蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スパイの妻(映画)

2021年11月30日 | 映画の感想
スパイの妻(映画)

1940年、神戸で貿易商を営む福原優作(高橋一生)は妻:聡子(蒼井優)と優雅な洋風の生活を楽しんでいた。聡子の幼なじみで憲兵の津森(東出昌大)はそれを苦々しくみていた。優作は満州に行き日本軍の重大な秘密(細菌兵器の開発と人体実験)を知ってしまい、その証拠を持って聡子と渡米する計画をたてるが・・・という話。

結局、優作は大義のために聡子を捨てようとしたのか否か?は(多少の配慮?はあったものの捨てようとした、と思えるものの)最後まで曖昧なまま。
見ている方に委ねるというのも悪くはないけど、優作側の葛藤みたいなものを描くシーンもあってほしかったかな。
それとも優作は目的のために手段を選ばない男だったという含みなのだろうか?妻を愛する外見は世を忍ぶ仮の姿で、実は冷酷非情だったことを感じさせる所も(前半で)あったような気もする。

あと、優作はどうみても「スパイ」じゃないよなあ。
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ドクター・デスの遺産(映画)

2021年11月29日 | 映画の感想
ドクター・デスの遺産(映画)

父親があやしい医者に安楽死させられた、という子供からの通報により、刑事の犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は捜査を始める。やがて同様の事例が多発しており、あるサイトから誘導されていることがわかるが・・・という話。

うーん、やりようによっては安楽死の可否を問うヒューマンドラマ、あるいはシリアルキラーを追う刑事モノとして面白くなりそうな原作だと思うのだが・・そのどっちにもなってなかった。というか有体にいうともう少し真面目に作ってほしいなあ、という感じ。

原作は犬養刑事のシリーズものとのこと。もしかして映画もシリーズものだから犬養と高千穂の関係性の説明をしないのかと思ったがそうでもないみたい。せっかく今一番忙しそうな二人を起用したのだから、多少なりともキャラを掘り下げてもらいたかったなあ。
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大名倒産

2021年11月28日 | 本の感想
大名倒産(浅田次郎 文藝春秋)
幕末、越後の丹生山松平家は多額の借金を抱えていた。十二代目当主は、現金を溜め込んでおいてからわざと改易されるといるという計画倒産?を目論む。その父から家督を譲られた十三代目信房(小四郎)はそんなたくらみは知るよしもなかったが、やがて藩内外の不穏なムードを感じだし・・・という話。

本書によると、大名貸しの返済に行き詰まると、大名は借金した商人を集めて一言「断る」といえばすべてチャラになってしまう(これを「お断り」という)らしい。
これが本当かどうかよくわからないが、はるか昔の日本史の授業では、大名貸しに傾斜しすぎて身代をつぶす大商人は珍しくなかったはずだ。
もっともいったん「お断り」をしてしまうと信用が落ちて二度と借金はできなくなりそうなものだが、これまた現実はそうでもなかったらしい。
そもそもなぜ大名貸しなどという危ういビジネスをしていたのだろうか?という疑問がわくが、現代でも何度も「お断り」に近いことをした国の債券をしょうこりもなく買う金融機関がたくさんあるからなあ。1つの大名に集中するからいけないのであって、分散すればそれなりに収益率が高い商売なのかもしれない。

浅田さんの江戸モノは(そういうのが一切ない中国モノと違って)ユーモア小説仕立て?のものがけっこうあるが、これまではイマイチかなあ、と思っていた。しかし本作は(後半ちょっとダレるものの)面白く読めた。多分、(お涙頂戴などに走らず)徹底的にお笑いにしたのがよかったのだと思う。

七福神のうち日本生まれは一人(恵比寿)しかいない(その他は中国とインド)、という豆知識と、
この世で医者の沈黙ほど恐ろしいものはない、
というギャグが印象に残った。

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佐々木、イン、マイマイン

2021年11月26日 | 映画の感想
佐々木、イン、マイマイン

悠二は役者志望だが、なかなか芽がでない。同棲しているユキともうまくいかなくなり、職場もつまならくて閉塞感が強い。高校時代の同級生と飲み明かすうち、当時、学校の人気ものだった佐々木のことを思い出す・・・という話。

佐々木は(めったに帰ってこない)父親とボロい家で二人暮しで悠二たちはしょっちゅう佐々木の家にたむろしていた。
家に寄り付かない父親もたまに帰ってくると佐々木とテレビゲームで遊んだりするのだが、その父親とも死別してしまい、天涯孤独となった佐々木の様子を描くあたりがこの映画のみどころかなあ、と思えた。

両親が共働きでとても忙しく、主に祖母に育てられた同級生がいた。相当なお金持ちでせがめば何でも買ってくれるようで、よくその子の家に数人で集まっては物珍しいおもちゃなどで遊んでいた。
休日にいつものようにその子の家で3人くらいの同級生と遊んでいたら、突然その子の父親が帰宅(喪服を取りにきたらしいことを妙に鮮明に覚えている)して、とてもきまずかったことを思い出す。(映画の内容とあまり共通点はないな・・・)

悠二や佐々木、その同級生は、外見的に高校生役はちょっとしんどいかなあ。
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騙し絵の牙(映画)

2021年11月25日 | 映画の感想
騙し絵の牙(映画)

老舗出版社の薫風社のオーナー社長が亡くなり専務の東松(佐藤浩市)が実権を握る。東松が不振雑誌の整理を進める中、その一つであるトリニティの編集長に就いた速水(大泉洋)は斬新な企画でたてなおしを図る。トリニティの編集者で文学好きの高野(松岡茉優)は姿を消した伝説的ベストセラー作家に新作を依頼する企画をたてるが・・・という話。

原作(未読)は大泉さんに当て書きしたそうだが、映画ではふだんの大泉さんのキャラとは合わないような役柄になっていた。むしろもうちょっと若いころの佐藤浩市さんがぴったり(フィクサー的にいろいろな人を裏から操るというイメージ)のような気がした。

決してつまらないわけではなくて、退屈せずに最後まで見られる。
ただ、主役級の人ばかりの超豪華なキャスティングも活かしきれていないように思えた。その中で、(主筋とは全く絡まないが)エキセントリックな流行作家役の國村隼さんが、いつもとは異なる役柄と長髪で目立っていた。
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