Neurology 興味を持った「神経内科」論文

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むずむず「口」症候群と口腔灼熱症候群

2017年06月20日 | 頭痛や痛み
レストレスレッグス症候群(RLS),別名むずむず脚症候群/Ekbom症候群は,不快感のため足を動かしたい衝動(urge to move the legs)を呈する疾患である.しかし足以外にも,自然経過もしくは治療によるaugmentationにより,症状が広がり,全身に及ぶことがある.しかし足に症状がなく,お腹にだけ,むずむず症状を来すということがあり,「むずむず腹症候群」として報告されている(Neurology 77; 1283-1286, 2011).これにはとても驚いたので,過去のブログにて紹介した.

驚きの・・・むずむず「口」症候群

今回,なんと口にだけむずむず症状が出現した症例が報告され,さらに,これまでburning mouth syndrome(口腔灼熱症候群)と呼ばれていた症例のなかに同様の症例が含まれているのではないかという指摘がなされているのでご紹介したい.

症例は60歳男性,主訴は口の不快感.転倒による頸部の外傷後,2-3ヶ月して口の不快感が出現した.部分的に腫れてしびれた感じであったが,痛みや灼熱感はなし.徐々に舌や両側頬の表面,そして口全体に広がった.リラックスし,口を開けている時には症状は悪化する.顎を動かしたい衝動が出現し(urge to move his jaw),実際に顎や舌を動かすと症状は一時的に改善する.ガムを噛んでも良くなるが,完全には消失しない.口を閉じていると改善しうるため,バンドで固定していた.日内変動があり,午前中に症状が出現し,夜になると悪化した.寝るときは枕で顎を固定すれば眠ることができた.三叉神経痛,頭痛,末梢神経障害,RLSの既往や家族歴なし.薬剤使用歴なし.口腔内乾燥を含め全身および神経診察に異常なし.検査所見(画像,脳波,針筋電図)でも特記すべき異常なし.

ガバペンチンとプレガバリン,オクスカルバゼピンは効果なし.食事や発語による顔面の症状の増悪は三叉神経痛で見られるが,本例では逆に改善がみられたことから,RLSが口にのみ出現している可能性を疑い,プラミペキソールの処方を開始.0.125mgを1日3回として外来で経過を見たところ,1ヶ月後に症状は軽減,ガムを噛まなくてもよくなった.5ヶ月後,1日0.5mg(0.125mg-0.25 mg-0.125mg)で改善は維持されている.

興味深いことに,過去に少なくとも12例のburning mouth syndromeで,ドパミンアゴニストにより症状が改善した症例が報告されている.12例中11例は夜に増悪し,10例は食事や会話などの口の運動で改善している.また一部の症例はRLSを併発している.国際RLS研究班(International restless legs syndrome study group:IRLSSG)による改訂診断基準を満たす症例がある.

1: 脚を動かしたくてたまらない衝動と不快感
2: 安静時に悪化
3: 脚の運動により不快感が軽減ないし消失
4: 夕方から夜に悪化
5: これらの特徴を持つ症状が,他の疾患・習慣的行動で説明できない

近年,RLSは四肢に症状を認めなくても他の身体部位に出現しうることが報告され,このような非典型例に関する総説もごく最近出版された(Sleep Med Rev. 2017 Apr 4. pii: S1087-0792(17)30080-1).これによると,会陰,腹部,膀胱の症状が,古典的なRLSを伴ったり,伴わなかったりで出現する.この総説で,とくに注目しているのがburning mouth syndromeと会陰部の症状を呈するrestless genital syndromeである.このような非典型的な部位であっても,RLS的な特徴を認めたら,まずIRLSSG改訂診断基準に当てはめること(ただし項目の1と3は身体部位によっては診断基準を当てはめにくいので工夫が必要),そしてドパミンアゴニストを処方し,治療的診断を行うことを提唱している.このようにいろいろな部位にRLS症状が出現しうることを知って,疑うことが大切である(マンガのように尻尾にもむずむずが出現して,動かさずにいられないこともある・笑).

Restless mouth syndrome. Neurology Clin Practice 2017









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MDS2017 Video Challenge @ バンクーバー

2017年06月09日 | パーキンソン病
「パーキンソン病・運動障害疾患コングレス」の目玉企画は,世界各国の学会員が経験した症例のビデオを持ち寄るビデオ・チャレンジです.難しい症例の不随意運動をいかに考え,いかに診断・治療を行うか,壇上のエキスパートが議論しますのでとても勉強になります.今年は順天堂大学からの発表を含め(左図),世界各国14例の提示がありました.もっとも優れた発表を行った国には金メダルが贈られますので盛り上がります.優勝はアメリカで,半身の舞踏運動・バリスムが,髄液漏出による脳圧低下により生じたという発表でした.右図はその頭部MRIで,特徴的な所見を認めますが,その所見にはとても珍妙な名称がついていました!それはさておき,新しい病気がどんどん出てきていますし,アフリカ・ツェツェバエによる病気まで登場しますので,是非トライしてみてください.



Case 1(日本・順天堂大学)
37歳男性.常染色体優性遺伝のパーキンソニズムの家族歴あり.レボドパ抵抗性パーキンソニズム,サッケード緩徐化,体重減少,軽症肺炎を契機とした人工呼吸器装着.DAT scan著明低下.Perry症候群を疑ったが,DCTN1遺伝子変異なく否定された.

➔ MAPT遺伝子変異(Perry症候群類似の表現型を呈した2例目の報告:病理はTDP43とタウと異なるのに,臨床表現型は似ているという点が興味深い)

Case 2(オランダ)
成人男性.家族歴なし.4週間前から出現した発作性の体軸性振戦(座っていても体が揺れてしまう).1日5~20回,10分程度続く.頻度が増えてきた.小脳性運動失調・認知機能低下なし.片麻痺性片頭痛の既往あり.

➔ CACNA1A遺伝子変異(発作性振戦はおそらくACNA1A遺伝子変異の1表現型であろうと.既報もあり.治療はベラパミルとバルプロ酸で行い,症状は完全消失した)

Case 3(USA)
38歳男性.主訴:発作性の有痛性ジストニア.生後14ヶ月にウイルス性脳炎の診断(発熱と半身麻痺).18ヶ月に異常姿勢,捻転運動.発育遅延.8~9歳ジストニア,書字障害.11~12歳コレア出現,月2-3回生じるPainful tonic spasmあり.36歳胃腸症のためアーテン内服中断したところ,painful dystonic spasmと構音障害が増悪.現在,歩行困難,認知機能障害,腱反射低下.頭部MRI正常.家族歴なし.

➔ ATP1A3遺伝子変異(常染色体優性・不完全浸透率,de novo変異も多い).ATP1A3遺伝子関連疾患は4つの表現型を呈する.
1.Alternating Hemiplegia of Childhood (AHC)
2.Rapid-onset Dystonia-Parkinsonism (RDP)
3.CAPOS症候群(cerebellar ataxia, areflexia, pes cavus, optic atrophy, sensorineural hearing loss)
4.Catastrophic early-life epilepsy
画像は正常,治療はベンゾジアゼピン,フルナリジン,誘因の暴露を避ける.

Case 4(アルゼンチン)
31歳女性.27歳,歩行不安定にて発症.構音障害,嚥下障害.上肢の小脳性運動失調,転倒.口蓋ミオクローヌス,下肢腱反射亢進,バビンスキー徴候陽性.遠位筋萎縮.家族歴なし.歯状核両側T2低信号(dark dentate sign

➔ 脳腱黄色腫症(CTX)(口蓋ミオクローヌスも呈しうる)

Case 5(英国)
ナイジェリアから移住した53歳女性.疲労,体重減少,発作性に出現する発熱(38℃以上).手指ミオクローヌス,失調歩行,睡眠サイクル障害.脳炎を疑ったがHIV陰性,梅毒も陰性.抗ウイルス薬,抗結核薬無効.診断後の適切な治療で著明に改善した.

➔ ヒトアフリカトリパノソーマ症(いわゆるアフリカ睡眠病).ツェツェバエが媒介する寄生性原虫トリパノソーマによって引き起こされる人獣共通感染症.病状が進行すると睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり,さらに悪化すると昏睡,死に至る.

Case 6(USA)
31歳男性.主訴:斜頸,疲労で増悪する.感覚トリックを認める.レボドパが著効,中止により再度症状は出現.既往歴として18歳で書字障害,構音障害,歩行障害.21歳で歩行不能,書字不能.16種類のDYTジストニア関連遺伝子はすべて陰性であった.

➔ チロシンヒドロキシラーゼ欠損症(常染色体劣性遺伝)

Case 7(USA)
25歳女性.発症11歳の発作性の有痛性筋痙攣(数秒から数十分の持続).下腿より出現.顎に及び,発語困難になる.家族歴なし.上肢に三角筋を主体とするdystonic movementを認める(側方に延ばした腕がぴょんと跳ね上がるような感じになる).脱毛,月経異常,下痢.CK 9406.筋生検では異常なし.全エクソーム解析でも異常を認なし.家族歴なし.

➔ 里吉病(小児発症で全例孤発例.女児に多く,東アジアに多い.病態不明だが,自己免疫が関与する可能性が指摘されている)

Case 8(インド)
23歳女性.両手の1ヶ月に及ぶ有痛性筋痙攣.持続時間1-2分のものが,1時間で2-3回生じる.しゃっくり,難治性嘔吐.MRIにて頸髄異常信号.

➔ 原発性シェーグレン症候群のpainful tonic/dystonic spasm(文献PMID: 10495053)

Case 9(国名?)
38歳男性.12歳右手のジストニアにて発症.徐々に拡大し,全身性ジストニアとなった.斜頸,歩行障害を認める.深部刺激療法(淡蒼球内節)を行ったが無効.

➔ ATP 1A3遺伝子変異でisolated dystoniaが非常に稀ながら生じる.GPi-DBSはこの疾患には無効である可能性があるので,施行前には遺伝子診断を行ったほうが良いのかもしれないとのこと.

Case 10(インド)
50歳男性.20歳発症.首の振戦様ジストニア.下肢遠位部にもジストニアを認め,40歳で歩行が困難となった.側弯あり.歩行障害はあるものの自転車を乗ることができる.弟に類症.

➔ フリードライヒ失調症(GAA66リピート;正常12-33)不随意運動として,振戦,ジストニア,コレア,ミオクローヌス,運動誘発性発作性ジスキネジアの報告がある.

Case 11(ポルトガル)
42歳男性.バリスム,認知機能障害,混迷を認める.いつも便秘により症状の増悪が認められた.家族歴はなし.

➔ 肝性脳症(後天性肝・脳変性症)バリスムが肝性脳症で生じうることを知っておく.

Case 12(アイルランド)
64歳女性,嚥下障害,窒息,転倒を認めた.腱反射は亢進し,バビンスキー徴候陽性.振戦は認めないもののパーキンソニズムを認める.失調を認める.脳梁が部分的に萎縮し,側頭葉極・前頭葉に軽度の虚血性変化あり.

➔ CADASILを疑い,NOTCH 3遺伝子を検索したが変異なし.しかし皮膚生検にて小動脈壁にNOTCH3沈着陽性(感度45-100%,特異度100%)で,CADASILと診断を確定した.PSP look-alikeの一つとしてCADASILを加える必要がある.

Case 13(フランス)
65歳女性.1-2年前から出現した手のミオクローヌス.うつ,唾液過多を伴う嚥下障害,幻視,認知障害,思考の緩徐化,尿失禁.ポリソムノグラフィにて夜間の異常行動といびき.不眠と日中の過眠.HLA-DRB1*1001 and DQB1*0501 陽性.

➔ IgRON5関連神経変性症(睡眠障害・パラソムニア/運動異常症/球麻痺/自律神経障害/認知機能障害)

Case 14(USA)
30歳男性.左半身の不随意運動.左手の舞踏運動およびバリスムが徐々に増悪(ヘミバリスム,ヘミコレア).疲労,うつ,易転倒性も増悪.腱反射亢進.頭部MRI:脳幹周囲の脳槽の消失(脳幹の腫脹).

➔ Spontaneous CSF leak(特発性の髄液漏出により生じた中枢性ヘルニア.ブラッドパッチにて症状は改善した)文献:DOI: 10.1177/0333102414531154 金メダル受賞.

【グランドラウンド5症例】
Case 1
37歳女性.5歳発症の両側進行性の視神経萎縮,下肢のこわばり,下肢近位筋の軽度の筋力低下,下肢反射亢進,クローヌス.軽度の上肢の失調.頭部MRI SWIで基底核,中脳に鉄沈着.

➔ Neurodegeneration with Brain Iron Accumulation(NBIA)

Case 2
46歳男性.頭部の振戦様ジストニア(回旋時に出現).バランス障害,難聴.認知機能正常,小脳性運動失調,視神経萎縮.錐体路徴候なし.頭部MRI;小脳萎縮なし.脳波正常,針筋電図正常.同胞3人類症(常染色体優性遺伝)

➔ CAPOS症候群(上述のATP1A3遺伝子変異の表現型のひとつ)

Case 3
38歳女性.首と上肢の不随意運動(ミオクローヌス+感覚トリック陽性のdystonic movement)が1歳から緩徐に進行.発語障害.ボツリヌスは有効.腱反射低下.経過中,T細胞リンパ芽球性リンパ腫,乳がんを発症. 同胞にポリニューロパチーや胃がん,片頭痛あり.親の代もがん家系.頭部CT異常なし.AFP高値,眼球,皮膚の血管拡張.

➔ Variant Ataxia Telangiectasia(ATM遺伝子変異)

Case 4
71歳男性.62歳から右手姿勢時振戦(右手→左手→足の順に進展).頸部の筋強剛,核上性眼球運動障害,後方への転倒,日中の眠気,重度の無呼吸症候群.ドパミンアゴニストで病的ギャンブリング出現.アパシー.祖母がパーキンソン病.遺伝子診断MAPT,LRRK2とも遺伝子変異なし.

➔ ペリー症候群(DCTN1遺伝子変異)

Case 5
X歳男性.17歳時に様々な神経症状出現(運動失調,眼球運動障害,錐体路徴候,自律神経障害),19歳転倒,球麻痺(要PEG),振戦,ミオクローヌス,クローヌス,歩行器で歩行.画像,髄液正常.呼吸障害に対しNPPV.以前,スタートル反応があったが,治療により現在はない.IVIgはある程度有効.家族内類症あり(父方おじ,発作性の失調,嚥下障害,jerky movement,PEG).グリシン受容体抗体陽性.

➔ PERM(筋硬直とミオクローヌスを伴う進行性脳脊髄炎progressive encephalomyelitis with rigidity and myoclonus).失調を合併しうる.また家族歴があったとしても自己免疫は否定できない.画像や髄液正常ありうる.

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頸原性頭痛の臨床像は従来の報告とは異なるようだ

2017年06月05日 | 頭痛や痛み
頸原性頭痛は,1983年,Sjaastadが提唱した頸部疾患を原因とする頭痛で,慢性・非拍動性で,痛みの程度は中程度から重度と比較的重く,後頭部,前頭部,眼窩周囲といった特徴的な痛みの分布を示す(図A).このような分布を示す理由として,頸部疾患による上位頸神経の障害が重要と考えられている.つまり,三叉神経脊髄路はC3まで脊髄を下降するが,上位頸神経(C1-3)からの入力は,三叉神経脊髄路核尾側亜核において,三叉神経とともに収束する(図B).このため,頸部疾患により上位頸神経が障害されると,三叉神経脊髄路核を刺激し,後頭部痛だけでなく,三叉神経領域の前頭部や眼窩周囲に痛みが及ぶらしい.しかし,この説で説明できない中下位頸椎疾患による頭痛も過去に複数報告されていた.

今回,新潟大学,亀田第一病院,新潟脊椎外科センターは,手術を必要とする頸椎疾患患者における頸原性頭痛を,国際頭痛分類第3版βに基づいて診断し,その有病率,臨床像,危険因子,手術による効果を,前方視的に検討した.対象は,頸椎手術を施行した70症例(頸椎症性脊髄症53例,後縦靭帯骨化症7例,頸椎症性神経根症5例,頸椎症性脊髄・神経根症5例)である.

結果として,既報と異なる複数の新しい知見を見出した.第1に,頸椎疾患手術患者における頸原性頭痛の頻度は,80%台という2つの既報と比べると顕著に低く21.7%であった.しかしそれらの既報では国際頭痛分類に基づいた頭痛の診断が行われてなかった.第2に頸原性頭痛患者は,後頭部やこめかみの重苦しい頭痛が多いものの,程度は比較的軽度で,鎮痛薬を必要とする患者は1例のみであった.さらに全例がC4以下の中下位頸椎レベルでの障害を認め,上位頸神経の障害の患者は含まれていなかった.どうも既報の頸原性頭痛と異なる頭痛を観察している可能性が高い.第3に頸原性頭痛の危険因子として,頸部痛,頸部可動域制限,Neck Disability Indexスコア高値を見出した.これらは基礎疾患である頸椎疾患が重篤であることを反映している.最後に本研究は初めて,頸椎椎弓形成術が,多椎間に及ぶ頸椎疾患による頸原性頭痛の治療に有効である可能性を前方視的に示した.

一番の関心は,なぜ中下位頸神経障害で頭痛が生じたかである.一つめの説は,痛み刺激は神経根から脊髄後角を経て,反対側の前脊髄視床路を上行するが,一部の侵害刺激は同側のspinocervicothalamic tractを上行する.この同側の背外側索を上行する温痛覚求心路の一部であるspinocervicothalamic tractが,三叉神経脊髄路核と連絡があるため,下位頸神経からの刺激で頸原性頭痛を生じるというものである.もう一つの説は,中下位頸椎の可動域が減少し,代償性に上位頸椎の可動域が増加し,その刺激が三叉神経脊髄路核を介して,頸原性頭痛をひきおこすというものであるが,今後の検証が必要である.論文の査読者からは,頸原性頭痛の臨床学的概念を拡大して,下位頸椎疾患に伴う頭痛を,国際頭痛分類のappendixとして加えるべきかの議論が必要であるというコメントを頂いた.

Shimohata K, Hasegawa K, Onodera O, Nishizawa M, Shimohata T. The Clinical Features, Risk Factors, and Surgical Treatment of Cervicogenic Headache in Patients With Cervical Spine Disorders Requiring Surgery. Headache (on line) DOI: 10.1111/head.13123 



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人工甘味料による脳梗塞・認知症リスクをどう考えるか?

2017年05月29日 | 脳血管障害
【人工甘味料の基礎知識】
人工甘味料は,消化・吸収・代謝がされにくい糖アルコールや非糖質系甘味料(天然甘味料,人工甘味料)を指す.代表的なものとしてアスパルテーム,アセスルファムK,スクラロース等がある.1 グラム当たりのカロリーは,アスパルテームで砂糖と同じ4 kcal,アセスルファムKやスクラロースは0 kcal である.いずれも砂糖の数百倍の甘味度を有するため,少量で甘味を実現できる.

人工甘味料は直接,血糖値やインスリン値に影響しない.しかし人工甘味料を含むダイエット清涼飲料水の摂取量が,糖尿病発症と関連したとする疫学研究がある.このため糖尿病を介して脳卒中の危険因子となる可能性があるが,肯定する報告も否定する報告もある.また認知症の危険因子になるかについても不明であった.このためボストン大学のチームは,フラミンガム心臓研究の第2世代コホートを検討し,砂糖もしくは人工甘味料を含む清涼飲料水の摂取が,これらの疾患の危険因子になるか10年間経過観察した.

【人工甘味料を毎日摂取している人の脳卒中,認知症リスクは3倍!】
研究の方法であるが,45歳以上の2888人分から「脳卒中」の発症者を抽出し,60歳以上の1484人分から「認知症」の発症者を抽出した.清涼飲料水の摂取は,質問表に対する自己記入式で行った.結果として,10年間で脳卒中は97名(うち脳梗塞82名),認知症は81名(うちアルツハイマー病63名)の発生を認めた(つまり対象の3.4%が脳卒中を発症,4.5%が認知症を発症した).交絡因子となりうる年齢,性別,カロリー摂取量,食事の質,運動量,喫煙を補正した後の検討で,人工甘味料を含む清涼飲料水の摂取回数が多いほど,脳梗塞,全認知症,アルツハイマー病の発症率は増加していた.具体的には「1週間で摂取しない群」を基準としたところ,毎日摂取する群は,脳梗塞でハザード比2.96(95%信頼区間1.26-6.97),アルツハイマー病でハザード比2.89 (1.18-7.07)であった.図A,Bの緑は1週間の摂取が0回,赤が0~6回,青が7回以上である.つまり1日1回以上,人工甘味料の摂取をしている青グループは,脳梗塞(図A),アルツハイマー病(図B)とも発症が多いことがわかる.一方,砂糖を含む清涼飲料水の摂取は,脳卒中・認知症と関連がなかった.ただし,この研究は対象が欧米人のみであること,交絡因子が上述以外にも存在しうることに注意が必要である.

【なぜ脳梗塞,認知症が増えるのか?】
上述の通り,人工甘味料は直接,血糖値やインスリン値に影響をしないが,糖尿病の発症を予防するとは限らない.むしろ意外なことに,人工甘味料摂取により糖尿病の発症が促進され,その結果生じた動脈硬化を介して,脳卒中・認知症が増加した可能性が論文の中で指摘されている.人工甘味料が糖尿病を引き起こすメカニズムとして,以下の2つの可能性が報告されている.
1)人工甘味料が腸内細菌叢に影響を及ぼし,耐糖能異常をもたらす(Nature 2014; 514, 181-186).
2)強い甘みという味覚刺激を受けるものの,血糖が上昇しないため,エネルギー恒常性の異常が生じる(Curr Opin Clin Nutr Metab Care 2011; 14: 391-395).
ただし糖尿病患者さんが,砂糖を含むものよりも,人工甘味料を含む清涼飲料水を求めているから,人工甘味料と糖尿病に関連が生じた可能性もあり,解釈は慎重に行う必要がある.

【動物実験では,人工甘味料は脳梗塞を重症化する】
人工甘味料を用いたヒトにおける介入研究は難しいが,このような時,動物実験での検討は役に立つ.2015年のStroke誌において,人工甘味料をあらかじめ6週間,通常量の範囲でマウスに摂食させた後,左中大脳動脈を永久閉塞させたという研究が報告されている(Dong X-H et al. Stroke 2015;46, 1714-8).図Cに示すように順番に対照,フルクトース,エリストール,アセスルファムK,レバウジオシドA,スクロースが用いられている.この結果,虚血3日目の脳梗塞サイズは,対象に比べて人工甘味料では大きくなり(図Cの赤い四角),かつ行動解析でも重症だった.メカニズムに関する検討も行われ,人工甘味料は血管内皮細胞前駆細胞の機能障害を招き,その結果,虚血後の血管新生が減少し,脳梗塞が増悪する可能性を指摘している.個人的には血管新生が影響するには早い時期なので,むしろ人工甘味料の悪影響より,神経細胞に必要なグルコースが十分利用できないことが影響しているように思われる.

【その他の人工甘味料と脳に関する報告】
「人工甘味料と脳」をキーワードにPubMedの検索を行うと,以下の論文が見つかる.
1)アスパルテームは,代謝された後,50%がフェニルアラニン,40%がアスパラギン酸,10%がメタノールになる.過剰のフェニルアラニンはドーパミン,ノルアドレナリン,セロトニンといった神経伝達物質の合成や放出を阻害する(Folia Neuropathol 2013; 51, 10-17).
2)アスパルテームは血漿コルチゾール上昇と,フリーラジカルの過剰産生をもたらし,酸化的ストレスに対する脳の脆弱性を増強する(Nutr Neurosci 2017 Feb on line).
3)ゼブラフィッシュにて,アスパルテームはHDLコレステロールを修飾し,その抗動脈硬化作用を減弱させ,動脈硬化をもたらす(Cardiovasc Toxicol 2015; 15, 79-89).
4)長期アセスルファムKを摂取したマウスは,水迷路試験で認知記憶の障害を呈する(PLoSOne 2013; 8, e70257).

動物実験の結果がすべてヒトに当てはまるわけではないし,前半の疫学研究も因果関係に結論が出たわけではない.よって現時点で人工甘味料が即危険であると結論付けることはできない.しかし「カロリーゼロだから病気にならない,健康のために良い」という認識は改めたほうが良さそうである.

Pase MP et al. Sugar - and artificially sweetened beverages and the risks of incident stroke and dementia -a prospective cohort study-. Stroke 2017; 48, 1139-46. 


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ナチスと神経内科 ―私たちは歴史から何を学ぶべきか-

2017年05月17日 | 医学と医療
最近,印象に残った2つの論文がある.いずれもナチスと医学に関するものである.なぜ今,これらの論文が書かれたのかを考えながら読んだ.

1つめの論文は,ごく最近のNeurology誌に掲載されたドイツ人神経内科医のHans Jacob(1907~1997;写真左)についての論文である.クロイツフェルト・ヤコブ病で知られるAlfons Maria Jakobとは別人で,巨大脳症(megalencephaly)の研究で名を残した人物である.彼は図Aのリストに示すような10名の重度知的障害児の脳を神経病理学的に検討し,巨大脳症が発達遅滞を呈することを記した.しかし今回,彼が論文に取り上げられた理由はその業績のためではなく,10名のうち2名の脳が,ナチスの犠牲となった子供から得られたものであったためである.

ナチスはユダヤ人大量虐殺の前に,知的障害や精神障害を持つ人をLebensunwertes Leben(生きる価値のない命)と決めつけ,社会の負担として抹殺するRassenhygine(人種衛生計画)を行った.いわゆる「Aktion T4」とよばれる優生学思想に基づいた安楽死政策である.27万人を超えるドイツ人,つまり自国民の精神神経疾患患者が,毒ガスや薬物等で1945年までに殺害された.うち5000人は小児であったという.Jacobは42人のナチスの犠牲者の脳について検索し,巨大脳症に関する論文を執筆した.Neurology誌に論文を書いた著者のZeidman医師(米国イリノイ大学)は,Jacobが脳の由来について明記しなかったことの非倫理性を指摘すると同時に,この論文を引用する際には,その非倫理的側面について明記すべきであると強調している.

ヒトラー政権下に,非倫理的な神経疾患研究を行なったことで最も有名なのはJulius Hallervorden(1882~1965;写真中)である.彼は697名にも及ぶナチス犠牲者の脳を調べ,12論文を記載した.彼が見出した,ジストニアを主徴とする錐体外路症状と知的機能低下を呈する疾患は,その上官であるHugo Spatz(1888~1969)とともにその功績を称えられ,Hallervorden–Spatz病と呼ばれてきた.しかし,後年,その研究の非倫理性からこの病名は使用されなくなり,病因にもとづいてパントテン酸キナーゼ関連神経変性症(Pantothenate kinase-associated neurodegeneration;PKAN)と呼ばれるようになった.Hallervordenは「既に亡くなった人の脳だから使わせてもらう」ということではなく,ガス室で亡くなるのを待っていたという.つまり新鮮な脳を摘出する行為を日常的に行っていた.小長谷正明先生による「ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)」という書籍のなかで,Hallervordenの手紙が紹介されているが,「それらの脳がどこから来たのか,どのようにして来ることになったかは,私にとってはどうでもよいことだったのです」との記載があり,衝撃を受ける.

2つめの論文は今年1月のScience誌に掲載された”Germany to probe Nazi–era medical science”,つまり「ドイツはナチス時代の医学について調査を開始した」というタイトルの記事だ.Hallervordenが研究に使用したナチス犠牲者の脳標本がどのような運命を辿ったか全貌を明らかにするため,Max Plank研究所が,研究者に調査を許可したという内容である(Max Plank研究所はHallervordenが所長を務めたカイザー・ウィルヘルム脳研究所が戦後移転し,名称を変えた研究所でもある).時を遡ること1980年,ひとりのジャーナリストが,Hallervordenが研究に用いた知的障害児38人の脳標本を発見する.これを重く見たMax Plank研究所は10万枚にも及ぶプレパラートを丁重に埋葬し,犠牲者に対して公式謝罪を行った.ここで問題となったのは,脳標本の由来を知りながら,戦後も標本を研究に使用したのではないかという疑惑である.事実,HallervordenやJacobは戦後も研究を継続し,Max Plank研究所の神経病理学研究を主導し,天寿を全うした.そして2015年,新たな犠牲者の脳切片が研究所内で発見され,すべての標本が埋葬されたわけではないことが判明した.このため,Max Plank研究所は「犠牲者の尊厳を取り戻すため,今度こそ,誰が犠牲になり,どんな人生・運命を送ったのか,全貌を解明する」と表明したのである.

最後に本題であるこれら2つの論文が書かれた理由を考えたい.それは間違いなく「本来,人の命を守るべき医師,医学者がこのような残虐で非倫理的な研究を何故,行ったのかを検証し,繰り返さないため」であろう.「何故,このような研究を行ったのか?」これには医師,研究者のひとりとして,いくつかの理由が思いつく.
第1は,純粋に分からないものを知りたいという医者,医学者としての欲求であろう.この欲求は,再生医療やゲノム医療など,急速に生命医学が展開する現代ではより深刻な問題に繋がりうる.研究者は暗い衝動にうながされない倫理観を持つ必要がある.
第2は功名心や名誉欲かもしれない.事実,HallervordenもJacobもその業績により,戦後,Max Plank研究所や学会の要職をつとめている.
第3は医学は政治と同調しやすい危険性をもつということである.これは英国のジャーナリストJohn Cornwellが書いた「Hitler’s Scientists(邦訳:ヒトラーの科学者たち:作品社)」という本に詳しい.21世紀を支える科学技術が,ナチスを含む戦争の過程で勃興したことがよく分かる.そして衝撃的な事実として,さまざまな分野の中でも,『医師,医学者が最もナチスを熱狂的に支持し,ピーク時にはドイツ医師会員の45%(弁護士の約2倍)がナチ党員になっていた』ことが記されている.このことから医師がナチスの圧倒的な政権支持基盤を形成していたとも言われている.現在も医師,医学者の研究は政治により容易に影響を受ける.ドイツでは,ネオナチに代表される極右的な排外主義があり,さらに難民危機を契機として,新興ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が台頭しているが,Max Plank研究所の今回の決断の背景には,このような政治的背景があると指摘されている.世界の政治が新しい国家主義により揺れている現在は,医学,医学研究にとっても危険な状況であるということだ.

結論として,私たちは医学研究にはこのような脆弱な面があることを認識する必要がある.「ヒトラーの科学者たち」が行なった行為は必ずしも過去のことと言い切れない.さらに,ナチスに限ったことではなく,日本人では第二次世界大戦中の石井部隊(旧731部隊)の所業や九州帝国大学の生体解剖事件のことは研究者であれば知っておく必要がある.私たちは歴史から学ぶ必要がある.最後に上述の小長谷正明先生が著書の中で引用したゲーテの言葉を紹介したい.「よい人間はたとえ暗い衝動にうながされても,正しい道をわすれることはない」

【オリジナル文献】
Zeidman LA. Hans Jacob and brain research on Hamburg "euthanasia" victims: "Awaiting further brains!" Neurology. 2017 Mar 14;88(11):1089-1094.
Gannon M. Germany to probe Nazi-era medical science. Science. 2017 Jan 6;355(6320):13.

【参考図書】
ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)
ヒトラーの科学者たち(作品社)







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ハダカデバネズミの特殊能力と脳梗塞治療

2017年05月09日 | 脳血管障害
Science誌に「ハダカデバネズミ」というネズミが,無酸素状態になんと18分もさらされても,脳の障害もなく回復することが報告され,この機序の解明が,脳梗塞や心筋梗塞の治療に応用可能かもしれないということで話題になっている.論文も面白かったのだが,このネズミの「変な生きものぶり」にとても関心を持った.

【ハダカデバネズミの特徴】
岩波科学ライブラリーの「ハダカデバネズミ」によると,成体でも体長は10センチと小柄.体温はマウスより5℃低い32℃と低体温,かつ体温調節ができない変温動物である.名前の通り,体毛がなく,薄いピンク色をしたしわくちゃの皮膚で,出っ歯である(図左上).裸なのは寄生虫にたかられるのを防ぐため,出っ歯なのはトンネルを採掘するためらしい.もともと東アフリカの乾燥地域に生息していたが,地下に全長3キロにも及ぶトンネルを掘っていたそうだ.英語ではnaked mole ratと呼ばれるが,moleはモグラの意味である.

80匹程度の群れで暮らすが,アリやハチのように女王を頂点とした社会を作る.哺乳類としては極めて珍しい.さらになんと17種類もの鳴き声を使い分けて,視覚が役に立たない地下トンネルの中でコミニュケーションをとっている.女王は王様に交尾を要求する鳴き声も持つ.これを聞いた王様は交尾を拒否することはできない.しかし交尾すればするほど王様は痩せ衰えてしまう(図左下).

【ハダカデバネズミの特殊能力】
ハダカデバネズミは非常に興味深い以下の特殊能力がある.

①長寿かつ不老である.
マウスの寿命は2~3年なのに,ハダカデバネズミは平均28年,最長40 歳を超えて生存可能.かつその生存期間の8割以上の期間において,老化の兆候をほとんど示さない.よって老化の研究に使用されている.

②極めて腫瘍が発生しにくいというがん化耐性をもつ.
「ハダカデバネズミ」から日本において,iPS細胞が作成されたが,この細胞も奇形腫を作らなかった(がん化しなかった).この機序が研究され,がん抑制遺伝子ARFの活性化とがん遺伝子ERASの機能欠失のためであることが明らかにされた(Nat Commun. 2016;7:11471).

③低酸素状態にとても強い.
これは前述のように地中の巣穴で生活することと関連がある.巣穴に住む利点は捕食者が侵入できないこと,地表に比べて寒暖の差が1年を通して小さいことであるが,逆に新鮮な空気に乏しいという悪条件である.これに適応するため,進化の過程で,低酸素に耐性を獲得したものと考えられている.

【低酸素に耐えられる仕組み】
人間の場合,酸素濃度が10%を切れば死亡するが,今回の米イリノイ大学シカゴ校からの論文では,酸素濃度5%で実験を開始.しかしこの状態に数時間置かれても影響なし.次に酸素濃度を0%にしたところ,動きが止まり一種の仮死状態になり,心拍数も毎分200回から50回以下に劇的に低下したものの,そのまま18時間生存し,酸素を戻すと完全に元の状態に戻った.

普通,動物はブドウ糖のみを脳の栄養源として取り込む.取り込みには,ブドウ糖の輸送タンパクGLUT1が使われる.細胞内への取り込み→解糖系(細胞質・酸素不要)→呼吸(ミトコンドリア・酸素消費)という流れで行われる.酸素が必要になるのは最後の「呼吸」である.ただし無酸素下では呼吸から,上流の解糖系の流れを止めるネガティブ・フィードバックが働く.結果として,細胞のエネルギー源であるATPの生成は止まり,神経細胞は死に至る.

今回の論文は,低酸素に対する耐性のメカニズムを以下のように明らかにした.(1)ハダカデバネズミは,フルクトース(果糖)を脳に取り込みことができる輸送タンパクGLUT5を持ち,その発現量は通常のマウスよりはるかに多い.そして無酸素下で血中のフルクトース濃度が上昇,ketohexokinase(KHK)が活性化し,その結果,脳内では代謝産物のF-1-Pが上昇する.(2)そしてジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)やグリセルアルデヒド3リン酸(GA3P)を経て,解糖系の下流につながる.このような抜け道につながる酵素群をハダカデバネズミは持っている.しかもそのつながる部位が絶妙で,ネガティブ・フィードバックのかかるphosphofructokinase(PFK)より下流であるため,その影響を受けることがない.よって,GLUT5とネガティブ・フィードバックの回避という2つの機序により,酸素がなくてもフルクトースを使うことで,ATPを生成することができる.そして(3)実際に海馬スライス培養における興奮性シナプス後場電位,ならびにランゲンドルフ法心臓灌流による左室圧(Left ventricular developed pressure)の評価で,ハダカデバネズミの海馬,心臓ではブドウ糖を果糖に置換しても機能することが確認されている.

【ヒトの治療に応用できるか?】
酸素の供給が低下した時に,フルクトースを使った代謝系に切り替えることがヒトでもできれば,脳梗塞や心筋梗塞を起こした患者の症状を軽減できる可能性はある.また著者らはインタビューに答え「低酸素状態になった時に脳に果糖を供給するだけでも助けになるかもしれない」と述べている.本当か?と思い,文献を調べてみると,マウスの局所虚血モデル(永久閉塞)の6週前から餌をショ糖から果糖やほかの人工甘味料に切り替えて,その影響を調べた論文が報告されてた.この結果,虚血3日後,果糖群では脳梗塞サイズや運動機能はむしろ増悪していた.この機序としては血管内皮前駆細胞機能が低下し血管新生が阻害されることが原因であると報告している(Stroke 46;1714-8, 2015).そもそも単糖はリング状の構造が開環し生体の蛋白を「糖化」し,グルコースの場合,糖尿病合併症を来すが,フルクトースはグルコースの300倍開環しやすく,生体に危険であると言われてきた.ハダカデバネズミが進化の過程で得たフルクトースを生存に活かすという特殊能力を,人間が利用するのはそう簡単ではないように思われる.

Science. 2017 Apr 21;356(6335):307-311





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神経内科医における燃え尽き症候群@米国神経学会(ボストン)

2017年04月29日 | 医学と医療
米国神経学会(AAN)年次総会に参加した.例年と雰囲気が異なる印象を持った.Live wellと名付けられた医師のQOL向上セミナーや,リーダーシップ講習が学会場のあちらこちらで行われていた(写真).以前は口演とポスターが学会の主役の印象であったが,教育講演が聴講無料となり,その割合も増えて,より重視されていた.学術重視から,QOLやキャリア形成重視の方向にシフトした印象を受けた.全員講義(プレナリー)もいろいろ刺激を受けたが,もっとも印象に残ったものは,AAN会長のTerrence Cascino先生の講演であった.講演の最後には,胸が一杯になってしまった.

Cascino先生は,まず,AAN会員は非常に多様性(diversity)に富むが,安全で質の高い医療を届けること,望ましい医師・患者関係を維持すること等,共有すべき価値観があることを述べた.しかしながら,米国の神経内科医は,一所懸命にやってきたにも関わらず,予期しない状況に置かれていると語った.燃え尽き症候群が非常に多いということだ.米国の神経内科医は,他の診療科医と比較し,ワーク・ライフバランスの満足感,そして燃え尽き症候群の頻度のいずれもが非常に悪いのだ(図:Shanafelt et al. Mayo Clin Proc 90; 1600-1613, 2015).

【AANによる燃え尽き症候群の調査論文】
AANは,2016年,米国人神経内科医4127名に対し,燃え尽き症候群の調査を行った.回答者の平均年齢は51歳,65.3%が男性であった.なんと約60%の回答者は少なくとも1つ以上の燃え尽き症候群の症状を認めていた.リスク上昇因子は,1週間における勤務時間,夜間のオンコール回数,外来患者数,事務仕事の量であった.逆にリスク低下因子は,医療スタッフによる効果的なサポート,仕事に対するオートノミー,仕事に意義を見出すこと,年齢が高いこと,てんかん診療医であった(Busis et al. Neurology 88;1-12, 2017).ちなみに中国からも報告があり,神経内科医のバーンアウト率は53%とやはり高値で,なんと58%が医師になったことを後悔していた(Zhou et al. Neurology 2017 Apr 5.)

【燃え尽き症候群とは何か?】
燃え尽き症候群の定義は(1)仕事に対する熱意の消失,(2)患者さんを人でなく,物として見るようになること,(3)自身のキャリアの満足感の喪失から成り立つものとされている.そしてこのいずれかに含まれる22項目の質問表を用いて評価が行われた.燃え尽き症候群は,うつや不安につながり,最悪の場合,薬物依存や自殺率の増加を招く.また診療にも影響を及ぼし,診療の質やケアの低下,患者さんに対する共感(empathy)の欠如をもたらすことが分かっている.

【なぜ神経内科医に,燃え尽き症候群が多いのか?】
2013年,AANは,米国の多くの州において,需要が供給を上回っていること,そして2025年までにその需要はさらに高くなると予測している.つまり個々の神経内科医の仕事量の増加が加速することを意味する.これは高齢化に従い,認知症,脳卒中,神経変性疾患などが増加することや,電子カルテや保険などの事務的な仕事が増加していることを考えれば容易に納得がいく.また別の論文には,神経内科を選ぶ人間の性格が燃え尽き症候群に影響しているのだろうと書かれていた.つまり,病歴や診察をじっくり行うことが好きで神経内科を選んだのに,それが行いにくくなっている状況に,大きなストレスを感じているというのだ.確かに自分も,電子カルテの打ち込みにストレスに感じている.患者さんの目を見て話しにくくなり,コミュニケーションがとりにくい.このため意識して打ち込みをやめて患者さんの目を見るが,その間のやり取りを忘れてしまったり,迫る次の予約枠の時間が気になってしまう.私が若い頃に,教授の外来診察で行われた「書き番(いわゆる筆記係)」でもいてくれると良いのだが,それが難しければ,せめてiPhoneのような音声入力ができないものかと思う.

【燃え尽き症候群にどう対応すべきか?】
個人レベル,病院レベル,国家レベルで行うべきことがあるとCascino会長は述べた.医師がしなくてもよい仕事を減らすこと,限られた時間で診療をしなければならないプレッシャーを除くよう診療システムを再構築すること,キャリアアップのためのメンタリング・カウンセリングを充実させること,達成感を認識する仕組みを作ること,それをサポートする仕組みを作ることなど,レジリエンス(自発的治癒力)の向上をはかることが有用だろうと考察されていた.おそらくその姿勢が現れたのが,今回の学会なのだろう.

【Cascino会長のことば】
最後にCascino会長は次のように述べた.「きっとこの状況を改善できる.その理由は,第1に賢明で創造的な神経内科医がいることだ,第2に皆が神経内科を愛していることだ,そして第3に患者さんが我々を必要としているためだ」「しかし何もしなければ失敗する.我々は立ち上がり,正々堂々と意見を述べ,自分自身のため,そして患者さんに質の高い医療を届けるために戦わねばならない
本当に心に響く講演であった.以下に講演の最後のフレーズをメモしておく.

“I know one thing. If we don't try, we will likely fail. So what do we need to do? We need to stand up and speak out, we need to fight for ourselves and fight for the patients and fight for the ability to deliver high-quality care. My last words as a president, we must stand up and speak out, whether we are the US or international neurologist, adult or child neurologist, academic or private practitioner, subspecialist or generalist, if we stick together, we can I firmly believe the kind of future we want for our patients and for our profession. I want you to know it's been the greatest honor of my professional life.”



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Phineas Gageの頭蓋骨と対面する@ハーバード大学

2017年04月26日 | 医学と医療
Phineas Gage(図A)の事件,いわゆる「アメリカの鉄梃事件 (the American Crowbar Case)」は,神経学や精神医学を学ぶ過程で,多くの人が耳にする有名な逸話である.1848年,ペリーの黒船来航の5年前,鉄道建築技術者の職長であったPhineas Gage(25歳)はアメリカ合衆国Vermont 州の小さな町で,岩盤を爆破する仕事をしていた.爆薬を仕掛けるために,岩に穴を掘り,火薬等入れて,鉄の突き棒で突き固める作業をしていた.このとき,突き棒が岩にぶつかって発火し,ダイナマイトは爆発した.彼は30メートル近く吹き飛ばされたが,その際,長さ109 cm,太さ 3 cm,重さ6 kgもの鉄棒が,彼の下顎から頭蓋底を貫通した.診察を行ったDr. Harlowは「頭頂部には…深い陥凹がある.長さ2インチ,幅は1インチから1インチ半で,直下に脳血管の拍動を触れる.顔面の左半側に部分麻痺」と記載している.しかし事故後,彼の意識はしっかりしており,支えられれば歩くこともできた.その後,一時,頭蓋内圧亢進のため昏睡状態になったが,Dr. Harlowの治療を受け,10 週間ほどで退院した.その後,7ヶ月ほど静養し,もとの仕事に復帰したが,以前のような役割を果たすことはできなかった.きまぐれで,非礼で,下品で頑固,優柔不断となり,将来の行動の計画も立てられなかったという.周囲から「彼はもはやGageではない」と評された.

鉄道建築の仕事に復帰できず,いくつかの仕事を行ったあと,最終的に馬車の御者と飼育係になった.その後,1860年2月,初めて痙攣を経験した.後遺症としてのてんかん発作は次第に悪化し,5月21日死亡した.剖検は行われず,脳は存在しないが,後にお墓が掘り起こされ,頭骸骨(図B)と事故の原因となった鉄棒はDr. Harlowの元に送られた.

この症例は19世紀当時の精神と脳に関する議論,とくに脳の機能分化に関する議論に影響を及ぼした.脳の特定の部位の損傷が,人格に影響を及ぼしうることを示唆した初めての事例と考えられている.前述のように神経学や精神医学でしばしば言及されるが,そのインパクトから歌や演劇,テレビドラマでも取り上げられ,その中では過度に誇張されたり,事実と反することが記されたりしたようだ.

近年,Phineas Gageに関するいくつかのことが分かってきた.2009年に,彼の肖像写真が発見された(図A).この写真の持ち主は,長年の間,銛を手にしたクジラ獲りの漁師を写したものだと考えていた.しかし銛ではなく,彼の脳を突き刺した鉄棒であった!片眼を閉じ,傷痕ははっきり見え,「身だしなみは良く,自信ありげで堂々とすらしている」という過去の記載に合致するものであった.

また科学の進歩は,彼が受けた脳の損傷について徐々に明らかにしていった.鉄棒により前頭葉が傷害を受けたと推定されてきたが,正確には前頭葉のどの部位が傷害されたのかは不明であった.1994年,米国アイオア大学の Damasio らは,保管されていたGageの頭蓋骨と標準的な脳のMRI画像とを重ね合わせ,鉄棒の位置を推定し(図C),前頭葉の眼窩面(前頭眼窩回)と前頭葉の先端部(前頭極)を中心とする損傷があったと,Science誌に報告した (Damasio et al. Science 264, 1102-1105,1994).

2012年,UCLAのVan Hornらは,拡散強調画像を用いた白質線維ネットワークに注目した検討を行った.25-36歳の男性のデータを集積し,それを用いて,大脳皮質と白質の傷害部位を推測した.この結果,鉄棒による直接の傷害は左前頭葉に限局するものの,その他の領域とのネットワークの傷害は広範であったことを示し,長期に渡り行動変化がみられた原因であると考察した(PLoS One. 2012;7(5):e37454).

さらにロンドンのde Schottenらは,129名の健常者の拡散トモグラフィーから,精密な白質コネクションの地図を作成した.この結果,傷害を受けた脳の領域(図D)は病変から離れた領域にも影響を及ぼすこと,具体的には感情や意思決定に関わる領域(図E)に障害が生じたものと推測された.コネクトーム解析はこの歴史的な症例を,離断症候群の1例として再評価することを可能にしたのだ(Cerebral Cortex 25;4812-4827, 2015).現在,Phineas Gageの頭蓋骨は,その肖像写真と鉄棒とともに,ハーバード大学図書館4階のWarren Anatomical Museumに展示されている.写真付きの身分証明書を提示し,署名をすれば図書館内に入り,見学することができる.同じ階にはハーバード大学のトランスレーショナル・リサーチを推進するHarvard Catalystがある.

Warren Anatomical Museum





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純粋自律神経不全症は,多系統萎縮症,パーキンソン病の病態抑止療法のターゲットである!

2017年04月19日 | 脊髄小脳変性症
純粋自律神経不全性(pure autonomic failure; PAF)は,多系統萎縮症(MSA),パーキンソン病/レビー小体型認知症(PD/DLB)を発症(conversion)しうることが知られている.もしPAFの段階で,このconversionを予測できれば,MSAやPD/DLBのごく早期(premotor phase)での診断が可能になり,病態抑止療法の実現につながるかもしれない.今回,米国Mayo Clinicが,2001年から2011年にかけての後方視的研究の結果,PAF症例のうち,いつ,どの程度,どの疾患にconversionするかを検討した論文を報告した.

対象は,起立性低血圧(30/15 mmHg以上の低下)を認め,末梢神経障害やAdie緊張性瞳孔等の合併,免疫療法への反応,中枢神経変性の合併,傍腫瘍症候群やシェーグレン症候群を示唆する抗体陽性などを除外したpossible PAF症例とし,最終解析は3年間以上経過観察できた症例に限定した.自律神経機能の評価は膀胱機能,睡眠(レム睡眠行動障害,睡眠時無呼吸)のほか,著者のLow PAが1993年に開発した総合的自律神経機能評価法Composite Autonomic Severity Score(CASS;自律神経機能検査第4版に詳しい)や温度発汗試験(Thermoregulatory sweat test; TST)を行った.ちなみにCASSは,大別するとValsalva法を用いた血圧変化,定量的軸索反射性発刊試験(QSART),呼吸性心拍変動検査,起立試験の4つを行う.検査の40%をadrenergic 機能,30%ずつを末梢性発汗(sudomotor)機能,cardiovagal機能に配分できる.またパーキンソニズムとも小脳症状とも判断のつかない軽微な運動徴候(歩行障害や振戦など)の有無も確認した.

さて結果であるが,318名がpossible PAFの基準を満たし,経過観察が3年未満のケースや軽微な運動徴候に関する記載がないものを除外すると79名が最終解析された(図).このうち,41名が症状のconversionがないstable PAFであったが,37名はconversionし,内訳はMSAが22名(59%)と最も多く,PD/DLBは11名(30%),4名は明らかな運動徴候を呈したものの両者の診断基準を満たさなかった.MSAへのconversionは中央値2.4年(四分位範囲1.9-3.3年)に生じ,大半がPAFの発症3年以内であった.一方,PD/DLBは中央値3.9年(4.2-8.4)でより長かった.Conversion率は,possible PAFを分母にすると12%(37/318名),3年以上経過したPAFを分母にすると47%(37/79名)になる.以上より, MSAがPD/DLBの2倍の頻度であったが,conversionまでの期間の長短が影響している可能性もある.

つぎにMSAへのconversionの危険因子の検討が行われた.MSA群とstable PAF群が,PAFと診断された時期の臨床像を比較すると,MSA群では重度膀胱障害が多く,総CASSスコア低値,cardiovagal CASSスコア低値,発汗異常の中枢・交感神経節前パターン,坐位および起立時のノルエピネフリン値高値という特徴が見られた.軽微な運動徴候もMSA群で多かった(32% vs. 12%).

一方,PD/DLB群はstable PAF群と比較して,総CASS スコア低値,adrenergic CASSスコア低値,末梢性発汗機能スコア低値,起立時のノルエピネフリン高値,高齢を認め,MSAとは異なっていた.軽微な運動徴候も多かった.

以上より,2つの疾患ではconversionの危険因子が異なるため,両者の発症の鑑別が可能となるものと考えられ,以下の2つのスコアが作成された.

MSA conversion score(0~5点)
1)CASS vagal score < 2
2) 神経節前性発汗障害パターン
3) 重症膀胱障害(尿失禁,尿閉,カテーテル留置)
4) 臥位ノルエピネフリン > 100 pg/mL
5) 軽微な運動徴候
➔ 0ないし1点でconversionの可能性は低い(stable PAF)
➔ 3点以上でMSAへのconversionの可能性は高い

PD/DLB conversion score(0~3点)
1) CASS total score < 7
2) 起立時ノルエピネフリン上昇 > 65 pg/mL
3) 軽微な運動徴候
➔ 0ないし1点でconversionの可能性は低い(stable PAF)
➔ 2点以上でPDへのconversionの可能性は高い

本研究の問題点としては,単一施設の評価であること,後方視的研究であること,PAFの希少性を考えると十分な症例と考えられるものの,オッズ比,感度,特異度を求めるにはまだ不足していることが挙げられる.

以上,PAFでは12%~47%の症例が診断から数年の間にconversionすること,MSAではより早期であること,特定の危険因子の組み合わせにより,高い感度・特異性を持ってconversionの予見が可能であることが明らかになった.今回の知見は,RBDについでPAFも,MSAやPD/DLBの病態抑止療法の標的になることを示している.その意味で非常に大きな成果である.一方,conversionを予見するためこれだけの自律神経機能検査をきちんと行うのはなかなか大変だと思った方も多いのではないだろうか.症例数にしても,これだけの検査を長期にわたり行ってきたことに関しても,さすがMayo Clinicと脱帽する論文であった.

Singer W et al. Pure Autonomic Failure: predictor of conversion to clinical CNS involvement. Neurology 88;1129-36, 2017




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おたまじゃくしの目,見たことありますか?

2017年04月14日 | 医学と医療
診察中,「あれっ,瞳孔が歪んでいる」と思ったことがある.過去に虹彩炎でも起こし癒着したのかなと思い,深く考えることもしなかった.しかしTadpole pupil(おたまじゃくしの目)とよばれる現象があることを初めて知って考えを改めた.これは,1983年にThompsonらが報告した所見で,瞳孔が「おたまじゃくし状」に一時的に変形し,もとに戻るというものだ.原著では,脱神経した瞳孔散大筋の一部分だけが収縮(スパスム)し,瞳孔の一部のみ散大するため,おたまじゃくしの尾のような形になると考察している(図下段).

今回,JAMA Neurology誌に報告された症例はかわいい2歳の女の子.日中,瞳孔は正円で左右同大だが,朝起きた時に右目が「おたまじゃくし」になる(写真上左).起きて10分後には改善しはじめ(写真上中),40分後には正円形になる(写真上右).この女の子は生下時に右側の縮瞳と眼瞼下垂を認めていた.とくに外傷や頭痛の既往はなかったが,0.5%アプラクロニジン(アドレナリン受容体アゴニスト)を用いた瞳孔試験を行うと,右ホルネル症候群が確認された.MRIでは交感神経系の障害をきたす器質性疾患は認めなかった.

この機序をどう考えるか?Tadpole pupilは嚥下や運動など交感神経活動が亢進する状況で引き起こされることが知られている.著者らはコルチゾールが影響した可能性を考えている.コルゾールは起床時に最も高い値を示し,時間の経過とともに低下する.このため起床時にコルゾールは交感神経を刺激し,それが瞳孔散大筋の一部を収縮させるが,コルチゾール低下とともにもとに戻るのではないかという仮説である.

Tadpole pupilはホルネル症候群のほか,Adie緊張性瞳孔(内眼筋への副交感神経支配の症候性節後脱神経)にも合併しうる.また良性間欠性片眼性瞳孔散大というほぼTadpole pupilと同義の症候を呈した19例(全例女性)の検討では,月2~3回生じ,持続時間は12時間,病因は単一ではないと考えられるものの,14名が片頭痛の既往があり,発作時には視界のぼやけ15名,頭痛9名,眼窩痛を5名で認めたと報告されている(Jacobson 1995).よって片頭痛が基礎疾患にないか確認する必要がある.

一方,縮瞳する時に,瞳孔の一部が収縮しなくてもTadpole pupilと似た形になりうる.平山先生の「神経症候学」の瞳孔の項目には,不正円形瞳孔として,虹彩の癒着があるような虹彩炎,虹彩毛様体炎,そしてベーチェット病,Vogt-小柳-原田病を,また楕円瞳孔として,中脳の重篤な脳血管障害や神経梅毒,DRPLAを紹介している.瞳孔の形も奥が深く,幾つかの疾患を疑うヒントになることを学ぶことができた.

Thompson HS et al. Tadpole-shaped pupils caused by segmental spasm of the iris dilator muscle. Am J Ophthalmol. 1983;96:467-77.

Aggarwal K et al. The Tadpole Pupil. JAMA Neurol. 2017;74:481.


Jacobson DM. Benign episodic unilateral mydriasis. Clinical characteristics. Ophthalmology. 1995;102:1623-7.


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