名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(124); 四間飛車に中央位取り

2016-04-14 | 大山将棋研究
昭和48年11月、勝浦先生と第23期王将戦です。


大山先生の四間飛車に勝浦先生は急戦の構え、それを見て32金が大山先生らしい手です。

勝浦先生は急戦をやめて中央位取りに。

中央位取りの後は4筋から攻めるのと、持久戦にするのがメジャーですが、引き角もあります。これはそれなりに有力だと思います。この場合は大山先生が左銀のほうを囲いに使ったので、左金を相手にするのだからやりやすい感じです。

大山先生の好きな金を引く手。でもここではこれしかなさそうですね。

3筋の歩を交換した後で2筋も交換に行って

ここまでは勝浦先生が上手く指していると思います。

勝浦先生は24角のまま陣形整備をしたのですが(46か68に戻すのが普通)、大山先生はここで端に手を求めます。84歩73歩の形が独特ですね。63の銀を使いやすいと。

香車を釣り上げ角を打てば、勝浦先生は23角から馬を作って反撃。でも飛車をぶつけられて交換できません。

香を得して、大山先生が少し良くなりました。玉の堅さに差が出てきたのです。

ここで金を寄るのが大山流。でもこれは2筋が怖いのです。

52の歩を突きだしました。これはびっくりします。25歩は普通ですが、46飛24飛の後で32馬の金取りが受けにくいのです。

と金を作られても銀を引けばぴったり。

飛角交換ですが、41の銀にはひもが付いていますから飛車打ちは怖くありません。

飛車は成られても桂馬も手に入れてあとはどう寄せるか。

まずは平凡に香車から。

生角2枚ですが、97飛は86銀だから受けきりはできないので

69玉の早逃げに王手をしないほうが良いです。これなら67に駒を打ち込めます。

桂馬で縛って

と金を作ります。

さて先手玉に受けはないので、後手玉が詰むか、あるいは王手をしながら攻防の手があるかです。

どんどん追いかけて

相当きわどいです。

これで詰みかと思ったら

中合いで詰まず。これで投了なのですが(詰将棋の名手勝浦先生らしい)38同金としたときの詰みがぱっとわからないのですが、69飛58玉66桂と追うのですかね?

かなりの名局です。序盤は勝浦先生が上手く指したのですが、24角は引いておくほうがよかったのでしょう。大山先生が端を攻めるのは考えればわかるのですが、その前に63銀73歩84歩の形にすればよい、というのが思いつきません。これがとてもうまくいくのです。43金から53歩とか52銀とか、大山先生にしか指せない(この場合は24歩で危ないと思うので)です。そんな名手もありながら、最後に勝浦先生が追い込んで中合いの銀で投了図なんてすばらしすぎます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修7段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 3六歩(37)
20 4三銀(32)
21 5七銀(68)
22 3二金(41)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 5五歩(56)
26 5四歩(53)
27 同 歩(55)
28 同 銀(43)
29 5六銀(57)
30 6四歩(63)
31 5五歩打
32 6三銀(54)
33 7九角(88)
34 3一金(32)
35 6六歩(67)
36 4一金(31)
37 2四歩(25)
38 同 歩(23)
39 3五歩(36)
40 同 歩(34)
41 同 角(79)
42 3四歩打
43 2四角(35)
44 2二飛(42)
45 2五歩打
46 3二金(41)
47 5七銀(48)
48 8四歩(83)
49 6八金(69)
50 1四歩(13)
51 1六歩(17)
52 9五歩(94)
53 同 歩(96)
54 9七歩打
55 同 香(99)
56 9六歩打
57 同 香(97)
58 2四角(33)
59 同 歩(25)
60 7四角打
61 2三角打
62 3三金(32)
63 4一角成(23)
64 2四飛(22)
65 2五歩打
66 2二飛(24)
67 5四歩(55)
68 5二歩打
69 5五銀(56)
70 9六角(74)
71 6五歩(66)
72 1三桂(21)
73 1七桂(29)
74 6五歩(64)
75 2六飛(28)
76 4三金(33)
77 2四歩(25)
78 5三歩(52)
79 2三歩成(24)
80 2五歩打
81 同 桂(17)
82 5二銀(63)
83 2二と(23)
84 4一銀(52)
85 5三歩成(54)
86 同 金(43)
87 5四歩打
88 6三金(53)
89 6四歩打
90 6二金(63)
91 1三桂成(25)
92 同 香(11)
93 2三飛成(26)
94 6六香打
95 同 銀(55)
96 同 歩(65)
97 5三歩成(54)
98 9八角打
99 6九玉(78)
100 5三金(62)
101 同 龍(23)
102 8九角成(98)
103 6三歩成(64)
104 同 角(96)
105 1三龍(53)
106 6七桂打
107 4八金(58)
108 7九桂成(67)
109 5九玉(69)
110 6七歩成(66)
111 6三龍(13)
112 6八と(67)
113 同 銀(57)
114 6三銀(72)
115 8三香打
116 同 玉(82)
117 7五桂打
118 7二玉(83)
119 8三金打
120 6二玉(72)
121 6三桂成(75)
122 同 玉(62)
123 6四歩打
124 7四玉(63)
125 8四金(83)
126 同 玉(74)
127 7五角打
128 7四玉(84)
129 6三銀打
130 6五玉(74)
131 6六飛打
132 5五玉(65)
133 5六歩打
134 4五玉(55)
135 6五飛(66)
136 3六玉(45)
137 3九香打
138 3八銀打
139 投了
まで138手で後手の勝ち

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160414今日の一手<その310>; 攻めて良い時と悪い時

2016-04-14 | 今日の一手

20160414今日の一手

2月28日の名南将棋大会から、HさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角銀で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀で2枚。

総合すればやや後手が指しやすいです。

大局観として
まだ序盤と思えば駒組みでもよいです。玉の堅さで劣る分は中央の位でカバーするということになります。中央近辺に厚みを作ります。この時には角を持たれているので馬を作られないように注意が必要です。
後手の73桂が気になりますね。後手玉が少し薄くなったし、攻めようと思うのもわかります。ただし後手から65桂とはねれば3枚目の攻め駒です。反動に気をつけねばなりません。


× 実戦は58飛でした。

54歩から攻めようという意味ですね。63金31角32飛42銀27角

31角から42銀というのもあまりさえない手ですし、Tさんはこの角を見落としていました。馬を作られて失敗です。

63金には48金で

これなら角の打ち込みに対抗できました。24歩なら41角です。


でも58飛にはすぐに27角があって48金36角成までは仕方ないです。

54歩同馬に飛車を切るのは早いですし、困っていますね。


× 飛車を回らずに54歩のほうがよさそうです。

54同歩31角21飛64角成で成功のようですが、55角があります。

55同馬同歩32角22飛41角成に64角

51金寄で馬が死んでしまいます。助けるには24歩ですが56歩38金45桂

これは後手がうまくやりました。

38金と受けないで23歩成から取り合ったら

56歩が拠点で、45桂の味が良いです。後手が有利でしょう。

55で角を交換した後にゆっくり指せばそんなに悪くないのですが、強気で行くとうまくいきません。


× 56角はよく出てくる手です。

感想戦を見ていて、自信はなかったのですかこれくらいか、という話をしたのですが。角を打てば後手は65桂とはねやすくなります。66銀に44歩

後手から45桂の交換、そのあとに37角がみえているので急がねばなりません。24歩同歩34角

45桂同桂同歩同角42飛46銀

45飛同銀37角24飛19角成64飛

21飛成は12角があるので横に使ってみました。22飛成かもしれません。どちらにしてもこれなら悪くはないです。

後手からは34角に45銀という手があります。

45同桂同桂には46銀と打つのでしょう。

後手の攻め駒が多いので受けきれるかどうか怪しいです。32飛23角成36飛

24飛なら38角、38歩なら56角、後手の攻め筋が多くて受けきれません。

この56角は1歩取ってゆっくり指そう、そのあと3筋の歩を伸ばしていければ理想、という手ですから、銀交換をしないで(先手から55銀とぶつけた)

こういう図なら悪くないのです。銀交換して後手の攻撃力が上がると、反撃がきつすぎます。


△か× 駒組みを進めるなら普通は58金右ですが

39角26飛84角成

馬を作られると少し損ですが66角と打てば消せます。しかし後述の44角があります。


× 26飛は39角を避けたのですが

古い棋譜を見ると、相掛かりで56歩を突いていたので、39角を避けて浮き飛車にするというのはよく出てきます。ここから駒組みを続けて

これくらいになれば互角です。47金とするか、57銀から56銀と立て直すか、手厚く56銀と打ってしまってもよいかもしれません。後手のほうが手詰まりになるので、先手に自由があります。

ですが26飛に44角がありますね。

27飛55角46銀44角66銀54歩

1歩損でも後手に生角を打たせたのでそんなに悪くないのですが、位が消えたのですから少し不満です。


○ 66銀と出てしまえば

39角を防いでいます。65歩なら57銀から56銀であまり文句はありません。
44歩を待って角打ちが消えたので26飛として持久戦を目指します。


× 66歩は普通の手ですが

56角でだめですね。角打ちがなくてもこの場合は玉が堅くならないのであまり得ではありません。


× 29飛はたまに見ますが

後で47銀が生じるので下段飛車の構想は難しいです。




問題図の前に先手から銀をぶつけたのがあまり良い手ではありませんでした。玉が堅ければ攻撃力を上げるために互角で駒を交換するのは得になるのですが、玉が薄い場合は駒交換を避けるのが基本です。

問題図で58飛や54歩というのは強く攻めようという手ですが、玉が薄い場合はしっかり読まないと指せません。自信がなければ見送ったほうが安全です。

56角は歩得をして少しゆっくり攻めようという感じの手ですが、後手に反撃のチャンスを与えてしまいます。玉の堅い相手に反撃されたら大変です。この場合はすぐに攻め駒が4枚になってしまうので受けきれません。

ということで、攻めには成算がなく、駒組みを続けようと思った場合は角打ちに対応しなければなりません。
角交換には5筋を突くなという古くなったかもしれない格言があるのです。今は角交換で中飛車とか、一手損角換わりで46銀~56歩~55銀とか、例外も出てくるのですが、制約は多くなるのです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする