Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

Twitter @pkcdelta
https://www.facebook.com/GifuNeurology/

脊髄小脳変性症と鑑別が必要な小脳型PSP(PSP-C)の初のケースシリーズ

2016年04月03日 | 脊髄小脳変性症
小脳性運動失調を主徴とし,病理学的に診断が確定した進行性核上性麻痺(PSP-C)の10症例の臨床・画像所見をまとめた初めてのケースシリーズがMov Disord雑誌に掲載された.新潟大学,愛知医大,および東名古屋病院等の共同研究である.以下,要点を示したい.

【臨床像】
1)男性に多い(男女比8:2)
2)発症年齢(平均)は67.2歳で,範囲は57~73歳,罹病期間は平均6.0年で,範囲は3年から11年とさまざま
3)初発症状は失調歩行だが,四肢失調で発症した1例が存在した
4)転倒や核上性垂直方向性眼球運動障害が発症2年以内に出現(それぞれ6名および3名)
5)口蓋,ないし眼球・口蓋・咽頭ミオクローヌス を合併しうる(2名)
6)多系統萎縮症のGilman分類を満たす自律神経症状を合併しない

【画像所見】
1)病初期に小脳や前頭葉の萎縮が目立たない
2)進行すると小脳全体が小型化し,橋小脳槽が拡大する
3)進行すると第4脳室拡大や上小脳脚萎縮,humming bird signを認める
4)Hot cross bun signを含め,脳幹,小脳に異常信号を認めない

【欧米の状況】
欧米では,病理学的に診断されたPSPのうち,発症2年以内に小脳性運動失調を認めた症例は1/249(0.4%),全経過でも13/261(5%)と極めて少ないことも明らかになった.

ウェブではPSP-C症例の動画(リンク)もあるのでぜひご覧頂きたい.

Shimohata T et al. Clinical and imaging findings of progressive supranuclear palsy with predominant cerebellar ataxia. Mov Disord. 2016 Mar 31. doi: 10.1002/mds.26618.


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Holmes振戦の原因,画像,随... | TOP | ALS患者さんの体重を増やすた... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 脊髄小脳変性症