Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

公共放送の義務と主張

2005-12-24 | マスメディア批評
民謡を主体とした世界最長寿の公開放送歌番組を紹介した。田舎の町にとっては、この公開録りがあると大イヴェントとなる。その熱気が面白いのである。お国自慢に其れほど奔らずに、ドサ廻り番組ツアーのスタッフが何とか地元に入り込もうとする姿が興味深い。決して、公共放送を通して紹介してやろうではないのである。だから、露骨な地元キャンペーンなども無いのが長続きの要因だろう。北京や新大陸からの中継などの大イヴェントを無事こなしているのも制作者の堅実さの表われか。これらの番組は、季節毎にやって来るゴールデンタイムのショー番組同様ドイツ語圏に住んでいるものは知らない者は居ない、ドイツ圏認知度試金石番組である。

さて、何時も偶々見てしまう料理番組「アルフレディシモ」があるが、これも西部ドイツ放送の長寿番組で10年以上続いているので、ゴールデンタイムに関係なく誰もが観た事がある。そのゲストの顔ぶれで無く、厨房にゲストを迎える顔が最も馴染まれている。番組のタイトルとなっているアルフレッド・ビオレック氏は、独第二放送で法律を学んだジャーナルストとして長く制作に関わっている。氏のチェコ人特有の愛嬌の良さがこの番組の変わらぬ人気を支えている。

番組は、ゲストの食事に対する志向を探りながら、準備されていた料理を作って行く。ワインが欠かせないのは当然として、鼻歌混じり、ハプニングあり、愉悦の時ありで進む。美味くもあり、不味くもあり。最も気になるのはその場で立ちながら食する事で、大変行儀が悪い。恐らく数限らぬ苦情が出ただろうが、遂行しているのには理由があるのだろう。編集無しにノンカットで進める番組作りの様々な利点を強調しているに違いない。公共放送は、ショー番組と言えども必ずジャーナリズムで無ければいけないと言う様な義務感と主張をここに強く感ずる。

錚々たるゲストの中で、先ずスター政治家からハンガリーからの出稼ぎ労働者で堵殺師を父親として運動家から後に外務大臣となったヨシュカ・フィッシャー、子守をしながらフランス料理を覚えて後に連邦議会長となり女性大統領候補と見做されて、プライヴェート公用機利用で批判されたリタ・ズスムート、ドイツアルパイン協会のハイナー・ガイスラー、元大臣レナータ・シュミット、自殺したコール元首相夫人、連邦議会唯一のワイン醸造親方・ライナー・ビュルダーレ、シュレーダー元首相の前任者ルドルフ・シャウピン、ドイツ赤軍の弁護師出身の前環境大臣ユルゲン・トリティン、ベルリン市長で同性愛者クラウス・ヴォーヴェライト、元大統領ヘルツォーグ夫人等。

作曲家からコックに転向したロッシーニではないが、口が卑しそうなと言う事でオパラ歌手も多い。ベルント・ヴァイクルルネ・コロクリスタ・ルートヴィッヒ、ジークフリート・イェルサレム、ザンドラ・シュヴァルツハウプトグレース・バンブリーボー・スコフス、レナーテ・ホルム、ギネス・ジョーンズツェリル・シュテュダーモンセラタ・カヴァリエ。指揮者のロリン・マゼール夫妻、バイロイトでオパラデビューした舞台監督のクリストフ・シュリンゲンジフ、オパラの大先輩オットー・シェンク。ジェームス・ラストやベルギーのアンドレ・リュウナナ・ムスクーリやカトリーナ・ヴァレンテ、アコースティックギターを一本のラインホルト・マイ、奥様ゴロシのウド・ユルゲンス、黒メガネのヒットスターハイノなどポップスターや最も有名な黒人タレント歌手ロベルト・ブランコもこれに加わる。

スポーツ選手では、オリンピックで12個のメダルを獲ったカヌーのブリギット・フィシャー、サッカーのナショナルチームのキーパーのヤン・レーマン、アルペンスキーのロージ・ミッテルマイヤーとクリスチャン・ノイロイトナー夫妻等。

文学評論家で、ライヒラニツキーに人気TV番組で侮辱されたジークリット・レフラー。

しかし何と言っても多いのが、TV局と関係の深い俳優達である。その前にハリウッドのスターを写し続けた重要なハリウッド映画カメラマンミヒャエル・バルハウスもいる。「タクシードライヴァー」や「ディープ・インパクト」のカメラワーク等である。数多い俳優の中で国際映像で見かけるのは、カリン・ドール。ショーン・コネリーの「007は二度死ぬ」のボンドガールでありヒッチコックの「トッパーズ」に出演。18作目の「Tommorow Never Dies」や「Der Untergang」に出演したゲッツ・オットー。15歳でデェイヴィト・ハミルトン映画に登場したアンニャ・シュッテなどを挙げて措く。

その他では、独TVの顔であるナレーターやアンカーマンの面々、戦後直ぐにエリッヒ・ケストナーやフォン・カラヤンやバーンスタインをミュンヘンのスタジオに招いた草分け的存在のマルゴート・ヘルシャー、その後輩のサンドラ・マイシュベルガー、現在の第二放送の顔ペトラ・ゲルスターウルリッヒ・ヴィッケルトヘラルド・シュミット、ニュースのお姉さんから民放へのブリギット・ショルヴァンゲ、ロシアレポーターのゲルト・リューゲ等他多数。

全体を見て通すと、TVでお馴染みの、仕事関係のある有名人に交渉して比較的廉く番組を仕上げている事が分かる。其れだからこそ簡単な番組にこれだけ有名な顔ぶれが集まるのである。(見逃せないTV番組 第二話)



参照:廉く簡易な公共放送 [ 生活・暦 ] / 2005-12-22

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4 コメント

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歌より飯 (助六)
2005-12-24 10:33:41
いや、これはすごい!この錚々たるオペラ歌手たちが、料理番組に出てくるんですか。普通の視聴者は歌手なんか知らないでしょう?フランスでは公共放送でも、フツーの番組に出てきたクラシック音楽家というと、思い付くのはグリモー、ヘンドリックス、アラーニャ位ですねぇ。

ザンドラ・シュヴァルツハウプトは独では有名人ですか?カバリエのドイツ語はどんなもんでしたか?ドイツものレパートリーに持ってたし、独劇場の座付きだったこともあったと思いますが。



>作曲家からコックに転向したロッシーニ

ヘンデルは、グルックについて「あいつはウチのコックより対位法を知らない」とか言ったそうです。これはまんざらウソとも言えず、彼のコックは元合唱団員でそれなりの音楽教育を受けていたそうですから。
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今暫し (pfaelzerwein)
2005-12-25 08:44:43
リンクを追加して行きますのでいま少しお待ちを。



カバリエの全盛期(日本でもそうでしたが)は、三大テノールよりもスターでしたね。ヴェジタリアンらしいです。ドイツ語は、上手で無くてもキャラクターが手伝って気にならないような感じでした。この放送も覚えがあります。当時は頻繁にTVに出ていた事でも其れを証明しています。



ザンドラ・シュヴァルツハウプトは、私はあまり印象が無いのですが、どうなんでしょうか?



グルックね。そうですか。
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ありがとうございます♪ (サチ)
2006-12-06 22:14:17
http://translate.google.com/translate?u=http%3A%2F%2Fwww.alfredissimo.de%2Fgaeste%2Findex.phtml%3Faction%3Dgast%26id%3D211%26alpha%3DA%26akt_seite%3D1&langpair=de%7Cen&hl=en&ie=UTF-8&oe=UTF-8&prev=%2Flanguage_tools
記事をみつけました♪
すごい♪
早速紹介させていただきます♪
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リンクの整備 (pfaelzerwein)
2006-12-07 05:56:20
喜んで頂けて何よりです。TBは上手く行かなかったようですが、リンクの整備がてら新しい記事を書きました。
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