老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

れいわ新選組、山本太郎出演番組のご案内

2019-09-30 14:16:43 | 政治
先の参議院選挙で政党となったれいわ新選組の山本代表は、その後も9月28日の朝日新聞朝刊11面や文藝春秋十月号に大々的に取り上げられ、また先週の北海道内の街宣では、選挙期間でもないのに札幌駅前に5千人の聴衆が集まったと報じられている。

そして今日(9月30日)午後7時半からの衛星放送BS-6の番組「報道1930」では、明日からの消費税10%を前に、消費税廃止を訴える山本代表が1時間半に亘って出演する番組が組まれている。

問題は先の参議院選挙中には大手メディアの話題に全くならなかった、れいわ新選組の山本太郎が今になって何故脚光を浴びてきたのかと言うことである。やっと大手メディアや一部の経済評論家にもれいわ新選組の経済政策が理解されつつあるからであろう。

端的に言えば、れいわ新選組の内政八策が施行されれば、その相乗効果で自民党・民主党政権で解決できなかった次のような問題の解決策が地平線のかなたに見え、国民の為のビジョンを与えつつあるからであろう。

・消費税廃止の需要効果と財源対策
・20年に亘るデフレ原因と脱却対策
・莫大な国の借金の原因と対策
・少子化の原因と対策
・地方疲弊の原因と創生対策
・大企業の莫大な内部留保と海外進出の原因と国内へのシフト対策等

今晩の番組では、上記に関連した司会者の質問に、山本代表の論理的説明が聞けるのではないかと思う。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔
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【愛国心はならず者の最後の拠り所】を地で行く内閣改造

2019-09-29 10:58:53 | 安倍内閣
第四次安倍内閣の閣僚名簿を見れば、上記の言葉の意味がよく理解できる。

内閣閣僚の所属している(していた)組織など。
☆「神道議連」所属 ⇒84.2%
☆「日本会議」所属 ⇒73.6%
☆「靖国議連」所属 ⇒52.6%

世間的には極右とみなされる組織に所属している、ないしは所属していた閣僚の割合がこれだけ高い、と言う事は、この内閣の性格が極右的性格を帯びていると断定されても致し方がない。

極右団体「日本会議」の会員数⇒「約4万人」⇒全国民に対する割合=0.03%
⇒内閣閣僚の割合 73.6% 
☆この一事を見ても、安倍内閣の異常性は一目瞭然。

今回の内閣の危険性はそれだけではない。詳細に検討すると、そのグロテクスな実態に唖然とする。

(1)統一教会系閣僚 ⇒約11人。副大臣や政務官、党役員などを含めると総勢21人。
※統一教会・・・キリスト教の分派。初代教祖文鮮明。世界各国に布教。
https://www.youtube.com/watch?v=IEU8izaeZ-M

統一教会が、日本で最初に問題になったのは、下部組織に「勝共連合」と言う組織ができ、その下で「原理研」の名前で多くの若者が壺などを高い価格で売りさばいた問題。「霊感商法」として問題になり、多くの裁判事件が起きた。

さらに、この当時は学生運動が盛んな時代で、「原理研」は共産党の下部組織「民青」と対立。原理研の問題性がクローズアップされた。

※カルト被害に備えるために 統一協会の「今」~その知られざる実態 鈴木エイト(『やや日刊カルト新聞』主筆)
http://www.kirishin.com/2018/04/07/12072/

次に問題になったのは、歌手桜田淳子が集団結婚式を挙げた問題。その時、新体操選手山崎浩子が集団結婚を取りやめ、統一教会を脱退した時、「わたしはマインド・コントロールされていた」と告白。【マインド・コントロール】=「洗脳」と言う言葉がはじめて市民権を得た。

(2)その他、カルトとは言えないまでも、問題のある集団などと深いつながりのある議員が多く安倍政権の閣僚になっている。下の記事に詳しい。

※第4次安倍改造内閣の知っておくべき側面。統一教会系閣僚11人、その他の問題集団との関係も枚挙に暇なし
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190922-00202356-hbolz-soci

(3)暴力団との関係性が取りざたされている閣僚

吉本興業の芸人が反社会勢力(おれおれ詐欺グループ)の飲み会に出て、お金をもらっていたという問題。TVが集中的に報道し、宮迫などはいまだ謹慎状況にある。

何度もいうようだが、彼らは芸人。自らの芸を売ってお金を稼ぐ商売。お金を払う側の事情など知った事ではない。メディアは、お金を払う側の事情を知らなかった、と言って袋叩きにした。日本の芸人は、世間様の模範的存在でなければならないと、メディアは断定したのである。

わたしなど、世間様の模範になる芸人の芸など見たくもない。【毒】のない芸など芸ではない。

では、政治家の場合はどうか。通常、政治家は、芸人などよりはるかに世間様の模範にならなければならないと思うのだが、どうもそれは怪しい。今回の閣僚の中にもきな臭い人物が数人いる。
・・・・・・・
田中和徳復興相、武田良太国家公安委員長、竹本直一IT担当相の3人で、永田町では、イニシャルを取って「魔の3T」と呼ばれている。

 田中は財務副大臣在任中の2006年に、自身の政治団体が開催した政治資金パーティーで、指定暴力団・稲川会系の企業が40万円分のパーティー券を購入していたことが判明。武田も山口組系元組員から献金を受領した疑惑が報じられた。

 当選8回、御年78歳でようやく悲願の初入閣を果たした竹本は、山口組系幹部との写真をSNSにアップしていることが問題になった。IT担当なのに自身の公式サイトが閲覧できなくなっていたり、「はんこ議連」の会長を務めていたりと、適格性に疑問符が付く。・・・・・・

・・・安倍改造政権 醜聞大臣を並べ警察官僚が跋扈のおぞましさ(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/262213

まあ、彼らが、通常国会で追及されるのは明らかだが、TVや新聞、大手メディアなどの報道では、ほとんど追及されていない。

吉本の芸人を追及するのは徹底的にやるが、安倍政権の閣僚を追及すると後のしっペ返しが怖いのだろう。及び腰もいいところ。小泉進次郎のニュースだけを取り上げて、ほとんど追及されていない。

一言で言えば、【弱い人間はとことん追及するが、強い人間は見て見ぬふり】。典型的な【弱い者いじめ】精神の権化。もはや報道機関の存在価値そのものが問われている。

(4)スキャンダル大臣
・・・・・
過去に週刊誌にスキャンダルを報じられたのも、1人や2人ではない。西村康稔経済再生相は「ベトナム買春」疑惑、河井克行法相は秘書への暴力とパワハラ、菅原一秀経産相は、元愛人に「25歳以上は女じゃない」と言い放ったとされるモラハラ疑惑……。橋本聖子五輪相は14年のソチ五輪後の打ち上げでフィギュアスケート日本代表の高橋大輔選手に抱き付いて無理やりキスを迫る姿が写真入りで報じられた。

「セクハラ、パワハラ、ヤクザがらみと問題大臣だらけで、スネに傷がない人物を探す方が難しい。中でも国民をバカにしているとしか思えないのが、加計学園問題の当事者である萩生田光一氏を文科相に就けるという悪辣な人事です。野党に力がないから何をやっても大丈夫とタカをくくっているのか、国民に対する挑戦なのか分かりませんが、この人事で疑惑にフタをしようとしている。文科官僚は粛清を恐れて戦々恐々でしょう」(政治評論家・本澤二郎氏)・・・日刊ゲンダイ

荻生田については、リテラが以下のように書いている。

・・・2017年10月におこなわれた総選挙の期間中、萩生田氏が代表を務める政党支部「自由民主党東京都第二十四選挙区支部」は約1847万円もの企業・団体献金を集めていた。一方で同支部は、衆院が解散した9月28日から11月10日のあいだに計6回、「はぎうだ光一選挙対策本部」に総額1600万円を寄付していたという。
政治資金規正法では、癒着や汚職を防ぐために公職の候補者の後援会などへの企業・団体献金は禁止されている。そのため、政党支部を迂回させて、本来は受け取ることのできない企業献金を得ていたのではないかとみられる・・・・
http://www.asyura2.com/19/senkyo265/msg/811.html

これでは、今回の安倍内閣の閣僚たちは、まるで悪の巣窟。腐臭ふんぷんとしている。あまりに酷いので、人気の小泉進次郎を入閣させて、「目くらまし」をしたと言われても仕方がない。

(5)官邸のアイヒマンの出世

今回の改造で最も問題が多く、危険性を孕んでいる人事が、「国家安全保障局(NSS」の局長人事。 前任者 谷内正太郎(外務省)⇒北村滋(警察庁)

※北村滋は、官邸のアイヒマンの異名を取る実力者。第一次安倍内閣では、首相秘書官。第二次安倍内閣では、「内閣情報調査室」のトップ。国内の機密情報を一手に握り、メディア・政界に睨みを利かせていた人物。

●「内閣情報調査室」⇒日本版CIAを目的として設置。一言で言うと日本版スパイ組織。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E6%83%85%E5%A0%B1%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%AE%A4
「内閣情報調査室」と「公安警察」「公安調査庁」の三組織はライバル関係。お互いにしのぎを削っていた。

※日本3大スパイ組織」内閣情報調査室、公安警察、公安調査庁のライバル争い
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190628-00010001-php_s-pol

つまり、今回の人事で、従来「国家安全保障局」(NSS)を握っていた外務省から、「内閣情報調査室」「公安警察」を握っていた警察庁にその権限が移ったのである。権力争いで外務省が完敗したと言って良い。

さらに問題なのは、この「国家安全保障局」(NSS)に新たな経済部門を設置すると報じられている。これに伴う人事が、経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官の人事。首相秘書官と首相補佐官の兼任と報じられている。

今井は「影の総理」と異名を取る人物で、内政・外交ともに首相に大きな影響力を与えてきた。特に、ロシア外交は、ほとんど今井の献策と言われている。今回の「日韓危機」の演出も今井(経産省)の振り付けの可能性が高い。※(注)何一つ成功していない。 

谷内「国家安全保障局」(NSS)局長が、北方四島返還の後、米軍が基地をつくるのを否定しなかったのも、外交のイニシアチブを経産省の今井に握られた事に対する当てつけとも受け取れる。

そういう外務省・経産省のさや当てなども今回の人事で決着が付いた。外務省の全面敗北。経産省の勝利。しかも、「国家安全保障局」(NSS)に経済部門を設置する事により、経産省の権限も削っている。安保関連部局に権限の集中が行われている。

金子勝氏によれば、【400兆円使って実質賃金低下、マイナス金利で地銀は崩壊、経産省が先端産業を崩壊させ貿易赤字化】とこれまでの官邸官僚(特に安全保障関係と治安関係)に権限集中した結果を酷評している。

消費税10%値上げは、森友問題の文書改竄疑惑などで凋落著しい財務省をあまり追い込むと、安倍政権に都合の悪い事実をリークしかねない。財務省悲願の「消費税増税」を実現させて、彼らのプライドを多少満足させておこうという官邸の狙いがある。

今回の人事の狙いについては、ジャーナリスト山田厚俊氏の解説が的を得ている。
・・・・
「警察官僚が外交・安保に加え経済の司令塔という人事は異例ですが、官邸の権力強化には絶大な効果がある。外務省をはずし、外交も経済政策も官邸主導で進めるという強い意志を感じます。改造内閣は醜聞大臣がズラリで、自民党内には『こんなポンコツ内閣で大丈夫か』という声もありますが、NSSですべてを決める独裁体制では、大臣はお飾りみたいなものです。北村氏と今井氏にすべての情報が上がってくる体制になっている。

よほどの不祥事なら大臣のクビを切ればいいし、スキャンダル化を未然に防ぐことも可能です。官僚はますます官邸の方だけを見て仕事をするようになるし、情報統制も今以上に厳しくなるでしょう」
(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)・・・・・

わたしもそう思う。安倍官邸から見れば、大臣など各省庁の課長程度の認識だと思う。当初から、官邸は、大臣に国家運営の策など何も期待していない。だから、各派閥から推薦してきた「もてあまし」のポンコツ人材を登用し、各派閥に恩を売った。よほど問題がある人間は途中で辞めさせればよい、という判断だろう。

国家運営のグランドデザインは全て官邸が描く。大臣などは、黙ってそれに従えばよい。文句を言いそうな各省庁の官僚どもは、人事とスキャンダルネタで、首根っこを押さえる。それでも抵抗する奴は、スキャンダルをでっち上げても追い落とす。

メディア連中は、飯を食わし、スキャンダルを匂わし、金を食わして、篭絡する。警察官僚が権力を握っている官邸である。やって、できない事はない。

あほな国民どもには、韓国との対立を煽り、「愛国心」を掻き立てて、全ての問題を消し去れば、安倍政権の四選も視野に入ってくる。

安倍政権の内閣改造騒ぎを見ていると、
🔷愛国心とはならず者の最後の拠り所である -サミュエル・ジョンソン-
の言葉が身に染みる。

「護憲+コラム」より
流水
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台風15号の被害に思う

2019-09-23 10:29:16 | 災害
今更書くことでもないが、千葉県は日本の首都に隣接した県である。何百キロも離れているわけではない。(勿論、何百キロ離れている県の復興や支援が遅れても仕方がないと言っているわけではない。)

何故台風15号による停電が起きた日から10日、9月19日現在でなお8万戸近くが復旧していないのか。

9月8日から9月9日未明にかけて、台風15号が関東を直撃した。9月9日、安倍内閣が先ず優先させた事は内閣改造であった。

電気が通じない、断水している。そんな情報は官邸にも沢山届いていただろう。そんな情報に1ミリも興味を持たない安倍総理は、その日内閣改造に着手した。マスコミもそれを大々的に報道した。

千葉の災害情報は片隅に小さく追いやられ、殆どマスコミの話題にもならなかった。同時にテレビは韓国の政治家の不祥事を朝から晩まで放送していた。

しかしその時千葉県南部を中心に64万戸近くが停電、断水していたのだ。更に猛烈な酷暑に見舞われ、地域の病院では人工呼吸器を付けた人、痰の吸引をしている人、人工透析をしている人達は、命の危険にさらされ、高齢の男性は熱中症のため亡くなっていた。

その時、内閣とマスコミは改造の目玉、サプライズだと、小泉進次郎氏を環境大臣に起用しその話題で賑わっていた。

この頃になっても未だ千葉県知事森田健作氏の姿が見えない。一方ネットではどんどん被害の酷さがツイートされ助けを呼ぶ声が拡散されていた。

不気味なのはあの被害直後のテレビ等の静けさである。日本ではテレビで放送されない事は無かった事にされるのだろうか。

何と言っても酷いのは、県と政府の初期対応の杜撰さである。19日現在で破壊された家屋の正確な数字も把握されておらず、東京新聞の9月18日朝刊によると、県は4000戸という数字を出したが、別の試算によると2万戸を超えるという。

森田健作知事は、発電器が200個近くあったのに「市町村から要請がなかったから出さなかった」(!)という。災害に遭われた人達に無償で一年間提供する家が25戸という。250戸でも2500戸でもない。たったの25戸である。

税金は何のために使うのだろう。国民の命に関わる災害や生活困難な時にこそ使われるものではないだろうか。

国が初期対応を遅らせた事。県が気象庁から台風が来るという情報があったのに「災害対策本部」を設置もせずに市町村からの要請をただ待っていて、現地への派遣が12日になってしまった事。

これは人災である。非常時に大災害に対する対応を誤った結果である。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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いよいよ、日本型棄民政策の始まり!

2019-09-22 10:41:32 | 政治
(1)棄民政策の実態

千葉県の電力不足は深刻。今回の事態ほど、現代の社会生活は、電力によって支えられているという実態を浮き彫りしたものはない。電気が無くなれば、人々はただちに【生存の危機】に陥る。その事を象徴的に示してくれたのが、今回の千葉県での電力危機だ。

「先憂後楽」という言葉がある。
※(北宋の忠臣范仲淹の「岳陽楼記」の「先二天下之憂一而憂、後二天下之楽一而楽」によることば) 憂うることは人に先だって憂い、楽しむことは人に遅れて楽しむ。忠臣の国を思う情。・・・精選日本国語辞典

要するに、君主は民が心配する前に心配し、民が楽しんでからその後に楽しみなさい、という君主の心構えを説いた教え。東京の「後楽園」、岡山県の「後楽園」(日本三名園の一つ)、いずれも、この言葉より採っている。

江戸時代以来、日本の政治家は、建前であったとしても、「先憂後楽」の精神を口にし、実践しようと心掛けてきた。こういう教えは、口にする事が重要。なかなか実践できなくても、日ごろから口にしておけば、自らの言動に対する「歯止め」にはなる。

ところが、「先憂後楽」の教えの正反対の行為をするのが、安倍政権とその仲間たち。千葉県を中心に甚大な台風被害が深刻化するなか、災害対応そっちのけで改造人事にウツツを抜かしていた。

昨年7月の西日本豪雨災害の時も、「赤坂自民亭」での飲み会に興じていた。結果、初動が遅れ、大方の批判を浴びたが、今回も同様。気象庁からは、「世界が変わる」ような被害が出る可能性があるという警告が何度も出されていた。それにも関わらず、能天気な判断で、内閣改造を行い、小泉進次郎フィーバーを政権浮揚に徹底的に利用した。

メディアもメディアで政権の思惑を承知の上で、進次郎フィーバーを演出した。それでいて、関東への台風直撃に対して、官邸での対策委員会すら設置していない。

菅官房長官は、17日の定例記者会見で初動の鈍さを指摘されると、「政府一体となって警戒態勢を確保し、対策を進めている。台風上陸前から迅速、適切に対策を行った。(上陸後は事務レベルの)関係省庁災害対策会議を5回も開催している」と強弁した。彼には反省の二文字はないようだ。

たしかに「先憂後楽」の言葉は、儒教的で古いかもしれないが、その精神は古びていない。為政者は、民の心配を先取りし、民の幸福を希求しなければ、為政者としての資格も存在価値もない。TBSの報道特集で金平記者は、【棄民政策】だと批判していたが、当然だと思う。

国民の命と安全を軽視する安倍政権の体質は一向に変わっていない。これがファッショ政権の特徴だ、と言えば、そうなのだが、いよいよ後戻りできない地点まで来たな、というのが率直な感想である。

実はこの体質は東電にも色濃く表れている。危機管理の鉄則は、「最悪を想定して準備する」ことにあるが、今回の千葉県の電力復旧の遅れは、東電の「危機管理」の認識の甘さを如実に示している。

福島原発事故の時も東電の事故想定の甘さが問題になったが、今回もその体質は全く是正されていない事が明らかになった。

日本を代表する企業から次々と噴出するあまりにもお粗末な対応を見れば、弱者の声を真摯に聞こうという姿勢が、完全に欠落している事が良く見える。現在の日本を象徴する「病根」である。

それは、安倍が改造内閣の最重要課題と位置付ける「社会保障改革」にも如実に表れている。

・・・安倍は11日の組閣後会見で、社会保障改革の司令塔として新設する「全世代型社会保障検討会議」の設置を表明していたが、さっそく20日に初会合が開かれる予定だ。

 検討会議では、「全ての世代が安心できる社会保障制度」のあり方を議論するというが、読売新聞(12日)によれば、主な検討課題には年金、医療、介護の分野で苛烈な国民いじめメニューがズラリだ。

▽年金受給開始年齢引き上げの選択肢を拡大
▽短時間労働者の厚生年金加入
▽後期高齢者の窓口負担引き上げ
▽少額の受診でも一定額の負担を求める「受診時定額負担」の導入
▽介護保険サービスの自己負担引き上げ
▽軽度の要介護者に対する保険給付抑制

 これだけざっと並べてみても、社会保障改革の実態が、国民負担をいかに拡大させるかという一点に尽きることが分かる。各分野の負担を引き上げる一方で、給付は抑制するという話でしかないのだ。・・・・日刊ゲンダイ

要するに「全世代型社会保障」などという口当たりの良いネーミングを持ち出したと言う事は、その内容はろくでもない事の裏返し。

この政権は、言葉で国民を騙すことに専念している。政権幹部は、官僚の存在意義は、いかにして国民を騙す手口と言葉を編み出すかにある、と考えている。

戦後すぐの官僚たちには、自分たちが国を背負っているという気概が感じられたが、そのような骨のある人材は、安倍政権下では決して出世しない。

(2)米国の日本収奪計画の歴史的経緯

歴代自民党政権、特に、小泉政権以降の【清和会】政権、なかんずく、安倍政権下で、米国が、どのように国民を貧困化し、奴隷化し、日本を後進国に転落させる政策が実施されたかを検証すれば、この政権が国民生活の向上や安寧のために存在するのではなく、米国支配のために日本の国富を提供している真の意味での【売国奴政権】である事がよく理解できる。

① 1985年 プラザ合意 
(原因)米国の双子の赤字 (財政収支、経常収支)
(解消)円の切り上げ 1$=235円 ⇒ 1$=120円台
このため、日本経済は一時的に円高不況に陥る。
対処方法として、日銀が低金利政策などの金融緩和を打ち出す。結果、投機が加速。空前の財テク・ブーム。
(結果)1980年代後半のバブル経済や、その後の長期間におよぶ景気低迷のきっかけになったと言う説もある。

② 包括貿易法スーパー301条 =貿易制裁を決めている法律
※通商法301条 
https://kotobank.jp/word/%E9%80%9A%E5%95%86%E6%B3%95301%E6%9D%A1-1822622

プラザ合意にも関わらず日米の貿易不均衡は解消しなかった。パパブッシュ大統領は、スーパー301条適用をちらつかせて、日本の構造改革、内需拡大、市場開放を迫った。⇒基本的に言えば、米国の日本に対する【内政干渉】

●1989年9月  日米構造協議
●1990年6月  日米構造協議最終決定
当時の海部内閣⇒米国の内政干渉に屈服⇒
🔷10年間に430兆円の公共投資⇒関西新空港、東京湾横断道路、東京臨海部開発など
🔷大店法改悪⇒トイザラスをまもるため ⇒ 後にシャッター商店街を作る最大の原因になる
●1994年 村山内閣時 ⇒米国の要求で 公共投資200兆円積み増し

この一連の外圧に負けた日本政府の対応は、これ以降の日本経済に大きな影響を与える。

🔷財政赤字の拡大⇒10年間で630兆円に上る財政出動を行うためには、どうしても財源が必要になる。
ところが、日本は、バブル崩壊後、財政逼迫に直面する。財務省や政府は、上記の対米公約実現のため、「景気刺激」の口実で地方財政を使うことを考えた。特例枠を設け、地方の借金を奨励。単独の公共事業を乱発させた。
⇒この結果、大阪府のような放漫財政に陥り、地方自治体が借金漬けになり、地方の疲弊が決定的になった。

現在でもそうだが、財務省や政府の言い分を聞いていると、いかにも「財政赤字」は国民全ての責任であるかのように語るが、そんな事はない。これは、米国の「内政干渉」に負けた政府や官僚の失政が原因。太平洋戦争に負けた時、国民の手で「戦争責任」の追及をしなかったばかりか、「一億総懺悔」のスローガンのように、国民に責任を拡散する日本の支配層の無責任体質そのものである。

🔷一連の貿易摩擦交渉で日本が失った最大のものは何か
日米構造協議で失った日本の国益で最大のものは何だったか。これこそ、米国の最大の狙いだった。
現在ファーウェイ問題で露呈している、次世代をリードする技術開発を巡る激しい主導権争いが象徴しているように、米国の最大の狙いは、日本の国家予算をIT技術をはじめとする技術開発や普及に使わず、「箱もの」を中心とした公共事業に使わすことで、日本の最大の強みである「モノづくり」「技術開発」にストップをかけ、国際競争力をダウンさせるというものだった。

日米構造協議で同意したものをチェックするために、三年ごとにフォローアップ会議をすることも決まっていた。米国は、この会議を通じて、日本が米国の深刻な競争相手にのし上がらないように監視していたと言って良い。

この決定には、公共事業を地元に誘致する事により、自らの地位と権力とお金を手にできる政治家どもの賛成が背後にあった。

悪名高い【土建屋国家】の成立は、同時に日本経済が国際競争力を失い、世界の【後進国】に転落する最大の要因でもあったのである。

③ 年次改革要望書による日米規制改革会議

1993年 宮沢・クリントン会談で決定
【表向きの内容】
日米双方が「要望書」を提示し、それを話し合う形態になっている。
【実態】
米国が一方的に日本に押し付ける政策命令。
米国の要求は、通信、医療機器・医薬品、金融、エネルギー、流通などほとんど日本の全分野を包含するほど多岐にわたっていた。しかも、法律業務や、競争政策の変更など、完全な内政干渉とも受け取れるものが多く含まれていた。

🔷90年代⇒「商法」改正を要求
・米国型企業統治の導入(現在、日本の会社でも社長と言わずにCEOなどと呼んでいる)
・株式交換型(M&A)の解禁⇒日本企業の買収をやりやすくする
・独占禁止法の罰則強化 ・公正取引委員会の権限強化 ⇒NTTなどの巨大企業を規制し、米国企業が参入しやすくする
・郵政民営化
・司法制度改革     
     ↓
🔷日本政府が行った改革
・97年 独占禁止法の改定 持ち株会社解禁
・98年 大規模小売店舗法(大店法)廃止⇒大型店出店野放し⇒地方の小売店が倒産⇒地方の疲弊化促進
・98年⇒建築基本法抜本改正⇒災害大国日本の建築基本法は、諸外国より厳しい。⇒仕様規定から性能規定へ⇒災害における家屋被害増大の一つの要因
・99年⇒労働者派遣法改悪で人材派遣を自由化⇒非正規労働者を増大⇒終身雇用制度崩壊⇒不安定雇用拡大⇒若い世代の貧困化⇒技術伝承の断絶⇒少子高齢化の大きな原因になる。

🔷米国は、「年次改革要望書」の実践過程に厳しく目を光らせ、日本が米国の要求に沿うような顔をして、ネグレクトする事を許さなかった。

🔷郵政民営化
・2001年⇒小泉―ブッシュ間で、今後「日米規制改革イニシアティブ」の名で年次改革要望書の発行を継続すると決定
当時、小泉首相は、【聖域なき構造改革】を絶叫していた。要するに、米国さんの要求通りにしますという意思表示。⇒米大統領と親密な関係とはそういう意味。これは現在の安倍首相も忠実に実行している。
・2003年段階⇒日本郵政公社発足
・2003年の年次改革要望書⇒04年までに郵政民営化計画を作成するように要望
⇒小泉政権は郵政民営化の制度構築に狂奔
・2004年6月 【骨太の方針】(経済財政諮問会議)発表⇒郵政民営化盛り込む
・2004年9月 郵政民営化閣議決定
・2005年8月 郵政民営化法案⇒参議院で否決
     ↓
・小泉首相⇒「自民党」をぶっ壊す、と叫び、郵政解散を決行⇒反対者に刺客を投入、メディアの関心を引き、郵政民営化反対勢力を【抵抗勢力】と位置づけ、メディアと一体で、選挙に勝利した。
     ↓
米国の要求を忠実に実行する事により権力を維持する【隷属構造】が定着した。

🔷次のターゲット
・農協・漁協などの相互扶助組織がおこなってきた金融・共済の解体
・日本の医療制度や国民皆保険制度の破壊

🔷さらに、安倍政権への要望
・2016年3月 「アベノミクスの中心転換経済成長に不可欠な新しい構造・規制改革」という提言発表=米日経済協議会(USJBC)
 ↓
・関税・非関税措置の撤廃 ・法人税率25%へ引き下げ
・働き方改革 ・統合リゾート推進法(カジノ法案)

④ 軍事・政治問題の対日要求(系統的、段階的要求)
   
●アーミテージレポート(全4回)
🔷2000年 第一次レポート
 ・集団的自衛権の行使容認 ・有事法制の国会通過 ・米軍と自衛隊の施設共用と訓練の統合・PKF本体業務への参加凍結解除・ミサイル防衛に関する日米協力の拡大・秘密保護法制定 などの要求
http://www.asyura2.com/07/war88/msg/830.html

☆日本の実行
・2001年⇒PKF本体への参加凍結解除 ・2003年⇒弾道ミサイル防衛システム導入決定 ・2004年⇒有事関連七法決定

🔷2012年 第三次レポート
・原発再稼働・TPP推進・日韓「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)締結・新たな安保法制の制定・武器輸出三原則の撤廃などを要求
※ 日本国憲法の改正も要求している

第三次レポート邦訳全文
https://ch.nicovideo.jp/iwj/blomaga/ar90847

☆日本政府の政策
・特定秘密保護法の成立・武器輸出三原則の撤廃・原発再稼働・安保関連法成立・TPP関連法成立・日韓GSOMIA締結(2016年)など
 ↓
米国の要求を完全に丸のみ

🔷第四次レポート アーミテージ・ナイレポート
・日米統合部隊の創設・自衛隊基地と在日米軍基地を日米が共同使用可能にする基準緩和
 ↓
自衛隊を丸ごと米軍参加に組み込む。日本全土を米軍基地化する目的
http://www.nd-initiative.org/research/6411/

(3)結語

ざっと俯瞰してみただけだが、小泉政権以降の「構造改革」と言う名で日本を米国の属国にする米国の戦略は、このように最初は強引に、日本国民の反発が強まると、日本政府が自主的に「改革」を進めたと見えるように秘密裏にそれでいて着実に行われてきた。例えば、「年次改革要望書」の存在そのものすら秘密にされていた。

このように、「年次改革要望書」や「アーミテージレポート」に代表される米国の内政干渉そのものと言って良い要望が着実に実行され、日本の富の収奪が行われてきたのである。

米国の日本に対する「改革要望」は、読んでもらえば一目瞭然。「新自由主義的改革」の押し付けに尽きる。

ベネズエラ問題:中南米の歴史(特にチリ)で触れたように、米国は中南米経済を新自由主義経済に染め直し、その富を収奪してきた。
※ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画

小泉政権以降の日本は明らかに米国の収奪の主要ターゲットにされ、その結果、貧富の差、貧困化の進展が加速してきたのである。

現在の日本で安倍首相や小泉純一郎のように【改革】【改革】を強調する政治家は、99%米国の提灯持ちだと考えて間違いない。

小沢一郎や鳩山由紀夫が失速したのも、上記の文脈で見れば、当然だと言える。彼らは、「米国の隷属化」を拒否した政治家であり、米国から見れば「敵性政治家」と言う事になる。だから、彼らは嵐のような攻撃を受けたのである。

何故、安倍晋三のような政治家が権力を持ち続けられるのか。彼らは、民主党政権の失敗から深く学んでいる。米国の意図に逆らうと権力の座から追い落とされる。どれほど、国民から恨まれても良い。宗主国米国のご機嫌さえ損なわなければ、権力の座に座り続けられる。

米国からすれば、安倍晋三のように自ら進んでポチになる権力者ほど都合が良い。なんでも言う事を聞くのだから、何も気を使う必要もない。能力がないのだから、こちらの意図を見抜かれる危険性は少ない。おまけに度胸もないのだから、気づかれても脅しあげればどうにでもなる。

日本国民の事などどうでもよい。米国の言う事さえ聞くのなら、権力の座に据えておこう。おそらく、米国の腹はそんなところだろう。

両者の思惑が一致して、6年の長きにわたる安倍政権の存続があった。この結果、日本は、見事に先進国から滑り落ち、先輩たちが営々として築き上げた国富も米国に根こそぎ収奪されている。

今や安倍政権には、【棄民政策】を取る以外方法が残されていない。メディアは、「大本営発表」をするどころか、国民騙しのニュースを流す以外能がない。戦前のメディア以上の骨のなさ。大メディアの現状は救いがない。

もう数年もすれば、日本はぺんぺん草も生えない国家に成り下がる事は明らかだろう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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パラサイト内閣の誕生

2019-09-19 21:24:34 | 消費税増税
前置きとして、「消費税増税」問題はすでに「世界8月号」で、藤井聡教授の「消費増税愚策論」(特に、「課税に反対だが増税推進派を支持する日本国民」の見出しの箇所に共感した)と、伊藤周平教授の「社会保障財源論のまやかし」(応能負担原則に立ち返った税制改革を、というのが副題であり、重要な指摘である)が、ほぼ完全な批判を論じているので、私の議論は、もっと遠近法的なアプローチになることを断っておく。

アメリカの経済紙:ウォールストリート・ジャーナルは、その社説で「日本で10月に実施される消費税増税が経済をさらに悪化させる『自傷行為』になる」との見方を示した。

日本のマスコミでこれだけ辛辣な批判をしている新聞記事は皆無だと思う。

世界は日本の消費税増税の危険性をきちんと把握しており、日本のマスコミ媒体がもはや死に体に近いことがこの社説から見て取れる。

さて、今回の消費税増税であるが、安倍政権という政治権力が一体誰をターゲットにしているのか。つまり、国家の財政政策の主たる対象は「誰なのか」という問題こそが核心であるということだ。

従来の財政原則であるなら累進課税;応能負担が原則であった。「持てる者」からの税収である。しかし、消費税という税制は「逆進課税」と言われるように「持たざる者」からの税収;収奪である。

これは平たく言えばパラサイトの税制であり、見るべき資産を持たない低所得層から「財布の中身」はすべて出せという冷酷非道な「寄生地主」化した政権であることを意味しよう。

そして、さらに言えば「たかる相手」を間違えているのであり、富裕層はなんら「たかられていない」。パラサイトの対象は持たざる者が主だった階層なのである。

所得格差の解消が世界的な課題(ピケティの「21世紀の資本論」はこれを第一の課題としていた。)になっている21世紀初頭において、それに掉さす財政政策を当然のように実現してくる内閣は前代未聞であると言ってよい。

日本の時代感覚(政府の)は憲法問題ばかりか、財政問題までアナクロニズムに陥っている。

貧困層に寄生するパラサイトな内閣がここに誕生したことは、日本国内ではなく世界から注目されているのであり、世界はギリシャの経済危機の二の舞になるのではないかと危惧している。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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西欧中心史観からの脱却は難しい

2019-09-15 12:54:03 | 社会問題
流水さんが「愛国心雑感!」の中で引用したサミュエル・ジョンソンの言葉(「愛国心とはならず者の最後の拠り所」)に触発されたが、戦中・戦後をリサーチしてみると、歴史というものが隠れた思考パターンに囚われていることが往々にしてあるように思われてならない。

唐突であるが、歴史学の通念に疑念を持つ昨今である。第一次世界大戦、第二次世界大戦とは言うが、前者はヨーロッパの戦線であり、後者は主にヨーロッパ戦線が舞台で、日本とアメリカは後半に参戦した。日本は日中戦争(日本の侵略)に明け暮れていたにすぎない。「世界」大戦という呼称(通説)には注意が必要だろう。

そもそも「世界史」というオール・オーバー・ザ・ワールドが成立したのは19世紀になってからであり、それまでは、日本に関する限り、中国との朝貢関係に基づく冊封体制下にあったのである。

戦後史という時代区分もミスリーディングな用語である。特に8月15日の敗戦の日に戦争終結が一夜にして成ったというような歴史学の通念は俗説に近い。

実際上、ポツダム宣告(昭和20年7月)で戦争継続はできない様相を呈していたし、天皇主権という非公式の帝国概念により白旗を挙げられなかっただけなのである。(参考文献として、「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史1」)

8月15日の神話に拘泥していては戦後史は表面的なものに終わる。(全体的な参考文献として、木畑洋一「二0世紀の歴史」を挙げる)

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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愛国心雑感!

2019-09-13 15:23:24 | 社会問題
🔷愛国心とはならず者の最後の拠り所である -サミュエル・ジョンソン-

人口に膾炙した言葉である。

この言葉、一般の理解とは異なり、米国独立戦争時、独立を求める米国側に対して英国側の立場に立って、吐かれた言葉。いわば、一種のヘイトスピーチともいえる。

であるとしても、この言葉。正鵠を得ていて、現在でもきわめて有効である。

以前にも紹介したが、戦前、日本でも「愛国無罪」という言葉があった。「愛国」を叫べば、何をしても許される、という考え方。つまり、国家と自分を完全に一体化し、最後には自分の行動は国家の意志を体現していると考える思想である。

この種の人間と議論していると、必ず喧嘩になる。何故なら、彼らは、国家=「真であり、善であり、美」であると思い込んでいるわけだから、自分の議論が間違っているなどとは決して考えない。

自分を「真善美」の体現者であると信じ込んでいるのだから、相手が何を言おうと聞く耳を持たない。こういうトランス状態に入った人を「洗脳」された人という。こういう人は新興宗教の入信者に多いのだが、愛国心に燃えている人にも往々にして似た状態に陥る人がいる。

だから、彼らと違う考え方の持ち主や行動をする連中は、【国家の敵】であり、絶対許せない。【敵】に対しては、どんな攻撃をしても許される、と考える。

実は、愛国心を叫ぶ人間には二通りのタイプがある。国家と自分を一体化させて、トランス状態に陥る人間と、それを冷静に眺めながら、彼らをどう利用すれば支配がうまくいくかを考える人間だ。

そして、「愛国心」の虚偽を指摘し、政府の施策に反対する敵対勢力に対しては、「愛国心」を旗印にして理不尽な方法で排除する。戦前なら「赤」。現在なら「反日勢力」。この種のレッテル貼りで、理も非もなく排除する。そのためには手段を選ばない。「愛国無罪」である。

戦前の特高警察・ナチスのゲシュタボの冷酷非道の手口は、こういう思想に基づいて行われた。

ドイツの詩人 ハイネは、以下のように語る。

🔷「不思議なことだ、いつの時代においても悪人は自分の下劣な行為に、 宗教や道徳や愛国心のために奉仕したのだという仮面を着せようとつとめている」

洋の東西を問わず、「愛国心」を強調する連中の本性は、似たようなものだ。

もう一つ、二つ紹介しよう。皮肉屋で有名なバーナード・ショウは以下のように語る。

🔷人類から愛国心を叩き出してしまわないかぎり、あなたがたは決して平穏な世界を持たないだろう。
🔷愛国心とは、自分がそこに生まれたという理由で、その国が他より優っているとする信念のことだ。

日本の皮肉屋、勝海舟は以下のように語る。

🔷憂国の士という連中がいて、彼らが国を滅ぼすのだ。

洋の東西を問わず、時代を問わず、【愛国】という言葉には、呪術的魔力がある。だから、自民党は道徳教育で【愛国心】を叩きこもうとしている。戦後、自民党が、文部行政に介入し続け、日教組批判を続けてきたのも、【愛国心】という言葉の持つ呪術的魔力を国民に吹き込むためである。

文部族と呼ばれる族議員の大半は、岸信介の系譜を継ぐ、自民党右派の【清和会】。今回文部大臣になった萩生田は、【教育勅語】を額に入れて飾っているそうだ。筋金入りの国粋主義者。教育に最もふさわしくない人物だと思われる。

インパール作戦の中でも書いたが、現在の自衛隊の志願者不足は深刻。現在の安倍政権が取っている軍備増強策の行きつく先は、【徴兵制】復活につながらざるを得ない。

だからこそ、文部行政に介入。道徳教育の正式教科化。教育基本法を改悪。【愛国心教育の強制】を通じて、徴兵制復活を夢見ている。

愛国心の呪術的魔力を振り払うにはどうするか。それには、愛国心の考え方を広げる以外ない。

伝説のギタリストと呼ばれたジミー・ヘンドリックスは、こう喝破する。

🔷「愛国心を持つなら地球に持て。魂を国家に管理させるな!」

インド独立の父、マハトマ・ガンジーは、以下のように語る。

🔷愛国心は人類愛と同一である。

ヘンドリックスの言葉「魂を国家に管理させるな!」こそが、人間の自立の原点だろう。魂を国家に売り渡していないからこそ、国家の罠が良く見える。だからこそ、厳しい批判の声を上げる事ができる。

自分たちが属している国家だからこそ、厳しい批判の声で間違いを正さなければならない。「魂を国家に管理されない」人間だからこそ、本当の意味で国家を愛する事ができる。

自らの国家を外からの視点で客観的に検証する姿勢こそ、本当の意味での「愛国」的行為だと考えている。

この逆説的な発想にこそ、偏狭なナショナリズムや排他的愛国心を克服するヒントがある。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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政治を私達の手に取り戻そう!

2019-09-11 21:02:18 | 政治
今週のコラム「政権交代への道」は、私が思っている事そのままのコラムでした。

安倍総理は内閣改造で頭が一杯で、一昨日も昨日も19時過ぎには官邸に帰ってしまったようです。形だけでも復興に努力する姿勢さえ見せません。未だ電気復旧していない地域も何万件あるというのに。

これから毎年海水温も上がって洪水、大型台風が日本列島を襲い居座る可能性もあるというのに、今までの風水害を教訓に対策を立てようとはしないのでしょうか。

マスコミ、特にTVが嫌韓番組後は内閣改造ニュース。内閣改造なんて2、3日遅れても誰も死なないでしょう。病気が悪化したりしないでしょう。

やはり政権交代しかありません。

そのためには、野党がお互いの粗を感情的にぶつけるのではなく、共闘できる所は共闘して、大きな固まりにするしかないのです。

私達国民もせっかちに直ぐに答を求めるのではなく、折角芽生えた野党共闘という種を育てて行こうではありませんか。自戒を込めてそう思います。

お任せではなく「⚪⚪に全てを託す」でもなく、批判する所は批判して、失望しても、絶望する事なく、失望と希望の間を揺らぎながら、政治を私達の手に取り戻す事が大事だと思います。

「護憲+BBS」「コラムの感想」より
パンドラ

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政権交代への道

2019-09-11 12:52:40 | 政治
安倍首相は、大型台風が千葉を始め全国各地に大きな被害を齎している只中に、災害対策の指示や被災地へのコメントを出すこともなく、内閣改造人事に没頭し、見事な極右政党としての布陣を完成させ、その一方で小泉進次郎氏を閣僚として迎えることで、マスコミや国民をバラエティショウ的関心に誘導することに、とりあえず成功したようだ。

国民の生活や命に無関心。マスコミを牛耳り、司法を手なずけ、今回は萩生田氏を文科相に任命して、教育に露骨な国粋主義を持ち込む構え。

こうした権力保持と、日本を自分のイデオロギー一色に塗り替えることに、並々ならぬ執念を持つアベ氏が、最高権力の座に長期間居座りけた結果、今や日本の文化や知性、教養はズタズタにされ、ヘイトを公然とまき散らすことを恥と思わない人物たちが跋扈する世の中になりつつある。

最近「首相が馬鹿すぎて困っています。どうしたらいいでしょうか。(XX県在住 YY歳 男性)」という人生相談風のツイートがタイムラインに流れてきて、苦笑いしつつ私も心から同感の「いいね!」を押した。

私も日々「どうしたらいいか」と当惑しているというのが正直なところだが、ここで何とか「回答」を考えてみたい。

まずは、「政権交代を実現すること」。それには野党第一党である立憲民主党が軸になってその態勢を作れるか、がひとつの鍵となる。

過日、長妻昭さんを囲む懇親会があり、立憲民主党の基本姿勢を確認したいと思って参加した。期待どおり会の冒頭で長妻さんの「国政報告」があり、その中で彼は、民主党政権の失敗の要因を「与党である最中に二つに割れてしまったこと」「日米同盟・財界・官僚を一気に改革しようとして、反発を招いたこと」とし、その反省に立って、野党統一会派の確立と、官僚の力を抑えるのではなく生かすこと、を基盤として、骨太の政治勢力を再構築し、早期の「政権交代」を目指したいと語った。

成程、最近の枝野代表のある種茫洋とした言動の中には、政治のリアリズムを踏まえ、多少の批判を覚悟の上で大きな勢力を作ろう、という決意が見て取れる。

私を含むリベラル志向の人間は、期待する政党や政治家に「寸分たがわぬ正しさ」を求め、少しでも違和感があると、声を荒げて批判する傾向がある。

勿論、政党組織の健全性を保つ上でも、主権者の妄信や丸投げはあってはならないが、批判が非難に転じ、真っ当な(現政権よりはましな)政党や政治家の力を削いで潰してしまっては元も子もない。

現在立憲民主党は、若い人たちがパートナー事務局のスタッフとなって、随時メルマガやアンケート調査を送ってくる。現政権の非道によって多くの国民が精神的、経済的に押しつぶされそうになっている現状を見るにつけ、彼らの報告や問いかけは、何やらゆったり穏やかで、まどろっこしい、と感じることも多々あるが、社会が荒んでいる今こそ、国民との相互信頼を根底に据え、明るい未来のための設計図を一緒に作っていこうとする若いスタッフたちの基本姿勢は好ましく、この方向で大きく育って欲しいと思う。

「どうしたらいいか」に対するもうひとつの答えは、一人ひとりが「自分にできることをあきらめずにやり続ける」である。

例えば、昨今の嫌韓ムードにあって、テレビや週刊誌の「嫌韓まきちらし報道」に対するNOの意思表示や抗議行動、「日韓の友好」を示す両国国民レベルの色々な形のデモンストレーションは、香港民衆の圧倒的パワーに比べれば、ささやかで穏やか過ぎるかもしれないが、内なる声に従った自発的な行動ひとつひとつが、社会の閉塞感を打破し、清浄な空気を送り込み続ける大切な行動だと思う。

「政権交代」の中心的役割を担う野党を育てること。現状下でも自分のできることをやり続けること。そして、政権交代が実現した暁には、自民党政権の「負の遺産」解消への努力に、自分たち自身も参加し、忍耐を持って共に歩んでいく覚悟を持つこと。

以上が、かつてなだいなださんが発した「とりあえず政権交代」の呼びかけに応じて集ったメンバーと共に、長きにわたり政治や社会を見つめてきた私の、自らの反省を含めた、「どうしたらいいでしょう」に対する回答、あるいは提案である。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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「風をつかまえた少年」と「ガーンジー島の読書会の秘密」

2019-09-08 09:48:31 | 暮らし
今、上映中の映画2本、どちらもとってもお奨めです。

「風をつかまえた少年」 https://longride.jp/kaze

アフリカのマラウィのウィリアム少年が、中学校の学費が足りなくて退学になりながら、図書室に通うことだけを頼み込んで、物理やエネルギーの本を読みます。

そして干ばつに苦しむ村で、彼はゴミ捨て場から使えるものを拾って、風力発電で、井戸から水をくみ上げる動力を作り上げるのです。

干ばつや、アフリカの政治的な問題なども描かれますが、何よりこんな過酷な環境の中で、暮らしを良くするために自分のできることを探し、研究し、周りの仲間や大人を説得し、作り上げていくその課程が素晴らしいのです。

貧しい父親が「失敗ばかりの人生だった」と嘆くと、ウィリアムは「違う、僕を学校に行かせてくれた」と答える場面は、胸に迫りました。

これは実話を元にしていて、そのウイリアム・カムクワンバさんは「将来色々なことができるようになる選択肢を与えてくれるのが教育です。様々な問題を解決していける人間になるには、学ぶことが必要だと思います」と話しているそうです。

「ガーンジー島の読書会の秘密」 http://dokushokai-movie.com/

こちらはフィクションですが、第二次大戦中、チャネル諸島のガーンジー島は英国で唯一ドイツ軍に占領された地域だそうです。地図を見れば、英国よりもフランスのノルマンディ―地方のコタンタン半島に近い。

物語は、占領下に読書会が開かれていたという話を知って、新人作家の女性ジュリエットがタイムズの記事にしようと、島に取材に行きます。

しかし、読書会に参加は出来たものの、それを始めるきっかけを作ったエリザベスのことを問うと、誰も答えようとしない。そればかりか、読書会の事を記事にする承諾も得られないのです。

読書なんてまるでしていなかった人たちが、本を読んで語り合い、考えを深めていくところも素敵です。

ジュリエットが話を聞いていくうちに、占領下の厳しい状況が明らかになって来ます。戦争がもたらした痛み、裏切り…。行方不明のエリザベスはどうなったのか。

スリリングでもあり、ユーモアもあり、本への愛も溢れ、ジュリエットの恋も絡んで面白い映画でした。本(上下)も出ていて、お勧めだとか。

直情的で行動せずにいられないエリザベスの姿に、戦時下という状況では、オッチョコチョイは生き残るのも難しいな、モノが言えるうちに、戦争方向に行かないように発言を続けなくては…と思わされました。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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