蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ゲーム・オブ・スローンズ(TVシリーズ)

2023年03月24日 | 映画の感想

ゲーム・オブ・スローンズ(TVドラマ版)


足掛け2年くらいかけて、やっと全部見終わった。
複雑な筋で、登場人物が異常に多く、寄り道ばかりする原作をかなり忠実に映像化していることに感心した。
いつまでたっても新刊がでない原作を(ストーリー上で)追い越してしまっても、欧米ではものすごい人気だったこともあって原作者監修のもとエンディングまで作ってしまったのもすごい。

ただ、最終話でXXXが△△△を殺害しまうという結末は、ちょっといただけなかったなあ。もっとも△△△は不死のはずなので、続編のための布石にすぎないのかもしれないが(なんならXXXも不死だし)。
そういえば原作で蘇ったキャトリンはどうなったんだろ?蘇ったシーン以来登場していないような・・・

あと、原作でもTVシリーズでも、私のお気に入りだったピーター(特に原作で故郷のフィンガーズをサンサと訪れるシーンが好き)が単純な悪者扱いで殺されてしまうのも残念だった。

本シリーズの統一タイトルは「氷と炎の歌」。氷はジョン、炎はデナーリスを指しているはずで、この2人が主人公という構想だったと思うのだけれど、どうも蓋をあけてみるとラニスター家の4人(親父のタイウィンも含む)のキャラが鮮烈すぎて、原作でもTVでも前面に出てきてしまい、”ラニスター・サーガ”に化してしまったかにも思える。
結局はティリオンがキングメーカーになって傀儡政権がウエスタロスを支配することになったのだし・・・

 

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シン・仮面ライダー

2023年03月24日 | 映画の感想

シン・仮面ライダー
恩師?の緑川博士に昆虫と人間の属性を兼ね備えた??オーグに改造された本郷猛(池松荘亮)は、緑川の娘:ルリ子をオーグ化推進組織?のショッカーから守るべく立ち上がる。。。という話(かな)

虎の穴が組織を裏切ったタイガーマスクに刺客を送るように、本郷も裏切り者扱いだったから次々ショッカーの改造人間(本作ではオーグ)が襲ってくるんだっけ?と、よく思い出せないのだが、どうもなぜ仮面ライダーがショッカーと闘わないといけないのかよくわからなかった(ルリ子を守るため、くらいの動機しか読み取れなかった)。

まあ、そんなことはどうでもよくて、ライダー(本作ではバッタオーグ)と怪人(本作ではオーグ)との決闘シーンがよくできていれば満足できると思っていたのだが・・・

蜘蛛男(本作ではクモオーグ)との対決あたりまではよくできていてその先がとても期待できそうだったんだけど。。

こうもりオーグはお笑い系という感じだったし(決闘シーンでサイクロン号が変身?するところはサプライズがあったが・・・)、ハチオーグ(西野七瀬)は全く強そうにみえなかった。
ラスボスのはずの蝶オーグ(森山未来)も、わりとあっさりやられてしまったかなあ。

「シン」(”真”の方ね)を名乗るのだし、監督の好みから言って石森原作を忠実にオマージュするのかなあ、と期待したけど、コマ割りとかふくめて完全にテレビ版を”新”化したものだった。
石森原作も少年マンガとしては随分晦渋だった記憶があって、さらに難解さを加えてエヴァみたいに全くわけの分からない筋立てで煙に巻いてもらいたかったなあ、と思う。

 

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ラーメンカレー

2023年03月24日 | 本の感想

ラーメンカレー(滝口悠生 文藝春秋)


友人(けり子)のロンドンでの(スリランカ系イギリス人との)結婚式に出席した後、イタリアのペルージャ近郊に暮らす妻の旧友の由里に会いに行く話と、やはりその結婚式に出席した窓目くん(著者の友人)が新郎の父母からスリランカのカレー料理を教わる話と、窓目くんの2つの恋バナで構成される連作集。

ペルージャの近くのさびしい山奥で子育てしている由里さんは、ブラジル人の夫チコに定収がなくて不安定な暮らしを送っている。由里さんんもチコも表向きは明るくしているが、ときには不安に苛まれるようだ。そうした日常生活では見てみぬふりしている不安に関する描写がよかった。

窓目くんの恋バナは、1つ目の大学〜社会人初期の頃の浜ちゃんとの話がよかった。ステディがいた浜ちゃんを窓目くんは近くで見守る。やがて男と別れた浜ちゃんがふらりと窓目くんの住処にやってきて時々泊まっていくんだけど、そんな関係もいつのまにか解消されてしまう。うーん、イマドキではないけど、そんな淡い関係性にあこがれを感じる。
2つ目の恋バナは外国人との遠距離恋愛なんだけど、これは相手が悪かった?窓目くんかわいそう。

2つの恋バナともに、窓目くんにはかなり気の毒な結末。窓目くんは実在するらしくて、ここまで赤裸々に書いてしまってもいいものなのだろうか?なんて心配になった。
それとも
もしからしたら、窓目くんの話も著者自身の体験談なのだろうか???

 

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詰むや、詰まざるや

2023年03月19日 | 本の感想

詰むや、詰まざるや(長谷川晶一 インプレス)


1992年と93年の西武とヤクルトの日本シリーズを、出場選手・監督のインタビューを中心に振り返るドキュメント。

印象に残ったこと。


●1992年第7戦 8回裏 この回からベンチに下がった清原が、先発した石井(丈)をベンチから大声で応援していた。石井は、「あんなスター選手が応援していくれている」と感激したという。
年齢も石井の方が上なのに、そんな風に感じるものなのだなあ、と意外に思った。同じチームの選手間でも無言の格付けみたいなものがあるんだなあ、ということと、ベンチからの応援って案外力になることもあるんだ、ということ。


●ギャンブルスタートがこの2年の日本シリーズで生まれたことは有名。それを考案したのは野村監督だが、この作戦が生まれた経緯が詳しく、かつわかりやすく書かれていた。それにしても野村さんってやっぱり偉大だよね。投手のクイックモーションをはじめとして、彼が始めて今や球界のスタンダードになった作戦は数多いが、その全てが彼一人の考察によって創造されたというのがすごい。


●当時のヤクルトのピッチャーがやたらと故障している。岡林、川崎、西村、伊藤、荒木等々。当時は今ほどには分業制はできていないから、今から見るとありえないような起用法が多いが、それにしてもエース級が軒並み故障というのは、使える、と見たら使い倒す野村さんの方針のせいだろうか???


●当時西武の伊東捕手は、試合中の配球をほぼ全て覚えていて、試合後のミーティングなどでソラでなぞることができたと、複数の人が証言している。コーチや監督で引く手あまたな理由がよくわかった。(ただ、伊東さんってテレビの解説でのしゃべりがイマイチなのが残念。解説中に次の配球とか聞かれるとズバリ当たることが多いのに、地のしゃべりが当たり前すぎることしかいわんような気がする)

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コンテナ物語

2023年03月11日 | 本の感想

コンテナ物語(マルク・レビンソン 日経BP)

今では当たり前のものに見える巨大コンテナ船の歴史は意外と浅く、1960年代にシーランドのマルコム・マクリーンを中心に、組合との協議や貧弱な港湾施設の改善とともに推進されてきた。


巨大コンテナ船による流通・貿易コストの劇的な低下がグローバルな分業体制の決定的要因になったことがうまく解説されていた。

 

海運関連会社は、船舶や港湾への過剰投資と不況による整理(立役者のマルコム・マクリーンも海運会社を破綻させている)を繰り返している。歴史を知る後世から見ると、「なぜ過ちを繰り返す?」と不思議に思える。

しかしそうしたサイクルを繰り返すことで海運業界全体としては拡大してきたわけで、巡り合わせが良ければ2021〜22年のように膨大な利益を計上できることもあるからやめられないのだろう。
同じようなことはどんな業界でもあって、典型的なのは半導体だろうか。そういうのを資本主義のダイナミズムというのかもしれない。

余談だが、コンテナを模した本書の装丁はなかなか素敵だ。

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