蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

オトナ語の謎。

2005年07月12日 | 本の感想
ほぼ日刊イトイ新聞編の「オトナ語の謎。」(新潮文庫)を読み終わりました。

ほぼ日刊イトイ新聞のコンテンツでは「うるまでるび」(育児の様子を書いたヒトコマ漫画)が一番好き(というかほぼそれしか見てない)なのですが、「オトナ語の謎。」に関しては、連載中は欠かさず見ていた覚えがあります。

文庫化された機会に読み直してみました。ほとんどのオトナ語が解説なしで理解できてしまうというのは、ある意味悲しいことかもしれません。また、会社で無意識にオトナ語を使ってしまったことに気づいて、少々照れてしまうこともあります。
「いまいま」(最新の情報というくらいの意味)というのは聞いたことも使ったこともなくて、「こんなこと言うか?」とHP連載中に思いましたが、最近、全く抵抗感なく使っている人がいてびっくり。

私の勤める業界は比較的隠語が多い方といわれていますが、新入社員のころ「マル」という隠語の意味には驚きました(ちなみにオトナ語にはありませんでした)。
「ああ、例の打合せ、マルになった」というふうに使うのですが、普通「マルになった」と聞けば、「うまくいった」とか「予定通り」という意味かとおもいますよねえ。しかし我が業界では「(予定していた)打合せは中止になった」という意味なのです、なぜか。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ターミナル

2005年07月12日 | 映画の感想
スピルバーグが監督でトムハンクスが主演では、期待度がかなり高めになるのもいたし方ないところです。そこまではいってないけど、レンタルビデオ屋さんで180円(金曜日は旧作が半額)で借りてきてヒマな休みの日に見て後悔するということは全くない程度の面白さはあります。
空港で9カ月すごすわけですから、貧乏くさい雰囲気が漂ってしまいがちですが、トムハンクスの暮らしはとても快適そう。コメディタッチの映画でここをリアルにしてもしょうがないわけで、おとぎ話は少々現実から乖離していないと楽しくありません。

キャサリンゼタジョーンズがトムハンクスに惚れられるスチュアーデス役で出演しています。これまで彼女が出た映画は3作しかみた(一番最近は「ディボースショウ」)ことがありませんが、いずれもねっとりとした化粧で会話しただけで毒におかされそうな妖しいルックスと役回りでした。この映画では普通の化粧、衣装で普通(よりは美人)のスチュアーデスをさわやか(?)に演じていて、「こっちの方が全然いいじゃん」「他にもさわやか系の役の出演作があれば見てみたい」と思いました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

琥珀枕

2005年07月09日 | 本の感想
森福都さんが書いた「琥珀枕」(光文社)を読み終わりました。
妖異が徘徊する古代中国を舞台にちょっとミステリっぽい仕掛けをした短編集です。

怪奇現象がおこり、妖魔の仕業かと思ったら実は人間の策謀だった、しかし、最後に魔力が炸裂して破局が訪れる・・・というパターンの話が多かったように思います。

「琥珀枕」というタイトルにしびれて読んだのですが、わりとあっさりした味付けで少々拍子抜けしました。もうすこしおどろおどろしいムードをかもし出してくれた方が、私としては好みです。
一番面白かった話は美女の人面瘡を持った男が、渡し舟にのった美女を川に引き込む妖怪の謎を解決する話で、このコンビ(?)を主役にしても面白い連作集ができそうな気がしました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最強の投資家バフェット

2005年07月09日 | 本の感想
牧野洋さんが書いた「最強の投資家バフェット」(日経文庫)を読み終わりました。
(ウォーレン)バフェットはアメリカの有名な投資家で、マイクロソフトの経営者ビル・ゲイツと保有資産額を競いあうほどの財産を主に株式投資によって築き上げました。そのご利益にあずかろう(?)と近年数多くの評伝が出版されています。

本書の著者は日本経済新聞の編集委員で、時折日経の本紙で資本政策などに関する署名記事を見かけます。主張が明確で難しい話題でもわかりやすく説明している記事が多く、そこから推測すると、他のバフェット本とは一線を画しているのでは・・・という期待から買いました。
目新しいトピックはありませんでしたが、本書の特徴はバフェットが投資したディズニーやコカコーラなどの企業・経営者の盛衰を詳しく紹介している点にあり、アメリカの名経営者の列伝のような側面があります。

バフェットの投資のコツは、公開財務情報の徹底した比較分析にあるとのことですが、これは一般人にはマネができないことです。しかし、バフェットは、最初の着目や最後に決断する局面において、自分の身近にあり自分が理解可能な製品・サービスを提供する企業を重視する(例えばチェリーコークが大好物なのでコカコーラに投資するとか)といわれており、「これなら私にもできるかも」とはかない希望をいだかせてくれます。これがバフェット本の売れる理由なのではないかと思います。
(もっとも、身近な銘柄を重視するというのは、ジョークが好きな彼の韜晦かもしれません。いくらチェリーコークが好き(一日5本以上飲むらしい。骨が溶けたりしないのか?)でも、それを理由として天文学的な金額を投資するはずありませんよね)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

捕虜収容所の死

2005年07月06日 | 本の感想
マイケル・ギルバートさんの書いた「捕虜収容所の死」(創元推理文庫)を読み終わりました。
イタリア軍の捕虜収容所からの脱走を企てるイギリス軍兵士たちの話。脱走計画と殺人事件の捜査が並行して描かれます。

昔(20年以上前)、厚紙の盤と駒で遊ぶシミュレーションウォーゲームに凝った時期がありました。どのゲームの中でもイタリア軍の戦力評価は非常に低くて、精強なドイツ軍とはスタック(同じマス(地域)に部隊を集結させること。1つのマスに集結させられる駒に限度がある)できず、だいたい囮とか捨石程度にしか使えなかったことを思い出しました。(当時やったゲームのすべてはアメリカ企業の発売していたものでしたが、ドイツ軍の機甲部隊はやたらと強力な評価がされているのに対してなぜかアメリカ軍の評価はかなり低く設定されていました。作者がドイツの重戦車に蹂躙された思い出でももっているのでしょうか?それとも湯水のごとく補給されるアメリカ軍とのゲームバランスの考慮だったのでしょうか?)

例によって話がそれましたが、この本の中のイタリア軍もなんだかヘナチョコです。それに加えてイタリア軍側は悪者ばかりで、一方のイギリス軍は(一見裏切り者として)殺される兵士も実は・・・といった調子でいい人が目立ちます。

確かこの本は出版された年の「このミス」の1位か2位だったと思いますが、選ばれたのは解決のロジックがとても鮮やかである点に要因があるのではないでしょうか。
ストーリーはかなり入り組んだ構造になっていますが、「なぜ彼しか犯人になりえないのか」という探偵役の兵士の説明は極めて簡潔で、かつ、伏線も十分なため、納得性が高いものになっています。
こうした謎解きの楽しさの他に、イギリス軍兵士の生態(?)が生き生きと描かれている点も本書の優れた点です。特に最終部分での収容所脱出後、友軍を求めてイタリア半島を彷徨するあたりの描写が出色です。

この本の本国での出版は1950年代とのこと。そんなのを発掘してきて文庫化したら、ランキングの上位を奪取して予想外の大ヒット・・・編集者冥利につきるというものですね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする