蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

中原の虹(三)

2007年07月22日 | 本の感想
中原の虹(三)(浅田次郎 講談社)

西太后が逝去した後、張作霖が東三州をほぼ手中に収めるまでを描く。

張作霖は、日本ではあまり人気がないような気がするし、息子の学良はさらに評判がよくないような気がする(気がするだけかもしれませんが)。

しかし、この作品では張作霖は一代の傑物として描かれ、学良も本格的には登場してこないが、時々姿を現すときも好意を感じられる描写になっている。

全編、張作霖が主人公になって物語が展開するかというとそうでもなくて、数多くの登場人物が列伝的に次々に登場する構成になっていて、やや散漫さを感じた。

一つ一つのエピソードは、そこだけ切り取って短編にしても十分なほどで、特に不満があるわけではないけれど、比べるのが「蒼穹の昴」とあっては、やはり、多少、その、色あせた感じがあるのは否めない。

やはりこのシリーズの主役は西太后なのであって、主役亡き後、中原の虹の三巻と四巻はおおいなるエピローグに当たるものなのであろうか。
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ワールド・トレード・センター

2007年07月06日 | 映画の感想
ニコラス・ケイジ演じる主人公(消防官)は、被害にあったワールド・トレード・センタービルの救出活動に向かうが、途中でビルが崩壊し生き埋めになってしまう。チームのうち主人公ともう一人だけが生き残り、救出される。
救出までの二人のやりとりと安否を気遣う家族の動向が描かれる。

生き埋めになっている間の場面に描写にかけられている時間はかなり長いが、顔もみえないくらい暗い画面で、動きがほとんどなく、映画的ない面白さには欠ける。また、ストーリーも一直線に結論に向かうのみ、という感じ。

オリバー・ストーン監督というと、反体制的というイメージが(私には)あるのですが、この映画は「連邦政府+ニューヨーク市提供」といった感じの内容でした。
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