士が著者。15年間の検事生活とその後の弁護士生活からオモテに出た部分とその裏の部分を振り返る。「ヤメ検の回想録」のようなもの。実の所事件そのものを詳細に解説しているわけではない。どちらかといえば要点解説的なものである。そして常々感じることは本人(著者)の視点、考え方、そしてあるべき姿(こうあるべき)である。

 押し付けがましいというえばそんな気がしないでもないのだが、善良なる市民感覚としては大方賛同できる内容ではある。人が人を裁くという矛盾というか不条理の深刻さが窺われる。ただ、世の中奇異なことが多く「何でそんなことが?」ということに対して矛盾を感じながらも法律家としてその解釈に努めるところが興味深い。

・法治国家における超法規的措置
・勝新太郎事件
・松本サリン事件
・豊田商事永野会長刺殺事件、オーム幹部村井刺殺事件
・オーム事件

・罰金は物価スライドしない=裁判の長期化は被告の得
・無期懲役=14~15年で出所する
・スパイ罪(内乱罪、外患誘致罪)は(人を殺さなくても)死刑になる

 それなりに年齢を重ね世の中を見てきた当方として、今更ながらそれは「検事であれ、警察であれ、マスコミ、Net民も含めて」人のやることの不確実さを感じない訳にはいかない。人のやることだから誤認も誤解もあるだろう。だからこそ常に襟を正し、組織内でモミ消したり、必要な事項に目を瞑ったり圧力に屈するようなことがあってはならない。しかし、市民感覚のズレた判官(判事)が神のごとく全てを見通し、罪の全てを測り、裁量を下すことの傲慢さが恐ろしい。






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