蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

少女は卒業しない

2024年03月12日 | 映画の感想
少女は卒業しない(映画)

廃校が決まった高校で卒業式の日とその一日前の高校3年生の不安定な心を描く。
山城(河合優実)は式で返辞を読むことを引き受ける。引き受けたのには理由があった。
バスケ部部長の後藤は進学して上京が決まって、地元に残る彼氏と微妙なムードになっていた。
軽音楽部部長の神田は、幼なじみの森崎にボーカルとしての実力を発揮してもらいたがっていた。
クラスになじめなかった作田の居場所は図書室で、そこで司書?の坂口先生(藤原季節)とおしゃべりするのが楽しみだった。

原作は朝井リョウで、そのわりにはキラキラ系の高校生ばかりなのが意外だった。しかし、監督もそこは原作者の真意?を悟って?いたのか、光彩を放っているのは、くすぶり系の森崎と作田だった。
昨今、各方面で評価の高い河合優実は、役柄とマッチしてない感じがしたかな。もっとドライな役回りが似合っていると思う。

作田役の人(中井友望)がとても上手で、孤独で同級生となじめない雰囲気がよく出ていた。

私も高校時代クラスや部活では孤立していて、席に座っていても居心地最悪なので、空いてる時間はいつも図書室にいた。坂口先生のような素敵な司書の人はいなかったが、そこで読む岩波の世界史講座(内容が専門的すぎ、分厚くて、確か10巻以上あって、いつまでたっても読み終えることができない所がよかった)だけがともだちだった。

高校の卒業式には出席したはずだけど、その記憶は100%欠落している。多分、作田のように最後になって何人かのクラスメイトと心通わす、なんてとこも皆無で、一人で自転車にのって田んぼ道を帰ったのだと思う。
だから、高校を卒業したら地元には残りたくなくて、親に無理を言って東京に行った。幸い、大学生の4年間はウソのように楽しく、地の底から天上のパライソにすくい上げてもらった気分だった。

作田と、高校生の頃の自分と、似たような立場にある高校生にいってあげたい。
大丈夫だよ、もう少しのガマンだ。

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