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安部悦生『文化と営利』「第9章 アメリカの経営文化」(その6):機関投資家資本主義のもとで、勤労大衆は、自らの老後のパイを増やすため、自らの首を絞める!

2020-06-17 20:25:00 | 日記
※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣(2019)「第Ⅱ部 経営文化の国際比較」「第9章 アメリカの経営文化」(その6)

(7)-8 経営者資本主義崩壊後:機関投資家資本主義あるいはファンド資本主義!(177-178頁)
W 経営者資本主義が崩壊して以後の状況は、機関投資家資本主義あるいはファンド資本主義と呼ばれる。
W-2 今や、年金基金、投資信託基金(ミューチュアルファンド)、投資ファンドが、アメリカ企業の意思決定に大きな影響を与えている。
W-3 20世紀初頭に、J.P.モルガンなどの投資銀行が産業界に大きな力を及ぼした状況に似る。
W-4 だが年金基金、投資信託基金は、勤労大衆が老後の資金を蓄えるための基金であり、かつて大金持ちの資金を集めたモルガンなどの投資銀行と異なる。
W-5 モルガンは強欲金融資本として攻撃された。しかしキャルバーズ(カリフォルニア州最大級の年金基金)やミューチュアルファンドが、強い批判にさらされることはない。
X しかしそうした基金が、(a)企業の短期的業績評価(経営者企業では長期的な業績評価が普通であった)、(b)工場の海外移転、(c)成果主義を求める。
X-2 勤労大衆は、自らの老後のパイを増やすために、自らの首を絞める結果となっている。
X-3 機関投資家が、短期の業績を求め、その期待に応じて大企業の意思決定が行われ、それが企業文化の性質を決める。

(8)小括①:アメリカの個人主義、団体主義、家族主義!19世紀末からの経営者企業!(178頁)
A アメリカは単純な個人主義の国ではない。むしろ(ア)近隣コミュニティ、ゼクテ的教会組織など各種のボランテイア活動(団体主義)が活発であり、また(イ)家族主義も比較的強固な社会だった。
A-2 19世紀末からは、経営者企業が誕生し、血縁に頼らない関係、すなわちゲゼルシャフト的関係が支配的になった。
(8)-2 小括②:1950年代に経営者資本主義が確立!分厚い中間層!修正資本主義!(178頁)
B 19世紀末に誕生した経営者企業は、19世紀的な家族企業を凌駕し、アメリカ企業組織類型の主流となる。かくて1950年代に経営者資本主義が確立。同時に分厚い中間層が形成された。
B-2 また1930年代の大恐慌後、経済・経営への政府介入を是認したアメリカには、修正資本主義あるいはニューディール体制と呼ばれる社会的資本主義が成立した。
(8)-3 小括③:1960年代にヒッピー運動、ウーマンリブ運動が高揚!(179頁) 
C 1960年代にヒッピー運動、ウーマンリブ運動が高揚。キリルと教のモラル、エートスが弛緩。社会的・道徳的規範が変化し始める。
(8)-4 小括④:1970年代・1980年代の激変!ファブレス・ファウンドリー方式の採用とアメリカ国内企業の空洞化!(179頁、上記(7)-3~7参照) 
D 1970年代・1980年代の激変:(ア)エレクトロニクスの技術革新(第三次産業革命)をベースに出現した創業者型企業が、活動の主役となる!(イ)「シリコンヴァレー」はオープンな経営文化を創り出し、東(ルート128)の没落と西(シリコンヴァレー)の隆盛が生じた!(ウ) ファブレス・ファウンドリー方式の採用とアメリカ国内企業の空洞化!(エ) 海外への工場移転(産業の空洞化)また南部への産業重心のシフト(北から南へ)によるラストベルトの労働者の絶望!(オ)経営者資本主義の崩壊と中産層の崩壊!
(8)-5 小括⑤:経済格差の拡大!(179頁)
E こうして1980年代以降、アメリカ社会、企業は大きな変容を示した。(a)家族主義の弱化、(b)個人主義の一層の強まり、(c)技術革新に促された企業精神の大変化、(d)スピード重視、(e)経済格差の19世紀的拡大、(f)移民の増大。
F かくてアメリカの経営文化は20世紀中葉と似て非なるものになった。(ⅰ)中間組織への弱くなったコミットメント、(ⅱ)希薄化した家族の絆、(ⅲ)職場における個人主義の蔓延。
G こうした変化ゆえに、アメリカの経営文化は、誰でもが参加できるオープンさを維持しつつも、そこから落ちこぼれた者には『ヒルビリー・エレジー』が描く「つらい現実」が待つ。
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①天が落ちすべてが燃え尽き、君の幻影だけが残った!②やがて君の幻影も消え去り、広がり(空間)も消え去り、(君の幻影の周囲に漂っていた)時間も消え去る!ただ虚無のみ!

2020-06-17 13:35:03 | 日記
(1)
天が落ちた。だが君は死なない。君は幻影だ。すべてが燃え尽きた。しかし君の幻影だけ残った。幻影には所有物がない。曖昧な記憶のみある。これまで生きてきたのか?そして、これから生きるのか?幻影に生などあるのか?今が何なのか?実は幻影はこれまで生きてきた。これからのことは、わからない。そして今自身、不分明。バカバカしい。幻影はあいまいな記憶のみもつ。すべてが燃え尽き、灰さえ残らない。広がり(空間)だけ残った。時間があるのかないのか、はっきりしない。君の幻影の周囲だけ時間が漂う。そして何もない広がり(空間)。ただ君の幻影がある。
(2)
やがて君の幻影も消え去り、広がり(空間)も消え去り、(君の幻影の周囲に漂っていた)時間も消え去る。あとはひたすら虚無。広がり(空間)もなく、時間もなく、君の幻影もない虚無のみ。  
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