Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ポピュリズムのサボータージュ

2014-03-02 | 歴史・時事
買い物かごに入れておいたCDが、二枚組10ユーロから28ユーロの通常価格に戻ってしまっている。買い損ねてしまった。購入意欲が一挙に失せてしまった。

一方その間探し続けていたクライミングの安全ベルトは何とか決まりそうである。上手く行けば、最初に注文したものよりも。41ユーロも安く更に良いものが獲得できるかもしれない。この差額でCDでも買おうとしたのである。

先日、カールスルーへの憲法裁判所で、EU議会の3%条項が違法と判断された ― 前回の国政選挙で得票率5%を獲得できなかった嘗ての連立政党自由党が現在連邦議会で議席を失っているのと同じ条項である。これによって五月の選挙では飛沫政党も議席獲得の可能性が出てきた。これに対して、選挙へのアピールを出した文化人を代表する社会学者ウルリッヒ・ベックがインタヴューに答えている。

この判断自体が最高判事のポピュリズムの一つであるかもしれないというのである。EU内のフランスやイタリアにおける条項との兼ね合いもあるようだが、極化する傾向があって、民主主義の強化のための制限を付けることで多数派形成が出来るようにするという考え方と、今回の少数意見を尊重することでの民主主義を実現すると言う考え方の両極であるというのだ。

つまり、EU議会には、嘗てのヴァイマール議会にみるような、議会の安定はそれほど重要視しないということで、カールツルーヘの判断はEUへの懐疑的な視線を示したということであるようだ。しかし、ベック、ハーバーマス、リリアン・テュルラム、アグネス・ヘラーそしてハンナ・シルグラーまでの文化人たちは、若者の失業問題などへの直接の政策なども含めて本気で投票すべきだと訴えている。

つまり、自らの命をまでを掛けて、EUへの希望を示すウクライナやトルコなどの外からの意味合いと、内側からのそれには大分温度差があるというのである。

今回の「制限条項は憲法違反である」とする判断は、当然のことながらEU反対派である極左などを含めた反グローバリズムの少数意見を議会に送り、代議士を送ることでサボータージュさせるというパラドックスに満ちたものになるというのだ。カメロン首相の主張する制限などとはまた異なる次元で議会制民主主義ということになるのだろう。



参照:
Höchstrichterlicher Populismus, Ulrich Beck, Thomas Thiel, FAZ vom 28.2.2014
日本のゴルバチョフへの条件 2011-06-28 | 文学・思想
脱原発は集団ヒステリーか? 2011-06-15 | 文学・思想
ハイエンドではない大根 2014-03-01 | 雑感

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2 コメント

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危機をいかに切り抜けるか (old-dreamer)
2014-03-05 18:40:24
ウルリッヒ・ベックの見方は、とても興味深いですね。民主制についての考え方が両極化する中で、新しい重心がどこに落ち着くか。ウクライナ問題は、熱いテストになりますね。"メルキャヴェリ" Merkiavelli (Beckの命名)モデルでは、どんな答えになるのでしょうか。
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メルキャヴェリ (pfaelzerwein)
2014-03-07 04:38:52
そうでしたか、シュピーゲルのサイトが出てきましたが、知りませんでした。女帝カテリーナをお手本とするメルケル博士の政治は、新自由主義から殆ど社会主義的に変遷したかに見えますが、国民世論を上手に掬い上げる腕は大したもので、男性では出来ない柔軟性ですね。原発継続から停止へと、全てが真逆に変更しても世論の順風を受けて、プロテスタンテズム的合理性がある限り、全く問題にならないのですね。そして、「その世論」が巷での雰囲気と殆ど変わらないのは、様々な世論形成に重要な情報の巧みな流通に依るのがドイツの特徴かと思います。その一つとしてこうした憲法判断とそれに対するコメントにも表れていて、広義のジャーナリズムの為せる業かと思います。やはり、議論が精緻であればあるほど、ソフトランディングの行方は自ずと決まってくるようです。先日も、ウクライナの件でドイツの果たせる役割がラディオの文化波で解説されていました。
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