さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

122ポンド級での「適応」なるか 長谷川穂積、最後の挑戦

2016-09-09 18:39:29 | 長谷川穂積



ということで明日は未明にロシアでエデュアルド・トロヤノフスキーに小原佳太が挑み、
夜には改修なった後楽園ホールで松下拳斗が尾川堅一に挑みます。
明後日は朝からWOWOWオンデマンドでTVで、あれやこれやと。

サッカー好きな人は土曜夜にマンチェスター・ダービーがあるし、
野球はというと広島カープ優勝が今日か、週末に決まるかと。
私はというと球技を全部パスしたとしても、日曜夕刻からはGPが(汗)

ということでこの週末は、土曜日に用事を済ませて、日曜は一日中TVっ子です。
で、週が明ければ、金曜日にはあっとういうまに府立ダブルです。
7月、8月とダブル世界戦がありましたが、今回のはある意味、集大成でしょう。

そんなことで、いつアップしていいかよくわからなかったプレビューめいたものを、
思い立って今日、やっておこうと思いました。
とはいえ、大した予想が出来るわけでもないのですが、簡単に思うところを。


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一昨年の大阪城ホールにて、完全に終わったと思われた長谷川穂積のキャリアは、
望外ともいうべき昨年5月の再起戦勝利によって、さらに継続することとなりました。
昨年12月の再起二戦目は、二度ダウンを喫しつつも勝利。
この二試合を通じて見えたものをもって、今回の試合を読み解けるものかはわかりませんが。

オラシオ・ガルシア戦は、122ポンド級ランカーと、126ポンド契約で闘い、ほぼ完封。
カルロス・マチュカ戦は、130ポンド級ランカーと、127ポンド契約で闘い、二度倒される苦闘。

ガルシアは普段、122に落としたあと、体重を戻して闘う選手でしょうし、その過程を省いた形で、
重い契約体重が足かせになったわけではなかったでしょう。ただ、元々が強打者である反面、
長谷川から見れば若干、スローテンポな選手だったことも確かでした。
長谷川が「良い回り」に持ち込めば、充分勝てる相手だったと思います。

マチュカは、130ポンドでは余裕のある体格でしたが、それでも長谷川よりはだいぶ大きく、
パワーでも上回る印象でした。こちらも目に見えて速いではないが、その部分で長谷川を脅かしました。


で、今回のウーゴ・ルイスです。
バンタム時代に来日した試合では、相手の頭突きに威嚇されて押された序盤の失点が響き、
僅差ながら敗れましたが、大柄でパンチ力があり、それが生かせていれば充分勝てた試合だったでしょう。
その後122ポンドに上げ、フリオ・セハと1勝1敗、共にKO決着。
WOWOWで見た二試合では、減量苦が軽減され、自身の強みを攻撃面で存分に発揮している様子でした。

防御に関しては、特別秀でているとか、抜群の勘があるという選手ではないように見えます。
体格、リーチを生かして、相手に攻めさせない形でしょうか。
パンチ力はかなりのもので、じっくり構えて相手を見、長い距離を維持して突き放し、
相手が入ってきたらアッパーの迎え打ちもある。
スピードは平均くらいながら、余裕をもって構えたら、なかなか攻めにくそうです。


現状の、というか試合当日、一昨年以来、3試合ぶりに122ポンドでの計量を経た長谷川が、
どういう調子かに左右されますが、IBFのような当日計量がない今回、好調に仕上がれば、
長谷川がルイスのロングのパンチを引き出して外し、左から入って、当てては右へ出るのを基本に、
当てて外して、という流れに持ち込めると見ます。ガルシア戦同様、或いはそれ以上の出来であれば、です。

しかし、動き自体は悪く無くとも、防御のセンサーに狂いが生じ、好打されるようなことがあると、
上のクラスのパンチに脅かされ、ダウンを喫したマチュカ戦のような危機もありえるでしょう。
もし調整が上手くいかず、その他の故障なども重なればなおさら、容易に想像出来ることです。


ウーゴ・ルイスは、ガルシア同様、長谷川から見て特別相性が悪い相手ではないですが、
マチュカ同様、或いはそれ以上に、一打の決め手を持つ選手でもあります。
そして122ポンド級における順応、適応という面では、長谷川の一歩先を行っているのも事実です。

結局、長谷川はこのクラス、体重において、キコ・マルチネス戦以外に試合実績がないも同然で、
ルイスとの戦力比較以前に、そこが一番の疑問、不安だと感じます。

ガルシア、マチュカ相手に、良いところも悪いところもありましたが、この二試合は結局、
フェザー級の試合でしかありませんでした。122ポンドの現役世界王者の刻むリズム、テンポに
長谷川が問題なく対応し、動いて外して、と思うさまに闘えるものなのかどうか。
この一階級の差から生じる違いが、ほんの僅かなものだとしても、長谷川の勘を狂わせることはないのか。


長谷川本人のインタビューなどを専門誌で読むと、本人は相手どうこう以前に、
勝つためのボクシングに徹する、という旨を、冷静に語っています。
私も、長谷川が冷静に、思うように動いて闘えるなら、全盛期は過去のことだとしても、
現状でも充分に勝てる相手だと思います。

いざ試合が始まって、ルイスとの対比がどうなのかはわかりませんが、
距離が長く、入れないなと思っても、無闇に突っ込まず、距離を取って相手を見た上で、
左から入るルートを見つけて、丁寧に崩していく。
そんな冷静さが見えれば、その時点で充分勝てる、と見ていいはずです。
それが出来るのなら、イコール好調の証、でもありましょう。
ガルシア戦、マチュカ戦の序盤も、そういうイメージでした。

しかし、もしそうでなかったら、ジョニー・ゴンサレス戦のような無理の積み重ねが
また繰り返されたとしたら、きっと厳しい展開が待っているでしょう。



改めてですが、報じられている長谷川のコメントは、試合前から本来の試合予想とはまた別の
「余計」な心配が排除されたものである、と感じます。
何も知らないファンの想像でしかありませんが、キコ・マルチネス戦前の様子とは、だいぶ違うような。
そういう意味では、重苦しい感じというのは、そんなにはありません。

9月16日のリングで、結果がどうであれ、我々は現在の、ありのままの長谷川穂積のボクシングを
余すところなく見ることになるのでしょう。

もちろん、なんとか、というか、なんでもいいから勝ってほしい、というこちらの
勝手な思いだけは、いついかなるときでも不変なのですが...。



コメント (4)
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