DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

原民喜(1905-1951)「庭」(1944-45):庭に暗い雨が、夢でも現実でも降る!10日前は夢の内で、今は現実の内で私は泣き叫ぶ!

2020-04-20 01:07:07 | 日記
 「庭」 A garden

暗い雨のふきつのる、あれはてた庭であった。 Dark rain fell heavily in a deserted garden.
わたしは妻が死んだのを知つておどろき泣いてゐた。  I found my wife passed away. I was shocked and cried.
泣きさけぶ声で目がさめると、妻はかたはらにねむつてゐた。 I awoke because I heard the cry. I found my wife slept nearby.

・・・・・・その夢から十日あまりして、ほんとに妻は死んでしまった。 After about 10 days since I saw the dream, my wife really passed away.
庭にふりつのるまつくらの雨がいまはもう夢ではないのだ。 Dark rain falling heavily in the garden is not a dream now already.

《感想1》雨が暗い。雨が激しい。庭があれはてている。明るい雨、やさしい雨、美しい庭でない。妻が死んだのを知って、私は取り乱し泣いた。だが、それは夢だった。泣き叫ぶ声で目が覚めると、妻がかたわらで眠っていた。
《感想2》妻が死んだ夢を見た日から10日余りして、本当に妻は死んだ。夢に根拠があった。すでに妻は危篤状態だった。今、雨が真っ暗に庭に降り注ぐ。妻の死が夢でなく、現実となった。私は妻が死んだのを知って、取り乱し泣く。10日前は夢の内で、今は現実の内で私は泣き叫ぶ。庭に暗い雨が、夢でも現実でも降る。
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