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安部悦生『文化と営利』「第9章 アメリカの経営文化」(その5):1970年代・1980年代の激変!すなわち経営者資本主義の崩壊と中産層の崩壊!高信頼社会から低信頼社会へ!

2020-06-16 21:40:33 | 日記
※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣(2019)「第Ⅱ部 経営文化の国際比較」「第9章 アメリカの経営文化」(その5)

(7)-5 1970年代・1980年代の激変(続2):ファブレス・ファウンドリー方式(テキサス州ヒューストンの企業コンバック)!アメリカ国内企業の空洞化!(173-174頁)
S もう一つの技術革新の中心地テキサス州ヒューストンの企業コンバックがファブレス・ファウンドリー方式と呼ばれるビジネスモデルを創りだした。
S-2 自らは工場を持たないファブレスとなり、ファウンドリーに外注(アウトソーシング)し、生産させる。
※1.ファブレス(fabless)はfab(fabrication facility、工場)を持たない会社のこと。半導体の設計は行うが生産ラインを持たない。
※2.ファウンドリー(foundry)(Cf. 本来、鋳物工場の意味)は半導体関連製品の受託製造を専門とする会社。
S-3 ファブレス・ファウンドリー方式は、コストを著しく低下できる。
S-4 最初はファウンドリーはアメリカ国内サプライアーであったが、後にシンガポール、韓国、台湾、中国などの企業がファウンドリー企業となった。
S-5 アップルなど、シリコンヴァレー企業も直ちに追随。ハイテク企業は、ファブレス・ファウンドリー・モデルによってコスト削減した。これは脱統合化、大企業解体の流れだ。
S-6 こうしてアメリカ国内の製造業の空洞化が促進された。
S-7 また経営者企業の解体(大企業解体)の流れは、経営者企業のブルーカラーにあった先任権ルール(ファーストカム・ラーストリーブ原則)や、それに基づく愛社精神的企業文化を失われせていった。

(7)-6 1970年代・1980年代の激変(続3):海外への工場移転(産業の空洞化)!南部への産業重心のシフト(北から南へ)!ラストベルトの労働者の絶望!(174-175頁)
T 1970年代以降、北部ではUSW(米鉄鋼労組)、UAW(米自動車労組)など産別組合が強かった。かくて、労組の既得権に阻まれ①新しい技術革新がスムーズに導入されず、また②南部の自由労働州(クローズドユニオンを禁止する、right to workを認める、Ex. ケンタッキー州、テネシー州)への工場建設もできず、③日本企業の後塵を拝することがしばしばだった。(Ex. GM)
T-2 他方で北部の労働者は、(a)海外への工場移転(産業の空洞化)、(b)南部への産業重心のシフト(Ex. テキサスのハイテク産業、石油産業の活況)によって、高い失業率そして「孤立した個人主義」(ボランティア活動をするゆとりもなくなった状況)に追い込まれている。
T-3 ミシガン州、オハイオ州などの「ラストベルト」の絶望した労働者が、実現しそうもない希望を抱いて、2016年大統領選挙でトランプに投票した。(Cf. ヴァンス『ヒルビリー・エレジー』参照。)

(7)-7 1970年代・1980年代の激変(続4):経営者資本主義の崩壊と中産層の崩壊!(175-177頁)
U アメリカ社会は、19世紀後半、大企業が登場して以降、それに伴って新しく勃興した技師やホワイトカラーの中間層によって支えられてきた社会だ。そして1950年代・1960年代は、経営者資本主義の隆盛とぶ厚い中間層の時代だ。
U-2 しかし1970年代・1980年代、経営者資本主義が崩壊した。すなわち第3次産業革命以降、新しく生み出された経営文化は、(ア)エリート大学・大学院教育を受けた一部のホワイトカラー層には恵みだったが、(イ)大多数のブルー・カラー労働者や、高学歴でないホワイトカラー層には、所得の低下、頻繁な転職という下方への激変をもたらした。
U-3 北部の自動車、鉄鋼などの産業では、ブルーカラーもかなり高給だったが、そうした産業が不振となり、工場閉鎖や失業が発生した。(ラストベルト!)彼らは、スーパーマーケット(Ex. ウォルマート)やガソリンスタンドなど流通サービス業に勤めざるを得なくなった。給料は半減どころか3分の1以下になった。
V かつてアメリカは、19世紀前半、トクヴィルが描いた時代以来、個人主義だけでなく団体主義が力を持っており、20世紀中葉、経営者資本主義の時代まで、そのようなゆとりがあった。(1950年代、60年代!)
V-2 だが第3次産業革命以降、1970年代・1980年代になると①経営者資本主義が崩壊し、②中間層が解体し、③ボランティアや団体活動を行うゆとりがなくなった時代となった。さらに悪いことに④家族の絆が弱くなり、⑤宗教心も減退し、⑥「孤独な群衆」、孤立した個人主義の時代となった。
V-3 かくてアメリカは、かつての「高信頼社会」から「低信頼社会」へ、さらに家族への信頼も低下し、最悪の「低信頼社会」へと、アメリカの社会(Ex. 経営文化)は変貌した。
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①生きていけるための最低条件、②「隠棲者」、③マズローの《5+1》段階の欲求階層説、④「隠棲者」とマズローの欲求階層説、⑤「隠棲者」の「自己実現」「自己超越」、⑥断捨離!

2020-06-16 12:12:14 | 日記
(1)生きていけるための最低条件:(a) 身体、(a-2)健康、(b)雨露をしのぐ居場所(家)、(c)服と靴、(d)食べるもの、(e)カネが《あるor稼げる》、(f)安全、Cf. (g)なお、君には共に過ごすパートナーがいる!
君は生きている。生きていけるための条件:(a)まず君の裸の身体がある。そして君の裸の身体があり続けなければならない。《感想》殺されたら終わりだ。「死んで花実が咲くものか」と言う。
(a-2)また幸いにも君は健康だ。《感想》お釈迦様はこの世の四苦として「生老病死」を上げている。健康とは「病」でないこと、また「老」であっても「病」でないこと(健康長寿)のことだ。
(b) 君には雨露をしのぐ居場所(家)が必要だ。《感想》鴨長明も「方丈」を必要とした。最低限の住まいが必要だ。「ホームレス」は大変だ。しかし居場所(家)を作る必要がある。
(c)着る服、履く靴が要る。《感想》身体を保護するため服と靴は必要だ。
(d)食べるものが必要。調理器具も要る。火も要る。水も要る。《感想》「腹が減っては戦が出来ぬ」と言う。生活は戦だ。
(e)日々暮らしていくためのカネが《あるor稼げる》ことが必要だ。《感想》日本は商品経済つまり貨幣経済だから、生活のためにカネがいる。(ただしできる限り、自給自足的にやって行きたい。)
(f)危害が加えられないこと、つまり安全が必要だ。《感想》君は、戦争状態でなく平和のうちに生きている。突然、秘密警察につかまったり、密告されたりすることはない。民主的社会の内に生きている。政治的自由があり、身体的自由もある。マズローの②「安全欲求」の主要な部分が満たされている。なお身を守るための武器・防御装置は必要だ。(Ex. (b)逃げ込める家)。また身を守るためあるいは逃げるための筋力・運動能力・体力は鍛えておく。((a-2)健康が重要!)
(g)なお、幸いなことに君には共に過ごすパートナーが居る。《感想》マズローの③「社会的欲求(所属と愛の欲求)」が満たされている。君は幸福だ。
(2)「隠棲者」!
これらの条件は、今、君にとって満たされている。君は生きている。ただし君は「隠棲者」だ。
(3)マズローの5段階(+1段階)の欲求階層説:①「生理的欲求」、②「安全欲求」、③「社会的欲求(所属と愛の欲求)」、④「承認欲求」((ア)他者からの承認・(イ)自己自身による承認)、⑤「自己実現欲求」、⑥「自己超越欲求」!
マズロー(1908)-1970)が人は自己実現(存在欲求の実現)を目指すと言う。マズローによれば、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と言う。そして彼は5段階の欲求階層説(Maslow's hierarchy of needs)を唱える。人間の欲求には①「生理的欲求」(Physiological needs)、②「安全欲求」(Safety needs)、③「社会的欲求(所属と愛の欲求)」(Social needs / Love and belonging)、④「承認欲求」(Esteem)((ア)他者からの承認として、尊敬、地位、名声、注目を得ること、(イ)自己自身による承認として技術や能力の習得、自己信頼感、自立性・自己決定しうること。)⑤「自己実現欲求」(Self-actualization)の5段階がある。これらにはピラミッド状の序列があり、低次の欲求が満たされると、もう1つ上の欲求をもつようになる。晩年にはマズローは、5段階の欲求の上に⑥「自己超越(Self-transcendence)欲求」があるとする。
(4)「隠棲者」の①「生理的欲求」!
「隠棲者」の君は、①「生理的欲求」は満たされている。そもそも(a)君の裸の身体がある。しかも(a-2)幸いにも健康だ。(b)雨露をしのぐ家がある。(c)着る服、履く靴がある。(d)食べるものがある。調理器具がある。火もある。水もある。(e)日々暮らしていくためのカネがあるor稼げる。
(4)-2「隠棲者」の「安全欲求」!
「隠棲者」の君は、②「安全欲求」は満たされている。(f)危害は加えられてない。身を守るための武器・防御装置はそれなりにある。(Ex. (b)逃げ込める家)。また身を守るためあるいは逃げるための筋力・運動能力・体力はある程度ある。(君は(a-2)健康だ!)
(4)-3「隠棲者」の③「社会的欲求(所属と愛の欲求)」!
「隠棲者」の君は、③「社会的欲求(所属と愛の欲求)」は満たされている。(g)君には共に過ごすパートナーがいる。《感想》君のパートナーは、君の「隠棲者」的な生き方に反対はしていない。君と別れると言っていない。
(4)-4「隠棲者」の④「承認欲求」!
君は「隠棲者」なので、④「承認欲求」の内、(ア)他者からの承認の欲求は、保留する。他者からの承認として、尊敬、地位、名声、注目を得ることを拒否しないが、問題にはしない。なお他者からの侮蔑、敵意は「安全欲求」(②)が阻害される事つまり(f)危害を加えられることがない限り、どうでもよい。しかし④「承認欲求」の内、(イ)自己自身による承認は満たさなければならない。技術や能力の習得、自己信頼感、自立性・自己決定しうることは実現されねばならない。
(4)-5「隠棲者」の⑤「自己実現欲求」と⑥「自己超越欲求」!
君は「隠棲者」として、⑤「自己実現欲求」を満たし、さらに⑥「自己超越欲求」を満たさねばならない。
(5)「隠棲者」の⑤「自己実現」とは何か?君は宇宙となる。つまり⑥「自己超越」の実現!
「隠棲者」の⑤「自己実現」とは何か?自己を宇宙と一体化することだ。君は宇宙となる。つまり⑥「自己超越」も実現する。《自己=超越(宇宙)》となる。死は《自己=超越(宇宙)》の終わりだ。(Cf. だが実は、君は初めから、気づこうと気づくまいと、《自己=超越(宇宙)》なのだ。このような君はモナドと言われる。)
(5)-2《自己=超越(宇宙)》=自己モナド!
他者は、《他なる自己=他なる超越(宇宙)》だ。《自己=超越(宇宙)》が死によって終わっても、《他なる自己=他なる超越(宇宙)》としての他者は生き続ける。(もちろん他者もやがて死ぬ。)
(5)-3 《他なる自己=他なる超越(宇宙)》=他モナド!
《自己=超越(宇宙)》としての自己はモナド(自己モナド)と呼ばれる。《他なる自己=他なる超越(宇宙)》としての他者は他モナドである。
(5)-4モナドは物世界(感覚すなわち《物の出現》)と心世界からなる!身体(物世界に属す)に心(心世界)が宿る!
自己モナドと他モナドは身体=物の出現としての接触においてのみ出会うことができる。モナドは物世界(感覚すなわち《物の出現》)と心世界からなる。(Cf. 心世界とは、感情・欲望・意図・夢・意味世界・《意味世界の展開としての思考・想像・虚構》)モナドは一個の《超越(宇宙)》として一体だから、物世界と心世界は一体だ。かくて身体(物世界に属す)に心(心世界)が宿ると言われる。(Cf. 逆に心(心世界)に身体(物世界)が宿ると言えないのは、物世界が、自己モナドに属すとともに、同時に、《他である》すなわち《他モナドに属す》からだ。)
(5)-5物世界(身体)においてのみ自己モナドと他モナドは出会う!物世界は二重(①②)に自己の心(心世界)の外だ!
物世界においてのみ(つまり物世界に属す身体においてのみ)自己モナドと他モナドは出会う。物世界は、①心世界でなく、かつ②《他である》すなわち《他モナドに属す》。つまり物世界は二重(①②)に、自己の心(心世界)の外だ。かくて物世界は外的世界と言われる。
(6)断捨離と言っても①「生理的欲求」を満たす所有物、②「安全欲求」を満たす所有物は必要だ!
断捨離とは何か?つまり所有物を「新たに持たない」「捨てる」「愛着しない」とはどういうことだ?君の所有物とは君にとっていったい何なのだ?君は生きている。生きていけるための条件は、すでに見たように、(a)まず君の裸の身体があることだった。その上で①「生理的欲求」を満たす所有物が必要だ。(b)雨露をしのぐ家、(c)着る服、履く靴、(d)食べる、調理器具、火、水、(e)カネがあるor稼げる。また②「安全欲求」は満たされねばならない。身を守るための所有物つまり武器・防御装置は必要だ。(Ex. (b)逃げ込める家)。かくて断捨離と言っても①「生理的欲求」を満たす所有物、②「安全欲求」を満たす所有物は必要だ。
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