名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
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大山将棋研究(116); 力戦振り飛車

2016-04-06 | 大山将棋研究
昭和48年10月、丸田先生と第28期A級順位戦です。


互いに飛車を振るか居飛車にするかの探り合いの出だしです。丸田先生の相振り飛車はあるのかは知りませんが、ひねり飛車が得意でしたから振り飛車も指せそうです。大山先生は相振り飛車は指さないので、丸田先生が工夫したというか嫌がらせをしているという感じがします。さらに角交換もできるようになって、ここ数手が面白いです。

大山先生は78金と自重。丸田先生も33角は自重したというか突っ張ったというか、どちらが角を換えるか、あなたがやりなさいと譲り合ってけんかしているのです。そこでこの38飛は浮かびません。角交換になりそうなので隙ができるのが普通ですから。是非はよくわかりませんが、大山先生が強く主張しました。

丸田先生は「小太刀の冴え」でいかにもという突き捨て。

大山先生は逆用して金を進出したとも、引きずり出されたともいえます。

さらに石田流の形に。ひねり飛車というべきか、戦型分類は難しいです。

これはいかにも筋、という角打ちです。とりあえずは気持ちよいです。

お約束の金銀の繰り替え(これを見習うべきなのです)から飛車先交換。

それにひねって角打ちで局面打開を図ります。歩を謝って2,3筋を盛り上がっていくのが普通の指し方でしょう。

大山先生は、角交換ではつまらないので避けます。

互いに金を前線に繰り出して

75歩を取り切れないのでは少しだけ丸田先生がリード。取りたいのですが、65歩の後で64銀が飛車に当たるのを嫌がったのでしょう。飛車を追われるようになると、すぐに先手玉に響いてくるのです。

中央でも小競り合い。

54銀は当たりのまま中央の勢力争いです。

大山先生は45と65の位を両方とられたままでは苦しいので65の歩を払ったのですが、すかさず桂馬をぶつけられてしまい、丸田先生がポイントを上げました。

守りの桂馬と攻めの桂馬の交換は囲いが薄くなるので守るほうが損です。65の位は奪回したのですが

全部抑え込むのは失敗しました。

この端を攻められるのは思っているより厳しかったです。右玉で端を攻められたというのと同じ感じです。そうおもえば玉を右に逃げたいのですが、それは後手の勢力が強く、左側で頑張らなくてはなりません。

取り込まれて98歩でもこじ開けて86桂の筋で破られてしまいます。

角をとっても飛車を追われて

この香車が痛打。悔しくても48歩しかなかったかもしれません。

角を打ったのですが、本来は28の角が移動すべきところなので、これでは形勢挽回に至らず

後手玉は43馬でも詰まない(3手すき)なのに先手玉に詰めろがかかりました。47香成が挟撃なのです。

こういう竜が成立したらほぼ受けはなく

詰んでしまいました。


ひねり飛車というか、大山式石田流というか、振り飛車左玉というか、面白い序盤でしたが、大山先生は戦う場所に困ります。相手が振り飛車ならまだよかったのですが、左から攻めれば自玉が薄くなります。もっと玉を移動しても敵の攻撃陣の目の前に持ってくることになります。
駒がぶつかってから特に悪手があるということでもないのですが、戦う場所に困りました。ということは丸田先生の73角が好手だったということでしょうか、難しいですね。
丸田先生の中盤以降が見事だったということで、後手から見て並べておくのがよいのでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:丸田祐三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 7八銀(79)
6 4四歩(43)
7 6七銀(78)
8 4二銀(31)
9 6五歩(66)
10 4三銀(42)
11 7五歩(76)
12 3五歩(34)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 7七角(88)
16 1四歩(13)
17 8六歩(87)
18 4五歩(44)
19 7八金(69)
20 3三角(22)
21 3八飛(28)
22 3二金(41)
23 3六歩(37)
24 同 歩(35)
25 同 飛(38)
26 4六歩(45)
27 3八金(49)
28 4七歩成(46)
29 同 金(38)
30 7七角成(33)
31 同 桂(89)
32 4四歩打
33 6八玉(59)
34 3四歩打
35 7六飛(36)
36 4一玉(51)
37 2八角打
38 9二飛(82)
39 8五歩(86)
40 4二金(32)
41 3八銀(39)
42 3二玉(41)
43 1六歩(17)
44 6二銀(71)
45 4八金(47)
46 7二金(61)
47 4七銀(38)
48 5三銀(62)
49 5六銀(47)
50 2二玉(32)
51 7四歩(75)
52 同 歩(73)
53 同 飛(76)
54 7三角打
55 3七金(48)
56 5五歩(54)
57 4七銀(56)
58 6四歩(63)
59 7六飛(74)
60 6三金(72)
61 4六金(37)
62 7五歩打
63 8六飛(76)
64 5四銀(53)
65 5六歩(57)
66 6五歩(64)
67 5五歩(56)
68 4五歩(44)
69 5六金(46)
70 4四銀(43)
71 6五桂(77)
72 6四角(73)
73 6六銀(67)
74 7三桂(81)
75 同 桂成(65)
76 同 角(64)
77 7四歩打
78 同 金(63)
79 6五歩打
80 4三銀(54)
81 7六歩打
82 8四歩(83)
83 7五歩(76)
84 8五金(74)
85 8九飛(86)
86 9五歩(94)
87 6四歩(65)
88 同 角(73)
89 6五金(56)
90 7三角(64)
91 6四歩打
92 9六歩(95)
93 6三歩成(64)
94 9七歩成(96)
95 7三と(63)
96 9八と(97)
97 5九飛(89)
98 9九と(98)
99 5四歩(55)
100 4六香打
101 9三歩打
102 同 飛(92)
103 6四角打
104 4七香成(46)
105 4二角成(64)
106 9七飛成(93)
107 8七歩打
108 7六金(85)
109 7七銀(66)
110 8七龍(97)
111 7九桂打
112 6七歩打
113 同 金(78)
114 同 金(76)
115 同 玉(68)
116 7六銀打
117 投了
まで116手で後手の勝ち

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20160406今日の一手<その306>; 争点を作る

2016-04-06 | 今日の一手

20160406今日の一手

2月28日の名南将棋大会から、NさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と角歩の交換です。持ち歩があるので歩はカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さはやや先手のほうが堅いです。63の金が71ならば同程度です。63金は上部には厚いので、後手が玉頭方面から攻めるのなら良いのですが。
先手の攻め駒は55角と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は45飛と持ち駒銀で2枚。

総合すれば先手が有利です。

大局観として
駒得ではあるのですが、ゆっくりしていて後手から75歩と攻められては厄介ですし、後手の飛車成りも見えていますから、持久戦にしないで攻めるほうがいいでしょう。
駒得で玉が堅いのですから、攻め駒を増やせば優勢ということになります。57の飛車を使えば3枚。もう一枚は29の桂馬を、というのは難しいので、77の桂馬を利用するか、21桂や33銀あたりを取って使うような展開にするか。あとは持ち歩を と金にするというのもあります(が難しそうです)。


× 実戦は33角成でした。

角を追われて切るのならわかりますが(追われた手を無駄にできる)、ここでは早すぎます。駒得が消えました。33同桂27飛25桂

Mさんとしては好調子です。駒がさばけてきました。33角48飛成11角成(24角成がよかった)49角26飛35銀

飛車を殺されてしまいました。Hさんはここから後手玉に食らいついたのですが、足りませんでした。


× 角を切る前に27飛のほうがいいでしょう。

49飛成なら65歩同歩64歩を入れて

62金引33角成同桂24飛

35角21飛成41歩63銀

これでいい勝負ではあるのですが、後手の竜角の働きもよいです。後手が有利なのでしょう。


○ 飛車成を防いで46歩としてみます。

25飛に65歩29飛成64歩62金引67飛71桂32角

駒損を回復できそうで、これなら悪くないでしょう。

25飛65歩のとき同歩で

これは歩切れで何もないようですが、52角があります。
29飛成に63角成

63同金65桂(取れない)64歩73桂成同金65桂

先手の攻め駒が3枚だけですが、後手が受けきるのは大変です。後で57の飛を67から64にさばけば勝てるでしょう。

46歩に42飛と辛抱されたら

27飛に44銀打が強い手ですが51角と攻めます。

飛の逃げ方も色々ですが、22飛44角同銀24飛

という感じで強く攻めればやや先手よしです。横からの攻め合いなら指しやすくなるでしょう。


○ 65歩を先にして

65同歩46歩となれば

前とほぼ同じです。この突き捨ては大きな傷にはなりません。

65歩に48飛成は67飛とまわるのが幸便。

65歩同桂同桂同飛54銀64歩62金引68飛

勢いで68同竜同金寄55銀同歩

こうなった時に後手の手番ではあるものの、33銀が残ったまま、攻め駒の枚数が違うので先手がよいでしょう。


× 67飛と先逃げするのもありそうですが

54歩の時に拠点を作っていないので33角成は早く、28角しかないのが難点です。48飛成17角なら

これは26角打から65歩同歩64歩と攻めるのが調子が良くなります。

それを避けて54銀28角49飛成

これは後手が先に桂香を拾うことになるでしょう。先手よしとは言えません。


× 22歩(あるいは32角)と駒得を拡大しようとすると

54歩28角48飛成27飛38竜

これはおかしくなります。


最後にやった22歩や32角は駒得を拡大しようとする手ですが、落とし穴が多いですからあまり考えないほうが良いです。
逆に実戦の33角成は駒得を放棄する手で、しかも遊んでいるような銀と交換するのですから方向が違います。

駒得だからと考えるのは後回しにして、攻める方を考えたほうが良い局面です。その時には27飛から2筋を破るか、65歩から6筋を攻めるか、あるいはその組み合わせです。

感覚的には33角成から24飛とさばくというのは(時々出てくる筋ではありますが)損とも得とも言えません。そのあとの飛成が厳しいかあるいは33同桂の後にその桂馬を取れるか、ということがなければやりたくない手なのです。
この場合は21飛成に41歩がある(後手の飛車が4筋で先手の飛車が2筋なので内側の飛車のほうが受けに利く)のですから飛車成の効果が小さくなるのです。

ですから戦線拡大で65歩から拠点を作ったり左桂も攻めに使うのがよいでしょう。

歩切れになるのに46歩は盲点ですが、25飛52角から強引に食いついて相当です。この筋が(水面下でも)あったので先手がよくなります。
その筋がなければ65歩同歩64歩62金引51角

として食いつくことを考えるのでしょう。これも悪くはありません。

先手の囲い(ミレニアムが少し崩れた)は穴熊のように攻めることを考えたほうがいいのでしょう。居飛穴で高美濃や銀冠に65歩と突いていく筋はよく見ますね。この場合は左桂を攻めに使える分だけ得ですが、その分囲いが薄いので穴熊よりも神経を使います。




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