老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

権力奪取こそ野党の最大の課題

2019-01-31 16:16:32 | 政治
今年は亥年。12年に一度。選挙で大波乱の起きる確率が高い。

現在野党再編の第一弾が進行中。ただ立憲民主党の枝野代表は、民主党時代の右派との確執、小池都知事と組んだ希望の党の排除の論理に対する怨念が拭いきれていない。その為、乾坤一擲の大勝負に打って出る迫力に欠ける。

元大阪府知事橋下徹は嫌味な男だが、彼が「政治は権力。権力奪取しなければ、どんな良いことを言っても絵に描いた餅。権力を握ってこそ、政策が実現できる。その為には、ポピュリズムは必要。多数派を握るためには、ある程度のポピュリズムを許容する必要がある」と語っていたが、この認識は、傾聴する必要がある。

日本の野党は、政策的相違や理論的違いに拘泥しすぎ、些細な差異に、厳格すぎるきらいがある。野党の過去の離合集散は、その大半が些細な違いをことさらに煽りたてて分裂を繰り返してきたことにある。立憲民主党の現在の姿勢にも多少その匂いが感じられ、危惧している。

少しの違いを針小棒大に騒ぎ立て、自らの正当性をことさら強調する姿勢は、少なくとも選挙で権力を奪取する姿勢ではない。否、現実には、その逆の効果をもたらす。

万年野党で良いなら、その姿勢もありだが、国民からすれば、権力を奪取する気概の無い政治家や政党など何の役にも立たない。

当然である。何故なら、彼らに投票しても世の中は変わらない事が明らか。そんな政治家や政党に期待しても仕方がない。小沢一郎に言わせれば、そんな政治家や政党は、政界から去るべきだと言う事になる。

わたしは民主党が政権を握る以前から、「小沢一郎は革命家だ!」と主張してきた。この掲示板でもそう主張してきた。

その理由は明白。現在の日本の政治体制を変えるためには、選挙で勝利し、権力を奪取する以外にない。その為には、自分や自分の政党が消滅しても構わない、という明確な【自己否定】の論理が貫かれている。

小沢一郎には、【壊し屋】という異名がついているが、権力を奪取し、既存の体制をひっくり返そうとする人間や政党が、自らを否定できる勇気がなくて何の説得力があるか、という姿勢である。

彼がビスコンティの映画【山猫】の滅び行く体制側の侯爵の台詞を引用して、「生き残るためには、自らが変わらなければならない」と語っているのも、自民党田中派と言う旧体制のエリートである自らの立場を否定する事により、政界で生き残ってきた自らの半生を重なり合わせているのである。

※まず、「権力奪取」。安倍政権打倒。野党の使命はこれしかない。

目標が明確になると、次にやる事ははっきりしてくる。
(1)大きな政策の共有。
現在でいうと、①富の分配の公平⇒反新自由主義的経済②憲法改悪に反対③反消費税④反原発 程度は共有できる。その他の違いは、派閥の違い程度のおさめる。

(2)選挙区の調整
参議院 ①一人(32選挙区)区は野党の候補者は一人に絞る ②多数区は、各党が主体性を発揮すればよい。
(原則)⇒統一名簿方式で有権者に反自民政党一本化を印象づける必要性⇒政権奪取に本気であるという印象ができる⇒そのためには、候補者の事前選挙が必要 ・・・現実には、枝野幸男がかたくなに統一名簿方式を拒否しているので実現は難しい。 
③比例区
野党は統一名簿方式をつくり、野党票の分散を防ぐ (小選挙区の最大のデメリットである死票を防ぐには、統一名簿方式は必要条件。

統一名簿方式は、野党それぞれの「自己否定」を必要とする。一人一人の政治家や政党の覚悟が問われる。自党が有利かどうかという次元で論議をすれば、必ず壊れる。今一番野党に求められているのは、この覚悟以外にない。

(3)現実の動き
・・・・★28日に開かれた立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の5党1会派が結集した党首会談では、夏の参院選に向け、全国32ある「1人区」で候補者を一本化する方針を確認した。また共闘のベースとなる政策合意、それに伴う1人区以外の選挙区での候補者調整にも議論は進むだろう。
・・・政界地獄耳
・・・★各党党首は合意文書に「本通常国会において野党5党1会派は協力連携を強め、立憲主義の回復や、また国会の国権の最高機関としての機能を取り戻し、国民の生活を豊かにし権利を守るため、安倍政権打倒をめざし厳しく対峙(たいじ)していく」「今夏の参院選挙に際し、安倍政権打倒をめざし、32の1人区全ての選挙区において与党を利することのないよう、速やかに候補者一本化のための調整を図る」。・・政界地獄耳
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901310000137.html

ここで合意した内容は、理想にはまだまだ遠いが、かなり画期的である。

細川政権樹立の時は、選挙は各政党の独自性で戦い、選挙戦後の連立で権力を奪取した。民主党政権の時は、単独の政党で戦い、選挙に勝利して権力を奪取した。

今回は、過去二回とは違い、多数の政党が選挙前から調整協力して候補者を一本に絞り、選挙を戦う体制を整えている。前2回とは格段に難しい調整が必要になる。さらに前2回には蚊帳の外だった共産党が参加している。これもかっては考えられなかったファクターである。

そういう意味で、一歩ずつではあるが、野党協力が進みつつあるという認識で国民も選挙に臨むべきであろう。

安倍ファッショ政権を終わらせなければ、日本に未来はない、という認識で協力しなければならない。

※安倍政権打倒 野党の権力奪取以外に、日本復興の道はない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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小沢自由党の国民民主党への合流(2)

2019-01-29 09:42:08 | 政治
いよいよ今日(1/28)から通常国会がスタートした。それに先立ち国民民主党と小沢自由党の合流ニュースがあったが、国民民主党の党内事情で当面統一会派からスタートしたようだ。しかし今日の両党議員の統一会派総会のVTRでは、参議院選までには合流も織り込み済みの雰囲気が感じられた。また早速今晩から玉木、小沢両党首が都内で街頭演説しているVTRを見たが、聴衆も結構集まっている様子で良いスタートである。

国民民主党と自由党の街頭演説
https://www.youtube.com/watch?v=KynzdkVUgu0

一方昨日山梨県知事選の結果がでたが、旧民主党が推した現職が自民・公明が推した新人候補に敗れた。

経過は現職知事は立憲民主党と国民民主党の推薦は受けたが、両党幹部の応援演説は、両党は仲が悪く票が逃げるとの判断で拒否したらしい。その判断で負けたのか、その判断で惜敗まで持ち込めたのか分からないが、旧民主党系現職知事はよほど両党幹部に魅力を感じなかったのであろう。山梨県は参議院の一人区であり、立憲の枝野代表も国民民主の玉木代表も猛省すべきであろう。

小沢氏は最初野党第一党の立憲に統一会派を呼びかけたが拒否されたと言われている。そうであれば枝野氏の頑な態度は統一候補造りには戴けない。立憲民主党は、野党も乱立して、自民・公明に参議院一人区で勝てると思っているのであろうか。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔

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感情動員と感情労働の国 ;近代国家失格の日本(NO3)

2019-01-28 10:21:29 | 社会問題
(6)感情労働と天皇制

★感情労働とは何か
 
過去、労働形態には、「肉体労働」と「頭脳労働」の二つがあると言われてきたが、近年第三の労働形態として【感情労働】がクローズアップされてきた。社会学者A・R・ホックシールドが考え出した新しい概念である。
・・・・
 相手(顧客)の精神を特別な状態(平たく言えば心地よく)に導くために、自分の感情を誘発(奮い立たせる)したり、抑圧する(我慢する)ことを職務とする、精神と感情の協調が必要な労働の事を言う。
 感情が労働内容にもたらす影響が大きく、かつ適切・不適切な感情が明文化されており、会社からの管理・指導のうえで、本来の感情を押し殺して業務を遂行することが求められる。
・・・・・・

★感情労働が必要とされる職業・職種

〇代表的なもの
・「看護師」などの医療職 ・「介護士」などの介護職 ・客室乗務員(CA)
〇顧客の言う事に耐えなければならない職業
・「ウエイトレス」 「ホステス」の接客業 ・「オペレーター」(カスタマーセンターやコールセンターで働く人)・「広報」、「苦情処理」「顧客対応セクション」(官公庁や企業)・「読者視聴者応答部門」(マスメディア)
〇秘書・受付嬢・エレベーターガール・ホテルのドアマン・銀行の案内係・営業などのサービス係
〇教師・保育士・カウンセラー・ケアワーカー

これらの職業をよく見ると、どう考えても相手の一方的な誤解であったり、無知であったり、腹いせ、悪意、その時の気分、嫌がらせなどによる理不尽な要求や非常識な要求などにも自分の気持ちを押し殺し、礼儀正しく、丁寧な言葉遣いで対応し、相手の言い分をじっくり聞いて、的確な対応をしなければならない。

間違って相手を怒らせて、対応を失敗すると、どんな理由があるにせよ、職業人失格になる可能性が高い。しかも、「生産性」理論からすると、きわめて「生産性」が低く、事前の計画が立てにくい。その意味で、「肉体労働」や「頭脳労働」とは決定的に異なる。

【感情労働】という概念を考えたホッシールドは、感情労働を肉体労働や頭脳労働と同じ労働価値として評価すべきだと主張している。

同時に、彼は、【感情労働】には、二つの側面があると主張している。
(1) 表層演技
(2) 深層演技

表層演技とは、笑顔や声や態度で望ましい感情を表現する事。深層演技とは、心を変えようと努力する事。望ましい表層演技をするために、自分自身の心の深層部分を変え、表層演技をする自分自身の心を納得させる事である。

人間だれしも、生きて生活をしていると、【表層演技】も【深層演技】も無意識に行っている。ただ、【感情労働】の職種は、これが仕事であり、日常であるという点で大きく異なる。

毎日、日常的に【仕事として表層演技】を行い、その評価にさらされると言う事は、自分の心の中を覗き込み、【深層演技】を日常的に行わなければ、耐えられないはず。これは、きわめてストレスの多い仕事である。

一例を挙げよう。わたしの職業だった教師でも、精神を病んで休職する人が年々増えている。様々な原因が考えられる。

一つは子供たちの変容。教室にじっとしていることができない子供が増えている。精神的な障害児が増加しており、一斉指導に適さない子供が年々増加している。

次は、モンスターペアレントと呼ばれる親の変容。とにかく、教師の指導にクレームをつける。特に、女性教師(若い)に執拗なクレームをつける。中には、連日のように、抗議の電話をかける親もいる。教師の力量の低下もあるだろうが、いささか度が過ぎている。

一つは、教師間の格差の拡大。校長⇒教頭⇒教務⇒主任⇒教師の従来のヒエラルヒーにさらに細かなヒエラルヒーが設けられ、上意下達が徹底されている。その為、下級教師とされた教師たちは、自らの教育活動が常に上級教師たちの評価の目にさらされている。

この序列が子供たちや親に可視化されると、偉い(上級)とされた教師の言う事は聞くが、偉くない(下級)教師の指導は聞かない、という現象が起きる。そうなると、当然、学級経営でも、親との関係でももめごとが起きる。それを「指導力がない」と評価される。だから、必死で不祥事を隠したり、上級教師に媚びる教師も生まれる。

現在、官邸に人事権を握られた中央官庁の役人たちが、財務省や厚生省の不祥事を起こしたり、裁判所の裁判官が最高裁判所事務局に人事権を握られ、行政裁判の判決に政府や行政有利の判決を書き、司法の信頼性にかなりの影響が出ている。

これらの裁判官を「ひらめ」裁判官と呼ぶが、教師の世界はそれ以前にそうなりつつあった。それが安倍政権が長期政権になり、文部省支配が進むにつれ、「物言わぬ教師」上だけを見る【ひらめ教師】が増殖している。

教師と言う人種は、たとえ、管理職に疎まれても、子供たちの支えがあれば、それなりに仕事が楽しく、耐えられるものだが、その子供や親にまで疎まれたら耐えられない。これが精神疾患による休職者の増加の最大の要因だろう。

こういう労働を【感情労働】と呼ぶ。よくよく考えると、こういうストレスが大きく、辛い【感情労働】を真正面から受け止め、真面目に、誠心誠意働く人は、あまり評価されていない。いくら誠心誠意の対応をしても、儲けにはあまりつながらない。会社のマイナス部分をなくす以外に生産性があまりない、と評価される。

出世街道をひた走る連中は、自らの【感情】を忖度される事に慣れた連中が多く、他人の感情を忖度する【感情労働】には向かない。ただし、そういう連中は、自分の出世に必要な上司や権力者に対する【感情労働】は、大変よく行う。だから、自分の部下に対しては、自分に対する【感情労働】を強要する。

だから、介護などの人材はなかなか定着しない。労多くしてあまり報われない。介護を受ける人やその家族の感謝の言葉以外、本当の意味では報われない。この報われなさが、介護などの現場で様々な軋轢を生む。

【感情労働】の現場で行われているのは、労働の搾取以外の何物でもない。同時に、過剰に【感情労働】を他者に求めるクレーマーの存在が、日本の昔からの醇風である「お互い様」という精神を壊し、ますます住みにくい世の中を加速している。

★最後に、このような【感情労働】の最大の担い手が、天皇陛下であり、皇族だろうと思う。

何回も書いて恐縮だが、【世の中で起きる災いは全てわたしのせいなのよ】と引き受ける天皇制のありようは、災いを受けた人々のあらゆる思いや感情を真正面から受け止める事を意味する。天皇の被災地訪問や戦地訪問は、その意味で【感情労働】そのものである。

沖縄に何度訪問された事か。この辛い【感情労働】をしなければならないのは、本来政府と国民の仕事である。それだけの犠牲を沖縄県民は払ってきた。それを天皇一人に負わせて、政府も国民もネグレクトしてきたのではないか。

社会の【感情労働】に対する低評価も大問題であるし、天皇の【感情労働】におんぶにだっこの政府・国民は、平成の終わりに際し、もう一度自問自答しなければならないと思う。

国民に対し、具体的で論理的な説明や話し合いをしないで、【感情動員】で世の中を動かそうとする国は、近代国家とは呼べない。現在の日本の現状は、もはや【近代国家】失格と言われても仕方がない。

実は、近代国家失格は、経済でも同様な事が言われている。評論家冷泉彰彦は、マグマグニュースで、もはや日本は先進国ではない、と断じている。

「もはや先進国ではない。なぜ、日本経済はスカスカになったのか?」
https://www.mag2.com/p/news/382054
冷泉彰彦『冷泉彰彦のプリンストン通信』 まぐまぐニュース

内容は読んでもらえば分かるが、正当な議論を拒否し、【感情動員】に狂奔する安倍政権のアナクロニズムが良く分かる。

「護憲+コラム}より
流水
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小沢自由党の国民民主党への合流

2019-01-23 09:25:56 | 政治
1月22日の朝日デジタルに首題のニュースが流されている。事実であれば、参議院選挙の一人区での反自民野党統一候補擁立への大きな一歩になりそうである。
https://www.asahi.com/articles/ASM1Q5QBRM1QUTFK016.html?iref=comtop_8_02
「自由党と国民民主党が合流へ 小沢氏と玉木氏が大筋合意」

そもそも前回の衆議院選挙(2017年10月)直前の民進党と小池希望の党の合併時に、自由党も加わる予定が、民進党前原代表と希望の党代表(小池都知事)の談合で、前原代表が小池百合子氏のくノ一忍法に押し切られ、自由党と民進党の一部議員が選別され、合流できずに野党は分裂選挙となって、結果自民党に大惨敗したことは、忘れもしない。

選挙後は自民党と自民党補完野党(公明、維新、希望等)と反自民野党(立憲民主、国民民主、共産、自由、社民等)に割れているが、小沢自由党が国民民主党と合流すれば、小沢氏はもともと反自民統一候補擁立主張の元祖であり、立憲や共産、社民とも人脈があるうえ一目置かれており、一挙に反自民野党間での調整が進みそうである。

そうなれば、世論調査に於ける安倍内閣の高支持率も下がって来るであろう。森友・加計問題であれだけの不詳事を起こしながら、現在も安倍内閣が高支持率を維持している要因は、頼るべき反自民野党がばらばらで頼りないからであり、今年の参議院選挙で統一候補が成立すれば、与野党逆転は無理にしても善戦できるのではないかと期待したい。

当面の最大の政局は、今年の参議院選での与党と補完政党での三分の二の議席を減らすことである。予定どおり今回の合流で革新野党の統一候補が成立すれば、自民党補完野党にとっても脅威となり、強気の安倍首相も衆参同時選挙の腹案は躊躇せざるを得まい。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔
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沖縄県民投票と元山仁士郎さん

2019-01-21 23:29:24 | 沖縄
沖縄宜野湾市出身の若者、元山仁士郎さんが、宜野湾市役所前でハンガーストライキに入ったのは1月15日のことだった。

彼は一橋大学院を一年休学し、「辺野古」県民投票の会代表として、仲間と共に沖縄41市町村の県民と対話を重ねながら署名を集める活動を続け、2018年10月に10万筆近い署名を県議会に提出。「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う」住民投票条例が制定された。
https://www.pref.okinawa.lg.jp/kenkouhou/H30/10gatsu/181031gogai43.pdf

しかし、その後いくつかの市が県民投票「不参加」を表明し、全県での実施に黄信号が灯ると、元山さんや会のメンバーがそれら首長との面談を実施して再考を求める努力を重ねたものの不調に終わり、遂に元山さんはハンガーストライキによって「条例で制定され一人ひとりに与えられた投票権を恣意的に奪うことのないように」と市長らに再考を促す決断をしたという。

彼のこの行動は、政府の強引な辺野古埋め立ての既成事実化にあきらめムードに陥りがちだった私たちの心を揺さぶり、当事者である沖縄県民は勿論、沖縄だけに負担を押し付けることに負い目を感じる人々、辺野古の海の環境破壊に心を痛める人々、民主主義の圧殺に危機感を抱く人々など、日本国内外の多岐に亘る人々が目を覚まし、再度この問題に寄り添い、日々真剣なメッセージを発信し続けることとなった。市民の間には「いま自分にできること」として「沖縄県民投票にすべての県民が等しく参加できること」を求める署名活動への参加も広がった。
https://www.change.org/p/沖縄県民投票-にすべての沖縄県民が等しく参加できるように-沖縄県内の全市町村で実施されることを求めます

元山さんはハンストの間も、応援に訪れる市民、取材に訪れる報道陣、街宣車で威圧しに来る右翼にも、県民投票の意義について語り掛け、対話を続けてきたが、1月19日の夕方、開始から105時間でドクターストップがかかり、ハンガーストライキは終了した。

しかし、彼の行動は大きな波紋を広げ、現在沖縄県議会では、「県民投票は県内全土で実施」、「元案どおり『賛成』『反対』の二択で行う」、という本来の方針実現のため、必死の調整が続いているという。

元山さんという一人の若者の持つ、分け隔てのない誠実な対話の姿勢、民主主義を守ろうとするゆるぎない意思、意志に裏打ちされた勇気ある行動は、権力に屈服しない市民社会誕生の兆しとして、これからの日本社会の可能性に大きな希望を与えてくれる。

ハンガーストライキ後の入院先で打ったツイッターの中で、元山さんは浪人時代に恩師から送られた手紙に記された言葉を紹介している。

『神よ、変えることのできないものについて、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
---ラインホルド・ニーバー』

私たちも、今回の沖縄県民投票の完全実施を応援すると共に、彼に倣って、「受け入れる冷静さ」「変える勇気」「識別する知恵」をもって、これからも私たちなりに歩みを継続していきたいと思う。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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NHKTVの番組にもの申す(2)大河ドラマのPR番組が目に余る

2019-01-21 09:38:28 | マスコミ報道
昨年のNHKの大河ドラマは「西郷どん」、今年は「いだてん(金栗四三)」である。昨年も今年も、放送開始前からも開始後も、「またか!」と言いたくなるほど、大河ドラマの宣伝番組が放送されている。

何故これほどまでに大河ドラマのPR番組を放送せねばならないのか。NHKは一昨年の最高裁判決で視聴料の徴収が保障され、今や視聴料の収入は大幅に増えている。何も大河ドラマのPR番組まで作って視聴率を高める必要はあるまい。そのような時間があるのであれば、別な番組を作って見せて欲しい。それが視聴料のより有効な使途であろう。

一方下衆の勘繰りかも分からぬが、どうもドラマの選定には政府の嗜好を忖度している臭いがする。第一次安倍内閣の時は、明治初期から日露戦争までを描いた「坂の上の雲」が選ばれた。生前原作者の司馬遼太郎が、戦争賛美に繋がりかねないとの理由で映像化には生涯反対してきた近代歴史小説を、NHKはドラマ化したのである。

昨年は明治維新150年に因んで、明治維新の立役者、「西郷どん」(原作:林まりこ)である。何れも安倍首相が好みそうな題材である。事実、安倍首相は昨年鹿児島に遊説に出かけた折り、桜島を借景にした島津家の別荘(磯庭園)で、記者団に西郷さんの明治維新の偉業について語っているが、その映像をNHKはその日のニュースで流している。

そして今年は政府挙げての2020年東京オリンピックに関連付けて、マラソンランナー金栗四三をモデルにした「いだてん」という番組である。このドラマも時節柄、何か政府への忖度臭さがする。日本でのオリンピック開催は半世紀ぶりだから、時間があれば殆どの人がテレビ観戦するはずであり、大河ドラマにまでオリンピックを関連づける理由が分からない。

過剰な番組宣伝の割には視聴率は第1回放送が15%(関東)第2回は12%と「西郷どん」の視聴率並みに急落したことについてはメディアも指摘している。
https://biz-journal.jp/2019/01/post_26338.html
いだてん視聴率 異例下落なぜ

要は過剰な前宣伝が原因である。筋書きも、登場人物像も事前に明らかになれば、ドラマへの興味と期待は薄れる。次はどうなるかのわくわく感がなくなり、視聴者は観ない。筋書きのないスポーツとは違い、過ぎたるは及ばざるが如しの典型であろう。

それよりその時間に他の番組を提供してこそ放送事業者であろう。更に言えばNHKは視聴率を意識せず、権力者を忖度せずに番組を作ればよい。そのためのに視聴料の徴収が保障されているし、視聴者は否応無く受信契約をさせられていることを忘れないで戴きたい。

「護憲+BBS」「NHKの報道内容をウォチングしよう」より
厚顔
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NHKTVの番組にもの申す(1)

2019-01-19 16:00:57 | マスコミ報道
*1月18日8時15分からのNHKの朝の看板番組「あさイチ」にチャンネルを変えたら、2009年に大阪地検特捜部に164日間拘留され、2010年9月にえん罪で無罪の判決を勝ちとった元厚労相局長の村木厚子氏が出演されていた。
(下記URLは事件経過を引用)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/1230

判決から9年も経過しているので、村木氏の出演に疑問を抱きながら、現在日産のゴーン元CEOが長期に検察に拘留されているために、そのコメンテイターとしての出演かと思いながら観ていたが、結局司会者側からその話はなく、番組はご自身がかつて検察からえん罪の濡れ衣を着せられたこと、長期に亘っての拘留経験、その間の家族の心境等等で、同じ厚生官僚だったご主人もVTRで語られるという内容で、結局、今何故この話題なのか、NHK「あさイチ」の報道意図が全く解らなかった。

この時期村木厚子氏に出演して貰うのであれば、彼女ご自身の体験からゴーンCEOの長期拘留をどう考えるかとか、今回の厚労省の「毎月勤労統計改ざん」問題についてのコメントが、視聴者の一番聞きたいところなはずである。

「護憲+BBS」「NHKの報道内容をウォチングしよう」より
厚顔
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阪神淡路大震災は語り継がれ、神戸大空襲は忘れられたのか

2019-01-18 10:24:53 | 社会問題
平成7年(24年前)の1月17日午前5時46分は阪神淡路震災が発生した日時で、今日(1/17)神戸では大々的に慰霊祭のイベントが催された。

私も大地震に遭遇したが、家屋の立地場所(六甲山麓)とツーバイフォーという建築工法のため、大揺れはしたが、被害は免れた。下手ながらその日に詠んだ短歌、「轟音と共に突き上げ揺さぶられ、夢破られて三歩めず」は今も忘れぬ。

今日のイベントでも犠牲者の慰霊と同時に、この災害を風化させず語り継ぎ、再発に役立てようとの意味をこめて、メイン会場では竹灯籠に「つなぐ」のローソクの火文字が灯され、震災後生まれの小中学校生も学校で防災イベントがあったようだ。

地震の発生は防止できないが、人間として可能な防災方法を次の世代につなぐことは必要である。

一方災害には天災だけでなく戦災もある。特に日本は先の太平洋戦争では全国各地が空襲に遭っている。先の戦争での慰霊と反省は、広島、長崎の原爆の日と、8月15日の国立武道館での全国戦没者追悼式に集約されているが、空襲に遭った全国各地で阪神淡路大震災のような戦災追悼式が戦後連綿とつながれていれば、戦災は人災ゆえ平和教育と活動で防止できる。

それができていれば自民党に安倍政権のような軍靴政権は避けられたのではと残念でならない。

神戸大空襲(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%88%B8%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
厚顔
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学校教育に「精神疾患」の授業の必要性

2019-01-14 16:34:51 | 社会問題
2022年から、高校教科書に「心の病気」つまり精神疾患の記述が入ることになった。私はこのことをとても喜んでいる。

なぜかと言えば、20年近く前、私は子供が精神疾患だと気づいたとたんに、精神科に連れて行った。ごく薄くであったが精神疾患についての知識があったことと、人種・国籍・障害などに偏見を持つのは恥ずべきことであるという教育を、家庭でも学校でも受けてきたことが大きい。

時間はかかったものの、早期発見・早期治療で回復し、今ではごく普通に社会生活を送っている。

しかし、情報を得ようと入った精神障害者家族会で、私は様々な事例に出会い、驚くことになった。ことに統合失調症のご家族からの発言。

「こんな病気は知らなかった」「我が家にこんな血筋はないと夫婦で喧嘩になった」「精神科なんて行くのも怖い」「うつ病なら心の風邪だから暫く休ませれば治るだろう」等々。

熱を出したり腹痛を起こした子供を放っておく親は少ないだろうに、精神疾患への無知と偏見の結果、家族が戸惑って放置するうちに病気を発症した当人は悪化してしまう。妄想や幻聴に襲われて苦しみ、それが暴言や暴力となって、家族も苦しむ悲惨な事例に胸を痛めた。

そうなると社会は精神疾患への偏見を強める。「一生治らない危険な病気」「閉じ込めておけ」「親の責任」。そして偏見に怯える家族や本人は近所に知られないようにと家に閉じこもり、ますます治療に繋がりにくくなり、もっと悪化していく。

実は、日本でも精神疾患の教科書記載は過去にあった。しかしその内容は医学的に正確な事実を欠き、むしろ不安と偏見を強めるものであった。そして1978年、最後に正しい内容が記載されたとたん、翌年から一切の記載がなくなった。何故かは分からない。

精神疾患は、一生のうちに5人に1人がかかる。うつ病は5~10人に1人。統合失調症は100~120人に1人(胃潰瘍と同じ率)で、しかも24歳までに75%という高率で発症している。15~39歳までの年代別死亡原因は自殺が第1位だが、この中には多くの精神疾患当事者が含まれていることも見逃してはならない。

つまり日本では、青少年がかかりやすい病気の知識を一切、本人そして家族に与えてこなかったのだ。その結果、日本は発症から治療に繋がる未治療期間が非常に長い。

海外では、精神疾患について学校教育をしている国も多い。その結果、例えばオーストラリアでは、精神疾患を発症して平均2か月以内に治療に繋がっている。

ところが教育をされていない日本では未治療期間が平均1年3~7カ月(統計による)という。

放っておいて良くなる病気は少ない。家族会で出会った人の中には、10年も医療に繋がらないままの人もいた。本人は苦しみ、家族も困り果てている。

今は薬が良くなり早期発見・早期治療で回復する人も増えたのに、無知と社会的偏見が障害者を作り出しているともいえる。

私は「学校メンタルヘルス教育」研究グループに属して、中学校での「心の病気」の教育を始めた。研究者・精神科看護師・福祉関係者等が中心の研究&ボランティアグループで、依頼があれば日本各地どこでも無料で授業をする。

生徒への授業は中学3年間で5回、教師、保護者への授業もする。子供がせっかく知識を持っても、相談相手の教師や親が無知であれば、間違えた対応をしかねないからだ。

ただし、1回きりの授業であろうと、高校生、小学生、養護の先生、保健師、学生等々、依頼があればどこにでもどんな相手であろうと、柔軟に対応する。しかし、どんなに頑張っても学校側に関心がなければ広まらない。

教科書記載されることについて、教師側からは「どう教えて良いか分からない」という声も出ている。受験に関係ない授業はさっと流すという話もある。

しかし、精神疾患の知識があるかないかは、その人の一生に関係する。いったん悪化して認知力が損なわれると、障害が残ってしまい、社会生活が困難になる。

せっかく高校の教科書に記載されることになったのだ。各地に教育に熱心な精神科分野の専門家はいるのだから、学校側は協力して十分な知識を生徒に与えてほしい。

正しい知識はその人の一生を救う。本人のみならず、友人や親きょうだい、社会に出てからは同僚など、どれだけ多くの人を救う機会があるかもしれない。

私たちの「学校MHL教育」研究グループは、授業を行うほかにも、学校教育のツールキットをネット公開している。知人に教育関係者がおられれば、ぜひお知らせ頂きたいと願っている。

https://www.comhbo.net/wp-content/uploads/2018/01/MHL20140830_ver12.pdf

ツールキット http://comhbo.html.xdomain.jp/

「護憲+コラム」より

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感情動員と感情労働の国 ;近代国家失格の日本(NO2)

2019-01-13 16:59:27 | 社会問題
(4)感情の動員と大政翼賛会並みのファッショ体制構築

(3)で触れた安倍政権の言葉の軽さ、扇動的言葉の羅列、政策の総括の無さ、政策の継続性の希薄さ、これはファッショ政権の特色である。これだけを見ると、安倍政権の連中は馬鹿ばかりに見える。言葉は支離滅裂。差別意識は丸出し。誰も自らの言葉に責任をとらない。本当に、こんな連中に(3)で羅列した政策を創出する事が可能なのか。

実は、こういう政策や言葉を紡ぎだしている連中がいる。一つは官僚。一つは竹中平蔵に代表されるグローバル企業の代弁者とジャパンハンドラーと呼ばれる軍産複合体の代弁者。その他は経済界と日本会議など安倍支持団体の右派のイデオローグ。

彼らは、冷静で緻密できわめて怜悧な論理的構成力を持った政策立案者である。同時にきわめて冷酷な連中。彼らの政策で泣きを見る国民の悲しみなど歯牙にもかけない。

麻生太郎財務大臣がナチス・ドイツのやり口を学べと言ったことがあるが、同時に、彼らは、大政翼賛会をつくり、太平洋戦争へ突っ走った時代の日本のやり方をきちんと学んでいる可能性がある。

現在の安倍政権の言葉の軽さ、責任感の無さ、支離滅裂さの全てを【想定内】のありようとして計算し尽くしている可能性が高い。あまりの酷さに国民があきれ果て、怒る気力を失うのを待っている可能性が高い。「人の噂も七十五日」がこの政権のレーゾンデートルだと考えられる。

そしてその政策に盲目的に賛同し、反対者に対して隠微で執拗な攻撃を仕掛けるのがTVの御用評論家やお笑い芸人のにわか評論家、右派評論家やネトウヨと呼ばれる連中。彼らの役目は、反対者の言論を封じ込め、【物言えば唇寒し】の雰囲気を醸成する事にある。

理非の問題ではなく、これがファッショ体制確立のために反対勢力を叩き潰す方法であり、そのこと自体が目的と考えなければならない。だから、そのやり口はエスカレートする一方。彼らの旗色が悪くなればなるほど、その手口は凶暴化するだろう。

言論統制というのは、当局だけが行うものではない。人々が口を開かなくなるのは、一般社会のバッシングが何より怖いからである。自分自身は自らの思想に殉じる事ができても、家族へのバッシングには耐えられない。

ここで行われるのが、【感情の動員】と言う手法。世の中の空気の【醸成】こそがファシズム国家への最大の武器になる。

●大政翼賛会とは何か

よく誤解されるが、大政翼賛会は政党ではない。公事結社と呼ばれるもの。

※公事結社⇒旧治安警察法の用語で、慈善事業など政治に関係のない公共の利益を目的とする結社。

大政翼賛会は、1940(昭15年)10月12日~1945(昭20年)6月13日にわたって活動した。

実は、大政翼賛会を結成する構想は、近衛文麿を中心として、国家体制の刷新を求めるいわゆる【革新派】と呼ばれる連中を集めて、新党結成をしようという動きが端緒になっている。

1938年に出された国家総動員法の国会承認が、政友会、民政党の反対で否決されかかる。その時、近衛文麿を担いで新党結成の動きが顕在化。国家総動員法というのは、革新派の連中や革新派と呼ばれた若手官僚たちによって出されたもの。近衛文麿は彼らが担ぐ希望の星だった。 
※この革新官僚の一人が岸信介だった。

この場合の革新とは、超国家主義体制の形成を意味する。つまり、ファッショ体制の確立を意味した。安倍首相が口を開けば、イノベーションとか改革を言うのと同じ。戦前も現在も改革をいう奴は、右派思想の持ち主だと考えたほうが良い。

その時、当時の二大政党制が崩壊するのを恐れた政友会、民政党は、国家総動員法の賛成に回り、新党構想はなくなった。

1939年、第一次近衛内閣退陣。同年、ドイツ、ポーランド侵攻。欧州で第二次世界大戦勃発。⇒日本でも強力な国家体制確立を目指す運動=「新体制運動」が始まる。⇒その盟主として名門出身の近衛文麿に対する期待が高まる。

当時の既成政党である政友会も民政党も時代の流れの抗しきれず、両党とも解党。右翼政党「東方会」も解党。大政翼賛会に合流。
構想の結果として大政翼賛会が結成される。⇒国民総動員体制の中核になる。

  総裁⇒内閣総理大臣  中央本部事務局   本部⇒東京会館
                     ↓
              道府県支部    大都市支部  
                 ↓       ↓
                  市区町村支部  
                    ↓
                  町内会 部落会

1940年 保守政党から革新政党まで全ての政党が解党。「大政翼賛会」に合流。
(例外) 勤労国民党、立憲養生会(この二つは結社禁止) 日本共産党(非合法)

1940年 第三次近衛内閣解散  東条英機内閣はじまる。

大政翼賛会自体は政党ではないので、政治活動は行わず、関連団体 「翼賛議員同盟」を通じて政治活動を行う。 

※ 日本会議自体は政治活動は行わないが、日本会議に属する議員が政治活動を行う。(安倍政権の閣僚の大半は日本会議に属している)⇒ほとんど大政翼賛会の手法と同じ。

●大政翼賛会が行ったメディアミックス(言論統制)⇒国民精神総動員という【感情動員】の集大成。

大政翼賛会に集まった指導者連中は、論理的で精緻で合理的な理論に基づき、効果的な宣伝戦略を考えている。

大政翼賛会の大目的⇒国家と国民の協力体制の構築=【協同】による戦時総力戦体制の構築=新体制運動・・・・・・・・・本質は、軍事、産業だけでなく、あらゆるもの、生活に至るまでの科学化、合理化。(戦時下の国民生活統制は、全てを戦争遂行のための資源として活用。この思想の下で、「欲しがりません勝つまでは」などの標語が作られる。)

要するに【感情の同一化】を狙う手法である。今風に言うならば、【同調圧力】である。これを、わざとらしくなく、如何に巧妙に刷り込むか、が大政翼賛会の役割だった。

太宰治だったか【暗い時代は希望がある。明るい時代は怖しい】と書いていた。多くの歴史書にしろ、戦前の回顧録にせよ、この時代は【暗かった】とうのが定番。しかし、太宰の感性では逆になる。これは何か。

体制翼賛会などの指導で行われた新体制運動では、徹底した生活の科学化、合理化が行われ、その統制(取り締まり)を通じて国民の言論統制をおこなった。これを【暗かった】という印象で回顧できる人は、自我が確立していて、自らの頭で考えられる人。自立した人であろう。

しかし、率先して国家との【協働】に参画した人は、それなりに生き甲斐があったように思われる。通常ならそんな命令口調でいうのもはばかられるご近所さんに対して、「お国のため」の一言で命令できる。この満足感は、人が想像する以上に嬉しい。いわば、「人を支配する隠微な喜び」に浸れる。
こういう人にとっては、戦争時代は決して暗くはない。否、むしろ明るい時代だった。

一般の国民も意外と楽だったかも知れない。まず、「貧しさ」は、多くの人に共通したありようだから、劣等感にあまりさらされない。やる事が決まっている(善悪とか効率など考えなくてよい。お上の言うとおりにすれば、間違いない。馬鹿になってやり過ごす。)もし、それが間違っていたとしても、責任はお上にある。俺ではない。これは意外と【楽】だった。おそらく表情もそれほど暗くはなかった。

戦時中を知らないわたしにも覚えがある。それは、【管理教育】と呼ばれた1970年代後半から80年代の教育下の子供たち。知性があり、理性的な子供にとって、怖しく馬鹿馬鹿しくつまらない学校生活だったろうが、普通の子供にとって決められた事をしておけばよいというありようは、意外と楽だったかもしれない。ただし、自分自身の頭で考える子供はあまり育たなかった。

だから、太宰は「明るい時代は信用できない。暗い時代は希望がある」と書いたのだろう。こういう時代を作り上げるために、取られた手法が【メディアミックス】である。

●メディアミックスとは

現代風メディアミックスとは、広告業界の用語。商品広告をする際、異種のメディアを組み合わせる事により各メディアを補い合う手法が原義。

・・1973年に小松左京の小説『日本沈没』が光文社より刊行直後から間髪を入れずに映画、ラジオドラマ、テレビドラマ等様々な形態で相次いで制作され、それらが相乗効果を生んでベストセラーとなったケースが大規模メディアミックスの嚆矢といえるが、代表的な成功例として挙げられるのは、その後角川書店が1970年代後半に自社発行書籍(小説作品)の映画化を行い、その原作作品を映画イメージと連動させた新装カバーを付けて売り込み業績を伸ばしたことで「メディアミックス」という言葉と共に注目された広告手法である。・・・ウィキペディア

実は「大政翼賛会」の「戦争への空気の醸成」も同様な手法で行われている。軍歌、童謡、教育、映画、ラジオ、演劇、絵画、文学などありとあらゆるものを使って、国民の【感情動員】を行ってきた。

わたしの田舎の家の蔵には、当時の絵本や文庫などがたくさん残っていた。小学校時代、それらの本を引っ張りだして読んだ記憶があるが、どれもこれも勇壮な物語で埋め尽くされていた。何度も書いて恐縮だが、見事なプロパガンダ戦略である。現在のメディアミックスを完全に先取りしている。

(5)大政翼賛会戦略と安倍政権戦略の共通性

大政翼賛会の方法論をよく見てくると、現在の安倍政権の方法論ときわめて類似している。おそらく、安倍政権中枢に(おそらく官僚)大政翼賛会やナチスドイツの手法に詳しい人物がおり、その手法をなぞって安倍政権の政権運営が行われていると想像できる。

(A)メディアへの恫喝と懐柔⇒程度の差こそあれ、これはどの政権も行っている。ただ、安倍政権のやり口は、陰湿で執拗。情報化時代にふさわしく、政権に批判的な評論家などに対するバッシングを組織的に行っていると想像できる。ネトウヨと呼ばれる連中の数はそう多くはないが、ある程度の報酬が払われていると考えられる、⇒これで空気の醸成ができる

(B)メディア各社のトップの懐柔⇒NHKは人事と予算を通じて完全に懐柔している。今や、NHKのニュースなど安倍政権の広報係と化している。
民間メディアには、社長連中や幹部連中との会食や官房機密費を有効に使う手法で懐柔に成功している。(首相動静欄などで推測できる。)

特に、新聞は読売新聞を通じて完全に官邸の手のひらの上で踊らされている。読売の特ダネの多さがその親密さを物語っている。朝日新聞と毎日新聞、東京新聞などが辛うじて批判的報道を続けているが、なかなか難しい情勢。特に、朝日新聞は、ネトウヨの攻撃対象になりきわめて大変な状況に陥っている。さらに新聞各社は、経営的にきわめて厳しく、消費増税適用をまぬかれるために、官邸の意向を忖度せざるを得ない状況にある。

官邸から見ると、大手メディアを抑える事が何より重要。ネット上の様々な議論も、一次資料としての大手メディアの報道がないと成立しない。その意味で、上記のような安倍政権のメディア戦略は的を得ている。

(C)首相官邸の情報収集能力強化と諜報的手法による反対勢力の排除⇒首相官邸には内閣情報局や警察官僚(特に公安関係)などが集められ、その能力が強化されている。自民党や周辺の安倍支持者の危険な情報をいち早く握りつぶしたり、抑え込んでいる。(山口某のセクハラ疑惑、甘利大臣の斡旋収賄疑惑、財務省の森友疑惑など枚挙に暇がない。)

同時に、安倍政権の敵対者には、様々な謀略を用いて失脚を狙っている。文部科学省の前次官前川喜平氏に対する攻撃が象徴している。羽鳥のモーニングショウで司会の羽鳥が、コメンテーターの玉川に「ハニートラップに気をつけろ」と本気で忠告していた。それだけ、様々な圧力がかかっているのだと言う事がうかがわれる話である。

(D)日本会議系のイデオローグを通じた扇動やインターネットやSNSなどで繰り返されるネトウヨ連中の炎上と称されるバッシング。普通の人はこれだけで嫌気がさす。精神的に耐えられない人が続出する。これが【物言えば唇寒し】の空気を醸成する。ネトウヨと呼ばれる人の多くは、40代から50代の自営業者が多いと報道されていたが、これも大政翼賛会の宣伝に応じ、国民精神動員の実務を担った中心的人間たちの年齢層に呼応している。

(3)で指摘した安倍政権のメディアミックスを目的とする耳の心地はよいが、全く中身のない言葉や表現された言葉と中身が正反対のような様々な新語・造語が生み出されている。

「アベノミクス」が象徴的な例だが、国民の大半はその内容も実態もほとんど分かっていない。居酒屋の話題には上っただろうが、その実態はほとんど知らない。「女性活躍社会」もそう。国民は知らず知らずのうちに、このようにメディアミックスの罠にはまり、【感情動員】されている。

冷静に分析し、その実態を暴くような評論家や学者は官邸のチェックにひっかかり、メディアから追われる。タレントなどが反対意見を述べようものなら、よってたかってバッシング。仕事すら奪われる。

※ウーマン村本、ローラ…権力批判芸能人を排除する醜悪メディア リテラ
https://lite-ra.com/2019/01/post-4479.html

もっとも楽に生き残れる方法は、この種の新語・造語などを面白おかしく話題にし、毒にも薬にもならないような話でお茶を濁す。これが最も楽な処世術。安倍政権のもくろむ【感情動員】の罠にはまる典型的例である。戦前の大政翼賛会下の国民も気が付いたら、太平洋戦争の悲惨な運命に巻き込まれていたというわけである。

「衆寡敵せず!」と言う言葉がある。安倍政権はこれを狙っている。昨年の国会を見れば、一目瞭然。エンジン全開でファッショ体制確立へ疾走している。これを止めるには、少数意見でも粘り強く語り続ける以外、方法はない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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