Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

全日空不時着のフラッキング

2013-01-17 | テクニック
とても寒いが、雪が降る場所は温度が下がりきらない。来週も冷えそうで、天気が回復すれば零下二桁台へと突入しそうだ。

ボーイング787の不時着のニュースは世界を駆け巡っている。速報のためか英紙のガーディアンなどでも日本最大の航空会社として全日空と日航が明確になっていない。ドイツ紙は通信社のそれをもとにしているのか日航の事故としている。二十年近く前にエンジニア―とスキー場に行ってBMWのバッテリーが燻ったことを思い出した。あの時も摂氏零下二十度近かった。

彼に言わせると車両火災への前段階として重大な事故になるということで、リコールものだということだった。航空機では車両はおろか船舶以上にもはや火災は致命的な事故で、今回の一連の事件もほとんど墜落事故への前段階として捉えることができるのだろう。車両でもリコールものなのだが、航空機の場合の一斉の部品交換などの処置が出ていないで、今現在でも飛ばしているのが不思議でたまらない。一号機を導入した全日空がB787の運行を取りやめた事実は大きく報道されているが、日航は今日も飛ばしているのだろう。全日空は乗客などに向けて死の恐怖を味わった謝罪をしているようだが、ボーイングはどのような整備や点検の指示を出したのだろうか。

それにしても電気系統のボヤ騒ぎが続いて、ヴァルヴの締まりの悪い事故が起きているのに何一つ処置らしきものが公にされていないのは、日本の製造分担の元請会社が技術的な事実関係を未だに把握していないからに違いない。なにかそうした組織的技術的な哲学にも、原発事故でも明らかになったような、批判的な視点を公にして初めて問題点が解消されるべき思考構造が日本社会や文化には根付いていないのを如実に感じる。その最たるものが評論家とか呼ばれるようなジャーナリズムであり、如何に彼らが航空むらのような世界で商売をしているかが明白となる。ジャーナリズムというのは決して職業を指すのではなく、学術的哲学的な思考法であることを考えれば、日本などにはジャーナリストとかエッセイストとか呼ばれる学んだ者が皆無であるかが分かる。エンジニアーリング然りだ。

合衆国では、ゴールデンラッシュと比較されるように地下を掘り当てる「ウエスタン活動」が盛んなようで、環境保護を呼びかける「インディアンたち」との大きな戦いになっているようだ。要するに、希少土類よりもなによりも、シェールガスと呼ばれるスレート層からのメタンガスの抽出は、高圧の大量の水とそこから分離させるケミカルを大量に注入するフラッキング工程が地下水系などを汚すのが問題なのである。シェールガスはその抽出物だけを考えれば水と二酸化炭素だけとなるので地球に比較的優しいとなるのだが、そのエンジニアリング上の問題点が明らかになっている。従来の天然ガスはそれに比較すると、砂岩層の中からのガスを吹き出させるのでその採掘自体は自然に優しいとなる。

反原発・脱原発、二酸化炭素排出規制などの運動や将来へのエネルギーへの転換を計る考え方は、一面においては必要不可欠で推し進めなければいけない事象だとしても、必ずや否定的な面や環境への影響があることは間違いないので、ありとあらゆる面から公に議論するためには、各々が必ず批判的に事象を捉える必要がある。公に議論して初めて影の面が照らされることも多いのは学術的な議論でも実験的な取り組みでも全く変わりなく、科学的な思考とは批判精神にしか育たないことを考えれば改めて断ることもなかろう。如何に各々の視点からの抗議活動が大切かは、そうした科学議論の基礎にあり、幾ら日本の学校教育でディべート教育などを施しても、ネットでのその世代のコメントなどを見ていると嘆かわしい限りである。議論は、学校教育ではなくて、家庭教育の教養の一つであるに違いない。外国からの官製の輸入文化を権威者が独自に体系化する文化構造は必ずしも明治維新以降に形作られたものではなかろう。だから日本人の科学文化程度は向上しないのである。



参照:
解明されたロールスロイスの不都合 2010-11-12 | 雑感
安定と静粛の乗り比べ 2008-05-09 | 雑感
追撃迫る自由競争市場 2005-08-11 | 歴史・時事
特別なアトモスフェアー 2004-11-17 | テクニック

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