老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

馬鹿に権力を持たせてはならない!

2015-08-11 16:59:22 | 自民党政治
馬鹿の語源には諸説ある。その中で根拠は薄いとされているが、人口に膾炙された説がある。

・・「秦の2代皇帝・胡亥の時代に権力をふるった宦官・趙高が、あるとき皇帝に「これは馬でございます」と言って鹿を献じた。皇帝は驚いて「これは鹿ではないか?」と尋ねたが、群臣たちは趙高の権勢を恐れてみな皇帝に鹿を指して馬だと言った、との『史記』にある故事からとする説。」・・

この話、【法治主義】と【人治主義】の対立と読まなければならない。秦は、初代始皇帝時代、【法治主義】により全国統一を成し遂げた。ところが、その後、趙高が権力を掌握。この挿話のように、【法治主義】を【人治主義】に転換してしまった。その為、秦は、ほどなく滅亡した。後をおそった漢は、秦の失敗に学び、【法治主義】の国家を形成し、前漢・後漢あわせて400年余り中国を支配した。

磯崎首相補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言。秦の趙高の鹿を馬と言い張り、それを押し通すやり口と同じである。この発言は、近代国家の要諦である憲法を中心とした【法治主義】を根底から覆すものである。少なくとも、国家の為政者や役人たちが口にすべき言葉ではない。しかし、このような【人治主義】=【独裁権力】への誘惑は、権力者にとっては骨がらみのものである。

権力の本質は、人を支配するという【悪魔的誘惑】にある。人が人を支配する、という事は、どんなに配慮しても、何がしかの無理が伴う。権力者は、自分の思いが簡単に通らない場合、力づくでも通したいという誘惑に駆られる。この【誘惑】に抗しきるのは、自らの【理性】【知性】以外にない。

国家権力から、家庭内の権力に至るまで、権力の本質は変わらない。この本質をよく考えれば、権力を握る事より、権力を維持する事の方が難しい、という事が理解できる。

権力の本質を深く考えれば、権力者に取って一番重要な事は、【権力をどう使うか】と言う点にある事が理解されるだろう。【帝王学】とは、権力をどう使うか、というノウハウを教える事である。

そういう意味で【権力を使う】人間は、何のために権力を使うか、という明確な理念と誰にでも理解できる説明能力と権力を行使される人々の心理に通暁していなくてはならない。そうしないと、主観的にどんなに人々のためだと思っていても、権力を使われる側は、そうは思わない。その意味で権力者は、人間心理の達人である必要がある。

翻って、現在の安倍政権の権力行使を考えて見よう。

安倍首相が繰り返す「首相である自分がそういうのですから、間違いない」という発言から類推できるのは、彼が権力の持つ【デーモン】=【悪魔的誘惑】に取り憑かれている事が良く分かる。

「法的安定性など関係ない」と発言した磯崎補佐官などは、丸ごと権力の持つデーモンに取り憑かれている。彼を見ていると、【権力への憑依現象】をおこしているのではないかとさえ思われる。

実は、安倍首相やその背後の日本会議などの国粋主義・国家主義連中の多くは、【国家】と【個人】を直通させ、【国家】と【個人】の間の【社会】を無視したり、軽んじる。その為、【国家】の事を真剣に考えている(志がある)人間の行為は、多少社会的規範を外れていても(時には法規範を外れても)、それは志に免じて免罪できる、という発想に取りつかれがちである。戦前の右翼壮士たちの多くは、この種のタイプが多かった。

戦後民主主義は、戦前の反省の上に立ち、【社会】=【世間】を重要視して、他者や社会への迷惑を考えない人々を批判する風潮を作り上げてきた。現在、世界中の観光客から称賛される日本流の【おもてなし】【交通マナーをはじめとする集団的マナー】などは、この【社会】を大事にする発想から生み出されている。

この日本的慣行は、その多くは農村共同体的感性から生み出されている。1960年代、農村共同体が上げ底になって以来、その実態は失われつつあるが、精神として日本人のDNAに残っている。

しかし、21世紀に入って以来、新自由主義的弱肉強食の風潮が主流になるにつれ、社会を大切にする社会的気風が失われつつある。【おれおれ詐欺】に代表される現在の日本の変質は、この日本的【社会】の崩壊が大きな要因になっている。

安倍政治の最大の問題点は、【日本を取り戻す】などと称して、戦後日本の最大の動力であった【社会】を根底から崩壊させている点にある。このイデオロギー的背景にあるのが、新自由主義的【市場原理主義】である。もう少し、具体的に言うと、政治・官僚・財界・メデイア・米国とグローバル企業がタッグを組んだ支配体制が主導するイデオロギーが日本を席巻している。

この体制にくさびを打ち込んだ民主党政権(鳩山・小沢政権)は、文字通り革命的政権だった。そのスローガンである【国民の生活が第一】は、日本の支配体制(政・官・業・メデイア・外国企業)に対する見事なアンチテーゼだった。その為、彼らの総力を挙げた反革命キャンペーンに鳩山政権は瓦解した。同時に、その中心である小沢一郎もその政治的影響力を失った。

その結果、現在日本は戦後最低の政権である安倍内閣の恣意的政権運営で、日本崩壊の瀬戸際に立たされている。

覆水盆に返らず。失ったものを嘆いても始まらない。今、わたしたちが肝に銘じておかなければならないのは、本当の意味での法治主義国家、立憲主義国家の再生である。間違っても、鹿を馬と言い張る馬鹿に権力を任せてはならない。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水

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権力の限界 (竹内春一)
2015-08-12 08:27:21
中国人が絶賛する、「日本流の【おもてなし】【交通マナーをはじめとする集団的マナー】」は「農村共同体的感性から生み出されている。」

明治維新の富国強兵政策から、年貢を物納でなくて税金で納める制度に変わって今日に至っている。物納を税金に替えた途端、それまで土地を持っていた百姓は、土地を手放さざるを得なかった。土地を売って自ら小作人に転落していった。そのせいで日本の土地は、不在地主に集中していった。戦後の農地解放によって、不在地主の土地は小作人に分け与えられた。これが戦後民主主義の最大なものと言われる。戦後民主主義が無ければ、農村共同体はもっと荒れたものになっていたと思われる。

権力はカネで担保される。だからこそ権力主義は消費税増税を強行に進めるのである。ところが消費税増税によって車の販売量が減少している。国民の所得と消費も減少している。

秦の始皇帝が中国を統一したからと言って、中国のすべてを制したわけではない。わずか十数年で秦は瓦解していった。
安倍政権が消費税を増税して権力基盤を強化したところから、国力の衰えが始まった。安保法案(戦争法案)を国会に通すと、足元から大きな国民の反対にあっている。

来年からは税の強化が行われる。国民の所得から取れるだけの税金を取ろうとしている。債権の配当は無税であったのが課税されるようになる。その一方で企業の儲けには抜け道を作り、免税処置、減免処置がなされる。大を生かして、小を殺す、典型的な富国強兵である。

戦後70年は世界的に見ても貴重な体験であった。国が富むと言うことは、一人一人が豊かになって初めて可能なのだと、世界に証明した。
共同体の危機 (竹内春一)
2015-08-12 22:01:45
先月までギリシャ問題がマスコミをにぎわせていた。日本の株価に影響するとか、ドルが買われるのではないかとか、対岸の火事を見物する論調であった。実はギリシャ問題はヨーロッパ共同体の危機であった。背景にあるものは、富の集中である。グローバル資本の利潤は10%もある。ギリシャに限らずグローバル資本から資金を借りれば、借金が雪だるま式に膨れ上がる。

資本の論理を尊重すれば借りた金は返さなければならない。するとギリシャ国民はいずれ餓死することになる。ヨーロッパ共同体は当然に崩壊する。したがってヨーロッパ共同体を守ろうとすれば、資本の論理に制限を加えなければならない。今ヨーロッパで議論されているのは、資本の論理よりも共同体を守ろうね、と言うことである。

日本でも同じ状況である。日本でも貧富の格差が拡大している。企業の資本は毎年5%も増えているのに、国民の大多数は所得が減っている。50年もすれば、日本の富の90%は企業の物となると予測される。

日本の議論にはペテンが多い。外国人の評価は客観的である。中国人などの日本訪問が増えたのは、日本の現状を評価してのことである。良い評価も後50年も貧富の格差が拡大すれば、日本はアフリカ並になるであろう。

日本の国をどうしようと言うときに、米国が要望しているから、安保法案、TPPを通すと言うのでは、日本の破壊工作である。破壊工作が国民にばれないように、前もって日本を戦争状態にしようとしているのが安倍政権である。8月30日にはデモに参加しよう。
Unknown (Unknown)
2015-08-23 07:00:46
>彼らの総力を挙げた反革命キャンペーンに鳩山政権は瓦解した。同時に、その中心である小沢一郎もその政治的影響力を失った。

鳩山という馬鹿に権力を持たせた結果でしたね
鳩山氏は沖縄基地問題で「腹案がある」と言っていましたが、結局腹案とは何だったのでしょうか

小沢氏は集団的自衛権どころか集団安全保障を認めている人ですから、護憲とは正反対の人だと思うのですが
集団安全保障は、自衛の範囲でなくても世界の安定のためなら軍事行動を認めることです

小沢氏は国連決議があれば自衛隊を戦場に出すことは可能という主義の人です

護憲派の人は少なからず小沢氏を支持しているようですが、なぜ支持しているのか理解不能です

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